ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

結婚ワルツだー、わーい!

では、本編どぞ。



第六百四十六話 結婚ワルツ

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

「アベルおかえりなさい」

 

「ただいまー……って、まだやってたんだね……ははは……」

 

 

 新郎新婦席前に戻って来たアベルをアリアが迎える。

 

 アベルがカジノ船に戻っても宴は続いており、甲板の上では楽し気な音楽が流れていた。

 なぜか個々のテーブルは端に寄せられ、皆思い思いに身体を揺らしダンスを踊っている。

 

 

 ――なんでみんな踊っているんだ……?

 

 

 見たところ参列者だけでなく、カジノ船のスタッフも混ざっている。

 甲板上ではちょっとした人だかりが出来ており、その中心にはアベルの仲魔であるパペックとキャシーの姿があるではないか。

 

 

「あれ……? キャシーとパペックがなんでいるんだ……?」

 

「うん、みんなと色々お話してたら踊りの話になってね。キャシーとパペックを連れて来たの」

 

「え、それってアリア、ルーラを使ったってこと!?」

 

「え? あ、あはは……、ほら、ポートセルミ近いし……?」

 

 

 アベルの問い掛けに、アリアは目をどこぞへと泳がせた。

 ……気まずそうだ。

 

 

「っ……アリア~!」

 

「だ、大丈夫! 私ちゃんと戻って来たでしょ? それにちゃんとピエール君たちも連れて行ったし! すぐ町に入ったから魔物にも遭遇してないよっ! アベル過保護過ぎじゃない……?」

 

「……ぅ、それならまぁいいけど……」

 

 

 アリアに上目遣いで窺われ、アベルは渋々納得する。

 結婚もしたから、そこまで心配せずとも大丈夫だろうとは思うが、油断は禁物だ。

 

 “ここにいるね”と言っていたではないか。

 

 確かにアリアは()ここに居るが、ずっと(・・・)ここに居るとは言っていないちょっとくらい留守にしても……――、彼女にツッコめばそう言われそうで、アベルは指摘するのを我慢した。

 

 ……とにかくアリアがここに居てくれて良かった。

 

 

「あ、けどアベル」

 

「う、ん?」

 

「モンスターじいさんの所に行ったらね、ジュエルがロッキーと一緒にいたいって泣くから、勝手に置いて来ちゃったの。ごめん……」

 

 

 アリアは申し訳なさそうに眉を下げる。

 

 

「あ、そうなんだ?」

 

「ダメ……だったかな……?」

 

「あ、いやいいよ。そういえば、今度新しい仲間が入ったらジュエルをモンスターじいさんに送る約束だったしね」

 

 

 ――私怨でつい、ベホマンを送ってしまってたもんな……。

 

 

 滝の洞窟で新たな仲間が出来たことを、アベルは馬車に残ったみんなに伝えていない。

 ジュエルがロッキーをそこまで好いているとは思わなかったが、戦闘に参加する主要メンバーはほぼほぼ決まっているから、ジュエルが抜けても問題はなさそうだ。

 なにせジュエルは耐久性に優れており強いのだが、思い通りには動いてくれずその扱いは難しい。

 

 丁度良い機会だったと思って、アベルはアリアの選択に笑顔を見せた。

 

 

「よかったぁ。勝手なことしてごめんね」

 

「ははは、そんなことで謝らなくていいよ。パペックとキャシーならまたポートセルミに置いて行けばいいし?」

 

「あ、そっか! それもそうだね」

 

 

 優しい笑みで話すアベルの様子に、アリアは ほっとしたのかはにかむ。

 

 

「で、パペックとキャシーが、みんなをさそうおどりで踊らせてるんだね?」

 

「うん、そうなの」

 

「ははっ、みんな楽しそうだね」

 

「ねっ♡」

 

 

 甲板で踊る人々は殆どが笑顔だったが、無理やり踊らされ悲鳴を上げる者の姿も――。

 足が追い付かないのだろう、「助けて~」と小太りの中年男性がくるくる回りながら涙を零していた。

 

 ……その周りではビアンカ達も楽しそうに踊っている。

 

 ルドマンは夫人とともに、甲板の端の方で笑顔で踊るフローラを穏やかな目で見守っており嬉しそうだ。

 

 ヘンリーとマリアは二人で手を取り合いながら踊り、二人の世界である。

 

 

「……アリアは踊らないの?」

 

