ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ビアンカとプックルは……。

では、本編どぞ。



第五百五十六話 ビアンカとプックル

 

「え? アリアが? 私行くわよ?」

 

「独りで大丈夫かい? 一緒に行こうか?」

 

 

 滝の音がする出入口へ向かおうとするアリアにビアンカとアベルが問うも、彼女(アリア)は首を左右にフリフリ。

 

 

「プックルと行くから平気。プックル、付き合ってくれるよね……?」

 

「……ガルルル(我 濡れるの嫌い)」

 

 

 アリアが訊ねると、プックルは嫌なのか鼻筋に皺を寄せ唸った。

 

 

 ――滝とかいう水は上から降って来るから自慢のたてがみもおヒゲも濡れるお。

 

 

 ……プックルは水に濡れるのが嫌いだ。

 

 先ほど浅瀬での足先だけならまだしも、たてがみと髭に水が触れるのも嫌だし、身体が濡れるのも基本大嫌いなのだ(温泉は別だけど)。

 

 特にこの洞窟の水は冷たく身体を冷やすから余計である。

 

 

「プックル……(なんで嫌がるの……?)」

 

「あら、プックルったら嫌なの? 働かざる者食うべからずよ?」

 

 

 アリアが残念そうに眉を下げる後ろで、ビアンカは腕組みしてジトッと目を細めた。

 

 

「……プックル嫌がってるみたいだね。アリア、僕が一緒に行くよ」

 

「ううん、滝の音が近いしすぐ済むよ。私一人で行って来るから大丈夫。アベルはビアンカちゃんのお手伝いしてあげて?」

 

 

 アベルはアリアの手に持つバケツを奪おうとするが、彼女(アリア)はやっぱり首を左右に振って拒否する。

 

 ビアンカに気を遣っているのがアベルには解ってしまった。

 

 

(アリアはなんでビアンカに遠慮しているんだ……?)

 

 

 そんな気遣い必要ないのに……とアベルは思うが、無理やりアリアについて行っては駄目だろうか。

 

 

 ――二人の関係を怪しまれる……? いやむしろもうばれていいでしょ……。

 

 

 ……アリアを独りにさせたくない。

 

 

 けど、アリアはばれたくないんだもんな……と、彼女を尊重するのがいいのか、自分の我を押し通すのがいいのか……アベルは逡巡する。

 

 

 ……そんな時、ビアンカがアリアの肩に手を置いた。

 

 

「アリア」

 

「ん?」

 

「外は魔物が出るわ。アベルと行った方がいいわよ。あなた体力が低いんだから独りで魔物に遭遇したら大変よ? あのガスダンゴとかいう魔物なんて毒の息吐いてくるし気を付けなきゃ」

 

「ぁ、うん……そうだね。ごめんなさい……(せっかくアベルと二人きりにしてあげられると思ったのに……)」

 

 

 ビアンカに(たしな)められ、アリアは縮こまるように頭を下げる。

 何か悪いことでもして叱られた子どものようだ。

 

 

「……え? なんで謝るの……?」

 

 

 ビアンカは目をぱちぱちと大きく瞬かせていた。

 

 

 ――私、何か悪いこと言ったかな……? アリア泣いちゃいそうだわ……。

 

 

 アリアが申し訳なさそうに頭を下げるので、ビアンカの胸がズキズキと痛む。

 

 ……大好きな友達――しかも、妹のような可愛い存在のアリアを悲しませてしまったかもしれないと思うと不安に駆られた。

 

 

「…………、アリア行こう。早く行って戻って来よう」

 

「あっ、アベルっ……!」

 

 

 アベルはビアンカに頭を下げ続けるアリアの手を強引に引き、滝の音がする方へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さあ、プックル、お手伝いしてもらおうかしら?」

 

「がう……」

 

 

 アベルとアリアがフロアから出て行くと、腕組みしたままのビアンカに横目でチラ見されたプックルは頭を低くし返事をする。

 

 

 ――ビアンカよ、我に期待はするな、我は布団代わりくらいにしかなれんぞ……!

