戦闘回ラスト……?
では、本編。
「……はっ!!」
……アリアが魔力を集中させている間に、ビアンカ、プックルのお陰で【ギガガスダンゴ】の背後に回ったアベルは、【ベホマスライム】二匹の内、一匹を見つけ倒した。
確か、【ベホマスライム】は二匹いたはず……と、アベルが辺りを見回すが、もう一匹の姿は見えない。
逃げ出したのだろうか……。
「……はぁっ……もう一匹はどこだっ!?」
『っ、アベル! ダンゴがそっちに向くわ!』
アベルが二匹目の【ベホマスライム】をさがしていると、ビアンカの声――。
【ギガガスダンゴ】の注意がビアンカとプックルから削がれたのだろう、アベルのいる背後にその巨体が向きを変える。
「え、あっ……!!」
【ギガガスダンゴ】が向き変えた拍子に、奴は物凄い速さでアベルに体当たりし、彼を吹き飛ばしていた。
「アベルっ!!」
「がうっ!!(主!!)」
……ビアンカとプックルの声が聞こえる。
アベルの身体はフロアの壁に激突。彼は背中を強く打ち付け、地面に落下……片膝をついたもののなんとか着地、【パパスの剣】を支えに立ち上がった。
武器を手放さなかったのはさすがであるが、これほどまで【ギガガスダンゴ】が強いとは――。
「ぃっ……! っ……(強い……!)」
――レベル上げを怠らずに、ここまで来たのに……!
【パパスの剣】の柄を握るアベルの拳に力がこもる。
ここに指輪を守る魔物なんて居たことは一度も無かったのに……と、初めての展開にちょっと嬉しいと思ってしまったことをアベルは後悔した。
……なぜなら、【ギガガスダンゴ】……奴の傷が。ビアンカとプックルにやられた傷が再び回復している。
そして またも――。
「っ! ビアンカっ、プックル、避けろっ!! …………アリアっっ!!」
アベルが皆に指示を出した時には【ギガガスダンゴ】から
アベルの身体は【もうどく】に侵され、ビアンカも同様。
……プックルは咄嗟に大きく身震いをし、今回は振り払えたようだ。
アリアは……、まだ回復していなかったのか未だ【もうどく】状態のまま、魔力を集中させている。
「くっ……」
アベルは身体を蝕む【もうどく】に苛まれながらも【ギガガスダンゴ】に切り掛かりに行く。
姿の見えないもう一匹の【ベホマスライム】をさがすより、【ギガガスダンゴ】に一矢報いた方がいいだろう。
だが その足取りは遅く、毒のせいで使い慣れたはずの【パパスの剣】が重く感じた。
“キアリー×2!!”
アリアの小さな声が聞こえ、アベルとビアンカに
途端、アベルの身体は軽くなり、アベルはそのまま【ギガガスダンゴ】に突撃していった。
◇
……【ギガガスダンゴ】側のアベル達の一方で、アリアはというと。
「はぁ、はぁ……(よっしっ! アベルの攻撃効いてるみたい……!)」
――次こそ、自分に【キアリー】を……!
アベルが【ギガガスダンゴ】に攻撃を加えると、かなり深く身体を裂くことができ、裂いた身体から生成途中のガスが漏れ出ている。
通常個体と同じ様に体内でガスを生成しているのだろう……。
だが、吐き出される前のガスは吐き出された後の濃い紫色ではなく、ピンク色をしていた。
……ピンク色の気体はすぐに透明に変わり――毒はなさそうだ。
そうしている間にもアリアの身体が毒に震える。
「ぅぅ……」
――このなんとも言えない痛み……! お父さんに熱いお湯を浴びせられた時の痛みに似てる……!
