ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

アリア、なんか思い出したらしい。

では、本編どぞ。



第五百六十六話 記憶の断片①

 

 

 

 

 

 ……しばらく沈黙が続き、アベルが今になってアリアの身体を意識し始め顔を真っ赤に染めていく。

 

 アベルの(もも)に触れるアリアの(もも)

 密着した身体は焚き火を前にすっかり熱を帯び、アベルのアベルも熱を蓄え始めていた。

 

 

「…………っ」

 

 

 ――さっきまで話に夢中だったから どうにかなってたけど……、本当、どうにかなってしまいそうだ……。

 

 

 (たぎ)る熱を彼女に気付かれないよう、アベルはそっと腰を引いてみる。

 あと1センチでも近付いたらアリアの可憐なフリル付き布地に触れてしまいそうだ。

 

 まだそこにアベル(・・・)が触れたことは無い。

 

 

 触れたことがあるのはアベルの良く知る一組の五人家族だけ。

 

 この一家はアベルの極近く、左右に住んでいる。

 五人家族は実は二組いるのだが、この二組――。

 

 ……アリアを何度も()かせている悪い家族なのだ。

 

 お父さん、お母さん、お兄さん、お姉さん、赤ちゃん……の五人構成の二組の家族はアベルの命令で彼女にイタズラばかりする。

 

 アベルが「やさしく」「ソフトに」なんて細かい注文を出すものだから、それぞれの一家は毎度神経を尖らせながらアリアに触れ、彼女を啼かせアベルに笑顔をもたらしていた。

 

 

 ……アベルの身動ぎに、見つめ合っていたアリアが口を開く。

 

 

「……言うのが遅くなっちゃったけど、助けてくれてありがとうアベル」

 

「どっ、どういたしまして! アリアがピンチの時はいつでも助けるよっ」

 

 

 上目遣いで彼女に見られ、アベルの声は上擦った。

 

 

 ――よしっ、アリア気付いてない……!

 

 

 アリアがアベルの滾りに気付いている様子はないが、間近に迫る薄桃色の布に包まれた彼女の白い恥ずかしがり屋のスライム二匹はアベルを釘付けにする。

 

 ……熱い滾りが治まることはないだろう。

 このままでは いずれ気付かれてしまいそうだ……。

 

 

「私ね……冷たい水の中で少しだけ……過去のこと思い出したんだ」

 

 

 アベルがどうすれば治まるか、アリアの白いスライムから目を逸らそうと努力する中、彼女は告げる。

 アベルは目を逸らそうにもこんな機会は滅多にないため逸らせなかった。

 

 ……アリアの身体に意識が集中しているアベルとは違い、彼女は真面目な顔をしている。

 

 

「ほ、本当に!?」

 

 

 アリアの様子に煩悩に支配されてはいけないと、アベルは己を奮い立たせる。

 いや 下半身はしっかり奮い立っており出番待ちだが、まだその時ではない。

 

 

 ……アベルはアリアの記憶の話に耳を傾けた。

 

 

「うん……、私、昔小さい頃溺れたことがあったみたい。魔物達に囲まれて池の中に落っこちたの。そしたら背の高い男の人が拾い上げてくれた。どんくさいなって言われて、目は冷たかったけどその人、肩車して家まで送ってってくれたの」

 

「……どんな人だったの? 顔とか特徴は……」

 

 

 アベルと出会う前のアリアは、魔物に追い込まれたのだろうか、池に落ちたらしい。

 そこで男が助けてくれたという話らしいが、いったいどんな男なのか……。

 

 ……顔を憶えていないか、アベルは訊ねる。

 

 顔を憶えていれば いつかどこかで出会った時、アリアが記憶を取り戻す可能性が高い。

 

 

「えっと……ん~……銀色の髪の男の人……青い目で……って、あ……」

 

 

 アベルの質問に返答中、アリアは声を失った。

 

 

「う、ん?」

 

「……見はらしの塔で会った人……に似てたかも。でも……あの人は……前世の兄にそっくりで……」

 

 

 ――なんで……??

 

 

 話しながらアリアは頭を抱え、目を何度も瞬かせている。

 

 

「ん? 前世のお兄さん……?」

 

 

 ――アリアの前世のお兄さんが見はらしの塔で会った奴とそっくり……?

 

 

 アリアの前世は異世界だったはず……。

 

 

 どういうことなのだろう……と考える前にアベルは話の続きを聞くことにした。

 

 

「あっ、えと、アベルにまだ話してなかったね。見はらしの塔で会った男の人、あの人、前世の兄にそっくりだったの。私に助けて欲しいって、救いを求めて来たって言ってた」

 

「アリアに救いを求めて……?」

 

 

 ――う~ん……?

