ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

どきがムネムネしちゃう。

では、本編。



第五百六十五話 ドキがムネムネ

 

「いやっ! それは変わる未来だよ!」

 

 

 アベルは顔を上げ反論する。

 

 

 ――未来は変えられるものだよ、アリア……!

 

 

 変わった未来だっていくつかあるじゃないか。

 中々変わらなくてイライラもすることもあるが、変わっていることだって確実にあるのだ。

 

 

「え……? あっ、なに……?」

 

「……脚、痛かったから僕の太ももに乗っけていいよ」

 

「な」

 

 

 アベルは自分に背を向けて座っていたアリアの身体の向きを変え、互いが向かい合うように座らせる。

 

 三角座りの要領で座ったアリアの(もも)を持ち上げ、アベルの両太ももをそれぞれ膝下に通すようにして、向かい合わせで座らされた彼女は顔を真っ赤にしていた。

 

 

「っ、やだ、これ恥ずかしい……、なんで急に……(み、密着度が半端ないんですけど……!?)」

 

「アリアの顔が見たいから」

 

 

 下着を付けているとはいえ、突然M字開脚させられたアリアは戸惑いの声を上げる。

 ……アベルはアリアの背に腕を回し、優しくそっと抱きしめた。

 

 

「……っ、でもっ、アベルの胸がっ……」

 

 

 ――ああん、やだぁっ! アベルの胸がパンパンっ……! 腹筋がっ……いやぁああああんんっっ♡♡

 

 

 アベルの逞しい肉体にアリアは両手で顔を覆うが、指の間はしっかり開いている。

 

 戸惑いながらもアリアの瞳は見開かれ、アベルの胸板と腹を凝視していた。

 アベルからは俯いているように見えるため、気付かれていないだろう。

 

 

(すごい……、こんな間近で見るの初めて……。死の火山の洞窟の時は服を着ていたもの……アベルってこんななの……?)

 

 

 アリアはそーっとアベルを見上げてみる。

 

 ……当然アベルと目が合った。

 自身と視線が絡んだ彼は嬉しそうに顔を綻ばせているではないか。

 

 爽やかな笑顔が今日も格好良く眩しい……。

 

 

 ……これまでアベルの裸を見たことは何度かあったが、薄暗い中だったり、遠目だったりと、こんな間近ではっきり見たことはない。

 

 背に回された腕や、触れている太ももから伝わる熱が異様に熱く感じる。

 感触も服越しや背中越しでは知っていたが、こんなに熱いとは――。

 

 

 ――アベル色気がすごっ……! ああっダメぇっっ♡♡

 

 

 アリアは再び顔を俯かせるが、俯いたら俯いたで厚い胸板と腹筋がアリアを出迎え魅了した。

 

 

(はうあっ!?!?)

 

 

 ――ダメよアリア、興奮しちゃダメ! 落ち着いて……!!

 

 

 アベルの筋肉美にアリアは慌てて顔を背ける。

 

 

 “ゲームの主人公、魅力半端ないな……!”

 

 

 と、アリアのドキがムネムネ。

 いや、胸がどっきんどっきん。

 

 鼻の奥がツンとした(……鼻血の予感である)。

 

 

 ……アリアもアベルに負けず劣らず変態なのだ。

 

 

 

 

「……アリアが知っていたなら話が早い。アリア、僕と未来を変えようよ。僕はアリアだけを愛してる」

 

 

 アリアがどぎまぎしている間にアベルは抱きしめていた腕を解いてアリアの両手を包み込み、真摯に告げる。

 

 

「アベル……」

 

 

 ――アベルが眩しいよぉっ……♡♡ って、未来を変える……?

 

 

 アベルの真っ直ぐな眼差しにアリアは射抜かれたように ぼぅっと彼の瞳を見つめた。

 

 

「君が時々悲しそうにしていた原因はそれだったんだね?」

 

「…………うん。別れが決まってるから……、悲しかったの……」

 

 

 目を逸らすことなくアリアが答えると、アベルもまた、話を続ける。

 

 

「そうだったんだね……気が付かなくてごめんね。僕は絶対アリアを離さない。君としか結婚しない。世界の理なんか無視して君と一緒になる。だから……」

 

 

 ――だからアリア、今度こそ“はい”って言って……。

 

 

 ……僕には君だけなんだよ。

 

 

 例え【世界の理】が邪魔しようとも抗ってみせる……、そう話すアベルの声をアリアは瞬きをするのも忘れて聞き入っていた。

 

 そんな、目の前で惚けている彼女をアベルはどうにか口説き落とそうと見つめ続ける。

 

 

 ……ところがアベルの思惑通りにはいかず、アリアの長い睫毛がゆっくりと上下した。

 

