ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

さあ、アイテム探しです。

では、本編どぞ。



第六百五十九話 一路ラインハットへ

 

「そのアイテムの名前は?」

 

「…………、…………わからん」

 

 

 アベルが訊ねるも、ルドマンは眉を顰める。

 

 

「えぇ……?」

 

「かなり昔に読んだ本だから、忘れてしまったよ。あれは……どこで読んだんだったかな……、確か……ラインハット……だったかな……」

 

 

 記憶を辿り、腕組みするルドマンの口から、思い掛けない国の名前が零れ落ちた。

 

 

「えっ、ラインハットですか!?」

 

「ああ……、昔、旅の途中ラインハットの宿で読んでたところを 譲ってくれと言われて譲ったのだよ」

 

 

 そうそう、ラインハットの宿では相部屋だったっけな……なんてルドマンは記憶の引き出しを少しずつ開いていく。

 

 

「誰に」

 

「知らん……」

 

 

 アベルにツッコまれ、思い出せないルドマンは素直に答えた。

 

 

 ――待ってくれ、今引き出しが開きかけて……。

 

 

 ルドマンは答えながら記憶を探っていく。

 

 

「ルドマンさん!」

 

「お義父さんと呼んでくれ!」

 

 

 ――ぜひそう呼んで欲しい……!!

 

 

 “私の可愛い婿殿……!”

 

 

 アベルには言わないが、ルドマンはアベルをかなり気に入っている。

 アベルがフローラやビアンカ、アリアすらも選ばなかったら、自分が名乗り出ようかと思う程度には好きなのだ。

 

 

「お義父さん!」

 

 

 アベルの声にルドマンの顔が不気味に歪む。

 ……髭で見え辛いが、興奮しているのか、鼻の穴が広がるほど嬉しそうである。

 

 

「ふぅ……。すまんっ! あ……、思い出してきたぞ。譲った若者は旅人という感じじゃなかった気がするな」

 

 

 ……アリアとフローラが真顔でルドマンを眺める中、すぐ要望を聞き入れてくれたアベルに満悦したルドマンは我に返り、当時の記憶を語った。

 

 

「なんでわかったんですか?」

 

「軽装で荷物を持っていなかったのだ。宿屋に泊まるのに旅人ならそれなりに荷物を持っているものだろう? だが、その若者、何も持っていなかったのだ。町の人なのではと思うのだが……。ああそうだ、上質な服を着ていたから違和感を覚えて、記憶していたんだった」

 

「上質な服……今のルドマンさんみたいな……?」

 

「そうだな、貴族のような身形だった。従者はいなかったが、もしかしたら身分の高い者だったのかもしれぬ」

 

 

 ――私の話を聞いて楽しそうにしていたっけな……。

 

 

 若者を思い出し、ルドマンは目を細める。

 

 当時旅続きの自分の話を、その若者は熱心に耳を傾け、旅先で手に入れた本を譲って欲しいと頼み込んできたのだ。

 

 その本は貴重な本ではあったが、若者はその本だから欲しかったわけではなく、たまたまその時にルドマンが読んでいた物だから欲しがっただけで、「後生大事にする」……そう若者は言っていた。

 

 ルドマンはそんなに大事にしてくれるというなら譲ろうと、快く譲ったという……。

 確か、代わりに何かをもらった気がするが、ルドマンはそれがなんだったかまでは憶えていない。

 

 そもそもその若者、高貴な身形のくせに金も持っておらず、ルドマンの借りた部屋に泊まらせてやったのだが――これもルドマンは憶えていなかった。

 

 

「身分の高い……となると、王族……?」

 

「さあなぁ……、私もずいぶん若かったからはっきり憶えていないのだよ。だが、あの本は装丁が珍しかったから、貴族であればもしかすると、城に献上でもして保管されているかもしれんな」

 

 

 アベルの推理にルドマンは髭を弄ぶ。

 

 

「……ラインハットか……」

 

 

 ――ここは知らない国じゃなくてよかった……というべきかな。

 

 

 ヒントが全く無いわけではない……。

 新たな旅に出る前に、アリアの声を取り戻すという目的ができたアベルは、不安気に自分を見つめる彼女の頭を撫でてやった。

 

 ……するとアリアはにこっと柔和な微笑みを向けてくれる。

 

 

「お父さま、お家の本棚にもなにか情報はないんでしょうか?」

 

「ふむ……似たような事例が過去にもなかったか、家でも調べておく。アベルはアリアを連れてラインハットに行ってみてくれ。移動呪文なら危険もないだろう」

 

 

 フローラは居ても立っても居られない様子――。

 ルドマンがフローラを宥めるように肩に手を置いていた。

 

 

「はい! よろしくお願いします! アリアっ、行こう!」

 

 

 

 

 ……アベルはアリアの手を取り、ルドマンの屋敷を後にした――。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……というわけで、アリアはしばらく話せなくなっちゃったんだ」

 

 

 馬車に戻って来たアベルはキャビンに乗り込み、仲魔たちにアリアの現状を説明する。

 

 

「なんと……、なんとぉ……、アベル殿っ! アッベッルッどのぉおおおおっっ!! あなたという人は……!」

 

「ぅ……す、すみません……」

 

 

 説明を聞いた途端、マットレスに伏せていたピエールがアベルのマントの襟に掴み掛った。

 

 アリアが止めに入るが、声が出せないためピエールの腕に触れるだけ……。

 

 

「ぅぅ……頭が……痛い……」

 

 

 ただでさえ二日酔いで気持ち悪いというのに、アリアが喋れないというトラブルに見舞われるとは。

 ピエールは頭痛が二倍にも三倍にも重くなった気がした。

 

 

「僕が全部悪い、ごめん」

 

「アリア嬢……大丈夫ですか……? お可哀想に……」

 

 

 アベルがピエールに謝る中、ピエールはアリアを労わり、訊ねる。

 

 

「……」

 

 

 アリアは首を縦に下ろし、アベルの腕にぎゅっと抱きつきにっこりと微笑んだ。

 

 

「アリア……♡」

 

 

 アリアの様子にアベルの顔は綻び、愛おしさが込み上げ、彼女の額に口付ける。

 

 

「……そうですか……、アリア嬢は怒ってらっしゃらない、と……。ではしょうがないですね……、主殿、本日私とアリア嬢は馬車組ということで宜しいですか?」

 

「ああ、もちろん! って言っても、とりあえずはラインハットに行くだけだからアリアは僕と一緒ね。プックル、メッキ―おいで」

 

「あっ、主殿っ!」

 

 

 アベルはピエールの申し出を了承するも、アリアとプックル、メッキ―を連れキャビンから降りてしまった。

 

 そして、彼等が外に出て少ししてアベルの移動呪文(【ルーラ】)を唱える声が聞こえる。

 

 

「っっ……!!」

 

 

 ……ピエールの身体は急な浮遊感に襲われ、マットレスを掴んだのだった。

 




ルドマンにもピエールにも睨まれたアベルさん、悪い人みたいになってるw
ちょっと頑張っちゃっただけなんだけどなぁ。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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