ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

毎度毎度スローペースですみません。
やっと氷の館へ向かいます。

では、本編どうぞっ。



第五十六話 氷の館

 

 階段側まで戻り、三人は扉の前に立つ。

 

 

「えっと……」

 

 

 先程は開かなかった扉にアベルは手を翳した。

 すると、

 

 

 カチャ。

 

 

 解錠した音がして、アベルが押すと扉は開いたのだった。

 

 

「開いた……」

 

「やったわね、アベルっ」

 

「わぁ……。こういう感じで開くんだ……、なるほど~……」

 

 

 現実世界の開け方と違うんだなぁ……。

 

 

 ……知ってたけどね!

 

 

 アリアはわかってはいたものの、ぽけーっと口を開けて感心してしまう。

 

 扉を開けた先には宝箱が二つあり、ゴールドと、【命の木の実】がそれぞれ入っていた。

 

 

「命の木の実か……。これアリアにあげる。食べて」

 

 

 アベルはアリアに【命の木の実】を渡す。

 

 

「え? わ、私に……? これ、命の木の実でしょ……?」

 

 

 さすがに知ってますよとアリアは答えるが、

 

 

「うん。僕強いから要らないよ。君弱いから食べた方がいいと思う」

 

「え……でも、アベルが強いったって……そこまで強いわけじゃな」

 

 

 アベルが事あるごとに自分を“強い強い”と言っているのは、そう思いたいからじゃなかったの……?

 

 いや、確かに私に比べたら強いのはわかってるけど……。

 パパスさんには遠く及ばない感じだったし……。

 

 

 アリアは男の子あるあるなんじゃないかと推察していたのだが、違ったのだろうか。

 そこまで言うと、ベラが口を挟んで来る。

 

 

「アリア、アベルからの厚意なんだから貰っておけばいいのよ。あなたの体力がゴミなのは事実なんだし」

 

「ぅ、……ご、ゴミ……(ベラちゃん辛辣ぅ~)」

 

 

 グサリ。

 

 

 いつ振りだっけ、胸を刺されるこの感じ……と、アリアは胸元を押える。

 

 

「アリアはゴミなんかじゃないよ。貧弱なだけだよ」

 

「っ……、なんでいっつも弱い弱い云うのかなぁ……」

 

 

 アベルに追い打ちを掛けられアリアは涙目であった。

 

 

「じゃあ……遠慮なくいただきます……」

 

 

 ぱくっと、アリアは【命の木の実】を口に運ぶと咀嚼すると、

 

 

「……味はどう……?」

 

 

 アベルが味の感想を訊いて来る。

 

 

「ん~~~……何か、クセがあるね……。真ん中のやつがジュワってして……。……沢山は要らないかも……」

 

 

 好きな味ではなかったのだろう、アリアの眉が歪んでいた。

 とはいえ、そう言いつつもアリアの体力が上がった気がする。

 

 

「ふふっ、そっか! まもりのたねとは違う味なんだ?」

 

「え? あ、うん。あっちは塩と油があればいけそうだったよ?」

 

「……あははっ! 今度見つけたら試してみる? はははっ!!」

 

 

 アベルは腹を抱えて笑い出す。

 木の実や、種の味など今まで気にしたことなんてなかったのに、アリアと出会ってから色々なことが気になってしょうがない。

 

 そう、ここはまた(・・)の世界。

 けれど、見方を変えればそれは違う世界に見える。

 

 また(・・)と感じることはまだまだあるけれど、違う視点に目を向ければまた(・・)も悪くないか、……とアベルは思ったのだった。

 

 

「ん? ……何で笑うの……?」

 

「さあ……? 男の子はよくわからないわね……」

 

「がうがう……」

 

 

 一人笑うアベルに女の子二人とプックルが首を傾げたのだった……。

 

 

 

 

 

 

『おお! 鍵の技法を身に付けましたなっ! 簡単な鍵の扉ならばその技法で開けられるはずじゃ。どうかザイルを正しき道に戻してやって下され』

 

 

 洞窟を出る前にドワーフのおじさんから【鍵の技法】についての話を聞いて、三人はドワーフの洞窟を後にした(アリアはスライムと抱擁を交わしてからお別れをしていた)。

 

 

 

 

 

 

「はぁ~……やーっとジメジメともさよならね~! さあ、目指すは氷の館ね! 道案内は私に……」

 

 

 洞窟を出るとベラが背伸びをしてから、先頭に立ち南を指差す。

 

 

「ベラちゃん、多分そっちじゃないと思う。地図を見ましょう! 私達に道案内は向いてないと思うの。だからアベルに任せよう?」

 

「う……、そ、そうね」

 

 

 すかさずアリアが突っ込んで、ベラは“どうぞどうぞ”とアベルに先頭を譲った。

 

 

「アベル、お願い」

 

「うん。……ベラが指してたのは南だね。氷の館は北だって村の人が言ってたから……」

 

 

 アベルが地図を広げ北を指差し前を歩き始めるので、ベラとアリアはついて行く。

 プックルは殿(しんがり)についた。

 

