ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

おめでと~!

では、本編どぞ。



第六百話 ケッコンオメデトウ

 

 

 

 

 

 ピエールが部屋を出てから少しして、窓の外は日が傾き、辺りが夕焼けに染まっていく。

 アリアは目覚めることはなく、すぅすぅと静かに寝息を立てて眠ったままである。

 

 

「アリア……」

 

 

 アベルはベッドの傍らに腰掛け、何もできずにただずっとアリアを見つめていた。

 

 

 ――アリア、僕と一緒に逃げよう……、だけど逃げられなかった場合、僕は戦う。

 

 

「君と一緒なら……なんでもできる気がするんだ。君も……そう思うよね?」

 

 

 アベルが語り掛けても、アリアが起きることはない。

 

 ……それからしばらくアベルはアリアに付き添っていたが、食事を持って来ても彼女は起きなかった。

 

 その内窓の外が暗くなり、これは朝まで眠るのかな……と、アベルも隣のベッドに横になることにし、アリアの寝顔を眺めていたら次第に微睡んでいく。

 

 

 

 

 アベルはいつの間にか眠りに落ちていた――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……あれから寝入っていたアベルだったが、急に明るい光に照らされ目を覚ます。

 

 

「っ、眩しい……。あ……あれ……?(もう朝??)」

 

「ふふっ、ずーっと仲良しでいようね♡」

 

「えっ、ビアンカ!?」

 

 

 目を覚ましたアベルはなぜか教会の前に立っていて、隣にはウェディングドレスを身に着けたビアンカが笑顔で佇んでいた。

 そんなビアンカを前に、アベルは状況確認のため辺りに目を向ける。

 

 ……なんだか周りが騒がしい……。

 

 教会前、噴水広場には町の人々が集まっており、皆拍手をしながら口々に祝辞をアベルとビアンカに贈り、……町全体が歓声に包まれお祝いムードだ。

 

 

(……どういうことだ……? 僕はまだ誰も選んでないぞ……?)

 

 

 アベルは不思議に思いながらも集まった人々を見渡した。

 

 ……ルドマンの屋敷で出会った道具屋の男に、酒場のマスター、バニーガールといった見知った顔も集団の中に見える。

 皆笑顔で拍手を繰り返し、アベルとビアンカの結婚を祝福していた。

 

 アベルが一人一人の顔をなんとなく眺めていると、その中によく知っている女性の姿を見つける。

 

 

「あっ……!(アリアッ!?!?)」

 

 

 集団の中にアリアを見つけ、アベルは彼女と目が合った。

 ……目が合った彼女は、笑顔で唇をゆっくりと動かす。

 

 

 

 

「……ケッ、コ、ン、オ、メ、デ、ト、ウ……?」

 

 

 

 

 “『結婚おめでとう……――』”

 

 

 

 

 アベルがゆっくり動くアリアの唇を読むと、そう言っていた。

 

 ……アリアは祝いの言葉を笑顔で告げると、その先は表情を失くし、なにか呟く。

 それはあまりにも早口でアベルは唇が読めず、なにを言っているのかわからない。

 

 だがそれだけ云うと、彼女は身体を反転させその場から立ち去ってしまう。

 

 

「っ――!!(アリアッッ!!)」

 

 

 アベルは咄嗟に彼女の名を呼ぼうとしたが声が出せなかった。

 走り出そうともしたが、身体が鉛のように重く動かせない。

 

 ……動かせるのは腕くらいのものか……と、腕だけは多少動かすことができそうだ。

 

 

 アベルは咽喉を抑えどうにか声を絞り出そうと試みる。

 

 

「っ……――、嘘だっ!! こんなの認められないっっ!!」

 

「あら、どうしたの? さっき誓い合ったばかりなのに、いまさら認められないなんて言わないわよね?」

 

 

 漸く搾り出したアベルの声に、ビアンカがニコニコしながら自身の腕をぎゅっと抱きしめ、上目遣いにこちらを窺ってくる。

 

 そんなビアンカを見た途端、アベルは……。

 

 

「あっ、いや……、なんでもないんだ…………ごめん、ビアンカ。僕がどうかしてたみたいだ……」

 

 

 ビアンカのアイスブルーの瞳にじっと見つめられ、アベルは彼女を見下ろし軽く頭を下げる。

 

 

 ……ウェディングドレスを着たビアンカは、いつにも増して美しい。

 

 

 “ビアンカが今日から僕の奥さんだなんて。

  ああ、なんて僕は幸せ者なんだろう……。”

 

 

 アベルの顔は勝手に綻び、ビアンカに微笑み掛ける。

 アベルに微笑み掛けられたビアンカは、ほんのり頬を紅く染めて微笑み返してくれた。

 

 

「ビアンカ……愛してる」

 

「……私も愛してるわ……」

 

 

 アベルが愛を囁くと、彼女はそっとアベルに口付けをする。

 ……観衆が「ヒューヒュー!」だの「キャー♡」だのと沸き立っていたが、アベルとビアンカは仲良く手を繋ぎ見つめ合っていた。

 

 

 

 

 だが――なにかがおかしい。

 

 

 

 

(……ちょ!? なにを勝手に口走ってるんだ!?)

 

 

 

 

 ――僕が愛してるのは、アリアだ……!!

 

 

 

 

 自らの意思とは裏腹に、勝手に口を衝いて出た自身の言葉にアベルは驚く。

 身体は確かに自分なのだが、さっきビアンカに対し愛を囁いたのは自分ではない。

 

 

 

 

 ……口が……勝手に……、そう動いたのだ。

 

 

 

 

 なぜか心と身体がちぐはぐな動きをしている。

 

 

 ……正確に言うと、意識がもう一つ。

 ビアンカに愛を伝えた自分と、アリアを想う自分、二つの意識が今、一つの身体の中に混在しているような……。

 

 

 ビアンカに対し、愛しい想いが胸に溢れている自分――。

 アリアを狂おしいほど求める自分――。

 

 

 ……肉体は一つだ。

 

 

 どうもこの身体はビアンカに対する想いの方が強いようだ。

 しかもさっき集団の中にアリアがいたというのに、彼女(アリア)のことを憶えてもいない。

 

 だが、アリアを想う意識(自分)は確実に存在している。

 ……一つの身体に二つの意識は同時に存在し得ない。

 

 

 

 

 つまり……これは――夢を見ているのではなかろうか――。

 

 

 

 

 ……夢なら早く覚めて欲しい。

 

 

 

 

 アベルはビアンカに笑顔を向けながら、告げる。

 

 

「……ビアンカごめん」

 

「え……?」

 

 

 ビアンカに謝罪したアベルは多少動かせる手を動かし、続けて自らの片腕に向け言い放つ。

 

 

 

 

 “【バギ】!!”

 

 

 

 

 風の刃が自らの腕を傷付ける。

 アベルは痛みに眉を顰めた……――。

 




夢……。
アリアとここまで仲睦まじく来たので結婚させてやりたいんだけど、裏切りの主人公もなかなかいいですよね。え。

あ、600話きましたね~。
祝……?

いやもう、なんか知らない間に600話……。
前にもどこかで書いた気がしますが、キャラ任せのノープロットのため、勝手に話が進むから、どこまでいくねんとツッコミを入れつつ、今後も楽しく続けようと思います。
ただの妄想、ストレス解消なのですよ。

本当に長々お付き合いありがとうございますです。
ありがたやありがたや~!

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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