ガスダンゴなんていうモンスターがいましてね……。
では、本編どぞ。
「っ……はぁ……どこにでも出るのか……。プックル! アリアとビアンカを後方へ……!」
「がうっ!」
アベルが【パパスの剣】を鞘から引き抜きながらプックルに指示を出すと、プックルはアリアとビアンカの前に躍り出た。
「アベル、アリアっ! あいつ、さっき毒の息を吐いたヤツよね! 気を付けて……!」
「うぅ……また出た気持ち悪いニクダンゴぉっ……!」
ビアンカが現れた魔物の群れ……、ピンク色の顔も身体も風船の如く大きく膨れ、頭頂、腹中央、両脇腹にガスを噴出する管がついた醜い魔物、【ガスダンゴ】三匹を指差し【ベギラマ】を唱えるために魔力を集中させる。
アリアは【ガスダンゴ】のビジュアルが気持ち悪いらしくビアンカの後ろで嫌そうな顔をしていた。
アリアの――腰が引けている。
ここに来るまでに何度か戦っている敵ではあるが、まだ慣れていないらしい。
「ああ、わかってる! アリア、メダパニを頼めるかい!? あと、ベギラマも……!」
「……あっ、はいっ! ……っ、メダパニ! ほんでもってベギラマッ!!」
アベルが攻撃に入る前にアリアの放った【メダパニ】と【ベギラマ】が【ガスダンゴ】達に命中する。
【ガスダンゴ】に【メダパニ】は効くらしい。
……【ガスダンゴ】達は混乱しながら焼かれた。
ただ、体力が多いためか【ベギラマ】一発で
「よしっ! さすがアリア! 僕も……!」
アベルが切り掛かりに行く前に、既にプックルのキバが【ガスダンゴ】のだらしない腹に食い込んでいる。
プシューッ! と、プックルのキバで傷付いた腹からガスが噴き出していた。
アベルはガス漏れを起こしている【ガスダンゴ】の傷口を抉るように追い打ちで思い切り剣を水平に振り切る。
……【パパスの剣】は切れ味が良い。
【ガスダンゴ】はプシュゥゥゥゥ……、と大量のガスを噴出させ、その身体を
終にはパタリと前面に倒れ、その姿は消えていく。
「よし、一匹終わり! 次っ! ビアンカお願い!」
「まかせて! いくわよっ、ベギラマっ!!」
【ガスダンゴ】一匹を仕留めると、アベルは魔力を集中させていたビアンカにバトンを渡す。
ビアンカから放たれた【ベギラマ】の炎は残る【ガスダンゴ】二匹を水面すれすれを這う炎で包み込んだ。
「……っ、あいつ体力あり過ぎっ」
――ンもうっ! なんで倒れないのよっ……!
【ベギラマ】の炎に囲まれた【ガスダンゴ】二匹だったが、火傷を負いながらも倒れることはなく、ビアンカは地団駄を踏む様に足元の水を弾いた。
「っ、みんな、毒の息がくるっ! 気を付けて!」
ブスブスと焼けただれた【ガスダンゴ】のガス管から、プシュッ……。
一瞬毒々しい色のガスが噴き出したと思ったら――。
……今度は口から【どくのいき】がアベル達に向けて吐き出されていた。
【ガスダンゴ】は二匹残っているため、残るもう一匹までも【どくのいき】を吐き出してくる。
「混乱してたんじゃなかったのっ? もぉぉおお~~! いやぁああ~~!(二度も吐かれたんじゃ避けられないわよっ……!)」
ビアンカは【どくのいき】攻撃を、一度目はなんとか避けれたものの、二度目はまともに食らってしまい、見事に【どく】状態へ。
実は先ほど滝の絶景スポットに出る以前にも【ガスダンゴ】の【どくのいき】をビアンカは食らっており、【どくけし草】で回復させていたのだ。
「っ、くっ……!」
「グルルル……」
「うぅ……」
……アベル、プックル、アリアも【どく】状態へと陥いってしまう。
ところが その後の攻撃は続かず、【ガスダンゴ】はアベル達にダメージを与えることなく混乱しながら まごついていた。
「……っ、プックル、切り裂け……!」
「がうっ!!」
毒を受けつつも、アベルとプックルが
……そうして残っていた二匹の【ガスダンゴ】も大量のガスを噴出しながら消えていった。
「はぁ……また毒を受けてしまった……」
「うん……、もうぐったりよ……」
武器を仕舞いながら青い顔のアベルがため息を吐くなり、ビアンカも項垂れ同意する。
