ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

よーやっと、水のリングのフロアに辿り着きました。

では、本編どぞ!



第五百七十話 水のリング

 

 

 

 

 

 ……アベル達は再び横穴から出て通路を戻り、地下一階から続く滝の終着点、巨大な滝壺と地底湖が広がるエリアに戻って来る。

 

 

「うわー! なんだかとても神秘的ねっ。こんな洞窟があったなんて……。でも滝の飛沫でビショビショになっちゃいそう。気を付けようね、アベル、アリア」

 

 

 先ほど通った滝の内側の通路と、眼下に見下ろす大きな滝壺に超巨大な地底湖……。

 この世界でも珍しい光景なのか、ビアンカが辺りを見回し目を輝かせるとアベルとアリアに注意した。

 

 

「ビショビショ……、アリア昨日……」

 

「っ!?」

 

 

 アベルがぽっと頬を染めチラッ。

 アリアを窺うと、彼女はびくっと肩を揺らした。

 

 

 ――私が昨日ビショビショって……な、なんてこと言うの……っ!?

 

 

 確かにビショビショだったかもしれないけど……アベルのせいじゃない……!

 

 

 ……動揺にアリアの瞳が彷徨う。

 

 

「そうよね、アリアは昨日滝壺に落ちたんだもの。冷たかったでしょ?」

 

「っ、あっ、うんっ! けど焚き火で温まったから……!」

 

 

 ビアンカがアリアの服装を確認しながら訊ねてくるため、アリアは乾いた服を軽く抓み はにかんでみせた。

 

 

 ……少し笑顔がぎこちない気がする。

 

 

「アベルも落ちたのよね……」

 

 

 ビアンカは今度はアベルに視線を送る。

 

 ……その視線がなんとなく……冷ややかな気がした。

 

 

「えっ、あっ、僕も焚き火に当たって服を乾かしたし、身体も温めたよ!! ねっ、アリア!?」

 

「うんっ、やっぱり焚き火は温かいよねっ!」

 

「僕達は焚き火に当たってただけだよ、ビアンカ! ねっ、アリア!?」

 

「うんっ、そうそう! そうだよビアンカちゃん! ねっ、アベルっ」

 

 

 アベルとアリアは交互に言い合うが、瞳でも会話するように二人は目配せし合っている。

 

 

「……あ、うん。当然そうするわよね……?」

 

 

 アベルとアリアのぎこちないその様子にビアンカは“当たり前のことなのに……”と二人をそれぞれ窺い見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっちに水のリングはなかったよ」

 

「あらそうなの? じゃあ……水の中を行くしかないわね……」

 

 

 昨夜アベルとアリアが過ごしたフロアに続く通路を指差し、アベルが宝箱は回収済みだと告げる。

 

 ビアンカはまた靴の中がびしょ濡れになるのね……なんて思いながらも大きな滝壺の周りの浅瀬を見下ろし“ふぅ”とため息を零した。

 

 

 ざぶざぶ、

 ざぶざぶ。

 

 

 ……滝壺の周りを囲む様にできた浅瀬の通路を歩き、再びアベルとアリアが落ちた大きな滝の内側を歩く。

 

 その途中で奥のフロアへと続く怪しい横穴を見つけたが、滝の奥、目と鼻の先に宝箱が見えたため、アベルは先ずそちらを回収することにした。

 

 

「……1200ゴールドか……」

 

「わぁ、助かるぅ♪」

 

 

 アベルが開けた宝箱の中身は“1200ゴールド”。

 旅に欠かせない現金である。

 

 アリアは開いた宝箱を覗き込むと、手を合わせて「ありがたや~♡」……笑顔で拝んでいた。

 

 

「ハハッ、だね。町に着いたらおいしいものでも食べようか(アリア餌付けしとこ……)」

 

「わぁ、楽しみ~♡」

 

 

 ……食べ物のお誘いは絶対断らないアリアを釣るのは得意中の得意だ。

 普段(つま)しいアリアも臨時収入が入った時の多少の無駄遣いくらいは許してくれる。

 

 アベルはアリアの無邪気さにほっこりと癒され、目を細めた。

 

 

「変ね……。水のリングじゃなかったの? 水のリングっていうくらいだから滝の水に守られているのかと思ったのに……」

 

 

 アベルとアリアをよそにビアンカは宝箱を前に腕を組み、首を傾げる。

 

 これまで洞窟で宝箱を三つ開けてきたが、そのどれにも【水のリング】は入っていなかった。

 

 

「……やっぱり、さっきの怪しい横穴の中かな……?」

 

「……そうよね、他に宝箱もなさそうだし、行ってみましょ」

 

 

 アリアが怪しい横穴を遠目に見つめると、ビアンカも頷く。

 

 

