毎度毎度スローペースですみません。
やっと氷の館へ向かいます。
では、本編どうぞっ。
階段側まで戻り、三人は扉の前に立つ。
「えっと……」
先程は開かなかった扉にアベルは手を翳した。
すると、
カチャ。
解錠した音がして、アベルが押すと扉は開いたのだった。
「開いた……」
「やったわね、アベルっ」
「わぁ……。こういう感じで開くんだ……、なるほど~……」
現実世界の開け方と違うんだなぁ……。
……知ってたけどね!
アリアはわかってはいたものの、ぽけーっと口を開けて感心してしまう。
扉を開けた先には宝箱が二つあり、ゴールドと、【命の木の実】がそれぞれ入っていた。
「命の木の実か……。これアリアにあげる。食べて」
アベルはアリアに【命の木の実】を渡す。
「え? わ、私に……? これ、命の木の実でしょ……?」
さすがに知ってますよとアリアは答えるが、
「うん。僕強いから要らないよ。君弱いから食べた方がいいと思う」
「え……でも、アベルが強いったって……そこまで強いわけじゃな」
アベルが事あるごとに自分を“強い強い”と言っているのは、そう思いたいからじゃなかったの……?
いや、確かに私に比べたら強いのはわかってるけど……。
パパスさんには遠く及ばない感じだったし……。
アリアは男の子あるあるなんじゃないかと推察していたのだが、違ったのだろうか。
そこまで言うと、ベラが口を挟んで来る。
「アリア、アベルからの厚意なんだから貰っておけばいいのよ。あなたの体力がゴミなのは事実なんだし」
「ぅ、……ご、ゴミ……(ベラちゃん辛辣ぅ~)」
グサリ。
いつ振りだっけ、胸を刺されるこの感じ……と、アリアは胸元を押える。
「アリアはゴミなんかじゃないよ。貧弱なだけだよ」
「っ……、なんでいっつも弱い弱い云うのかなぁ……」
アベルに追い打ちを掛けられアリアは涙目であった。
「じゃあ……遠慮なくいただきます……」
ぱくっと、アリアは【命の木の実】を口に運ぶと咀嚼すると、
「……味はどう……?」
アベルが味の感想を訊いて来る。
「ん~~~……何か、クセがあるね……。真ん中のやつがジュワってして……。……沢山は要らないかも……」
好きな味ではなかったのだろう、アリアの眉が歪んでいた。
とはいえ、そう言いつつもアリアの体力が上がった気がする。
「ふふっ、そっか! まもりのたねとは違う味なんだ?」
「え? あ、うん。あっちは塩と油があればいけそうだったよ?」
「……あははっ! 今度見つけたら試してみる? はははっ!!」
アベルは腹を抱えて笑い出す。
木の実や、種の味など今まで気にしたことなんてなかったのに、アリアと出会ってから色々なことが気になってしょうがない。
そう、ここは
けれど、見方を変えればそれは違う世界に見える。
「ん? ……何で笑うの……?」
「さあ……? 男の子はよくわからないわね……」
「がうがう……」
一人笑うアベルに女の子二人とプックルが首を傾げたのだった……。
◇
『おお! 鍵の技法を身に付けましたなっ! 簡単な鍵の扉ならばその技法で開けられるはずじゃ。どうかザイルを正しき道に戻してやって下され』
洞窟を出る前にドワーフのおじさんから【鍵の技法】についての話を聞いて、三人はドワーフの洞窟を後にした(アリアはスライムと抱擁を交わしてからお別れをしていた)。
「はぁ~……やーっとジメジメともさよならね~! さあ、目指すは氷の館ね! 道案内は私に……」
洞窟を出るとベラが背伸びをしてから、先頭に立ち南を指差す。
「ベラちゃん、多分そっちじゃないと思う。地図を見ましょう! 私達に道案内は向いてないと思うの。だからアベルに任せよう?」
「う……、そ、そうね」
すかさずアリアが突っ込んで、ベラは“どうぞどうぞ”とアベルに先頭を譲った。
「アベル、お願い」
「うん。……ベラが指してたのは南だね。氷の館は北だって村の人が言ってたから……」
アベルが地図を広げ北を指差し前を歩き始めるので、ベラとアリアはついて行く。
プックルは
◇
暫く歩くと氷の館が見えて来る。
ここに来るまでに何度か戦闘を繰り返していた。