 

 

 アベルはわけがわからず首を捻ってしまう。

 

 

「うん……、助けろって言われても、実際なにをすればいいのかは教えてもらってないんだけどね」

 

「……それは妙だね……」

 

 

 アリアが頬を掻き掻き、困り顔ではにかむとアベルも眉を寄せ腕組みをした。

 つまり、敵ではない……と、そういうことなのだろうか。

 

 アベルが“う~ん”と唸る中、アリアは続ける。

 

 

「……実は、滝に落ちたのもその人のせいなんだよ……」

 

「なっ!?」

 

「……さっきはお母さんの姿で現れて、私を滝に引き摺り込んだの。私が全力で断ったからついカッとなったみたい。謝ってたな……」

 

「なんだそいつ……!! 毎回アリアを傷付けて……!!」

 

 

 アリアの話にアベルは激高、目付きを鋭く尖らせた。

 

 

「っ、……本当、誰なんだろうね……。私はっきり断ったんだけど、あの人今度はアベルのところに来るかもしれないの」

 

「ぁっ、え、僕のところに?」

 

 

 アベルの鋭い眼差しにアリアは息を呑んだが、“アベルにはアベルの旅の目的があるのだから、迷惑を掛けるわけにはいかない……”と、目を逸らして一番伝えたかったことを彼に伝える。

 

 アリアの僅かな怯えにアベルも気が付きすぐに目元を緩めた。

 

 

「……アベルが私の弱点だから……。でもその人が現れたらアベルも断ってね。ああいう人と関わるとろくなことが無いから。あの人すっごく高圧的なんだよ。こっちの話聞いてないし、一方的で感じ悪いんだからっ」

 

「……アリアのところに現れないなら……僕は安心かな。アリアを傷付けた分軽くぶん殴ってやりたいところだけど、助けが必要で困っているなら話くらい僕が聞くよ」

 

 

 アベルはアリアの弱点……、それを聞いたアベルの顔がくしゃりと綻んだ。

 

 

 ――アリアって本当、僕のこと大好きなんだね……! いいよ、僕がアリアの代わりにそいつを引き受けてあげるよ……!

 

 

 ……アリアのためならなんだってしてあげたい。

 

 

 そんなアベルはアリアがもう、その人物と関わらないで済むのなら喜んで自分が代わると目を細める。

 

 

「そう……?(アベルってやっぱり優しい……)」

 

 

 ――得体の知れない人物なのに……、やっぱりアベルはどこまでも主人公なんだなぁ……。

 

 

 アベルの優しい微笑みにアリアはじっと見入ってしまう。

 

 顔も良くて身体も好くて、性格もいいとか……私の彼氏最高過ぎないっ? などと頬を赤らめた。

 

 

「うん、アリアが傷付けられなくて済むから。そういえば、アリアの腕から血が出てたよ。そいつが引っ掻いたせいだったんだな」

 

「……あの人、爪が長いのよね……。爪くらい切ればいいのに」

 

「プッ……! 爪を切れって? ……あははっ!」

 

 

 口を尖らせ告げるアリアの一言にアベルは思わず吹き出す。

 そんなところ今気にするところではないはず……相変わらずアリアは面白いことを言うなとアベルは声を出して笑った。

 

 

「アベルはいつも短くしてるよね?」

 

「え? あ、う、うん……そりゃあ……ねえ……」

 

 

 ――アリアに触るから……傷を付けないように……ね。

 

 

 アリアがアベルの手を取り指先を見つめると、アベルの爪は全て短く揃えられていた。

 

 ……アリアの掴んだ手をそっと放して、アベルは頭の後ろを掻く。

 

 

 彼女には言っていないが、男としての配慮である。

 

 アリアに触れる時、爪で彼女の肌に傷が付いたら申し訳ないではないか。

 少しでも痛くないように……と、アベルは人知れずこまめに手入れをしているのだ。

 

 

「……ん?」

 

 

 アリアはなぜアベルが照れているのかわからず、不思議顔……。

 

 

「っ、と、とにかく、アリアの記憶が少しでも思い出せたようで良かった。またなにか思い出したら教えてね。それに、あの男……、いや女……?」

 

 

 アベルはアリアの両肩にポンと手を置き、破顔した後で眉を寄せる。

 

 

 ――謎の人物は男だと思ってたけど……女なのかもしれない……。

 

 

 アリアから自分に標的が移ったとはいえ、謎の人物は謎のまま。

 いつかまた会うことになるのだろう。

 

 

 ……初めての出来事にアベルはアリアの手前言わなかったが、少しだけワクワクしていた。

 




ほんの少しだけ、思い出したヨ!

ちなみに記憶の断片②は次回ではなく、またいつか……!

ソフトなえちを入れつつ、次回もそんな感じ。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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