 

「…………でも、そんなことできるの?」

 

「できるかどうかなんて重要じゃない。するんだよ。僕は君と結婚してみせる」

 

 

 ……アリアは信じられないのか、アベルの視線を受け止めじっと見返してくる。

 彼女の瞳には“信じたいけど信じられない……”、そんな不安の色が潜んでいた。

 

 

 ――信じられないのも無理はないか……、アリア、僕は必ずやり遂げてみせるよ。

 

 

 やはりこれまでのことがあるからか、すぐに信じてもらえないのはわかっている。

 

 アベルは包んでいたアリアの両手を今度は指を絡めて繋ぐ。

 ……真正面で繋いだ手を引き寄せ、アリアの身体がアベルの方へと寄り掛かった。

 

 

「…………ぁ、私も、アベルと結婚できたら嬉しいよ?」

 

 

 アリアの声がアベルの胸元をくすぐる。

 

 

「アリア……」

 

 

 ――アリアも僕と結婚したいと思ってくれている……、それなら……。

 

 

 はっきりした返事ではなかったが、これで充分だ。アベルはアリアを抱き寄せるように鼻先を彼女の首元に埋めた。

 

 乾きかけの濡れた髪はまだ冷たかったが、目に入ったアリアの耳は燃えるように赤い。

 

 

 ……やっと受け入れてもらえたと思い、アベルの心が満たされていく。

 

 アリアに何度求婚したかわからない。

 漸く理解し、受け入れてくれたことに安堵し……、否。

 

 

「……でも、ごめんね。私期待はしないでおくね」

 

「え」

 

「……裏切られるのはイヤなの……、だからアベルを信じてるけど……もし叶わない時は私、あなたの元を去るから許してね」

 

 

 ……漸く理解し受け入れてくれたと思ったが、どうやら違ったらしい。

 アベルが顔を上げると、アリアは眉を下げ微苦笑していた。

 

 

「アリアっ! そんな……!」

 

 

 ついさっきまで喜びに満ちたアベルの顔が、絶望したように青褪める。

 

 

 

 

「……アベル、そんな顔しないで。あなたは誰を選んでもきっと幸せになれるよ。だから無理しなくていいの」

 

 

 

 

 血の気の無いアベルの顔を前に、アリアは繋がれた手を解き、彼の頬をそっと包み込んだ。

 

 

「なんで……そんなこと言うんだよ……もっと僕を信じて頼ってよ……!」

 

 

 ――なんで……! 僕がこんなに君を選ぶって言ってるのに……! どうしてアリアは信じてくれないんだ……!?

 

 

 不覚にも目の奥が痛み、涙が滲んでしまう。

 

 この(ひと)には なにを言っても通じない……、言葉だけではアリアの理解は得られないのだとアベルは気付いてしまった。

 

 

 ……結婚を意識して貰えたと思ったら、期待はしていない……と。

 

 彼女が信じてくれれば自分はなんだってやってみせるのに。

 なぜこんなにも頑ななのか……。

 

 

 彼女に信じてもらえていない腹立たしさもあるが、それでもアベルはアリアしか考えられない。

 

 

 どうしても、アリアが欲しい。

 ずっと、一緒に歩んで行きたい。

 

 そうすることが……この世界を生きている理由な気がするから。

 

 

(アリアが……悲しまないように……。)

 

 

 ……アベルは眉を寄せ涙が零れないよう堪える。

 

 そんなアベルを見たアリアは穏やかに目を細めていた。

 

 

 

 

「あなたが好きだからだよ」

 

 

 

 

 アリアの親指がアベルの目蓋をそっと押えると、彼女の指に涙が付着する。

 天使のような優しい笑みがアベルを見上げていた。

 

 

「え」

 

「……アベルが幸せなら、私はそれでいい。私も幸せなんだよ」

 

「アリア……」

 

 

 時の流れは規定事項……、アベルもアリアも恐れているのは同じ。

 

 アリアが期待しないと言うのは【世界の理】=【原作の意志】が働き、二人を引き裂くかもしれないことを懸念しているためだ。

 

 ……傷付かないための予防線を張ったということなのだろう。

 

 

 アベルは無理をするな、という彼女の言葉に賛同はできないが、アリアの愛だけは確かに感じることができた。

 

 

 ――そんなに僕を想ってくれる女のためなら無理くらいいくらでもするわ……!! 僕を見くびってもらっちゃ困る!

 

 

 アベルは頬に添えられた彼女の手を再び握って下ろさせる。

 

 

 ……アリアはそれ以上なにも言わず、アベルもなにも言えず二人は見つめ合っていた。

 




アリアがアベルにときめく回でしたっ。
とにかくイチャイチャしたい。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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