雪の女王戦です。
では、本編どうぞっ。
「っあ、キレー……」
「今度は私が相手です。さあ、いらっしゃい!」
アリアが「綺麗な人だな~」と云おうとした途端、なんと雪の女王は魔物に姿を変えたのだった。
「イじゃなかったぁあああ!! 目が怖いぃ~!」
これはどう見ても敵っ!
アリアはすかさずアベルの後ろに隠れる。
「っと……。雪の女王の瞳ってアリアと同じ色だねっ!」
「私あんなに怖い目してるぅ!?」
アベルは悠長に背後のアリアに笑い掛けた。
「全然っ! アリア、はいっ」
「えっ、あっ何……?」
バシャッ。
突然アベルに液体を掛けられる。
何かと思ったら、アベルの手には【まほうのせいすい】が握られていた。
すると、アリアは魔力が漲るのを感じる。
「あ……それ、まほうのせいすい……?」
【まほうのせいすい】は魔力を回復してくれるアイテムである。全快とは行かないが、
「そっ! アリア、雪の女王に火炎系の攻撃を頼むね!」
アベルはそれだけ言うと、雪の女王に【ブーメラン】を投げ付けたのだった。
「頼んだわよ、ルカナンッ!」
「っ、うん、任せて! ……メラ! それからも一つメラっ!」
ベラが守備力を下げ、アリアは【メラ】を二回放つ。
小さな火の玉は雪の女王に確実にダメージを与えた。
雪の女王は火の玉の攻撃に不快な顔を露わにして【ヒャド】や【こおりつく息】を放って来たり、手にした冷たい冷気の塊をぶつけて来たりする。
「っ、スカラっ!」
ダメージは確実に入っているはずなのだが、暫く戦っても雪の女王が倒れる気配はなく、アベルは長期戦になるような気がして、守備力を上げる呪文を唱えた。
「ベラっ、アリアっ、今君達にも呪文を……!」
ベラが雪の女王にギラを放つ間に、アベルは次の【スカラ】を唱える準備をしていたのだが、
「っ、アベル、私もやってみるねっ!」
「え……?」
「……ベラちゃん、スカラ! それと、プックルにもスカラ!」
アリアはベラとプックルに向け、【スカラ】を放ったのだった。
「おっ! ありがっと~! アリアっ!」
っ!!? ……痛ったぁ~!
アリアの【スカラ】が届いた後で、ベラが雪の女王からの攻撃をくらうが、ダメージは最小で済む。
プックルも「ガウガウッ!」と雪の女王に攻撃を仕掛けていった。
「っ……!? アリアって……何でも使えちゃうの……!!?」
「…………ふふっ、わかんないけどっ、見たら覚えれる(?) みたいだねっ!」
チート級じゃないっ!!?
得意げにアリアはアベルに答える。
だが。
「っ、けど、ごめん。あとメラ二回分くらいしか魔力がなさそう!」
アリアの魔力は再び尽き欠けていた。
「私も! ギラッ!」
ベラも同様に魔力切れが近いようだ。
「わかった! あとは僕とプックルで! プックル行くよ!」
「ガウッ!」
アベルとプックルは雪の女王に攻撃を仕掛けて行った……。
◇
それから、間もなく。
「はぁっ、はぁっ……そろそろ、倒れて欲しいんだけど……っ。アリアっ、メラをお願いっ!」
「っ、わかった! メラッ! メラッ!」
アベルに言われ、アリアはありったけの魔力を込めて【メラ】を放ったのだった。
ボウンゥンンッ!
火の玉が雪の女王に当たり、破裂する音が聞こえる。
雪の女王はアリアからの火の玉で焼かれ、背後に倒れていった。
「やったかな……!?」
「はぁっ、はぁっ……ど、どう……?(もう魔力ゼロ! これ以上は無理だからねっ!)」
「はぁ、はぁ……もういい加減倒れて欲しいわね……」
アベル達は長い戦いに疲れを見せていた。
が。
「っ、そんな……!」
アベルの目が見開かれる。
雪の女王が苦悶の表情を浮かべ、倒れ掛けた身体を起こしたのだった。
まだ戦うのかとアベル達に一瞬緊張が走るが、それ以上攻撃されることはなかった。
くそ……、人間の子供め……!
たかが子供と油断しておったわ……!
そして、
憎き妖精め、ギラなんぞ使いおって……。
……それに、
キサマ、何者だ……!?
天空人が何故この世界に……!
お前さえいなければ……!
雪の女王はアリアを睨み付ける。
アリアの【メラ】を受けた身体は溶け始めていた。
真っ白な蒸気が雪の女王の身体から噴き出したかと思うと、ピシピシピシッ、と全身の皮膚に
「グググググ……! ああ、身体が熱い……ぐはあっ!」
次第に、雪の女王の身体は氷が砕けるかのように粉々に散らばり、弾け飛んだ。
最後には宝箱が残され、彼女は消える。
「……勝った……!」
「うん……」
「やったわね!」
やったやった! と三人はハイタッチをすると、抱き合って長い戦いの勝利を喜び、分かち合う。
残された宝箱には【キメラのつばさ】が入っていた。
雪の女王が消えると共に、台座の宝箱を覆っていた氷も無くなる。
「なんだ、雪の女王様って悪い怪物だったんだっ! オレ騙されてたみたいだなあ……」
「だから言ったでしょ? ポワン様はお優しい方だって」
「うわーっ、まずい! じいちゃんに叱られるぞ! 帰らなくっちゃ!」
ザイルは雪の女王の正体に漸く気が付いて、慌てて駆けていく。
氷の上だからか、脚の動きが素早くコミカルだ。
三人は走って行くザイルに声を掛ける間もなく、ただ見守るしか出来なかった。
ところが、途中でザイルは立ち止まると振り返る。
「あっ、そうだ! 春風のフルートならそこの宝箱に入ってるはずだぜ! 忘れずに持って行けよ。そ、それと、天使! お、お前今度洞窟に遊びに来るといいぜっ! 待ってるからなっ! じゃあなっ!」
「へ……?」
ザイルはアリアに投げキッスを送って、去って行った。
「ザイル行っちゃったわね。それにしても、ごめんなさいの一言もないのかしら! アリアに投げキッスなんか贈る暇があるなら謝ればいいのに……はぁ」
「あはは……」
ベラの溜息にアリアは乾いた笑いを浮かべた。
何が何やらである。
天空人って人気者なのかな……?
「…………アリア。遊びに行くの……?」
「え? あ、えっと……」
どうしようかな……。
まぁ、妖精の村に住むんだったら、ご近所だし時々遊びに行くのもいいかな……?
アベルに訊かれて、アリアは考え込んでしまう。
その様子をアベルは窺い見ていた。
「さあ、早く春風のフルートを!」
「っ、そうだった!」
ベラに促され、三人は宝箱に駆け寄り開く。
「あ、ブーメランと……、春風のフルートねっ!」
やったー!!
と、ベラが満面の笑みでアベルとアリアに抱きついてはしゃぎ出す。
「「わっ!(苦しいっ!)」」
アベルとアリアは嬉し涙を浮かべてはしゃぐベラの横顔に、「よかったね」と互いにアイコンタクトを取ったのだった。
ベラの涙は出世確定の嬉し涙だったりして……www
そして、ブーメラン、あんたは要らないんだよ……。
もう持ってるってねっw
次回、春風のフルート奪還、エピローグです。
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