ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ざぶざぶ、水の中を行く。

では、本編どぞ。



第五百五十一話 ざぶざぶ

 

 

 

 

 

 ざぶざぶ。

 ざぶざぶ。

 

 

 アベル達は冷たい水の中、転ばないよう地底湖に沈んだ通路を進む。

 ……マスク男の姿が見えなくなると、ふとビアンカが足を止めアベルもアリアも止まった。プックルも後ろで足を止めている。

 

 

「ふ……ふふふっ! アリア、聞いた? さっきの声っ!」

 

「ふふっ、うん 聞こえた~!」

 

 

 背後でマスク男の声が聞こえ、ビアンカとアリアがアベルを挟んでアイコンタクトを取るとクスクス、愉快そうに笑った。

 

 

「っ……ちょ、ちょっと二人とも……?(おっぱいが当たってるんですけど……)」

 

 

 アリアのだけならムラムラしてもいいが、ビアンカにも挟まれてしまってはラッキーだがなんとなく気まずい。

 

 ……アベルは女性二人を交互に見やり、様子を窺う。

 

 

「あっ、急にごめんねアベル、びっくりしたよね?」

 

「ごめんごめん」

 

 

 アベルの声にアリアとビアンカは一斉に手を放した。

 ……アベルの腕から柔らかく温かい感触が消え、少し肌寒さを感じる。

 

 

「ぁ……(残念……)」

 

 

 アベルはすぐに離れてしまった二人を悲し気に見つめた。

 

 

 ――離れては欲しくなかった……! 二人とも、もっとくっついててくれてもいいんだよ……!?

 

 

 ……とはいえ、魔物の群れが現れると不利だ。致し方なしとアベルは早々に諦める。

 

 

「あの人 悔しがってたね(アベルってば……残念そうな顔しちゃってわかりやすいんだから……)」

 

 

 ――アベル、ビアンカちゃんとその内腕を組んで歩けるようになるから、しばらくは我慢してね……。

 

 

 アリアはアベルの様子を見ながら目を細める。

 

 

「うふふっ、あの男、失礼だったから仕返ししちゃったっ。やったね、アリアっ!」

 

「ふふっ! だねっ」

 

 

 “パチンっ!”

 

 

 ビアンカとアリアは互いに手を叩き合わせ『大成功っ!』と破顔した。

 

 

「…………ん? 大成功……って……?」

 

「あら、アベルはわかってないみたいね」

 

 

 アベルがなんのことかと首を傾げると、ビアンカが目をぱちくりさせた後で「うふふ」。美しい笑みをみせる。

 

 

(ぁ……ビアンカ……、やっぱり綺麗だなぁ……。)

 

 

 アベルはビアンカの微笑みにキュッと胸が疼いたが、すぐに頭を左右に振った。

 

 

「……ね、アベル。さっきあの人に言われたこと……悔しくなかったの?」

 

「え……? あ、うん。色男って褒められて……なんか照れるなって……」

 

 

 今度はアリアに問われてアベルは頭の後ろを掻き掻き。

 全然気にしてないよと笑っておいた。

 

 

「え……あはっ! そっか、アベルは褒め言葉として取ったんだね。アベルって素直~」

 

 

 ――あんなに嘲笑されてたのに……アベルって素直な人……っていうか、すごく大人なのかな……。

 

 

 やっぱり、人生を繰り返してるとそういうものなのかな……、なんて思いながらアリアは全く気に留めていない様子のアベルに感心してしまう。

 

 

「……なぁんだ! 私達アベルがバカにされてると思ったから両手に花で見せつけてやろうって思ったのに」

 

「え? あっ、そうだったんだ……! ははは……、それでさっきの人が叫んでたんだね」

 

 

 ビアンカが微笑みながらさっきの行動理由を教えると、アベルは理解し頬を掻いた。

 

 

 ――美女も指輪も僕のものとか……意図せず見せつける結果になってしまった……。

 

 

 なんだか申し訳ないな……。

 

 

 ……強者の余裕なのだろう、アベルはマスク男にある種優越感を感じながらにやけそうになる顔をどうにか苦笑いで誤魔化す。

 

 

「うん……ふふっ、なんか余計なことしちゃって ごめんね。あ、私後ろに行くね」

 

 

