ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

少しずつ、少しずつ、攻略していきます。

では、本編どうぞっ。



第五十五話 鍵の技法

 

 落とし穴先のフロアから上がって来ると、先程二股に分かれたフロアに戻って来ていた。

 

 

「ここ、さっき歩いていた所だね。……そっか、ここに出て来るんだ」

 

 

 アリアは状況を把握するように辺りを見回し、「さっきは右に行ったから……」とぶつぶつ云っている。

 

 

「じゃあ、今度は左に行ってみようか」

 

 

 アベルの声にベラとアリアは頷く。

 

 

「ここって暗いしジメジメしてるし、魔物は多いしイヤな感じっ! 村を追い出されたおじさんはこんな所で生活せざるを得なかったのよね。可哀想……」

 

 

 少し歩くとベラが呟いた。

 

 

「そうだね……。スライムが居たとはいえ……大変だったでしょうね……」

 

 

 スライムが居たからどうなのかはわからないが、アリアも同情したのか瞳を伏せている。

 

 

「ポワン様に言って、村に戻れるようにしてあげられないのかな……」

 

「え……、あっ、アベル、それいいかもっ! ね、ベラちゃんどうかな?」

 

「ええ! いい案ねっ。春風のフルートを取り戻したら訊いてみましょう!」

 

 

 おじさんもきっと喜ぶわ。とベラが目を細めると、アリアもほっとした顔をしたのだった。

 

 そんな会話をしながら歩いて行くと、左に通路が分岐しているのを見つけて、そちらへと向かった。

 その先には下り階段があり、三人は下りて行く。

 

 階段を下りた先は広いフロアで魔物も多く、何度となく襲われながらも奥へと進んで行った。

 

 

 

 

 

 

 地下三階フロアの奥の方で、また下り階段を見つけ三人は下りて行く。

 

 階段を下りてすぐ傍に鍵の掛かった扉があり、三人は開くかどうか試したが開かなかった。

 

 

「開かないね……(針金があればワンチャンいけそう感……)」

 

 

 アリアは扉の鍵穴を覗き込み、したことはないがピッキングのイメージを膨らませ、手指を動かす。

 脳内では解錠が進んでいるようだ。

 

 

「アリア何してるの? ……ここは鍵の技法を身に付けてからかしらね」

 

「そうだね、向こうにも通路があるから行ってみようか。アリア、行くよ」

 

「あ、はーい」

 

 

 ベラとアベルに促され、アリアは二人について行く。

 アベルは先頭に立ち、注意深く辺りの様子を窺いながら歩みを進めて行った。

 

 

 すると、ベラが眉を顰めて話しだす。

 

 

「洞窟に潜るのは初めてだったけど、私もうゲンナリ……。今だって息が詰まりそう。アベルはよく平気ね。感心しちゃうわ」

 

 

 アリアもそう思うでしょ? とベラはアリアに同意を求めて来るのだが……、

 

 

「ん? んー……私は結構楽しいよ?」

 

 

 アリアは楽しそうに微笑んだのだった。

 

 

「あら、さっき私に抱きついて来たくせに?」

 

「……あはは、そりゃ突然の白骨には驚くでしょ。けど洞窟には慣れて来たかな~。呪文使えるし、アベル強くて頼りになるしっ! ねっ?」

 

「え? あ、えへへ……」

 

 

 突然アリアに褒められ、アベルは照れて後ろ頭を掻く。

 ベラも「確かにアベルは頼りになるわね」と頷いていた。

 

 

 そっか、僕、頼りになってるんだ……。

 何か嬉しいかも。

 

 

 もっと頼られるようになりたいな……と、アベルは女の子二人を護ってやるんだと決意したのだった。

 

 

 そして、その先へと歩いて行くと狭いフロアに行き当たる。

 行き止まりだが、フロア中央奥に宝箱が置いてあった。

 

 

「……あ、宝箱……。ね、あれって……ひょっとして……?」

 

 

 アリアがそれに気付き、宝箱を指差す。

 

 

「もしかして鍵の技法!?」

 

「…………うん!」

 

 

 少々ゲンナリ顔だったベラの表情に活気が戻り、アベルは頷いて宝箱に駆け寄った。

 そして、アベルが宝箱を開けると、そこには鍵の技法の書が入っていたのだった。

 アベルはそれを取り出し、目の前に掲げ、広げる。

 

 すると、

 

 

「あっ……!」

 

 

 誰ともなく、声を発していた。

 

 鍵の技法の書から光り輝く不思議なオーラが漂うと、アベルの身体を包み込んで、体内に消えていく。

 すぅ、と不思議なオーラが収まると、

 

 

「…………僕、鍵の技法を覚えたみたい……」

 

 

 アベルがそう呟くと、広げた書物が崩れ去っていった。

 

 

「あ、崩れ……」

 

 

 アベルは書物を持っていた両手の平を見下ろす。

 

 今なら簡単な鍵なら開けられるような気がしたのだった。

 

 

「これで、氷の館に入れるわね!」

 

 

 ベラがやったわね! と晴れやかに笑う。

 

 

「本当!? 良かった。さすがアベルね! 私も覚えられたら良かったなぁ」

 

 

 アリアは崩れていく書物の欠片を残念そうに見下ろしていた。

 

 

「え、あっ、ご、ごめん……」

 

「ううん、いいのいいの。ヘアピンで練習すればピッキングくらい出来るかもだし」

 

「え? ピッキングって……?」

 

「ふふっ、細い針金とかで鍵を開ける技法だよ。ちょちょチョイってすると、カチャンってね!」

 

 

 アリアは針金を操作するように南京錠を開けるような仕草をする。

 

 

「ひょっとして、アリアは鍵の技法が使えるの……?」

 

「ううん。今はダメだけど、練習したらいけるかなーって」

 

「……そ、そうなんだ……? …………、……フフッ」

 

 

 また(・・)アリアが面白いこと云い出したな。とアベルは吹き出す。

 

 

 こんなまた(・・)なら大歓迎だ。

 

 

「……そういえば、この世界にアバカムはあるの?」

 

 

 表情を緩めたアベルに、不意をついてアリアが訊ねる。

 

 

「アバカム? 何? 呪文?」

 

「そうそう、どんな扉も開けちゃう呪文」

 

「そんなの聞いたことないわよ……? 天界で使ってるものなのかしら……?」

 

 

 アリアの説明にアベルとベラは首を左右に振る。

 

 

「そっか……。無いのか……、便利なんだけどな……」

 

 

 ドラクエⅢの呪文と形態が違うのかな……。

 まあ、Ⅲでも覚えるの遅いし、使い勝手は良くないかもね……。

 

 

 アリアはプレイ済みのドラクエⅢを思い出していた。

 

 

「鍵の技法も手に入ったことだし、さっき開かなかった扉を開けてみましょうか」

 

「あ、いいねそれ。アベルお願い」

 

「うん! 任せて!」

 

 

 三人は階段傍の扉まで戻るのだった。

 




鍵の技法ゲットだぜ!
ふぅ……。やっとここまで来ました。

次から氷の館へとやっと行きます。
はよ、攻略したいなっ。

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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!

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