ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

おぼえててよかったキアリー。
戦闘回その②

では、本編どぞ。



第五百七十二話 キアリー大活躍

 

「っ……キアリー……!」

 

 

 アベルはすぐさまアリアを解毒する。

 

 

「ぁ……ぇ、わ、私……?(身体が楽になった……!)」

 

 

 アベルから解毒呪文(【キアリー】)を受けたアリアの肌がいつもの白い肌に戻り、アベルは ほっと一息。

 

 なぜ、アリアを真っ先に解毒したのかといえば、彼女は既にぐったりしており、今にも倒れそうだったからだ。

 

 そして、彼女も【キアリー】が使える。

 

 

 ……アベルはアリアに回復にまわってもらうことにした。

 

 

「っ……アリアっ……キアリーをビアンカとプックルにっ、っ、頼む……!」

 

「っ、アベルっ! わかった!」

 

 

 “【キアリー】×2!!”

 

 

 毒々しい身体のアベルからの命を受け、アリアはビアンカとプックルを解毒する。

 

 

「ぅ? ……あっ、楽になった……アリアありがとう!」

 

「がうがう!!(やるなアリア! 褒めて遣わす!)」

 

 

 ビアンカとプックルは毒から解放され、アリアに礼を言うなり【ギガガスダンゴ】を睨み付けるとすぐさま迎撃態勢に入った。

 

 

「やったわね! ベギラマ!!」

 

「ガウゥッ!!」

 

 

 ビアンカの手から燃え盛る炎の壁が【ギガガスダンゴ】に迫ると、そのだらしない肉体を燃やす。

 

 激しく燃える身体に追い打ちを掛けるようにプックルは自慢の爪で一振り二振り、ついでに【はがねのキバ】で思い切りでっぷりした腹に噛みつく。

 鋭い爪と【はがねのキバ】が【ギガガスダンゴ】に傷を負わせた。

 

 ……二人の攻撃は確実に決まり、このまま追い打ちを掛け続ければ恐らく倒せるだろう……。

 

 アベルは紫色に変色した身体のまま、口角を上げ頷いた。

 

 だが、ビアンカも次の呪文を放つには魔力を集中させねばならない。

 彼女は次も【ベギラマ】を打とうと魔力を集中し始めた。

 

 ビアンカが駄目ならプックルが追い打ちを……と思ったが、プックルは爪に挟まった【ギガガスダンゴ】の脂が纏わりついた肉片が邪魔で、続けて攻撃が出来なかった。

 

 

 そんな時――。

 

 

 “シャララ~(【ベホマ】)!”

 

 

 ……【ギガガスダンゴ】の巨体の後ろから小さな声が……。

 

 

「っ……?」

 

 

 ――今のは聞き間違いかな……?

 

 

 アベルは嫌な予感を覚え、【ギガガスダンゴ】を注視する。

 

 ……なんと、【ギガガスダンゴ】の身体がみるみる回復していくではないか。

 

 ビアンカに燃やされ、プックルに裂傷を負わされたはずだという、巨体はあっという間に元のピンクの巨大な塊に戻ってしまった。

 

 

「アベルっ、なんでニクダンゴ回復しちゃったの……!?」

 

 

 【ギガガスダンゴ】が気持ち悪いのだろう、アリアはしょっぱい顔でアベルに問い掛ける(呼び名がまだニクダンゴのままである)。

 

 

「っ……忘れてた……! アリアっ、僕にキアリーを! あと、奴の後ろにいるベホマスライムから倒さないと……!」

 

「っ、わかった! キアリー! あと…………っ、ダメ、アベル、ニクダンゴが邪魔でベホマスライムまで呪文が届かない……!」

 

 

 アリアはアベルに【キアリー】を掛けたまでは良かったが、【ギガガスダンゴ】の後ろにいるであろう、【ベホマスライム】には攻撃呪文が届きそうになく、二発目の呪文は断念した。

 

 

「っ、ビアンカ、プックル! 背後に回ってベホマスライムを倒してくれ! 僕もすぐ向かう!」

 

「オッケ~! プックル、行くわよ!」

 

「がうっ!(任せろ!)」

 

 

 【どく】状態から立ち直ったアベルは、先ほど攻撃を終えたばかりで【ギガガスダンゴ】から程近い場所にいたビアンカとプックルに奴の背後に回るよう指示を出す。

 

 ビアンカ、プックルは走り出し、【ギガガスダンゴ】の背後に回ろうとした……のだったが。

 

 

「っ、ビアンカちゃんっ、プックル! 避けて!」

 

 

 アリアの声がしたと、同時――。

 【ギガガスダンゴ】の身体が一瞬膨張し、身体を収縮させる。

 

 腹部と頭頂部の管から【もうどくのきり】が再び吐き出された。

 

 ……紫色の毒々しい霧が至近距離でビアンカとプックルを襲う。

 

 

「くっ!」

 

「ブニ゛ャ゛!!」

 

 

 ビアンカとプックルは再び【もうどく】に侵されてしまった。

 

 ……二人はその場で床に膝を着き、毒の痛みに身体を震わせる。

 

 

「っ……、これじゃ……(厄介だな……)」

 

 

 少し距離が離れていたアベルとアリアにも【もうどくのきり】は届き、アベルは何とか振り払ったが、アリアが先ほどと同じように【もうどく】に侵され、せっかく治った身体もまた元の毒々しい紫色に変色していた。

 

 

