ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

本を探しにラインハットへ来ましたよ。

では、本編どぞー。



第六百六十話 本を求めて

 

 

 

 

 

 アベルの【ルーラ】で、一行は瞬時にラインハットに到着――。

 

 

「……アリア、もう大丈夫だよ♡」

 

「……」

 

 

 移動呪文の急な浮遊感。

 アリアは未だ慣れず、今日はアベルに抱きついての着地である。

 

 

 ――アベルにくっついてたらあんまり怖くなかった……。

 

 

 そっとアリアが顔を上げると、アベルが優しい目で見下ろしている。

 アリアはぽっと頬を赤く染め、素早く離れた。

 

 

「フフ、可愛いなぁ……♡」

 

 

 アベルの声にアリアは耳を真っ赤にして手をパタパタと仰ぐような仕草――謎の動きを見せる。

 ……頬が熱い気がしたのだろう、恥ずかしがっているようだ。

 

 それから彼女は小さく息を吐く仕草をしてから、ラインハットの城を指で差し示す。

 

 

「そうだね、行こう」

 

 

 アベルはアリアの手を取り城に向けて歩き出した――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……城内で、兵士にヘンリーのことを訊ねると、ヘンリー夫妻はまだ戻ってきていないとのこと。

 ヨシュアがいないから、二人きりでのんびり帰って来るつもりなのだろう。

 

 まずはヘンリーに相談しようと思っていたアベルだったが、いないのならば仕方ない。

 

 ここは王であるデールに頼むしかない。

 

 結婚の報告もあるし、丁度いいかとアベルはアリアと手を繋いで王の間に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アベルさんっ! アリアさん! お元気でし……たか……――」

 

 

 王の間で玉座に座するデールが、アベルとアリアの姿に始めは笑顔を見せたが段々と表情を曇らせていく。

 

 デールの視線はアベルとアリアの繋いだ手と、それぞれの左手薬指に光る指輪に注がれていた。

 

 

 玉座の前まで来たアベルとアリアは手を放す。

 アベルは放したくなかったが、アリアがさっさと放してしまうから仕方ない。

 

 ……仕方ないのでそのままデールに挨拶する。

 

 

「デール王、お久しぶりです」

 

「……デス」

 

 

 アベルが朗らかに挨拶したがデールは目を逸らし、唇を尖らせた。

 

 

「……あの、今日は相談があって来たんですが……」

 

「っ、アベルさんがご結婚なされたとお聞きしました。となりの方が奥さまですか?」

 

「あ、はい! 昨日式を挙げました。……妻のアリアです」

 

 

 アベルが隣に立つアリアに手を差し向け、デールに紹介する。

 ……アリアは頭を深々と下げてからにっこりと微笑んだ。

 

 

「ぐっ……(アリアさん……! ボクが狙ってたのに……!)」

 

 

 デールの目の奥は痛み、泣き出しそうになってしまったが、どうにか堪える。

 “おめでとう”の一言が言えなかった。

 

 

「……」

 

 

 そんなデールを見ていたアリアだったが、すぐにアベルを見上げ、彼の服を引いてにこにこ。

 アベルはそれに応えるように頷いていた。

 

 

「…………、……それでご用は……?」

 

 

 見つめ合う二人の様子にデールは取り入る隙が無いことを悟り、なんの用で来たのか訊ねる。

 

 昨日結婚式を挙げて、次の日にラインハットに来るなんて、天空の勇者の新しい情報もないのに、いったいなんの用があるというのか……。

 

 

 ――まさかアベルさん、僕に見せつけに来たんですか……!?

 

 

 以前からアベルがアリアを好いているのは気付いていた。

 そして恐らく当時のアリアもアベルを……。

 

 一年以上前からわかっていたことだが、それでもデールは初めて好きになった女性を諦めきれていないのだ。

 アベルが二人の仲を見せつけに来たなんて思うと不愉快極まりない。

 

 だが、自分は王である。

 ここは穏やかに笑って聞いてやろうではないか――。

 

 

 そんな笑顔で応えるデールに、アベルの話は意外なもので……。

 

 

「この城の倉庫の本棚を調べさせて欲しいんです」

 

「? どういうことですか? なにかあったんですか?」

 

 

 要領を得ないデールに、アベルはアリアの顔を見てから話し始めた。

 

 

 

 

「実は……――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アベルの説明にデールは「勝手にどうぞっ!!」と顔を真っ赤にして許可してくれた。

 去り際、彼がアリアを切なそうに見ていたが、アベルは知らない振りをして彼女の手を引き倉庫へ向かう。

 

 

 そういえばこの城の鍵――、まだ自分が持っている。

 

 いつか返さないといけないなと思いながら、許可は貰ったからいいかとアベルは倉庫の扉を開けた。

 

 

「……アリア?」

 

 

 倉庫に入ると、アリアがツボを見ている。

 以前調べたから今回改まって調べたりはしないが、あのツボは確か――。

 

 

「あ。ははっ、アリアが嵌ったのって、あのツボだったっけ」

 

「……」

 

 

 アベルの指摘にアリアは恥ずかしそうに頬を染めた。

 記憶喪失中の彼女がお尻から嵌り込み、抜けられなくなったツボ。

 

 ……あの後ツボは壊したのだが、今はすっかり元通りだ。

 

 

「……記憶喪失中も君は可愛かったなぁ。今も可愛い……」

 

「!!」

 

 

 アベルが可愛い可愛いと褒めながらアリアの頬に触れると影が落ち、彼女は次の動きを察知してか、腕を突き出してくる。

 

 

「っ……! 今は二人きりなのに……」

 

「……(プックルとメッキ―がいるでしょ……、早く本を探そうよ)」

 

 

 キス回避と顔面を横に逸らされたアベルは頬を膨らませていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……さて、本探しである。

 

 

「確か、ルドマンさんが珍しい装丁だって言ってたな……」

 

 

 アベルは以前にも探した本棚を、今日は別の本目当てに探していく。

 

 

「……うーんと、これは違うなぁ。けど段は合ってるかな……?」

 

 

 “宝石大全”、“古の宝”、“希少な道具たち”……手に取りタイトルを目視すると、近いようなそうでもないような……。

 

 

 アベルとアリアは本棚を隅から隅まで探したが、珍しい装丁の本など見当たらなかった。

 

 

「はぁ……ない、か……。ひょっとしたらって思ったんだけどなぁ……」

 

 

 本棚の前でため息を吐くアベルの後ろでアリアがメモを書き書き。

 書き終えるとアベルの前に広げる。

 

 

 “ごめんねアベル、あなたの旅の邪魔をしてごめんなさい”

 

 

 アリアの書いたメモにはそう書かれていた。

 ……彼女の瞳は悲し気だ。

 

 

「……いいんだよ、アリア。君のせいじゃない、これは僕のせいだから。そんなこと言わないで。誰かが持ち出してるのかもしれないし、城の人に訊いてみようよ」

 

 

 ――そういえば、この城に学者がいなかったっけ……?

 

 

 もしかしたら、その人がなにか知ってるかもしれない。

 

 

 ……アベルは以前来た記憶を頼りに学者の部屋に向かった。

 




ヘンリー夫妻は不在、ラインハットに戻りながらのんびりと新婚旅行中です。
これまで国の立て直しに忙しくて旅行に行けてなかった的な(ヨシュアも邪魔してくるしw)。
ヘンリーはヘンリーで苦労しているのです。

機会があれば外伝でヘンリー夫妻の旅行記でも書ければいいな。マリアとイチャラブなー。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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