あれ? いつの間に?
では、本編どぞ~。
「あ、ふふっ、どっちなんだろうね? 今のところ男性の姿で二回、女性の姿が一回だから、男性ってことにしておく?」
「そうだね。その男がアリアに助けを求めてるだけで、アリアを口説こうとしているわけじゃないって わかっただけでもよかった」
――本当、良かった……!
アリアの提案にアベルは快諾する。
「ん?」
「アリアを取られたくないからね」
「っ、もぉ……そこ?」
アベルの真っ直ぐな瞳に射抜かれ、アリアはぼっと燃えるような熱い頬に手を当て上目遣いでアベルを見つめた。
「フフッ、そうだよ。僕のアリアだからね」
「アベル……、も……あんまりそんなこと言わないで……恥ずかしいよ……」
アベルが柔和な顔で優しく告げるものだから、アリアは頬に当てていた手を徐々に移動させ顔を隠し俯いてしまう。
「……アリア。サラボナに戻ってもずっと一緒にいようね。僕から離れちゃ駄目だよ? ……というか、離すつもりはないからね」
「っ……」
頭上に降るアベルの声はいつにも増して優しい。
そして、ちゅっ、という唇の音に、アリアは固まった。
……アベルはアリアの額傍に口付けをしていたのだ。
“顔を上げて”ということなのか……。
――もっ、もぉっ……! なんでキスするのっ……!
アリアは恐る恐る顔を上げる。
「僕は君を悲しませたりしない。……こうなったらビアンカにも正直に話した方がいいと思うんだけど」
「でもそれは……」
アベルが微笑しながらアリアを窺うが、それを聞いたアリアは目を伏せた。
――ビアンカちゃんはアベルが好きなんだよ……?
いまさらアベルと自分は恋人同士だ……などと言えばビアンカが傷付くではないか。
それに、サラボナに戻れば
もし運良くアベルと自分が結婚できたとしても、やはりビアンカを傷付けてしまう。
アリアは大好きなビアンカに傷ついて欲しくない。
そして……フローラにも。
……そうなるとやはり自分が身を引くのが一番いい気がするのだが……。
アリアがそう考えていると、さっきまでの微笑はどこへらやら、アベルは真剣な眼差しで口を開いた。
「アリア。……こんなこと言うのもなんだけど……ビアンカの気持ちは……なんとなくわかってる。けど……こればっかりはしょうがないよ」
人生の選択で、誰か一人を選ばなければならないのなら、他に候補がいてもそれを断ち切るしかない。
三人とも花嫁に出来ればいいのに……なんて発想は、別世界の
……アベルはアリアに、時には誰かを傷付けることも仕方のないことだと諭す。
「……うん……。じゃあ、せめて水のリングを手に入れるまで……」
「っ……アリア、それ当初の予定と変わってない……。君って……はぁ……。あのさ、君、僕の気持ち考えたことある……?」
アリアが頷いた癖に意見を曲げないため、アベルは眉を寄せため息を吐いてしまった。
つい、泣き言も漏れ出てしまう。
「っ、だって……、私は花嫁候補じゃないんだもの……」
アリアは両手の指先をいじいじと弄んでいた。
眉を曇らせ、申し訳なさそうにアベルを上目遣いで見上げてくる。
「……花嫁候補っていうか、もう僕たち婚約してたよね?」
アリアの幼気な姿に萌えつつ、アベルは首を傾げた。
「婚約……?」
「指輪してるじゃないか」
アベルはアリアの右手を掴むと、薬指に嵌った【いのりのゆびわ】を顎で指す。
「っ、だってこれ、アベルがくれるって言うからっ」
アリアは慌てて「使ってくれていいって言ったよね!?」と確認を取るのだが、
「……受け取ったんだから結婚するしかないと思わない?」
「そんな横暴な」
……ニコッとアベルは悪戯っ子のように破顔していた。
婚約指輪に相当する他の指輪をまだ見つけられていないため、苦し紛れではあるが、このままゴリ押しするつもりだ。
アリアが「だいぶ使っちゃってるから今さら返せないし……」なんて眉を顰める。
「僕のこと嫌い?」
「すき」
「っ……即答できるくらい好きなのに、諦めるつもりなの?」
「……諦めるのは慣れてるの……」
「っ!!」
アベルの質問にアリアが淡々と答えるので、アベルは堪らず彼女を抱きしめた。
“ぎゅうぅぅぅっ!”
アリアの身体が密着し、肌と肌が直接触れ合う。
……アリアの体温はずいぶんと戻ってはきたが、アベルの体温よりは低めだ。
「っ、アリアぁっ! 僕を諦めないでよ! 僕も諦めないからさっ!」
――君のそういうところ……! 僕が直してやるからね……!
……って、あ、やば。
思わず抱きしめてしまった……と、気付いた途端、アベルの体温は急上昇した。
アリアの肉感がいつもより生々しく感じられる。
……それはそうだ、自分は上半身裸でアリアは下着のみなのだから。
「……諦めなくてもいいの……?」
抱きしめたら恥ずかしがるかと思ったが、アリアはアベルの腕の中で小さく声を発していた。
彼女は特に抵抗することなく、大人しく抱きしめられている。
「い、いいって言ってるよっ? アリアは僕が欲しいんでしょっ?」
「っ……なに、僕が欲しいってその言い方……なんだかえっち……」
「なっ、エッチって……」
――そうですよ! スケベで悪かったね……!
アベルが声を上擦らせ言の葉を紡ぐと、アリアが顔を上げた。
……アリアのアメシストに映るアベルの顔は赤かった。
「……アベル」
「ん?」
「……あの……当たってるんだけど……」
「え」
アリアの顔も真っ赤に染まり、彼女は目線を下へと移動させる。
アベルもそれに倣って抱きしめていた腕と脚を少し緩めて見下ろした。
……
「……ぁっ、ゃだ、動いちゃダメ、こすれちゃ……っ」
アリアはアベルの微動に口を両手で押さえ恥じらうように目をぎゅっと閉じる。
彼女の普段は白い頬も耳も首も……今は色鮮やかに紅く色付いていた。
焚き火の炎に照らされ、互いにはっきりとした輪郭を目の当たりにすると、妙な気分になってくる。
「ぁっ……、アリアっ……」
――あぁっ……! アリアの……っ!
布越しではあるが、アベルの滾りがアリアの薄桃色のフリルのカーテンに触れているではないか。
いつかそのカーテンを開けるとはいえ、布越しなのになんという柔らかい感触。
アベルの興奮は一気に爆上がりする。
……酷く切ないような瞳でアベルはアリアを見つめた。
「ぁ、ぁべる……」
自分を求めるような熱のこもるアベルの瞳に、アリアはこくりと唾を飲み込む。
それから二人は黙り込み なにも言わなかった。
……代わりにちゅ、ちゅっ……という水音が誰もいないフロアに響く。
時折アリアから小さく
うーん……カーテンて表現、ふんどしみたいでウケル~( ´艸`)www
笑ってもらえたらウレシイ!
R15のため直接的な表現は使わないであれやこれやと考えて書いておりますが、楽しいですねえ……。
雰囲気を楽しんでもらう……解る人だけ解ればいい、これでいいのだ。
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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!