ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

花達の――。

では、本編どぞ。



第六百二十四話 花達のティーパーティー!

 

「あの、ルドマンさん、窓なんですが……」

 

「さて……。いよいよ結婚式だが……。実は山奥の温泉村の洞穴に腕のいい道具屋が住んでると聞いてね。花嫁に被せるシルクのヴェールを注文しておいたのだ。キミには花嫁のため、そのヴェールを取って来てもらいたい。キミが戻る頃には式の準備も終わるだろう!」

 

 

 アベルが窓を割ったことを詫びようとすると、ルドマンは軽く手を押し出し、にこりと笑顔で何度か頷いてから、アベルの話を無視して花嫁のヴェールについて話し出す。

 ……ルドマンも【世界の理】の強制力から解放された身――。窓の一枚や二枚、気にするなということだろう。

 

 

「ヴェール……アリアを選んだのにいいんですか……? フローラさんのものだったんじゃ……」

 

 

 ルドマン、彼の厚意にアベルはそれ以上窓については触れず、花嫁のヴェールについて訊ねた。

 

 

「なに、私の可愛い娘の結婚だ、いいに決まっている。ああ、フローラのことなら気にせんでいい。またいい相手が見つかるさ。それより、キミこそあとで後悔しないようにな。わっはっはっ」

 

「ルドマンさん……」

 

 

 ――ルドマンさんはやっぱり良い人なんだな……。

 

 

 ルドマンが別世界と同じく気の良い貴族の顔で笑うので、アベルも釣られて口角を上げる。

 この世界のルドマンは癖が強いなと思っていたのに、意外とアリアとの結婚をあっさり認めてくれて、結婚式も挙げてくれるとは……なんだか拍子抜けだが、中々手強かったのでこれでいい気がした。

 

 

 

 

「ではヴェールを頼んだぞ」

 

 

 

 

 ……ルドマンに見送られ、アベルは屋敷を出る。

 

 

 

 

「アリアと結婚っ……! っぅ! やっ……たぁああああっっ!!」

 

 

 

 

 屋敷を出たアベルは両手拳を握り締め、力を込めてから万歳するように空に解放した。

 

 

『……アベル~!』

 

 

 不意にアリアの声がどこからともなく聞こえてくる。

 

 

「ん……? アリアの声……? あ、アリア……! お~い!」

 

 

 アベルが声のする方へ顔を向けると、ルドマンの別荘、二階の窓からアリアが手を振っていた。

 ……まだ着替えてはいないようだが、彼女は朗らかに笑っている。

 

 アベルは破顔し、アリアに目一杯手を振った。

 すると彼女が手招きをするが、アベルは首を横に振る。

 

 

 ――君に被せるヴェールを取って来るからね……!

 

 

 アベルはアリアに再び手を振って、町の入口へ向け歩き出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アベル行っちゃった……」

 

 

 別荘の二階で、アリアはアベルが去って行く姿を残念そうに見送る。

 

 二階には丸いテーブルと椅子が四脚設置され、その卓上には焼き菓子やケーキと言った甘味品が並んでいた。

 ……その内に召使女性が紅茶を淹れだす。茶葉の好い香りが窓際まで漂ってきた。

 

 

「アリア、なに不安そうな顔してるの?」

 

「あ、アベルがお屋敷から出てきたんだけど、どっかに行っちゃったの……どこ行ったのかなって……。一緒にお茶しようと思ったのに……」

 

 

 テーブルを一瞥し、窓際に立つアリアの肩にビアンカが触れる。

 

 

「うふふ。アベルさんは、お父さまに何か頼まれたのかもしれませんわね。ほらアリアお姉さま、ビアンカさん、お茶が入りましたわ。座りましょ」

 

 

 丁度階段を上がって来たフローラは、アリアとビアンカに席に着くよう促した。

 アリアとビアンカは頷き「「わーい、スイーツ♡」」と顔を綻ばせながら椅子に腰掛ける。

 

 アリアを挟む様にビアンカとフローラが席に着き、一つ席が空いているが、アベルが来るものだと思っていたのに、その彼はどこかへ行ってしまった。

 

 

「式前にこんなのんびりしてていいのかなぁ……。ぁぁ、おいひぃ……♡」

 

「ふふふ♡ お父さまのご指示だそうなので、いいのではないでしょうか」

 

 

