ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

披露宴……。

では、本編どぞ。



第六百四十二話 ザ・披露宴

 

 ガチャッ、と。

 

 

 ルドマンが扉をノックもせず勢いよく開けた。

 

 

「わっはっは。やあ、ゆかいゆかい。いい式だった」

 

「わぁああああっっ!!(お父さまっ!?)」

 

「ンブッ!?(なんで!?)」

 

 

 ルドマンの登場にアリアは驚き、アベルの顔をつい平手で押してしまう。

 急に鼻を叩かれ、アベルが痛みに鼻を押さえた拍子、彼女はそのまま距離を取りルドマンの元へ――。

 

 

「お、お父さまっ、パーティーの準備はどうですか?」

 

「おお! 順調だ。もう少しで始まるから、二人は少し休憩でもしていなさい。宴が始まれば忙しいぞ。どれ、私も少し休ませてもらおう……」

 

 

 ルドマンはテーブルへ向かい、席に着く。

 額に汗を掻いており、彼は優雅な所作でハンカチを取り出し拭っていた。

 

 ……なにかあったのだろうか……。

 

 

「あ、じゃあアベルも座って。私、今お茶を……」

 

「アリア、なにを言っているのだ。お前は私の娘だ、お茶なら召使に淹れさせればよい」

 

 

 ルドマンが手を二度高らかに叩くと、扉向こうから召使女性がやって来て、茶を淹れるようにと言い付けられ、召使女性は会釈し、早々に茶の準備を始めた。

 

 

「そうですか? じゃあ……私はこちらに座りますね」

 

 

 テーブルに備え付けられている椅子は二脚だ。

 一脚には今ルドマンが。もう一脚はアベルに譲ることにして、アリアはベッドに腰掛けることにした。

 

 

 ――お嬢さまってすご~い……。

 

 

 やはり実感が湧かないが、人に淹れてもらった茶が美味いことはアリアも知っている。

 

 

「……僕もこっちに座る」

 

「アベル……」

 

 

 アベルはアリアの隣に腰を下ろした。

 ルドマンの向かいに座るのは少々気まずい。

 

 ……ルドマンは義父だ。

 

 

「はっはっは、まあ構わんよ。お前たち二人の仲が良くてなによりだ」

 

 

 

 

 そうしてお茶を飲み飲み、しばらく経つと、宴が始まった――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 宴が始まると、アベルとアリアは参列者やカジノ船に乗り合わせた者たちに拍手で迎えられ、祭壇前に設けられた新郎新婦席に座らされた。

 甲板にはテーブル席が複数設けられ、参列者たちが着席、美味しい料理と祝いの酒に宴もたけなわである。

 

 

「おめでとう、アベル、アリア」

 

「ありがとう、ビアンカ」

 

「ありがとう、ビアンカちゃん」

 

 

 ビアンカがグラス片手にアベル達の元へやって来て、乾杯――と、グラスを傾ける。

 アベルとアリアは二人ともグラスを掲げて、“チン”とビアンカのグラスと打ち合わせた。

 小気味の良い音が穏やかな波音の上で鳴り響く。

 

 

「アリア食べてる? それすっごく美味しかったわよ」

 

「ぅぅ……食べれてないの……」

 

 

 ――結婚式って、主役はご飯が食べられないのね……、酷いっ……!!

 

 

 ビアンカに訊かれてアリアは涙目になってしまった。

 新郎新婦席にやって来たビアンカだったが、彼女は実は五番目――。

 

 代わる代わるお祝いを言いに、アベルとアリアの元へと人々がやって来ては二言三言、話をしていくので二人は食事をする暇がない。

 

 席に着く時には「うわぁああああっ♡ 美味しそう~♪」とご馳走を前に喜んでいたアリアだったが、今は腹の虫を鳴かせ、心で泣いていた。

 

 

「可哀想に……。ほら、私がいるうちに食べちゃいなさい」

 

「ビアンカちゃん……♡ アベル、今の内に食べちゃおっ」

 

「ビアンカありがとう」

 

 

 ビアンカの気遣いに感謝しながら、アリアとアベルはすぐ摘まめそうなものから食べ始めた。

 

 

「おいし~♡ アベル、これおいしいね。レシピ教えてもらって今度作ってあげるね!」

 

「ありがとうアリア♡ 楽しみにしてる♡ あ、アリア。これも食べなよ」

 

 