【ガスダンゴ】から毒を受けたのはこれで四度目であった。
「……今毒消し草を出すね……って、あ」
アベルは【ふくろ】を覗き手探りで【どくけし草】を探したが、その手を止めた。
「ん……?」
「……ごめん、ビアンカ。毒消し草は在庫切れみたいだ。これまで毒なんて殆ど受けなかったから余分に買ってなかった」
ぐったりした顔のビアンカにアベルは【どくけし草】の在庫が底を尽きたことを伝える。
……アベルの言う通り、毒を使った攻撃をしてくる魔物との遭遇はこれまでそう多くはなかったのだ。
【どくけし草】は行く先々で入手したものや、気持ち買い足したくらいの分しかない。
「そう……ならしょうがないわね。薬草で回復しながら進めばなんとかなるかな」
ビアンカは青ざめた顔で薄っすらと微笑み自分の荷物から【やくそう】を取り出していた。
「いや、大丈夫だよビアンカ。僕 キアリーが使えるから。今掛けるよ。アリアおいで」
「……ん? あ、私なら自分で掛けるから大丈夫だよ。アベルはビアンカちゃんに掛けてあげて。私はプックルに掛けてあげるから」
アベルは「順番にね!」とアリアに向けて手を差し出し、傍に来るように告げるが、アリアはプックルの傍へ寄って行き、早速【キアリー】をプックルに掛けていた。
「アリア……なんで……」
あからさまにアリアを優先にしたにも関わらず、彼女はビアンカに遠慮でもしているのだろうか。
――アリア、これ……ビアンカに気を遣ってるのか……?
アベルの“なんで……”という呟きは小さく、彼は唇を噛み締める。
「……あら、アリアもキアリーが使えるのね! それならアリアが私に掛けてよ」
「……え? あ、うん……構わないけど……」
アベルの様子などお構いなしで青い顔のビアンカもアリアの元へ行き、アリアに【キアリー】を掛けてもらっていた。
「…………、……じゃあ、僕もお願い」
「……アベルは自分でできるでしょう?」
仲間外れにされた気分なのか、アベルは独り離れた場所で手を挙げる。
……するとビアンカにジト目で睨まれてしまった。
「ぐっ……、アリアの魔力はいっぱいあるから適任だ! 僕の魔力はいざという時のために温存しておかないとね……! だからアリアお願い! 僕、毒が回って動けないから来てくれると助かる」
――アリアは優しいからこう言えば来てくれる!
……なんとなくビアンカとプックルの視線が痛い気もするが、アベルはアリアしか見えておらず、挙手した手を下ろし、ぐったりと項垂れてみせる。
「…………はぁ、わかった、今行くね」
アリアから小さなため息と了承の返事がきて ざぶざぶ。
彼女が自らの元にやって来る様子が下げた頭上で聞こえて判った。
「……アリア悪いね」
「……アベル、毒消し草もっと買い足しておけばよかったね。気付かないでごめんね」
「僕が買い忘れただけで、アリアのせいじゃ……」
“【キアリー】!”
アリアはアベルの身体に触れて
……あっという間にアベルの身体から毒素が消えていった。
「……はぁ……、ありがとう、身体が楽になったよ」
「うん、それはよかった」
アベルの身体が平常に戻ると、アリアが目を細め優しい笑顔をみせてくれる。
だが、その顔色がいつにも増して青白い……。
「……って、アリア顔色悪くない?」
「ん……、私まだ解毒してなくて」
アベルが窺うとアリアは「はは……」と青い顔で乾いた笑いを浮かべた。
「っ、ごめん……。じゃあ、それは僕が」
“【キアリー】!”
アベルはすかさず、アリアに
アリアの体内の毒素も漸く消えていった。
ピンクの身体の体内で毒を作るとかいうモンスター、ガスダンゴ……非常に醜いのです……。
キモチワルゥですよ。
滝の洞窟では他にも色々モンスターが出るんですけど、ガスダンゴがキモイので取り上げてみました。
毒の息とかマジやめて欲しい。
そしてそこでも忘れないアベアリのイチャイチャっぷりよw
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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!