ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

二次会もいいかな……な、なんて……。

では、本編どぞー。



第六百四十七話 二次会もやるの……!?

 

 

 

 

 

「さあさあ皆さま、お楽しみのところ申し訳ない。これにて披露宴第一部は終了とさせていただきます」

 

 

 “披露宴第二部はサラボナに戻ってから行います! 今頃向こうも宴の準備が終わっているはず。今日は飲めや歌えやの無礼講ですぞ……!”

 

 

 ……ワルツが終わると音楽は止み、宴は最高潮に達していたが、そろそろサラボナに戻る時間らしい。

 

 ルドマンの音頭を取る声に、皆は少し息が上がったまま耳を傾けた(のち)、多くの者たちが「やったー!」と歓喜していた。

 

 皆、かなり体力がある。

 

 ……今日は仕事を休んだ者たちが多いのだろう、せっかくの休みだ。一日中飲んで歌って騒いで、非日常をとことんまで味わい尽くしたい……といったところか。

 

 

「はぁ、はぁ……第二部って……あ、え……二次会もするの?」

 

 

 ――ゲームの中なのに……ちょいちょい現実世界と似たところがあるのよね……。

 

 

 ダンスの締めにドレスの裾を持ち上げ、会釈するアリアの額には薄っすらと汗が浮かんでいた。

 動き回っていたせいか、彼女の頬は上気したように少々色付き、アベルの目には魅力的に映る。

 

 

「ふぅ……二次会……?」

 

 

 ――アリア……君のその汗、舐めてもいいかな……?

 

 

 アベルは彼女に見惚れながら、聞き慣れない“二次会”という単語を繰り返す。

 

 

「あ、宴の延長戦……みたいな?」

 

「えぇ……? まだやるの?」

 

 

 ――僕は早くアリアと二人きりになりたいんだけど……!?

 

 

 アリアが答えてくれて、なるほど――とアベルは思ったが、別世界でこんなことは無かったのに、なぜ……である。

 

 とはいえ、結婚式を準備してくれたルドマンがそう言うのなら断れない。それに、自分達が一緒になるのを見届けてくれた人々の厚意にも応えたい。

 

 

「アベル、ルーラを頼めるかね?」

 

「あ、はい」

 

 

 ――とりあえず戻るか……。

 

 

 ルドマンが自分達の元にやって来ると、アベルは頷いた。

 少々疲れてしまうが、戻りは行き慣れたサラボナだ。例え運ぶ人数が多くとも、行きの他人の記憶を辿って【ルーラ】するより、疲れはましかもしれない。

 

 アベルはアリアの言っていたことなどすっかり忘れて目を閉じる。

 

 

 そんな時――。

 

 

「お父さま」

 

「ん? アリアなんだね?」

 

「実は私もルーラが使えるんです。だから帰りは二手に分かれて戻りましょう」

 

 

 アリアは自分も【ルーラ】が使えると申し出ていた。

 彼女の話にルドマンが目を丸くしてから笑顔を見せる。

 

 

「おおっ、なんとアリアも使えたのか! さすがは私の娘だ……! あい わかった、では帰りは二手に分かれて戻るとしよう」

 

 

 そういえばそんなことを言っていたな……と、アベルはルドマンとアリアの会話を聞きながら目を瞬かせる。

 

 

「アリア、いいのかい? 手分けしても結構な人数だけど……」

 

「ふふっ、二人でルーラしたらそんなに疲れないと思うよ?」

 

「うん……、ありがとう……」

 

 

 アリアの気遣いにアベルの心は温かくなる。

 確かに二手に別れればそう疲れることもないだろう。

 

 二人の後ろでは、ルドマンが早速サラボナに戻る者たちを二班に分けていた。

 

 

 

 

 “【ルーラ】!!”“【ルーラ】!!”

 

 

 

 

 ……穏やかな波の音に混じって、アベルとアリアの呪文を唱える声が甲板で響くとルドマンたち一行はカジノ船から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 アベルとアリア、二人の【ルーラ】により、一行はサラボナへ無事戻る。

 

 一行は二部から参加する町の人々とともに、そのまま教会に準備された宴会場で二次会と相成り――、飲めや歌えやの無礼講が始まった。

 

 

「このジュースは美味しいですね」

 

 

 エアル神父が、酒場のマスターに作ってもらったイチゴソーダを飲み飲み笑顔を見せる。

 教会では即席の【バーカウンター】が設けられ、酒場のマスターと、給仕のバニーガールが忙しなく働いていた。

 

 教会で宴会とはなにごとか、神もお怒りに――なんて、エアル神父は言ったりしない。

 

