ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ササッとね。

では、本編どぞ。



第五百五十三話 私のお尻触ったのよっ

 

「ふぅ……ありがとう、アベル」

 

「こちらこそ!」

 

 

 アリアの顔色がいつも通りに戻るとアベルは ほっとした顔で破顔する。

 

 

「……もう、アリアったら自分の解毒をしていなかったのね。自分から解毒すればよかったのよ? 言ってくれれば待ってたのに……」

 

「えー……? それはほら、次の魔物の群れが現れたら、私だけ動けてもみんながぐったりしてたら困るかなって思って」

 

 

 いつの間にかアリアの背後にやって来たビアンカが、アリアの腰に腕を回して抱き着いていた。

 

 アリアはビアンカに抱きしめられ頬をほんのり赤く染める。

 

 

「グルルルル(真っ先に我を解毒したのは褒めてつかわすが、アリア、お前は自分の体力が低いことをわかっているのか?)」

 

 

 ――こやつ、死ぬ気か……?

 

 

 ビアンカと共にやって来たプックルは説教をしてやろうと思ったが、最近のジメジメしたアリアに言っても仕方ないと伝えるのはやめた。

 

 

「っ、プックルなぁに?」

 

「がうぅ……(自分の体力に気を付けるんだぞ)」

 

「……だ、大丈夫だよ……?」

 

 

 プックルに睨まれてしまい、アリアはビクッと肩を揺らす。

 ……どうやら“逃げたら食う”の言葉が忘れられないらしく、怯えているようだ。

 

 

「……プックル、アリアが怖がってる。君、彼女になにしたんだい?」

 

 

 ――っていうか、ビアンカもアリアから離れてよね……!

 

 

 アベルはアリアの傍にいる二人を警戒しながら話し掛けた。

 

 

「がう?(我なにもしてないお! な? アリア?)」

 

「っ……、う、うん……、大丈夫……(多分……)」

 

 

 アベルの問われたプックルがアリアの傍に寄り、彼女の手に頬を摺り寄せる。

 

 ……アリアは苦笑いを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……にしても、あのガスダンゴってやな敵ね」

 

「……確かに毒の息が困るな……」

 

「この洞窟、強い魔物が多いわ。村の周辺で見たことのない魔物がいたもの」

 

「……僕たちの方が多少強いけど、もう毒消し草もない。気を付けないとね」

 

 

 ……ざぶざぶ、と。

 

 

 アベル達は気を取り直してビアンカと話をしながら来た道を戻っていた。

 【どくのいき】を使う【ガスダンゴ】は今のアベル達にとって脅威である。

 

 今のところ魔力も潤沢なため苦戦することはないが、滝の洞窟には【ドロヌーバ】の上位種、グレーの身体の【マドルーパー】や、イノシシの顔をし、服を着た槍を持つ二足歩行の獣人【オーク】。

 

 死の火山に行く際に出遭ったことのある だらしない腹に舌とよだれを出しっぱなしにした ずんぐりむっくりな魔物【ベロゴン】に、【やけつくいき】なんていう身体の神経をマヒさせるブレスを吐き出す ヘビのような顔のコウモリの魔物【へびこうもり】。

 

 海上で出遭った、どちらかというと魚に近い見た目の青い半魚人の魔物【マーマン】……なども多く出現している。

 

 

 レベル上げを常に怠らないアベルからすればそこまで警戒せずとも良さそうだが、連続で【どく】や【まひ】を喰らってはレベルが多少優位であろうともアリアとビアンカの体力(HP)が低いからあまり関係ない気がした。

 

 幸い、アベルの記憶の中ではこの洞窟に死の火山にいたような指輪を守る魔物はいないから、【水のリング】が手に入ればすぐに脱出呪文(【リレミト】)するのも手だろう。

 

 

 ……みんな無事で洞窟を出たいものだ。

 

 

「そうね。アリアを守ってあげなきゃだし?」

 

 

 アベルの同意にビアンカが首を傾げてはにかむ。

 

 

「え……?」

 

 

 ――アリアを守るって……、ビアンカが……?

