ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ちゃっぷん、女子トークの回。

では、本編どぞ。



第六百三十六話 湯浴み

 

「わ~! このお部屋、お風呂が付いているのね! アリアさっと湯浴みしちゃいなさいな」

 

「えぇ……? ビアンカちゃんとフローラさんがいる前で……?(なんで付いて来るの……)」

 

「うふふ、お姉さま、お背中流しましょうか?」

 

 

 アリアが服を脱いでいるとビアンカとフローラがやって来て、なぜか脱衣の様子を見ている……。

 

 

「あっ、いや……」

 

 

 ――き、気まずいんですけど……。

 

 

 なぜ私はヒロインズに裸を見られているのだろう――。

 

 

 躊躇(ちゅうちょ)したが、アリアを見ているのは二人だけではない。

 ……時間が押しているのだろうか、アリアを見つめる召使女性の目蓋が大きく開いており、その眼が怖い。

 

 召使女性が出した湯がどんどんと浴槽に溜まっていく。

 湯は泡風呂らしく、湯が注がれる毎に泡がもこもこと。これなら湯に浸かればビアンカとフローラに裸を見られることはないが……。

 

 

 “早く砂を落としましょうね……?”

 

 

 無言の圧力で、アリアは女性三人に囲まれる中、独り湯船に浸かった。

 

 

 ……ルドマンの娘になったとはいえ、自分は新参者――。この召使女性は自分を快く思っていないかもしれない……。

 

 

「すみません……、私……」

 

 

 アリアは泡の付いたスポンジを手にする召使女性に頭を下げる。

 

 

「いえ、最終チェックも兼ねておりますからいいんですよっ」

 

「え」

 

 

 ちゃぷ……と、召使女性は丁寧にアリアの身体に付いた砂を洗い落とし始めた。

 その手付きはとても丁寧で、優しい。

 

 

「……にしても、昨日も思いましたが、アリアお嬢さまの肌は真っ白で綺麗ですねえ~。とても同じ人間とは思えません」

 

 

 召使女性がアリアの身体を洗いつつ、じぃっと首回りや腕なんかを食い入るように凝視する。

 昨日アリアはウェディングドレスを着るためにあちこち剃毛されたのだが、召使女性は剃り残しがないか確認しているようだ。

 

 ……どうやらアリアを嫌っているわけではないらしい。

 

 

「あ……」

 

 

 “人間とは思えない……”の言葉にアリアは傍で見守っているビアンカを見上げた。

 

 

「ふふふ♡」

 

 

 ――アリアは元天使だもの……! そりゃそうよ!

 

 

 アリアが元天使だということを知っているのは、アベルとビアンカだけ。ビアンカは幼なじみの優越感を感じ、微笑んでいる。

 

 

「……アリアお姉さまって……」

 

「……ん?」

 

「前から思っていたのですが、お胸が……大きいですよね……。すごい……、重くはないですか……?」

 

 

 ビアンカの隣でフローラがまじまじとアリアを見下ろし、恥ずかし気もなく素朴な疑問のように訊いた。

 

 

「っっ……! えと……っ!?」

 

 

 ――そんなじっと見つめないでください……。

 

 

 ただでさえ、独りだけ裸にされ入浴させられているのだ。真っ直ぐにじっと見られては恥ずかしいではないか。

 

 ……アリアの顔は真っ赤に染まってしまった。

 

 

「あっ、すみません。私ったらはしたない……。でも、以前お別れした時よりその……、成長されているというか……。どうやったらそんな大きく……?」

 

「っっ……し、知らないっ……! お肉たくさん食べてたら勝手にこうなってたの……!」

 

 

 ――アベルが揉んでたら大きくなってた……なんて言えるわけない……!!

 

 

 一昨日アベルが「僕のおかげ」とかなんとか言っていたから、もしかしたらそうかもしれない。

 

 

 ……本当にアベルのせいかお陰か、それともただの成長期――?

 そのどれかはわからないが、フローラの顔は真剣そのもので、彼女は自身の胸を見下ろした。

 

 

「お肉……、お食事ですか……、なるほど……」

 

 

 アリアの話にフローラは納得したようだ。肉をよく食べていた記憶はないが、食事を残したことは無かったような――と、昨日や、ともに過ごした修道院生活を思い出したらしい。

 

 ……フローラの胸はアリアに比べるとやや小振りではあるが、ないわけではない。

 ただもう少し大きいといいなと思ったのだろうか。

 

 

「…………フフ、お肉を食べてただけ、ねえ~……? そぉなんだぁ?」

 

 

 二人の話を聞いていたビアンカが、自分の胸に手を添えアリアに意味有り気に微笑み、流し目を送った。

 

 

「っ……ビアンカちゃん!」

 

 

 ――なにか知ってるの……っ!?

 

 

 アリアは再び顔を真っ赤に染め、ビアンカから目を逸らす。

 ビアンカには敵わないなとお湯に顔を浸け、泡の中に隠れた。

 

 

 

 

 ……そうして湯浴みも無事終わり、召使女性のゴーサインが出て漸く、アリアはウェディングドレスに着替えることができたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 着替えとメイクが終わり、ビアンカたちが部屋から去って行くと、アリアはぽつんと独り、眠るアベルをベッドの傍らに座り眺める。

 

 

「…………(ウェディングドレスって着るの大変なんだな……、苦し……)」

 

 

 真っ白なウェディングドレスに身を包んだアリアは、着慣れないドレスに圧迫感を覚えていた。

 

 独りではとても着ることのできないウェディングドレス――。

 背中部分に紐が通してあり、身体に合わせて絞るのだ。

 

 ビアンカとフローラに「がんばって!」とエールを送られ、アリアは涙目で召使女性にぎゅうぎゅうに縛り上げられている。

 

 背中を縛る紐が窮屈で、これでは式後の宴でお腹いっぱい食事が食べられそうにない。

 

 ……華やかで優雅に見える花嫁の裏側は、それほど煌びやかでもないのだなとアリアは実体験して初めて知った。

 

 

「アベル、私ね、前世ではこういうの全然縁が無かったんだよね。だからなんだか不思議……」

 

 

 未だ眠り続けるアベルにアリアは話し掛ける。

 特に返事は期待していないので、独り言だ。

 

 

「……ゲームの中なのにね……」

 

 

 ……自分の頬を抓んでみたが、夢ではないらしい。

 話し掛けられたアベルはすやすやと幸せそうに眠っている。

 

 

「っ……カワイイ……♡ ちゅーしちゃう♡」

 

 

 アリアは眠るアベルにこっそり唇を落とした。

 

 

 

 

 ……と、そこへ――。

 

 

 

 

 コンコン。

 

 

 

 

 再び部屋の扉がノックされる。

 

 

「っ!? はーい、どうぞ~」

 

 

 アリアの返事にカチャリと扉が開いた。

 

 

 ――ビアンカちゃんたちかな?

 

 

 ビアンカたちが忘れ物でもしたのだろうか。

 そう思い、アリアは慌ててアベルから離れ、身体を扉に向けた。

 

 

 ところが、やって来たのはビアンカたちではなく――。

 




ドレスを着る時は産毛の処理が大変なのです。

天然なフローラにアリアはタジタジですよ。
ビアンカは色々知ってる、フローラは何も知らない……?

※結婚式が長いため今週は水木休まず投稿します。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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