 

 

 

 

 

 暫く歩くと氷の館が見えて来る。

 ここに来るまでに何度か戦闘を繰り返していた。

 

 アリアに魔力を温存させるため、アベルとベラ、そしてプックルが物理攻撃でどうにか魔物達を倒していく。

 アリアも【ひのきのぼう】で応戦していた。

 

 

「あれね!」

 

「だね」

 

 

 目の前に迫る氷の館をベラが深刻な顔で告げると、アベルは頷く。

 

 少し遠目でもわかる氷の柱に、氷の煉瓦、入口に飾られている水晶のように透き通る氷のオブジェ。

 建物全体が氷で出来ている氷の館は、寒さもあってかレヌール城とはまた違った怖さを感じる。

 それは頬に刺さる冷えた風の所為なのか、はたまた、人の気配がないしんとした雰囲気の所為なのか。

 

 ところが、アリアだけは違っていて……、

 

 

「わぁ……キレ~! あれ、全部氷で出来ているの!?」

 

 

 瞳をキラキラと輝かせ、興味津々で徐々に近づく氷の館を見上げていた。

 

 

「キレーって……、……ったく、あなたって子は……能天気なんだから……」

 

「…………本当……、…………ははっ。アリアらしいや……」

 

 

 呆れるベラにくすくすと、アベルが笑う。

 氷の館は目前まで迫っていた。

 

 そして、入口の扉までやって来たのだった。

 

 

「氷の館かぁ……。そこまで寒くないのに不思議……カチンコチンね」

 

 

 アリアが口角を上げ氷の館の壁をコンコンと叩く。

 びくともしなかった。

 

 

 溶ける様子はないなぁ……。

 現実世界でも氷のホテルなんかあるけど……、ここも綺麗だな。

 

 

 そういえば氷の建物は前世でもあったな、と共通点に嬉しくなる。

 

 

「アリア楽しそうだね」

 

「ん? あ、わかる? 氷の館ってよく出来てるな~って思って」

 

 

 今度は外にあった氷で出来た柱に、アリアはぺたぺたと触れてみる。

 表面は滑らかで、感触は石柱とそう変わらない。

 

 

「ん? そう?」

 

「うん、昔居た所にもあったの。私は行ったことなかったから詳しくは知らないけどね」

 

 

 ネットで見ただけだからね! とは言わずにおいた。

 

 

「ふ~ん……そう、なんだ……?」

 

 

 天界にも、氷の館みたいなところがあるのかな……。

 

 

 よくはわからないが、アリアが楽しそうにしているので良しとしたアベルだった。

 

 

「アベル、扉の鍵開けて」

 

「あ、うん」

 

 

 ベラに促され、アベルは扉の前に立つと鍵の技法を使う。

 

 

 カチャン。

 

 

 解錠した音がする。

 

 

「……開いたかな?」

 

 

 アベルが扉を押すと、扉は静かに開いていった。

 

 

「あっ。開いたみたいだね。ふふっ、中はどんな感じかな~、ちょっと楽しみだな~」

 

 

 アリアは柱や壁に触れるのを止め、扉の前にやって来る。

 

 

「やったわね! でもこれからが本番よ! 中の様子は全然わからないんだから。慎重に行きましょう!」

 

「うん、そうだね」

 

 

 ベラとアベルは顔を見合わせ真面目な顔で頷き合った。

 その二人の様子を見ていたアリアは、

 

 

「……私、もうちょっと真剣にやった方がいい感じ……?」

 

「え……?」

 

「そうね、春風のフルートを取り返せなかったら、春がやって来ないもの」

 

「ぁ……、そう、よね……」

 

 

 ベラに言われて、アリアは顎に手を当て俯く。

 

 そんなアリアにアベルは……。

 

 

「…………アリアは、そのままでいいよ」

 

「え……?」

 

「いつも同じじゃ、つまらないし……」

 

 

 ぼそりと呟いて、アベルは氷の館へと入って行った。

 すぐ後ろをベラが続く。

 

 

「いつも同じって……?」

 

 

 アリアはアベルの呟きに首を傾げていた。

 




命の木の実……。形容し難かったので、そのまんま書いちゃいました。へへっ。
硬いのもありだし、柔らかいのでもいいかなと迷って書けず。
ドラクエ知ってる人しか読んでないだろうから「ああ、あれね」とわかるからまぁ、ええかなと。
脳内補完ありがとうございます!(強引)
ありがとうございます!! ……へへっwww

氷の館へ行ってみたい。
昔、真夏に友人とマイナス20℃だか30℃だかの世界、とかいうアトラクションに遊びに行ったのですが、めっちゃ寒かった……。

あんな世界が地球にはあるわけで、北海道にもあったりするから意外と身近だなー……なんて。

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評価いただけるとモチベ上がりますので、良かったら下さいっ。
感想など頂けたらめっちゃ嬉しいです。

読んでいただきありがとうございましたっ!
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