 

 

 つまり、今はまだ時期が悪い“夜は任せろ……!”なのである。

 夜眠る時には温かい毛で包み込んでやろうという意味だ。

 

 ……アリアには強気なプックルだったが、ビアンカの前では借りてきた猫のように大人しい。

 

 命の恩人だから当然かもしれないが、プックルはビアンカがかなり好きなのだ(ちなみにアリアも食べたいほどに大好きだ)。

 

 身分で例えていえば、ビアンカは女王で、アリアは姫みたいなものだ。

 ビアンカには敬意を払い服従を、アリアは大事に愛でる。

 

 

(……何なりと申すがよい。ビアンカの言うことなら聞いてやらんでもない。)

 

 

 プックルがビアンカの前でしおらしくお座りをすると、ビアンカは「薪の補充をお願いね」とアベルが置いて行った薪を指差していた。

 

 プックルは“うんうん”と首を二度縦に下ろす。

 それくらいならやってやっても良いだろう……とのこと。

 

 

「ふふっ……プックルを見てるとゲレゲレを思い出すわね~」

 

「がうぅ?(ゲレゲレ……だ、と?)」

 

 

 ビアンカが野菜を手に食事の準備を始めると、プックルは薪を口に咥えながら首を傾げる。

 

 はて、【ゲレゲレ】とはいったい何のことなのか……。

 

 

 それがわかるのはもう少し先の話になる――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……一方で、水を汲みにやって来たアベルとアリアはというと。

 

 

「……わぁ……、滝の内側に出ちゃった……すごい……」

 

 

 キャンプ地を出たアベルとアリアの目の前には、フロアを出る前に聞こえていた水音の通り、滝が近くで流れていた。

 

 階層からいって恐らく先ほどの絶景スポットの下に当たる場所なのだろう。

 ……だが、出た先は滝の内側。

 

 滝の内側に当たるからか、絶景スポットの時よりも滝の流れが近い。

 流れの一部が通路に漏れており、水飛沫も跳ねて通路を濡らしている。

 

 ……プックルは来なくて正解だったかもしれない。

 

 間近に迫る瀑布にアリアの瞳は輝き、彼女は水を汲むのも忘れて初めて見る光景に目を奪われていた。

 

 アベルからすれば何度も見た光景だ。

 これに対して感動といった、感慨深いものは特に何もない。

 

 ただアリアの反応が新鮮で癒され、アベルの顔は自然と綻ぶ。

 

 

(あんなに瞳をキラキラさせて……可愛いなぁ……。)

 

 

 アベルが見守る中、アリアは時折飛んでくる水飛沫を浴びながらも自然美に目を奪われ立ち尽くしていた。

 

 

「……アリア。ここに来たついでに もうちょっと奥まで行ってみないかい?」

 

「え?」

 

 

 アベルはアリアの気が済むまで滝の風景を見せてやりたかったが、ビアンカが水を必要としているためここに長居するわけには行かない。

 

 だが、ここまで来たのだ、ついでに探索もしておきい。

 

 

 ……アリアに奥へ行ってみようと誘った。

 

 

「この先に何かある気がするんだ」

 

「あっ、水のリングかな?」

 

「どうかな……、けど魔物が出てもアリアは僕が守るから安心して」

 

「アベル……。わかった、行ってみよ?」

 

 

 アベルの提案にアリアは快諾。

 バケツをその辺に置いて、アベルはアリアと手を繋ぎ歩き出す。

 

 

「……ねえ、アベル……」

 

「んー? なに? よく聞こえない、何か言った?」

 

 

 アリアに声を掛けられ、アベルが振り向くが、滝の音が大きくてよく聞き取れない。

 ……アベルはアリアに顔を近付け耳を彼女の口元に向ける。

 

 

「……ビアンカちゃんと一緒じゃなくて良かったの……?」

 

「…………、…………ごめんアリア! よく聞こえないから今晩話そっ!」

 

 

 よく聞こえなかったのだろう、アリアが話し終えた後でアベルは直ぐに離れてしまった。

 

 彼は大きな声で告げて、笑顔を見せる。

 その笑顔がちょっぴり引き攣っていたような気もするが、気のせいだろう。

 

 

「……ぁ、うん。……わかったぁ!」

 

 

 ――あんなに近くで言ったのに聞こえなかったの……?

 

 

 聞こえなかったのならしょうがない。

 アリアはアベルに大きな声で返事をしておいた。

 

 




ビアンカとプックルは仲良しです。
フニャーゴロゴロゴロ。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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