「ん? あ、んー……実はアベルと一緒に踊りたいな~って思って待ってたの」

 

「へ?」

 

「ふふふっ♡ 旦那さま、私と一曲踊っていただけませんか?」

 

 

 アリアはアベルに片手を差し出し、ダンスを申し込む。

 普通逆ではないか……? アベルはそう思ったものの、目を細めてアリアの手を取った。

 

 

「アリア、ダンス上手くなったから上手に踊れるよね?」

 

「んー……どうかなぁ? 足踏んだらごめんね」

 

「いいよ? いっぱい踏んでよ!」

 

「っ、もぉっ!」

 

 

 二人は手を繋いで、即席のダンス会場となった場所まで歩いて行く。

 

 

 アベルとアリアが皆の元に辿り着くと、会場の中心にいたキャシーとパペックが踊りながら二人に場所を譲り、甲板の端へと()けた。

 それを目にしたその場に居た者達も二人に場所を譲り、温かな目で見守る。

 

 

「あれ? ……みんなもう踊らないの……?」

 

 

 アリアは急に二人だけ注目された形で歩み出てしまったため、遠巻きに自分達を見る皆を窺った。

 

 ……皆の目は温かなものだが、注目されるのは苦手である。

 

 

「アリア、踊ろう!」

 

 

 アベルの一声で、それまで流れていたテンポの良い軽快で明るい曲が、四分の三拍子のワルツへと移行した。

 

 

「わっ、曲が変わった!?」

 

「あ、本当だ……」

 

 

 ――この曲なら……。

 

 

 急な曲の変更にアベルはアリアの腰を引き寄せ踊り始める。

 恐らく別世界の記憶のせいだろう、身体がワルツを憶えているようだ。

 

 アベルの足は軽やかに動き、戸惑うアリアをリードした。

 

 

「っ、すごい……! アベル踊れるの!?」

 

 

 ――これ社交ダンスってやつじゃないの……!?

 

 

 アリアはアベルがあまりにダンスをそつなくこなすので、リードされるままに驚いている。

 

 

「ははっ、すごいでしょ? まあ、僕はなんでもできるんだよ」

 

「わわっ……すごーい! 私の旦那さまってなんてステキなのっ!?」

 

 

 ――さっすが主人公さまっ……!

 

 

 アリアの身体はアベルによって くるっと一回転させられ、華麗に止まった。

 長いウェディングドレスの裾が、ふわりと遅れて床板に落ちる。

 

 そして、またアベルがアリアの腰を引き寄せ、身体を揺らした。

 そんなアベルにアリアはキラキラとした眼差しを向ける。

 

 

「フフ♡ ……あいたっ!」

 

 

 アベルは得意げに笑うも、すぐに眉を顰めた。

 

 ……アリアに足を踏まれてしまったのだ。

 

 

「あ、えへへ……足踏んじゃった……ごめ~ん。私、こういう踊りは苦手みたい」

 

 

 ――密着してるから踊り辛いんだよね……。

 

 

 アリアは社交ダンスなどしたことがない。

 二人で踊ると言っても、ただ向かい合って好きに踊るだけだと思っていたわけで、まさかのワルツ。

 

 前世、テレビくらいでしか見たことがないのに、ワルツを踊れるわけがないのである。

 

 

 ……アリアがアベルの足を踏むと、それを見ていた人々が一様に「おぅふ」と一瞬渋い顔を見せたが、すぐに笑顔に戻る。

 やはり皆の視線が温かい。

 

 それに、皆も早く踊りたい様子――。

 二人が立ち止まっている周りで踊り始めるペアが出始めていた。

 

 始めこそアベルとアリアを見ていたヘンリー夫妻も、いつの間にか踊りだしており、身体を音に任せている。

 二人は息がぴったりだ。城で暮らしている間に練習でもしていたのだろうか。

 

 ヘンリーは王族だし、出来て当たり前なのかもしれない。

 

 

「いいよ。もっと踏んで♡」

 

「ぅ、だ、だからそれさ……」

 

「君は僕の奥さんだから、いくらでも踏んでくれていいんだ。むしろ踏んで♡」

 

「も~……! このヘンタイさん……♡」

 

 

 アベルのヘンタイ発言にアリアは小さな声で呟く。

 アベルは嬉しそうに破顔したのだった。

 




結婚ワルツは思い出の曲。

アリア、アベルと踊れてよかったね……っと。

パペックとキャシー、久しぶりに登場です。
セリフないけど……。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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