 ……今日は結婚式である。

 

 今日の良き日、神も新たな夫婦の誕生を寿ぎ、大目に見てくれることだろう――とのこと。

 エアル神父は割と柔軟な神父のようだ。

 

 ルドマンが建てた教会だからか、本当のところ、エアル神父がどう思っているかはわからないが大人数が入る会場はここ、教会しかない。

 

 教会の扉は解放されており、出入り自由――。

 今日はルドマンが会計を持ち、飲食し放題とのこと。

 

 

 ……気付けば町に住む人々の大半が宴第二部に参加していた。

 

 やって来た人々はアベルとアリアの席に一度顔を出し、「結婚おめでとうございます」等々、祝いの言葉を紡ぐと、さっさと酒を飲みに行ったり、ご馳走を食べたり……。

 心から祝いに来ている者もいれば、ご馳走目当てで来ている者、それに新たな出会いを求める者もいるようだ。

 

 会場内はいくつかのテーブルに分かれており、若い男女が集うテーブルがある。

 こういう日に出会いを求めるのは、新婚夫婦にあやかってのものなのか……。

 

 今日出会った者同士が、未来、またこの場で挙式なり宴なりを開くと思うと、喜ばしいことである。

 

 若い男女のテーブルから離れた別のテーブルでは、中高年たちが集まって、穏やかな目で若者たちの恋の始まりを見守っていた。

 

 

 アベルとアリアも第一部では接待ばかりで、のんびり食事が出来なかったが、第二部ではそれなりに食べることが出来たようで、互いに笑い合いながら食事を楽しんだ。

 ところが食事を終えると、二人ともそれぞれ町人たちに呼び出され歓談を始める。

 

 そうしてしばらく町の人々と話をしていたアベルも、頃合いを見て断りを入れ【バーカウンター】へ避難した。

 

 

(アリアは……、あ、また捉まってる……。)

 

 

 中々二人きりになれないものだなと、アベルは町の女性たちと話をするアリアを遠目に、ため息を吐く。

 

 

「はぁ……」

 

 

 ――早くアリアと二人きりになりたいなぁ……。

 

 

 結婚式長過ぎない……?

 

 

 別世界の結婚式よりも、かなり長い時間拘束されている気がして、アベルの身体は少々疲れが出始めていた。

 

 

 アリアの周りには町の女性だけでなく、フローラとビアンカの姿もある。

 “キャッ♡ キャッ♡”と楽し気な声が僅かに聞こえるが、なにを話しているのかはわからない。

 

 ……彼女たちの周りに男性の姿はなく、男が入れそうにない雰囲気だ。

 

 その内にアリアが新郎新婦席からブーケを持って来て、フローラに手渡していた。

 

 受け取ったフローラは目を瞬かせ、いまいちピンと来ていない様子。

 花嫁からブーケを貰うというのは、次の花嫁はあなた――という意味合いがあるらしいが、フローラはそれを知らないらしい。

 

 ……アベルも知らないため、アリアの行動の意味がよくわからなかった。

 

 アリアもさっさと抜け出してくればいいのに――とアベルは思ったものの、彼女がフローラとビアンカから逃れるのは恐らく無理だろう。

 

 アリアはビアンカとフローラ、町の女性たちの話に にこにことジュースを飲みながら耳を傾けていた。

 

 

「アベルさん、結婚したっていうのに浮かない顔してどうしたんだい?」

 

「あ、いや……宴が長いなって……」

 

 

 酒場のマスターが冷たい水をアベルの前に差し出す。

 アベルは酒を飲んでおり――否、飲まされており、頬がほんのりと赤かった。

 

 実は、先ほど酔い潰されたら今晩に支障が出るからと、アベルは危険を察知し独り抜け出して来たのだ。

 

 

「ははは、宴なんて久しぶりだからね。しかも今日はみんな、タダ酒が飲めるってんで集まってるんだよ。ほら、ルドマンさんが全部持ってくれるからね」

 

「ですよねー……、ハハ……」

 

 

 ――お祝いなんて二の次なんだなぁ……まあいいけど。

 

 

 酒場のマスターの話にアベルは空笑いを浮かべる。

 ここに集まった人々の皆が皆、アベルとアリアを祝福しに来ているわけではないらしい。

 

 だが、アベルはそれでも構わなかった。

 祝い事のお裾分けが出来たならそれで良い。

 

 

 ……今のアベルの願いはただ一つ――“宴よ早く終われ……!”だ。

 

 




町の皆に大盤振る舞いのルドマンさん。太っ腹!
みんなお祝いそっちのけで騒いでるけどね。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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