ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

家族に……以下略。

では、本編どぞ。



第五百八十四話 家族になれたらいいね

 

「でも……、しょうがないよね?」

 

「え?」

 

 

 アベルが“ごめんねアリア……”と心で詫びていると、アリアは船首側でプックルと戯れているビアンカをちらっと見てからアベルを見上げた。

 

 

「……私もアベルが好きなんだもの……。アベルを誰にも渡したくない……」

 

 

 繋いだ手に力が込められ、アリアの瞳にアベルだけが映り込んでいる。

 

 

「アリア……♡ っ…………ぅぅっ」

 

 

 アベルは舵輪から手を放し、口を覆って俯いてしまった。

 

 

「っ!? アベル!? ど、どうしたの!?」

 

「ぅっ、うぅっ……アリアがやっと僕を手に入れようと してくれてるってわかって嬉しいんだ……!!」

 

 

 アリアは慌てた様子でアベルの頬に手を伸ばす。

 ……アベルの瞳には涙が滲んでいた。

 

 

「ぁ……、ん……。私、諦めないって決めたから……。だからアベルも諦めないでくれる……?」

 

「諦めるもんか! 僕がこれまで諦めずにどれだけ君にアタックし続けたことか……! それが漸く実るんだよ!?」

 

 

 気弱ながらもアベルを諦めないとはっきり告げるアリアに、刹那アベルの手は舵輪から外れ彼女の手を捉え、二人は両手指を絡ませ向かい合う。

 

 

「アベル……」

 

 

 アリアは頬を赤くしながらもアベルの視線を一心に受け止め、目を逸らさなかった。

 

 

「……アリア、子どもは何人欲しい?」

 

「えっ!? こ、子どもって……は、早いよ……」

 

 

 ――まだ結婚もしてないのに……。

 

 

 突然の質問にアリアは戸惑いを隠せない。

 この世界では結婚が早いから子どもの誕生も早くはあるのだろうが、昨日結婚を覚悟したばかりで、その結婚すらまだ不確定だというのに――。

 

 そんなことを考えたら結婚できなかった場合のダメージが大き過ぎるではないか……。

 

 

 アリアの瞳は揺れていた。

 

 

「そうかな? 僕は四人くらい欲しいんだ」

 

「四人……?」

 

「うん、四人。いや、アリアが望むなら もっとでもいいよ? ほら、僕達はお互い家族がいないから、家族が増えたら嬉しいなって」

 

 

 アベルはもう結婚した気でいるのだろうか。

 ……楽しそうに語っている。

 

 

「家族……」

 

 

 アベルの言葉にアリアはハッとする。

 

 ……そういえば異世界から来た自分は独りぼっちだった。

 そんな自分でも。

 

 

 ――結婚したら、独りぼっちじゃなくなる……?

 

 

 アリアが何気なく呟いた言葉にアベルが目を細める。

 

 

「ああ、僕達はもうすぐ家族になるんだよ。いずれは子どもも授かる。考えておいてね?」

 

「……家族……かぁ……。そっか……、ふふっ、そうなれたらいいね?」

 

 

 ――アベルと家族になれたら……それはしあわせなことだね……。

 

 

 だけど――。

 

 

 ……アリアはアベルの手をそっと放す。

 アベルのことは信じているが、どうしても胸の奥底にある不安は拭えなかった。

 

 

「アリア……?」

 

「ごめんねアベル……。私、あなたを諦めるつもりはないけど、なぜか不安がどうしても残るの……」

 

 

 長く白い睫毛が伏せられ、アリアは俯いてしまう。

 アリアからの覚悟を貰い自信を得たアベルとは違い、彼女の不安は全て解消されたわけではない。

 

 自分の中に【世界の理】が働きでもしたらと思うと、全て覆る危険性もある。

 アリア自身の想いと言動、行動は無意識下で行われ、アベルが今まで経験した別世界の世界線へと導くかもしれないからだ。

 

 ……だが、そんなもの。

 

 アベルはそれにも対応するべく万全を期している。

 

 

「……大丈夫だよ。ビアンカも味方してくれるし、きっとフローラさんとルドマンさんだって話せばわかってくれる。君は僕を信じてついて来てくれれば大丈夫だから」

 

「うん……、そうだよね……。アベルについて行けばきっと大丈夫だよね」

 

 

 アリアの頭をそっと撫でてやると、彼女は顔を上げて目尻を下げた。

 ……その目尻には涙の粒が光っている。

 

 

「うん、アリア」

 

「アベルだいすき……」

 

「僕も……」

 

 

 アリアは優し気に自分を見下ろすアベルにそっと抱きつき、アベルは彼女を受け止めた。

 そんな二人は寄り添いながらイチャイチャ、その内アベルはアリアと片手を繋ぎつつ舵輪を操作、船は南に向かって航行を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……ビアンカがプックルと戯れつつ、時折アベル達を見ていたが、見られていた二人は気付いていなかった……。

 

 

「はぁ……あの二人本当は普段からああなわけ?」

 

「はっはっはっ、まあ大体はあんな感じかと……」

 

 

 傍で海の様子を眺めるピエールにビアンカが訊ねると、ピエールは「お二人は一緒にいるのが当たり前のようでして」と教える。

 甲板で日向ぼっこ中のスラりんも「ピキー。主さまとアリアちゃんはいっつもらぶらぶだよ~」と嬉しそうに語っていた。

 

 

「よく隠してたわねっ!(バレバレだったけどね!)」

 

 

 ――見ているこっちが恥ずかしいわ……!

 

 

 ビアンカは呆れたように顔を歪ませ、プックルの頬っぺたを引っ張った。

 

 

「ばぅぅ!?」

 

 

 突然頬を引っ張られたプックルは目を丸くする。

 

 

「プックル、早く教えてくれればよかったのに!」

 

「がぅ……(我は言ってたぞ!)」

 

「……もういいわっ、ねえプックル 私とイチャイチャしましょ!」

 

 

 ぎゅぅぅぅぅっ!

 

 

 ビアンカはプックルに抱きつき、たてがみに顔を埋める。

 

 アベルとアリアに当てられたのか、ビアンカの耳がほんのり赤い。

 “私には人前であんな風に甘えるのは無理。無理よ……。”となにかしら呟いているのが聞こえた。

 

 

「……がう……(ビアンカ、我と結婚するか……? 我は構わんぞ……?)」

 

 

 プックルは身を捩りビアンカの頬を舐めてやる。

 

 

「うわっ! プックル舐めないでっ、私は食べ物じゃないのよ!?」

 

「がうぅ……(わかっておるわ!)」

 

「プックルの舌ってざらざらしてるのね……」

 

 

 ビアンカはプックルに舐められ、ちょっぴり涙目で笑っていた。

 

 

 

 

 ……そうしてアベル達一行は一路山奥の村へ向かう。

 

 

 ビアンカの意向で一度山奥の村に戻り、それからオルソーの元へ向かうことなったのだった。

 




現時点ではアベルもアリアも互いに家族はおりません。
家族になれたらいいな~、なんて二人して夢でも見てればいいんです。え。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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