 口に入れたミニトマトとチーズのカプレーゼをアリアが絶賛し、旅の間でも作れそうだと笑顔でアベルに伝える。

 アベルは彼女の笑顔に釣られて微笑み返し、アリアの皿から既に消えている【極上スモークサーモン】をフォークに刺して差し出した。

 

 

「わぁ♡ いいの?」

 

「いいよ。アリアさっき一瞬で食べきってたから、気に入ったのかなって思って。僕のもあげるよ」

 

 

 アリアの瞳がキラキラと輝き、アベルは恥ずかしがって食べないかなと思いつつ、「はい、あ~ん」と彼女の口元までフォークを運ぶ。

 すると、アリアは意外なことに“ぱくっ”と差し出された【極上スモークサーモン】を食べた。

 

 ……余程お腹が減っていたのだろう、彼女は雛鳥のように“もきゅもきゅ”――幸せそうに咀嚼している。

 

 

「ん~♡ やっぱりこれおいし~♡」

 

「ぁ……うん、もっと食べる?」

 

 

 ――ナニコレ……餌付けしてるみたい……、めっちゃ楽しい……!!

 

 

 アリアを餌付けしているようで、アベルは楽しくなった。

 なにより、彼女がこの上なく幸せそうで嬉しい。

 

 

「ん? うん、アベルが嫌いなら食べてあげるよ!」

 

「嫌いじゃないけど……」

 

「えっ!? なら食べてみて! とってもおいしいから!」

 

 

 アベルにも食べてもらって、おいしさを分かち合いたい……。

 アリアは「もういいよ」と遠慮した。

 

 

「…………僕はいいや」

 

 

 ところが、アベルは首を横に振り振り。

 フォークをアリアに向けたまま。

 

 

「どして? アベルもお腹空いてるでしょ?」

 

「……アリアがおいしそうに食べてるの見てる方が幸せだから。ほら、あーん」

 

「アベル……(ありがと……)」

 

 

 再びアベルがアリアの口元にフォークを持っていくと、アリアはそれをぱくり。

 

 

 ――アベル優しい……すき……♡

 

 

 アベルの優しさにきゅぅううんと胸が締め付けられ、アリアは彼から目が離せなくなってしまう。

 

 

「…………(も~、この二人、見ているこっちが恥ずかしくなるわね……)」

 

 

 ビアンカはちょっぴりうんざりした様子で、しばし二人を生暖かく見守っていた。

 

 

 

 

 ……ビアンカが傍にいるにも関わらず、二人がイチャイチャしながら食事を続けるので、いい加減彼女もイヤになったのだろう。気付けばビアンカは居なくなり次の来訪者が訪れる。

 

 

「おめでとうございます、お姉さま」

 

「あ、フローラさん! またまたありがとう!」

 

 

 フローラは新婦側でアリアに寄り添うように愛らしい笑顔を見せる。

 

 ……フローラの来訪は、二度目。

 彼女はいったいなにをしに来たのだろうか……。

 

 それでも彼女が片手にグラスを持っているので、アリアは二度目の乾杯をしておいた。

 アベルは特になにも言わずに軽く会釈するだけに留める。

 

 

「うふふっ♡ 何度乾杯しても楽しいですわね。あの、この後ケーキが来るみたいですよ。さっきちらっと見てきたんですけど、とても大きなケーキで……」

 

「ホント!? 楽しみ~♡」

 

 

 フローラの話にアリアは目を輝かせる。

 

 ……甘いものは大好物だ。

 食事はまだ途中だが、このまま参列者たちが入れ替わり立ち代わりにやって来ると、出された料理を全部食べることは難しいだろう。ならばせめてケーキだけでも一人前しっかり食べたい。

 

 アリアの口の中はケーキ専用の口に変換された。

 

 

「……ただ、お父さまがなにやら計画なさっているようで……、ちょっと心配なんです」

 

「えぇ……、いったいなにを……?」

 

 

 フローラの眉が下がり、アリアがチラッとアベルに目配せすると、アベルも苦笑いを浮かべる。

 

 

「ははは……計画って……」

 

 

 ――ルドマンさん、あんまり無茶振りしないで下さいよ……?

 

 

 ……強引なルドマンのことだ。

 どうせこちらの意思など無視して、その計画とやらを実行するのだろう。

 

 アベルは彼がなにをしようとしているのかさっぱりわからないが、無茶を言うようならきっぱり断らねばと思った。

 




最近、一周回って血反吐吐きたくなるくらい、イチャイチャを書いてやれと思っていたりします。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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