前世の記憶がふと蘇り、アリアは唇を噛みしめた。
……痛みには慣れっこだ。
多少の痛みには鈍感になってしまうほどに前世のアリアの幼少期は酷いものだったのだから。
(大丈夫、大丈夫……。こんなの痛くもなんともない……。戦闘が終われば回復できるもの……。)
本当は痛かったが、アリアは弱音を吐いたりしない。
なぜならアベルも、ビアンカもプックルも今、必死で戦っている。
独りだけ弱音を吐いている場合ではないのだ。
「……はぁ……(がんばらなきゃ……)」
アリアはアベル達の様子を見ながらまた魔力を集中させ始める。
次も【もうどくのきり】を吐かれたら、三人を中心に解毒せねば……。
……自分の体力が保てる限り、みんなのサポートに回ろう。
きっとアベル達が【ギガガスダンゴ】を倒してくれる。
アリアは仲間を信じて続く【もうどくのきり】攻撃からアベル、ビアンカ、プックルを解毒し、また、【ベホマラー】も適宜使用した。
……アベルはアリアからの回復呪文、解毒呪文だけでは足らない時は自らも時に呪文を使用しつつ戦い続ける。
ビアンカも【ベギラマ】を使い続け、プックルも【おたけび】を上げたりと各々持てる力を振り絞って戦った。
……そして、長い戦闘時間を経て、
「っ、やっと倒した……!!」
「やったわね……!」
「がうっ」
アベルの目の前で【ギガガスダンゴ】が白目を剥いてその場に倒れる。
……あれから結局もう一匹の【ベホマスライム】を見つけることはできなかったが、【ギガガスダンゴ】をなんとか倒すことができた。
「アリア……、倒したよ……」
アリアを信用し、戦いに集中していたからすっかり彼女のことを忘れていた。
アベルは独り【まふうじのつえ】を支えに立ち尽くすアリアの元へ向かう。
「アリア」
「…………ぁ、あべる……」
アベルがアリアの傍に寄ると、彼女はまだ紫色の身体のままでやって来たアベルに薄っすら微笑んでみせた。
「え」
「……ごめん……」
アリアの様子に目を剥いたアベルの前で、彼女は謝罪の言葉を口にする。
……彼女の身体には触手のようなものが身体に巻き付いていた。
「っ、アリア……!?」
「……っ……来ちゃダメ……、少し待って……」
アベルが彼女に近寄ろうとするが、アリアは首を横に振る。
アベルの後ろからビアンカとプックルもやって来てそれぞれに「アリアっ!」「がうっ!!」と叫んだ。
「シャララ~……」
アリアの背後から行方不明だった一匹の【ベホマスライム】が赤いクラゲのような頭を覗かせ、アベル達を牽制する。
……アリアに巻き付いた触手の一部に【キラーピアス】が握られ、アリアの首を狙っていた。
それに気付いたアベル達は、それ以上近付くことができずに立ち止まってしまった。
「アリアを放せ!」
「シャララ~って……なによ! ベホマスライムのくせに人質を取るって言うの!?」
「がうっ!(卑怯だぞ! ベホマスライムなら堂々とベホマで勝負しろ!!)」
……アベルは武器を構えたまま どうするかビアンカとプックルに目配せする。
ビアンカもプックルもこれといった妙案はすぐ出ずに眉を顰めた。
「っ……アベル……この子、死にたくないんだって……」
「死にたくないって……、このままじゃアリアが死んじゃうよ!!」
……アリアはまだ解毒が終わっていない。
【ベホマスライム】が構えた【キラーピアス】がアリアの首を狙っているが、このまま時間が経てば身体の隅々まで毒が回り、どのみち死に至るだろう。
アベルは先ほどの戦いの最中、魔力を使い切ってしまっていた。
アリアを解毒してやりたくても、【キアリー】を唱えることができない。
それほどまでに【ギガガスダンゴ】は強かったのだ。
「……この子、さっき一度遭ってる子だよ? 魔物達に……ぅ、……無理やり戦わされて……るの。だから……助けてあげられないかな……?」
アリアが自分の背後から顔を覗かせている【ベホマスライム】を見下ろし、アベルに伝える。
「無理やりって……もうギガガスダンゴは倒したし、もう一匹のベホマスライムも倒したよ……?」
……アベルがそう口にした時だった。
アリアが人質になってしまいました。
特に意味はないけど、予告してたギガガスダンゴのステータス
☆ギガガスダンゴ☆
HP /931(くさいw)
MP /0
攻撃力/120
防御力/80
素早さ/60
特技:もうどくのきり・体当たり
特徴:ブヨブヨしてる、そしてクサイ。キモイ。
基本攻撃はもうどくのきり。たまに巨体でぶつかってくる。
身体が傷付くと一緒に出てきたベホマスライムに回復させる。
ガスダンゴ三匹分の大きさだが、体力(HP)は高め設定。
740~860くらいにしようと思ったんだけど、せっかくなので
格好いいボスモンスターもいいけど、キモイのもいいかなって……!
忘れられなくなりそうで……ハァハァ。
ただ、問題はこいつが水のリングを守ってるのはちょっと……って感じなのですよね……。
けど書いてて面白かったのでいいです。
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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!