 

 

 いや、そうか……ビアンカはアリアのことを妹のように思っている節があるから当たり前っちゃ当たり前なのか……。

 

 

 ビアンカは自分の母親が生きていたことに恩を感じているのと、幼い頃見えなかった友達……アリアに対してかなり入れ込んでいるようだ。

 

 アベル(自分)のことが好きなはずなのに、何かと“アリア アリア”とアリアを気にしている。

 

 

 ……アベルはこの世界のビアンカはなにか違うなと思いながらも確かめられずに歩みを進めた。

 

 

「……あ。あの男……」

 

「……黙って通り過ぎよう」

 

 

 前方に先ほどアベルを“色男”と称えたマスク男がまだ周辺をうろうろしている。

 

 

 ビアンカがムッと眉を寄せるが、アベルは「まあまあ」と笑っておいた。

 

 ついでにこっそりアリアを窺ってみれば、ビアンカの後ろで彼女もぷくっと頬を膨らましている。

 

 

(アリアも怒ってる……。僕は気にしてないのに……カワイイ……リスみたいだ……その頬っぺたツンツンしたい……。)

 

 

 つい目を細めてしまうが、よそ見して水の中で転ぶのはまずい。

 アベルは前方に目線を戻し、マスク男に話し掛けることなくすれ違い、ざぶざぶ。

 

 

 ざぶざぶ、

 ざぶざぶ。

 

 

 ……とにかくマスク男から離れ、先へ進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼しちゃうわね! さっきの男、私のお尻触ったのよっ」

 

 

 ……しばらく黙々と歩いてマスク男が見えなくなった頃、突然後ろからビアンカの憤慨する声が聞こえる。

 

 

「えっ!? なんだって!?(お、お尻を!?)」

 

 

 ビアンカが腕組みをしながらプンスカ。眉を顰めて怒鳴るとアベルは驚きに目を見開いた。

 

 

 ――ビアンカのお尻を触っただって!?

 

 

 ビアンカは友達だが、友達の尻を触るのは許せない。

 ……アベルの眉が釣り上がる。

 

 

「あんな人に指輪を見つけられてたまるもんですかっ! さあ 先を急ぎましょっ!」

 

 

 プリプリと怒るビアンカは怒りに任せて足元の水を乱暴に叩き付けるように先を歩いて行ってしまう。

 

 

「……ん? あれ? アリアなんでまだあんなところに……?」

 

「え?」

 

 

 アベルとビアンカが背後を見ると、アリアとプックルがずいぶんと離れた場所で少しずつこちらに向かって来ていた。

 

 ……いったいどうしたというのか。

 

 

「……ビアンカ、岩場の陰に隠れていれば魔物にみつからないと思うから、ちょっとそこで待ってて。アリアを呼んで来る」

 

「……わかったわ。すぐ戻って来てね」

 

「ああ」

 

 

 アベルはビアンカに岩場の陰へ身を隠すように告げて、なぜか歩みの遅いアリアを迎えに行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……アリアっ! どうしたんだい?」

 

「あっ、アベルごめんね。すぐ行くから……」

 

 

 アベルが駆け寄りながら話し掛けると、アリアは気まずそうに手を振っている。

 アリアもアベルの方へ向かって歩いてはいるが、歩き辛そうに少しずつしか進んでいなかった。

 

 

「……? なんでそんな歩きにくそうなんだい……? まさか怪我でもした!?」

 

「あっ、違っ、えっと……、これは……その……」

 

 

 アベルがアリアの目の前に辿り着くと、彼女はモジモジと脚を擦り合わせる。

 彼女の目が自らの下半身に注がれ、頬が心なしか赤いような……。

 

 

「……ん? なに……? …………、…………え」

 

 

 アリアの態度にアベルも彼女の視線の先を追う……

 

 

 

 

 ……そして、アベルは気付いてしまった。

 

 

 

 

 アリアのスカートの中から、片方だけ薄桃色のヒモが二本垂れていることに……。

 

 

 

 

(そのヒモ……僕、存じ上げているんですが……!?)

 

 

 

 

 ――って、なにソレっ、どういうことぉっ!?!?

 

 

 

 

 アベルの目玉が一瞬飛び出てしまう。

 気付けばアベルはアリアの肩を掴んで、食い入るように彼女を見下ろしていた。

 

 

「……あっ、さ、さっきの人……、前にいたビアンカちゃんのお尻を触って 私 びっくりして固まってたら、今度は私のぱんつのヒモ引っ張ったの……。歩き辛くて……。あっ、結び直そうと思ったんだけどアベルとビアンカちゃん歩くの早くて置いて行かれそうだったから……」

 

 

 アベルの視線に理由を訊きたいのだと察したアリアは理由(わけ)を話す。

 

 

「なっ……!? …………プックル、ビアンカがこの先で隠れてるから先に行って待ってて」

 

「がう!(まかせろ!)」

 

 

 アリアの説明に理解したアベルはすぐさまプックルをビアンカの元に送った。

 

 




アベルが恨みを買ったため、ビアンカもアリアもセクハラされてしまいました。

ビアンカのお尻触ったとかマジ許せない。
私が触りたい。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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