身かわしの服って、サラボナで売ってるんですよ。
では、本編どぞ。
(アベルがいない内に着替えておかないと……。)
――裸のままは恥ずかしい……。
現在アリアは全裸である。
ここはアベルのいない間に着替えを済ませておきたい。
(服は……、あ、ウェディングドレスは回収してくれたみたいね。)
自分の服はどこにあるのだろう。
アリアが部屋を見渡すと、昨日トルソーに着せたウェディングドレスはトルソーごと無くなっていた。
……いつの間にか回収されたようだ。
次に引き出しの棚に目を向けると、棚の上には丁寧に畳まれた自分の服らしきものと鞄が置かれている。
(あ、あれかな。)
アリアはベッドから抜け出そうとした。
……突として、
“ずぅーん……。”
「っ……!!(痛っ……!)」
アリアの下腹部を鈍痛が襲う。
(ぅぅ……腰痛い……し、肩も凝ってるし、股関節も痛いし、おまたもヒリヒリする……。)
腰に鈍痛、肩はかっちかち。股関節は普段開脚なんてそうしないからこれは――筋肉痛だろうか。
……股は言わずもがな。
――アベル、やり過ぎだと思う……。
ゲームの主人公、パないな。
長い間我慢させてしまっていたとはいえ、アベルのアベルは凄過ぎた。
その大きさを、恥ずかしながらアリアは知ってはいたが、上と下では感覚が違い過ぎる。
(……っ……っっ……!)
――あんなこと言わなきゃよかった……!
アリアは顔を両手で覆って俯かせた。
……昨夜自分はアベルに「もう我慢しなくていい」と言ってしまった。
あんなに何度も侵入されるとは、洞窟側だって思っていないわけだ。
イヤだと何度自分が言っても上手く宥めすかしてきて、なあなあにされ、結局侵入を許してしまい、アリアはアベルの思う壺。
……アリアは目を閉じ涙を一筋零した。
しかもなんだ。朝もそうだったが、アベルの取った睡眠時間は自分以下のはずなのに彼は妙にすっきりした顔で、元気に走って行ってしまったではないか。
なぜ……。
アベルの体力凄過ぎる――体力のないアリアには謎過ぎた。
(さすがに毎日とか言わないよね……?)
初夜くらいは付き合ってやろうと頑張ったが、これが毎日続いたらと思うと少し怖い。
(だって、病みつきになったら困るじゃない……!? すっごく良かったもの……!)
アベルの行為が怖いのではなく、アリアの“怖い”の意味は逆だったらしい……。
結婚したとはいえ、主人公と共に歩むということは、これから先も危険が伴うということである。
昨夜のようなことが毎日行われでもしたら、自分は戦いに出られず、初めてアベルと出会った頃のようにポンコツに成り下がってしまう。
アリアは彼の足手纏いにだけはなりたくない。
それに、これ以上アベルの虜になって彼に依存してしまい、もし急に別れることにでもなったら――、自分は絶望してしまうのではないか。
……幸せな未来だけ考えればいいはずなのに、アリアの頭の中は万が一のことばかりが浮かんだ。
(……まあ、それはともかく、立てない状態ってよくないよね……。)
色々思案しつつも、アリアは立ち上がれない今の状況に涙をまた一筋。
まずはあの引き出し棚まで行って……、服を取って……、着替えて……、お父さまたちに挨拶をしに――と、改めてここまで考え至ったものの。
「…………っっ!!(無理に決まってるでしょ! 動けないんだよっ?)」
アリアは頭を抱えた。
身体が悲鳴を上げており、動くことができない……。
無理に立ち上がれば、生まれたての子鹿のような無様な姿を見せてしまうことは間違いなし。それも真っ裸で……。
(……アベルに手伝ってもらうしかないのね……。)
――フッ……。
目と鼻の先、引き出し棚の上の服を見ながら一度はほくそ笑み、彼女はまた涙を零した。
アリアは着替えることも、ベッドから抜け出すこともできず、アベルの帰りを待つ。
……アベルはすぐに戻って来た。
「はぁっ、はぁっ、アリア……!」
「……」
アリアは別荘に駆け込んできたアベルに、彼が出て行った時の恰好のまま涼しい笑みで手を振る。
もう色々と諦めたらしい。
「アリアこれ着て!」
「……?」
アベルはアリアの傍にやって来て、白い服を差し出した。
「これ、身かわしの服。白がないか聞いたら、あるっていうからこれにした。アリアの服はその……ちょっと今は着ない方が良いと思うから」
「……?(なんで?)」
アリアが白い服を受け取ると、アベルは引き出し棚に向かい、彼女の服と鞄を回収する。
そして、その中から下着を取り出し、それもアリアに手渡した。
「……着替え、自分でできるかい? 僕 手伝おうか?」
アベルの言葉にアリアは静かに頷き、また、首を左右に振る。
前者は肯定、後者は否定だ。
「……そっか、残念だけどしょうがないか。フフッ、じゃあ僕は後ろ向いてるね」
アベルはベッドに腰掛けアリアに背を向けた。
(……なんで【身かわしの服】……?)
アリアも軋む身体でアベルに気持ち背を向けるようにして、のそのそと――とりあえず下着から身に付け、白い【身かわしの服】に袖を通す。
アベルの言葉の意味はよくわからないが、【身かわしの服】と言えばⅢにも出てきた防具である。
――確か攻撃が
【身かわしの服】……。
魔物の攻撃を受けるとすぐに瀕死になりかけるアリアには、持って来いな装備品ではなかろうか。
元の服も丈夫でそこそこ良いものなのだが、【身かわしの服】のような付加価値はない。
突然別荘を出て行ったと思ったら【
(あ、軽い……肌触りもいい感じ……、私の服よりも布面積は大きいのに不思議ね……。)
普段着ているチューブトップより露出度がかなり低い【身かわしの服】はマントを着ずとも肩も覆えて温かい。
アベルが突然【
……【身かわしの服】に身を包んだアリアは、自己を見下ろし着心地の良さに口角を上げた。
「うん、いいね♡ アリアはなにを着ても似合うね。可愛いよ♡」
「っ……!?」
着替え終わってすぐに背後からアベルに話し掛けられ、アリアは目をぱちくり。振り返る。
なぜ合図もしていないのに着替え終わったことがわかったのか……。
アリアはすぐに思い立ち、即座に頬を膨らませた。
「……っ! ……っ!?(アベル! あなた見てたのね……!?)」
「っ、ごめんっ! そうだよ、アリアの着替えを見てましたっ!」
ポカポカとアベルに拳を打ち付けアリアは抗議する。
アベルはアリアが声を出さないのは、まだ咽喉が痛いからだと思い、にこにこしながら白状した。
その内彼女はアベルをじろりと睨んでから“ふぅ”と息を吐き出す。
「ごめんね、アリア。ちゃんと着替えられるか心配だったから。全然、いやらしい気持ちとかはないよ」
「……」
アベルが爽やかに告げるも、アリアの瞳は細められ、懐疑的だ。
「…………すみません。僕はウソを吐きました。見たかったので見ました。ドキドキしてムラムラしてしまいました」
……アベルはあっさり自供する。
アベルの自供にアリアは“素直でよろしい”と首を縦に下ろした。
「……アリア、のどはまだ痛いかい?」
「……」
訊ねられたアリアは首を横に振る。
「痛くないんだ……、じゃあ声出すのがつらい?」
「……」
アリアは再び首を横に振った。
アリアのイメージカラーが白なので、身かわしの服は通常黄緑なのだけど、ビルダーズ2で色を変えられるのを思い出し白にしました。
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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!