アリアに魔力を温存させるため、アベルとベラ、そしてプックルが物理攻撃でどうにか魔物達を倒していく。
アリアも【ひのきのぼう】で応戦していた。
「あれね!」
「だね」
目の前に迫る氷の館をベラが深刻な顔で告げると、アベルは頷く。
少し遠目でもわかる氷の柱に、氷の煉瓦、入口に飾られている水晶のように透き通る氷のオブジェ。
建物全体が氷で出来ている氷の館は、寒さもあってかレヌール城とはまた違った怖さを感じる。
それは頬に刺さる冷えた風の所為なのか、はたまた、人の気配がないしんとした雰囲気の所為なのか。
ところが、アリアだけは違っていて……、
「わぁ……キレ~! あれ、全部氷で出来ているの!?」
瞳をキラキラと輝かせ、興味津々で徐々に近づく氷の館を見上げていた。
「キレーって……、……ったく、あなたって子は……能天気なんだから……」
「…………本当……、…………ははっ。アリアらしいや……」
呆れるベラにくすくすと、アベルが笑う。
氷の館は目前まで迫っていた。
そして、入口の扉までやって来たのだった。
「氷の館かぁ……。そこまで寒くないのに不思議……カチンコチンね」
アリアが口角を上げ氷の館の壁をコンコンと叩く。
びくともしなかった。
溶ける様子はないなぁ……。
現実世界でも氷のホテルなんかあるけど……、ここも綺麗だな。
そういえば氷の建物は前世でもあったな、と共通点に嬉しくなる。
「アリア楽しそうだね」
「ん? あ、わかる? 氷の館ってよく出来てるな~って思って」
今度は外にあった氷で出来た柱に、アリアはぺたぺたと触れてみる。
表面は滑らかで、感触は石柱とそう変わらない。
「ん? そう?」
「うん、昔居た所にもあったの。私は行ったことなかったから詳しくは知らないけどね」
ネットで見ただけだからね! とは言わずにおいた。
「ふ~ん……そう、なんだ……?」
天界にも、氷の館みたいなところがあるのかな……。
よくはわからないが、アリアが楽しそうにしているので良しとしたアベルだった。
「アベル、扉の鍵開けて」
「あ、うん」
ベラに促され、アベルは扉の前に立つと鍵の技法を使う。
カチャン。
解錠した音がする。
「……開いたかな?」
アベルが扉を押すと、扉は静かに開いていった。
「あっ。開いたみたいだね。ふふっ、中はどんな感じかな~、ちょっと楽しみだな~」
アリアは柱や壁に触れるのを止め、扉の前にやって来る。
「やったわね! でもこれからが本番よ! 中の様子は全然わからないんだから。慎重に行きましょう!」
「うん、そうだね」
ベラとアベルは顔を見合わせ真面目な顔で頷き合った。
その二人の様子を見ていたアリアは、
「……私、もうちょっと真剣にやった方がいい感じ……?」
「え……?」
「そうね、春風のフルートを取り返せなかったら、春がやって来ないもの」
「ぁ……、そう、よね……」
ベラに言われて、アリアは顎に手を当て俯く。
そんなアリアにアベルは……。
「…………アリアは、そのままでいいよ」
「え……?」
「いつも同じじゃ、つまらないし……」
ぼそりと呟いて、アベルは氷の館へと入って行った。
すぐ後ろをベラが続く。
「いつも同じって……?」
アリアはアベルの呟きに首を傾げていた。
命の木の実……。形容し難かったので、そのまんま書いちゃいました。へへっ。
硬いのもありだし、柔らかいのでもいいかなと迷って書けず。
ドラクエ知ってる人しか読んでないだろうから「ああ、あれね」とわかるからまぁ、ええかなと。
脳内補完ありがとうございます!(強引)
ありがとうございます!! ……へへっwww
氷の館へ行ってみたい。
昔、真夏に友人とマイナス20℃だか30℃だかの世界、とかいうアトラクションに遊びに行ったのですが、めっちゃ寒かった……。
あんな世界が地球にはあるわけで、北海道にもあったりするから意外と身近だなー……なんて。
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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。
読んでいただきありがとうございましたっ!