ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ビアンカがいないと話にならないのです。

では、本編どぞー。



第五百九十二話 ビアンカと共闘

 

 

 

 

 

「おはようございます。では いってらっしゃいませ」

 

 

 

 

 朝も昨日と同じように爽やかな笑顔の青年にフロントで見送られ、アベル達は宿を後にする。

 外扉を開き階段を下りると、ビアンカも丁度坂を下って来たところらしい、一行は合流した。

 

 ……アベルの顔を見るなり、ビアンカは笑顔を見せて二人に訊ねる。

 

 

「おはよう、アベル、アリア。温泉はどうだった?」

 

「おはよう、ビアンカ。温泉は入れなかったんだ……」

 

「えぇ? そうなの?」

 

 

 アベルの答えにビアンカが目を丸くした。

 一泊したから温泉に入ったものだと思っていたが、入っていないとは……。

 

 

「ビアンカちゃん、おはよう! 実は昨日の夜、酒場でお酒飲んじゃって二人とも温泉に入るの忘れて 朝まで寝ちゃってたの」

 

「あら、そうなんだ。残念ね、昨日の夜、私も久しぶりに入りに来たんだけど二人の姿がなかったから、もう入っちゃったのかなって思ってたのよ」

 

 

 アリアが詳細を話すと、ビアンカは昨夜のことを教えてくれた。

 

 

 ビアンカ、彼女が温泉に来た時刻、その頃アベルとアリアは食事を終えて部屋で仮眠を取っていた。

 

 ふかふかのベッドと建物の木材の好い香りに包まれ、二人はある程度戯れてから就寝――。

 アリアがどんな夢を見ていたのかは知らないが、アベルは不思議な夢を見ていた頃のことである。

 

 

 ……温泉宿に泊まって温泉に浸からないとは、なんて勿体ない。

 ここの宿は確かに良い宿でぐっすり休めたとは思うけども……と、ビアンカは宿屋を見上げる。

 

 この宿が出来てから結構な年数が経っているらしいが、ここは常に手入れが行き届いており、窓もいつもピカピカだ。

 温泉が売りの宿ではあるが、リピート客が後を絶たない。経営者夫妻の努力の賜物であろう。

 

 

「……そうだったんだ。ビアンカちゃんと一緒に入りたかったな~」

 

「ね~♡ ……こうなったら うちのスパの貸し切り露天風呂を利用するしかないわね。もうすぐ抽選会があるから こっそり当たりくじを入れ替えちゃおうかしら。そしたら二人きりで入れるわよ?」

 

「わ~、経営者特権~♡ ビアンカちゃん かっこいい~♡」

 

「ふふふっ♡ アリアの都合を教えて? 旅の邪魔にならないよう、予約を入れておくわ」

 

 

 和やかに話をしながらアベル達は村の入口まで下って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……さて、村の入口までやって来ると、アベルはビアンカに握手を求めるように手を差し出した。

 

 

「ビアンカ、今日はよろしくお願いします。帰りはちゃんと送り届けるから」

 

「任せて! フローラさんもルドマンさんもきっと解ってくれるわよ!」

 

 

 ビアンカには、滝の洞窟でアリアが眠っている間に色々と伝えてある。

 ……そう、ルドマンが手強いこともだ。

 

 共闘を頼む……と、アベルがキリッとした顔で告げると、ビアンカはアベルの手をガシッと強く握って頼もしい一言をくれた。

 

 そんなビアンカの様子に、アリアはといえば――。

 

 

「……ごめんね、ビアンカちゃん……」

 

 

 ……申し訳なさそうに目を伏せている……。

 

 

「んもぅ! アリア~? なんて顔してるの~? あなたは いつものように笑ってなさいな。私はあなたの可愛い笑顔をずっと見ていたいわ♡」

 

 

 アベルの手を放し、ビアンカは転じてアリアの両頬を抓む。

 ぎゅっと少し強めに挟むとアリアの顔が歪んだ。

 