 ……アベルはアリアとビアンカの意見に賛成し、先ほど通り過ぎた怪しい横穴へ向かうことにした。

 

 

「あ(……思い出した……! この先に【水のリング】がある……!)」

 

 

 横穴に入り奥へ向かっている内、アベルの脳裏にふっと記憶が降りて来る。

 アベルはこの先に【水のリング】があることを思い出していた。

 

 アベルの記憶の中では、【水のリング】は【炎のリング】の時とは違い、魔物が守っているだとかそういったことはない。

 

 はっきり思い出したアベルは漸く【水のリング】探しも終わる……と、足元が清水で満たされた聖域のようなフロアに足を踏み入れる。

 

 フロア中央にある台座……岩の上には【水のリング】と思しき指輪が安置されており、その周りには数本の飾り柱が建てられていた。

 指輪の台座である岩やフロア奥の壁には青々とした苔が生えており、長い間人の手が入ることがなかったのだろう、かなりの年月を感じさせる。

 

 天井を見上げてみるとずいぶんと高そうだが、上部は暗くてよく見えなかった。

 

 ……【水のリング】に目をやれば、清水を湛えたような青い光がアベル達が来るのを待っている。

 

 

「わぁ……なんて上品な輝き……!」

 

 

 アリアが青い光に吸い寄せられるように【水のリング】の元へ。

 

 カッと燃えるように明るい【炎のリング】とは違い、【水のリング】は静寂と冷静を体現したような涼やかな輝きだ……。

 

 

「……綺麗ね……」

 

 

 ビアンカもアリアと共に、……二人は手を繋いでいた。

 

 

「……あれが水のリングだよ。アリア取ってごらんよ」

 

 

 ……【水のリング】まであと約二メートル。

 

 そんなところでアベルは足を止め、アリアに【水のリング】を取らせることにし彼女の背をぽんと優しく押した。

 

 

「え……私が? いいの? ……でも、中ボスが出て来たりしない?」

 

 

 ――死の火山ではマグマの魔物が出たから、そろそろまた中ボスが出て来たり~~……?

 

 

 アベルに背を押されたものの、ゲーマーとしての勘が働き、アリアは辺りを見回す。

 アリア、彼女は基本臆病者だけに警戒心だけは強いのだ。

 

 

「中ボス? なにそれ? ……よくわかんないけど……死の火山の時みたく魔物が襲ってきたりはしないよ?」

 

「あ、じゃあ、ビアンカちゃんと……。ね、ビアンカちゃん一緒に……」

 

 

 アベルの笑顔に“思い出してるのね……”とアリアはそれならビアンカと共に取りに行こうと彼女を誘った。

 

 

 ……だのに。

 

 

「…………ううん、私は遠慮しておくわ」

 

 

 ビアンカは微笑して首を左右に振り振り。

 アリア独りで取ってくるようにと手の平を上向けてアリアに譲る。

 

 

「え?」

 

「……うふふっ。アベルはアリアに取って欲しいみたいだし?」

 

「なっ……、そ、そんなことは……」

 

 

 ビアンカが目を伏せがちに告げたため、アリアはアベルに視線を送った。

 ……アベルは少しだけ気まずそうな顔でアリアにはにかんでいる。

 

 

「アリア。さあ、どうぞ?」

 

「っ、で、では……、コホンッ、代表ということで……元社畜OLの私、アリアが水のリングをゲットさせてイタダキマスっ……!」

 

 

 アベルに再び促され、アリアはその場でスカートをちょんと抓んで恭しく一礼。

 

 

「ぷふっ……!」

 

「ふふっ♡」

 

 

 アベルとビアンカが吹き出し見守る中、アリアは独り【水のリング】の台座となる岩に向かった。

 

 

「……はぅ……キレイ……、キレイです! 優しい光だけど……石の中に水の流れが見えます! あっ、流れの速さが変わりました。おおっと! なんと、今度は激流! 激流です!! なんとも不思議な指輪ですね~、この指輪にはいったいどんな効果があるのでしょうか! いやぁ~気になりますねえ~!」

 

 

 アリアは【水のリング】を手に取る前に近くでガン見し、拳を握ってマイクに見立て実況してみせる。

 

 

「……アリアなに言ってるんだろ……早く取ればいいのに……」

 

「アハハ……面白いよね、あの子……」

 

 

 ビアンカが呆気に取られ、アベルは頭の後ろを掻き掻き。

 

 

 ――アリア! 僕はたまに変なことを言う君も大好きだからねっ♡

 

 

 たまに見せる面白ギャップがアベルにはツボらしく、もはやアリアだったら彼はなにもかも肯定してしまいそうだ……。

 




アリアの実況下手だなーw

アベルはもはやアリアがなにしてもいいんだわ……。
変態同士だしな……。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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