「……キアリー!×2」

 

 

 アベルの背後からビアンカとプックルに向け、アリア解毒呪文(【キアリー】)を放つ。

 

 アリアの放った【キアリー】は【もうどく】の痛みに耐えるビアンカとプックルの身体に到達すると、二人をその苦しみから解放した。

 

 

「アリアっ!? 毒に侵されたの!?」

 

 

 アベルはまさか自分の後ろにいるアリアが【もうどく】に侵されたとは思わず、背後の彼女に解毒呪文(【キアリー】)を掛けようとする。

 

 ……ところがアリアは紫の肌のまま、呪文を唱えようとしたアベルの手を握って止めていた。

 

 

「っ、はぁ……、アベル……、私が回復に回るから……はぁ……、行って……」

 

「っ、けどアリアっ!」

 

 

 ――アリアの身体が……!

 

 

 息も絶え絶えに【まふうじのつえ】に寄り掛かりながら立つアリアの姿にアベルの顔が青褪める。

 

 ……アリアの体力はあとどれくらいもつのだろうか。

 

 そう思った瞬間、アベルの目には現在の自分達の状態を表した数値欄が見えた。

 

 普段チェックしている【ステータスウィンドウ】と似ているが、簡易版のようだ。

 自分とビアンカ、プックル、アリア、全員の数値が今朝見たものよりかなり減っている。

 

 ……そろそろ回復をしておいた方が良いだろう。

 だが、誰を優先して回復させるべきか迷うところだ。

 

 

 自分とプックルはまだ100以上残っていたが、ビアンカの体力が50を切っている。

 そしてアリアの体力は【もうどく】のせいであと残り20を切っていた。

 

 

 ……アベルは先に体力回復を……! とアリアに回復呪文(【ベホマ】)を掛けようとするが、これもアリアは先回りしアベルの手を押しやる。

 

 

「はぁ、はぁ……だい、じょうぶ。自分で回復するから……、だからアベルはベホマスライムを先に……! ダンゴ……あいつ、たぶんまた毒を吐いてくると思う……っ、このままじゃ堂々巡りだよ?」

 

「っ……」

 

 

 ――僕が攻撃しに行っている間にアリアが倒れたらどうする……!?

 

 

 アリアが毒々しい紫の身体のまま「アベルは今バイキルト中なんだから攻撃しなきゃ……!」と今にも死にそうな顔で告げるので、アベルはどうしたらいいか迷ってしまった。

 

 

「……ふふっ、回復なら任せて……? 行って、アベル……!」

 

 

 ――さきに、みんなの体力を回復させて……。

 

 

 アリアはアベルの背を痛みに震える手でトンと押す。

 

 ……そして彼女は俯き魔力を集中させていた。

 

 

「っ……」

 

『アベルっ! 私とプックルだけじゃ無理だわっ! こいつっ、図体がでかい癖に動きが早いっ、通せんぼするのよっ!! アリアを信じてベホマスライムを先に倒しましょう!』

 

 

 迷い躊躇(ためら)うアベルにビアンカが【ギガガスダンゴ】を【モーニングスター】で殴りつけながら声を荒らげていた。

 

 プックルもビアンカと共に【ギガガスダンゴ】の腹を攻撃し、【ベホマスライム】が隠れている奴の背後へとアベルが回れるよう、注意を惹き付けている。

 

 

「っ……アベルっ! 行って……!」

 

「ぅ……アリアっ、死んじゃ駄目だよっ!!」

 

 

 ――アリアを死なせないためにも戦闘を長引かせるわけにはいかない……!

 

 

 アリアに後押しされ、アベルは眉を顰めるも走り出した。

 

 

「死なないよっ! っ……ベホマラー……!!」

 

 

 アリアが呪文を唱えると、上空から癒しの光とも呼べる優しい光がアベル達に降り注ぐ。

 

 ……その光がアベル達の傷付いた身体を癒し、回復してくれた。

 

 

「……アリア!(毒で失われた体力が戻ってきた……!)」

 

「ぁ……体力が……(回復した……!)」

 

「がうぅぅんっ!(おおっ! 痛みがなくなったぞ!)」

 

 

 アベル、ビアンカ、プックルがそれぞれ、自らの身体の変化に気付き、体力が戻ったことを実感。

 

 そのまま三人は先ほどと同じようにビアンカとプックルが【ギガガスダンゴ】の注意を惹き付ける。アベルは【ギガガスダンゴ】の背後に回り、【ベホマスライム】を攻撃する(斬り付ける)……を実行に移した。

 

 

 

 

 ……アベルが【ギガガスダンゴ】達の元へ向かっている間、アリアはといえば――。

 

 

「はぁ、はぁ……(あぁ……レベルに見合ってない呪文使うのしんどいぃ……!)」

 

 

 ――【キアリー】しなきゃ……私、死んじゃう……。

 

 

 アリアはパーティー全員の体力を回復させる呪文、【ベホマラー】を使い、疲弊。

 レベルに見合っていない呪文を使ったためか魔力はかなり消費され、同時【もうどく】のせいなのだろう、痛みに集中力も乱れてしまう。

 

 すぐに次の呪文を唱えることができず、それでも次に放つ呪文は【キアリー】と決め、乱れた魔力を集中させ始めた。

 




これほど毒に悩まされる戦闘もないよなぁ……なんて思いながら書きました。
アリアは攻撃よりも補助に回ることが多いですね。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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