 

「ぅ……うん……ぃ、ぃひゃぃ……」

 

「フフッ♡ 暗い顔してたら、つねっちゃうぞ? 大船に乗ったつもりでお姉さんにどーんと任せておきなさいな♡」

 

 

 こつんッ♡

 

 

 と、ビアンカは自らの額をアリアの額に軽く打ち付け、彼女(アリア)を見つめる。

 

 

 ――綺麗な瞳ね……宝石みたい……。

 

 

 アリアの紫水晶に見つめられると、なんだか不思議な感じがする。

 

 

 ……どうしても この娘に幸せになって欲しい――。

 

 

 なぜかはわからなかったが、ビアンカはそう感じた。

 

 

「……ビアンカ、ちょっと近いよ、もう少し離れて……」

 

 

 ふと、アベルの手がアリアとビアンカの肩に掛かり、間に割って入るようにして二人を引き離す。

 

 

「……へ? あら、やだ。アベルったら女の私に嫉妬してるの?」

 

「っ…………そ、そういうわけじゃないけどっ……?」

 

 

 アリアと離され、ビアンカが目をぱちくり。アベルは明らかな動揺を見せ声を上擦らせた。

 

 アベルのわかりやすい態度にビアンカは吹き出してしまう。

 

 

「ぷっ、あははっ、図星ね! ……ねえアリア。アベルって相当なヤキモチ焼きなのね! 気を付けた方が良さそう。他の男の人とか褒めちゃダメよ? アベル絶対拗ねちゃうから」

 

「あ。……う、うん……」

 

 

 ……鋭すぎるのではなかろうか。

 

 ビアンカの指摘にアリアが目を瞬かせてから、今度はアベルに視線を移して気まずそうに頷いた。

 

 

「…………」

 

 

 ……アベルは無言だ。

 

 

「あら、もう褒めちゃったのね。うふふっ、アリアは人を褒めるのが上手だものしょうがないわよ。アベル、いちいち へそを曲げたりしないようにね」

 

「ビアンカなに言って……、こ、子どもじゃあるまいし、僕はへそを曲げたりなんてしないよっ!? ね!? アリア!?」

 

 

 またしてもビアンカに言われてしまい、アベルはアリアに訴えかける。

 

 

 ……が。

 

 

「…………ぁ、えっと……」

 

 

 アベルがよくムスッとしているのを目にしているアリアは口を濁していた。

 

 ……その態度にアベルは目を見開き彼女(アリア)に詰め寄る。

 

 ビアンカに格好悪いところを見せたくないということなのか、はたまたアリアと自分だけの秘密だからなのか、それとも恥ずかしくて忘れたいのか……、アベルの目は見開き必死そのものだ。

 

 

「ちょ、なんではっきり否定してくれないんだ? 僕がそんな子どもみたいな男だってアリアは思っているのかい!?」

 

「ぁ、ぃゃぁ……そういうわけじゃあないけど……」

 

 

 ――そんなところも可愛くて好きなんだ……、ってビアンカちゃんの前じゃ言えないよ……。

 

 

 アベルに詰め寄られたアリアはどう伝えれば良いのかわからず、頬をぽりぽりと気まずそうに掻いた。

 

 

「ふふふっ……、アリアって嘘が吐けないタイプよね。かーわい~♡」

 

 

 ――アベルもそう……素直で真っ直ぐで、強い人。

 

 

 ……二人はとても似ている。

 

 

 そんな気がしてビアンカは、嘆くアベルとそれを宥めるアリアの二人を柔和な顔で見守っていた……。

 

 




さあ、次回からサラボナ、アベル結婚編です。
ようやく来ましたね……ああ、長かったわ……。

って、結婚編も長くなりますけどね……!
ええ、もういまさらですわよ、奥様、旦那様。
お嬢様、お坊ちゃま、準備は宜しくて?(最近悪役令嬢モノばかり読んでいるので口調がおかしいです)

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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