 ……確か自分は結婚式の準備をするために別荘に来たはず――。

 なのになぜ、こんなのんびりお茶をしているのだろう……。

 

 アリアは目的を忘れてはいないが、目の前の【スライム】の形をした色とりどりの【クッキー】の中から一つ抓んで口に放り込む。

 途端、至福に包まれ顔が勝手に綻んだ。

 

 それをフローラが嬉しそうに眺め、紅茶の入ったカップを傾ける。

 

 

「ンッ♡ この柔らかいのおいし~!」

 

「あ、それマカロン! 私も食べる~」

 

「へえ、マカロンっていうんだ。カワイイ! おしゃれね~」

 

 

 ビアンカが卓上にあったピンク色のマカロンに手を伸ばし、齧ると目元を緩める。

 アリアもマカロンに手を伸ばそうとするが、位置が遠かったためフローラがにこにこしながら取ってくれた。

 

 卵白とアーモンド、それから砂糖を原材料にしたコックと呼ばれる上下の甘い生地、外はさっくりしているのに中はしっとり。真ん中に苺ジャムが挟まっているのか酸味が絶妙にマッチして、ビアンカは上機嫌で一つ目を早々に平らげ、二つ目に手を伸ばす。

 ……二つ目は緑色のマカロン……いったいどんな味なのだろうか。

 

 

「ふふふっ、お二人に気に入っていただけたようで よかったです♡」

 

 

 私も……と、フローラも黄色いマカロンを手にして齧った。

 

 

「ン♡ おいしい♡」

 

 

 フローラの食べたマカロンはパイン味である。

 甘酸っぱい爽やかな風味が鼻に抜けて、フローラは可愛く微笑んでいた。

 

 

「……わぁ~……なんだか夢みたい」

 

「ん?」

 

「はい?」

 

 

 アリアがぼそっと呟くと、ビアンカとフローラが注目してくる。

 

 

「あ、えと、まさかヒロインのお二人と、女子会が出来るなんて思わなかったから」

 

 

 ――ゲームの中のヒロイン二人と、お茶が出来るとは思わなかったよ……。

 

 

 アリアは紅茶を飲み飲み、二人を交互に見ながら告げてはにかんだ。

 

 

「「じょしかい……?」」

 

 

 ……はて、“じょしかい”とはいったいなんであろうか……。

 

 

 ビアンカとフローラは互いに目配せをして首を傾げる。

 

 

「……うん。女の子だけで集まって、こうやってお茶を飲んだり、食事をしたりしながらお喋りすることを言うの。会社の子がよくしてるって聞いたことがあったんだけど、私はしたことなかったから、嬉しいなって」

 

「女子会……か」

 

「女子会……」

 

 

 アリアの話にビアンカとフローラが、会社の子……という下りはよくわからないが、女子会を理解し始めた。

 

 

「ほら、女の子同士だと男の人に言えないことも相談できるでしょ?」

 

「ほう……」

 

「確かに……」

 

 

 なるほど、女子会は男子禁制、女だけの集まり……。

 ビアンカとフローラは理解したのか、うんうんと首を縦に何度も下ろす。

 

 ……そういえば私、同年代、同性のお友達とこんな風に集まったことなんてなかったわ――と、女三人それぞれ思うところがあり、互いに目を合わせた。

 

 

「女子会いいわね! たまにしたいわ!」

 

「私もです!」

 

「あっ、私も今言おうと……」

 

 

 ビアンカの発声を元にフローラ、アリアと続き、三人はそれとなく手を繋ぎ合う。

 三人は互いに笑みを交わしながら「また女子会しようね」と約束をした。

 

 

 

 

 ……それからは、結婚式の準備の声が掛かるまで他愛のない話をすることにし――、今日の話題はもっぱらアリアの結婚についてであるが、アリアが照れてスイーツの話題に話を逸らそうとするので、ビアンカとフローラはニヤニヤしながらアリアを揶揄(からか)う。

 

 アリアは顔を真っ赤にしながら「このチーズケーキおいしいよねっ! あっ、このカヌレも最高っ♡」と必死に話題を逸らしていた。

 

 

 ……ルドマンの別荘、二階で急遽開かれたティーパーティーは女子三人の楽し気な雰囲気に包まれ賑やかである。

 

 

 

 

 そんな中――。

 

 




ヒロインズとお茶したかってん……。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!

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