 アリアがそう云ってビアンカの後ろに行こうとするので、アベルは彼女の手首を無意識で掴んでいた。

 

 

「っ、いやっ! 全然っ! 浅瀬でアリアが転ぶと大変だからもっと掴まってくれててもいいくらいだよ!? ほらっ!」

 

 

 “僕の腕に掴まりなよ”……なんてアベルは自らの上腕を叩く。

 

 

「え…………ぃぃn、ぁ、っ、もうっ! なに言ってるのっ。私 転ばないよっ。アベル私のことバカにし過ぎだよー? あははっ、も~、これじゃ守護天使失格になっちゃうよ~、天界に帰ったら任務がきちんと遂行できなかったって上司に怒られちゃう~」

 

 

 アリアは一瞬嬉しそうに瞳を輝かせたかと思ったら すぐにアベルの腕をポンポン。

 優しく叩いてビアンカの後ろへ行ってしまった。

 

 

 ……サラッと設定が追加されているではないか……。

 

 

「っ、アリアっ、僕はバカにしてるんじゃなくて君が心配……」

 

「……アベル~? アリアはあなたの守護天使なんでしょ? あなたは守護してもらう側なんだからあの子を困らせちゃダメよ。……天界で怒られるみたいよ……?」

 

 

 アベルがビアンカ越しに手を伸ばすが、ビアンカの後ろについたアリアは なぜかプックルと無言で見つめ合っていた。

 

 そんなアリアをちらっと見やり、ビアンカはアベルを諭す。

 ……どうやらビアンカ、彼女は守護対象に守られると上司に怒られるとかいうアリア急拵えの設定を信じてしまったようだ。

 

 

「っ…………(アリア、なんでそんな設定を急に付け足したかな……)」

 

 

 ――ああもうっ、面倒くさいっっ!! ビアンカもさっさと気付いてよね……!

 

 

 アベルはビアンカをつい強く見つめてしまう。

 

 ビアンカに八つ当たりしても意味は無いが、アベルはビアンカなら気が付いてくれると信じているのだ。

 

 アベルの視線を受け止めたビアンカは目を瞬かせていた。

 

 

 

 

「がう……」

 

「…………に、逃げてないよ? 私、元々三番目だもんね?」

 

 

 ビアンカの後ろではアリアがプックルに一声掛けられ背筋を真っ直ぐに伸ばしている。

 

 

「……がぅ……(面倒くさい女だ……)」

 

 

 先頭のアベルが再び動き出すまで、アリアとプックルは互いに見合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ……あれからアベル達が通路の先を進むと、大きな岩が立ちはだかり先に進めなかった。

 

 周りは水深が深くなっていて、泳げば先に見える通路まで行けそうだが、泳ぐには ここの水は冷たすぎて適していない。

 

 

「あ、こっちは行き止まりだね」

 

「あら……、じゃあいったん戻るしかないわね。アリア、行き止まりよ。戻りましょ」

 

 

 アベルが立ち止まると、後ろのビアンカがアリアに振り返った。

 

 

「……さっきの人の前をまた行くのかぁ……」

 

「また見せつけてやる?」

 

 

 アリアが来た道を振り返るとビアンカがアベルの腕を取る。

 

 

「っ、いやっ、いいよ……なんか悪いし……」

 

 

 アベルは首を横にふりふり。

 アリアに見られたら気まずいためビアンカの手から逃れるように腕を引っ込めた。

 

 

 ――美女二人をはべらせるのは悪くないんだけどね……!

 

 

 今までアベルがさっきのマスク男から、あれほどの怒号を聞いたことはない。

 この世界では どこで誰がどんな行動に出るかわからないのだ。

 

 ……余計な恨みは買いたくないものである。

 

 

「みんな足を滑らさないようにね。……アリア、気を付けてね」

 

「…………」

 

 

 アベルが回れ右で元来た道を戻り出すと、アリアとすれ違ったがアリアは黙ったままだった。

 

 

 ざぶざぶ。

 ざぶざぶ。

 

 

 水に沈んだ通路を歩いていると、どこからともなく魔物の群れがやって来る。

 足場が悪かろうと魔物達には関係ないらしい……。

 

 




滝の洞窟にいるマスク男さん。いったいどうやって来たんだか。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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