ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ルドマンはアベルがスキ!

では、本編どぞ。



第六百三十四話 ルドマンの記憶を辿って

 

「……は~い! アベルおかえりなさい、おつかれさまっ」

 

「っ……アリアだぁ……♡」

 

 

 ――ああ……一日会えなかっただけなのに、すごく久しぶりに会った感じがするぅ……。

 

 

 キャビンから笑顔のアリアが顔を出すと、アベルの目は潤み、ふにゃりと相好が崩れる。

 

 

「ん? ……アベル、よその奥さんに色目使っちゃダメだよ? 私泣いちゃうからね?」

 

「はい……♡」

 

 

 つん、とアリアの人差し指がアベルの額を軽く突く。

 甘い衝撃にアベルの瞳孔は開き、アリアをぼぅっと見上げた。

 

 

 ――色目を使った覚えはないけど、君の言うことは全部肯定します……♡

 

 

 アリアはまだウェディングドレスに着替えていなかったが、一日離れていたせいか、その存在の影響力はすごい。

 キリっとした顔を見せたくても、ついうっとりして集中出来なくなってしまう。

 

 毎日見て慣れておかないと、彼女の魅力に当てられ時間が経つのも忘れて、一日中惚けてしまいそうだ……。

 

 なぜならアリアはアベルのど真ん中――。

 一目惚れしてから毎日可愛いのだから。

 

 

「ん! ならばよしっ。お父さまとね、昨日結婚式の打ち合わせして、急遽船の上ですることになったの。船上で結婚式なんてすごいよね……!」

 

「うん♡ すごいすごい」

 

「楽しみだねっ」

 

「ああ、楽しみだ♡」

 

 

 ――アリアが嬉しそうだ……、君が嬉しいなら僕も嬉しい……♡

 

 

 ということは……これはやっぱり僕達の結婚式――。

 

 

 アリアがにこにこしながら話すのを、アベルはぼぅっとしながら ただただ肯定する。

 そんなアベルの様子に彼女は目を瞬かせた。

 

 

「……アベル? 大丈夫? 頭でも打った……?」

 

「うん、大丈夫~♡」

 

「……ダメみたい……、さっきからオウム返しばっかりしてる……アベルがおかしくなっちゃった。どうしよ、ビアンカちゃん! フローラさん! アベルが大変っ!!」

 

 

 アリアがキャビンへ顔を向けると、馬車の中からビアンカとフローラの笑い声が聞こえる。

 

 

「わっはっは。やあ ゆかいゆかい! アベルはアリアにぞっこんなのだな。さあ、確認も取れただろう? 移動呪文を頼むぞ」

 

 

 ルドマンは惚けるアベルを振り向かせ、手を握った。

 

 

「……キミとこうして手を繋ぐことになろうとは……、少しドキドキするな……?」

 

「っ!? えぇ……?」

 

 

 こそっと囁かれ、瞬時に我に返ったアベルだったが、ルドマンと手を繋いだまま魔力を集中させ――

 

 

 

 

 ……アベルは【ルーラ】を唱えた!

 

 

 

 

 ルドマンの記憶を辿り、アベル達の身体が宙へと浮かび上がる。

 

 

 

 

「ぬおお~っ。こ、これはっ!」

 

 

 

 

 初めての【ルーラ】の浮遊感に、ルドマンはアベルの手を強く握りしめ、放さなかった――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ひゃぁああ~~!』

 

 

 もちろん、馬車の中からアリアの叫び声も聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 アベルの唱えた【ルーラ】は無事ルドマンの記憶の通り、港町ポートセルミから海上を東へ、浅瀬に囲まれた島に到着――。

 砂浜の上に着地していた。

 

 島の浜から少し離れた海面には、巨大な船が浮かんでいる。

 遠目だが、船に“CASINO”……とオラクルベリーのカジノによく似た看板が掲げられ、煌々と光っているのが見えた。

 

 ……あれが、カジノ船。

 

 アベルとアリアがビスタの港から、ポートセルミに向けて乗った最後の連絡船で航行中、この島の近くを通ったが二人は船室で話をしており見ていない。

 

 だがアベルには別世界でここに来た記憶があった。

 

 

「……よし……着い……」

 

 

 ――あっ、れぇ……?

 

 

 無事目的地に着いたな、と理解したアベルは、満足そうな笑顔で片手拳を握り締め肘を引いた。

 ところが、そんなアベルの視界が急にぼやけ、目の前が真っ白になっていく。

 

 足元の感覚が覚束ない。柔らかい砂の上だから余計――。

 

 ……このままでは倒れそうだ。

 

 

(あ、ダメだ、魔力の使い過ぎでなにも考えられない――)

 

 

 アベルはカジノ船を見つめるままに、一仕事終えた心地で砂浜に身体を傾けてゆく。

 

 

「おっと……! アベル大丈夫か!?」

 

 

 ……アベルの異変に気付いたヘンリーが咄嗟に腕を掴み、支えてくれた。

 

 

「アベル、どうしたのかねっ!?」

 

 

 未だ手を繋いでいたルドマンも驚きの表情で、ヘンリーと共にアベルを支える。

 

 

「アベルさんっ!?」

 

『っ!? アベルがどうかしたのっ!?』

 

 

 マリアの大きな声に、アリアが馬車から飛び出したが着地場所は砂浜だ。

 そして、アリアは鈍臭い――。

 

 

「わぁっ!!」

 

 

 ……勢い余ってアリアは砂浜に倒れていた。

 キャビンからビアンカとフローラが目を丸くし――しばし、独り砂浜に顔を埋め倒れる彼女をみんなで見守る。

 

 

「ぅ」

 

「アリアさん…………、ブハッ!!」

 

 

 アリアが顔を上げるとヘンリーは思わず吹き出してしまった。

 

 

「ぅぅ……。アベルは大丈夫……?」

 

「え? ……ああ、気を失ったみたいだ……プフッ」

 

 

 ヘンリーの肩に(もた)れながら、アベルは気絶している。

 ルドマンは自分に寄り掛かってもらえず、少々残念そうな顔をしていたが人を呼びに走って行った。

 

 ……アリアの顔も身体も砂塗れ。

 これから結婚式を挙げる花嫁がいったいなにをしているのやら……と、ヘンリーは笑いを堪え切れない。

 

 

「ヘンリーさま、そう笑ってはいけませんわ……ふふっ」

 

 

 マリアも堪え切れずに笑ってしまう。

 

 

「アベル……、大丈夫……?」

 

 

 ヘンリーとマリアに笑われる中、心配なのかアリアはとりあえず顔についた砂だけ落とし、アベルに駆け寄った。

 ……アベルの意識はないが、顔は安らかで口角は僅かに上がっており、満足そうではある。

 

 息もしており、アリアが近付くと額に彼の吐息が触れた。

 

 

「アリア、アベルを特別室に連れて行こう。カジノ船にシスターが乗っているから診てもらえる」

 

 

 人を呼びに行ったルドマンが戻って来ると、彼の部下たちが走ってきてアベルをカジノ船へと連れて行く。

 

 

「アベル……」

 

「さあ、アリアも一緒に行きなさい。私達もすぐに追い掛けるよ」

 

 

 担架で運ばれていくアベルをアリアが不安そうな顔で見送っていると、ルドマンが背を押し、ついて行くようにと促してくれた。

 

 

「はい……!」

 

 

 カジノ船へは、浜に設置された桟橋から小舟に乗って行くらしい。

 小さな船だから全員一度には乗れない。

 

 

 ……アリアはアベルと共に先にカジノ船へと向かった。

 




ルドマンは隠れホ〇。愛の溢れる人である。
というか、アベルが罪な男なんだわw

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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