ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

声が出せずともね。

では、本編どぞ。



第六百六十二話 声が出せなくても

 

 【ステータスウィンドウ】を前にアベルが呟く。

 

 

「……マホトーンは掛かったままなのに……」

 

 

 ――呪文を封じられていても呪文を使えるというのか?

 

 

 アリアの数値欄を見るが、【マホトン】表示はそのままである。

 だがよく見てみると、【マホトン】の文字は他の欄にも書かれているような白い文字ではなく、ややグレーに近い色で書かれていた。

 

 それが今の呪文発動になにか関係があるのだろうか……。

 

 

 ……アベルの言葉にアリアはメモを綴る。

 

 

「なになに……呪文は気合……? そんなわけ……、けどまあ……アリアならなんかそれもありな気がしてくるから不思議だよ……」

 

 

 感心するアベルにアリアがにこにこと目を細めている。

 彼女の笑顔に釣られてアベルもつい笑顔になってしまった。

 

 そうしてアリアは再びメモを書き書き。

 ……アベルは読み上げる。

 

 

「……でも威力は弱いみたい……? あ、確かに……」

 

 

 続きがあるようなので、アベルはアリアの手元を追いかけた。

 

 

 “これじゃ戦闘のとき役に立てないね、ごめんなさい”

 

 

 ……書き上げたアリアはアベルを見上げ、しょんぼり顔で薄っすら微笑む。

 

 

「……ごめんなさいって……、アリアのせいじゃないよ。それに……」

 

 

 ――正直アリアに戦闘は期待してないんだ……、君は僕を癒してくれればそれで……。

 

 

 アベルは悲し気な瞳のアリアに言うに言えず、柔らかいシルクの髪を撫でた。

 

 これから仲間になる魔物はきっと強い者たちだろう。

 アリアの呪文は強力でありがたいが、回復、補助に回ってもらった方がいい。

 

 打たれ弱い彼女を前線に出すなんてこと、アベルは最初から考えていなかった。

 

 アリア本人は戦う気満々のようだが、彼女が死ねば二度と生き返らないという謎の人物の言葉もある。

 もちろん、生き返らせることができるとしても 殺させるつもりはないが、戦闘不能状態に陥る可能性は旅をしていればなくはない。

 なるべくそういう危険な目に合わせない様、彼女には今までのように後方にいてもらうか、馬車に待機してもらうか――。

 

 今後一緒に旅を続ければ、その内子どももできる。より一層注意を払わなければならない。

 

 

「……?(それに……?)」

 

 

 アリアはアベルが途中で黙り込んでしまったため、なんだろうと目を瞬かせた。

 

 

「……っ……(カワイイ……♡)」

 

 

 ――そう、君は僕を癒してくれればそれでいいんだよ。

 

 

 大きなアメシストに自分が映り込み、アベルは咽喉をこくりと鳴らす。

 そっと彼女の手を取ると静かに唇を寄せた。

 

 

「……!(あ)」

 

 

 アベルの影に覆われたアリアは咄嗟に目を閉じ、唇が離れると目蓋を開く。

 

 

「…………アリア、君はなにも心配しないで。僕が君の声を取り戻してあげるから」

 

 

 そう告げるアベルの唇にはアリアのリップが移り、艶々と光っていた。

 アリアはじっとアベルを上目遣いに見上げている。

 

 ……彼女の頬がほんのりと赤い。

 

 

「……ぅ、そういう目で見るの反則じゃないかな……」

 

 

 ――昨日の今日でするつもりはなかったんだけど、そんな目で見られたら……。

 

 

 アリアの声が出なくなったのは自分のせい――。

 

 

 わかっているのに、気付けばアベルはアリアの手首を掴んで引き寄せてしまった。

 

 

「……っ、ごめんアリア。僕、ちょっと抑えが利かないみたいだ……」

 

 

 ――今夜もしていい……?

 

 

 アベルはアリアから筆記具を取り上げ、床に置くと彼女をベッドへ押し倒す。

 

 

「……!(アベルっ……!)」

 

 

 ――うそ、今夜も……!?

 

 

 アリアの顔は真っ赤に燃えて、静かにアベルを見上げていた。

 

 

 アベルの手が【身かわしの服】の裾に伸びても、彼女に抵抗する様子はない。

 ……昨夜もう我慢しなくていいと言った言葉は本当らしい。

 

 

「……っ、いいの……?」

 

 

 ――アリアの太ももすべすべしてて気持ちいい……!!

 

 

 さわさわと白い内腿に手を這わせながらアベルが訊ねるも、アリアは口元に手を添え、むず痒さに“はっ、はっ”と荒めの息を吐き出すような仕草で身悶えるだけ……。

 

 声が出せないから当たり前なのだが、顰められる眉と赤い頬と、涙の滲む瞳がどうにもそそられる。

 

 

「な、なにアリア……そんな顔しちゃダメなんだよ……?」

 

 

 いつもなら“ダメ”とか“イヤ”だとか抵抗するのに、声が出せないだけで無抵抗に感じるのはなぜなのか。

 

 いや、アリアはいつも口では“いやいや”言ってはいたが、抵抗らしい抵抗はしていなかったような……?

 

 

 ……ふと気が付き、アベルはアリアを見下ろし目を細めた。

 

 

「……っ、アリア。君って誘い上手だよね……」

 

「……?」

 

 

 アベルの一言にアリアは目を瞬かせる。

 アリアからすれば、いったいなんのことかさっぱりらしい。

 

 

「……僕、君に嵌り過ぎておかしくなっちゃったみたいだ。責任を取ってくれるかい……?」

 

 

 昨夜のように無茶はしない。

 だが、今夜も大好きな妻を愛でようと思う。

 

 

 ……アベルは声の出せないアリアに少しずつ触れていき、苦し気に荒い息を吐き続ける彼女を最大限愛でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁー……」

 

 

 ――ごめんアリア、歯止めが効かなかった……。

 

 

 ベッドで涙を浮かべ眠るアリアの目元をそっと拭って、アベルは身体を起こす。

 

 

 先ほどまで夫婦の営みを行っていたわけだが、今夜は昨夜より回数は少な目だ。

 アリアが途中でぐったりしてしまい、さすがにまずいと思ったアベルは自重した……というほど自重はしていないが、善処した。

 

 “はっ、はっ”というアリアの息遣いと、苦しそうな表情――。

 

 アベルはMだが、アリアの態度にぞくぞくと心が打ち震える感覚を感じ、夢中で彼女の身体に溺れた。

 

 何度してもし足りない。

 明日もきっと抱いてしまうだろう。

 

 結婚すれば落ち着くかと思われた彼女への気持ちは、落ち着きとは程遠く膨らむ一方である。

 気持ちが落ち着くまでしばらくの間、アベルは毎日でも愛したい――。

 

 そんな欲求――アリアは応えてくれるのだろうか。

 

 

「……けど、なんか悪いことしてるみたいだったなぁ……」

 

 

 アベルは眠るアリアの髪を撫で、苦笑した。

 

 夫婦になった以上、営みはあって然るべき――なれど、声の出せないアリアをいじめているようで罪悪感は多少ある。

 

 

 ――でも、声を出せないのもまたいい……! だなんて言ったら怒るかな……?

 

 

 アリアには非常に申し訳ないが、そんな彼女にも萌えてしまったアベルであった。

 

 

「……可愛い♡ ……って声を出すアイテムを探さないと……!」

 

 

 眠るアリアの頬に口付けし、アベルは再び自分のベッドに戻ると“むかしの本”を読みだす。

 今夜中に声を取り戻させるアイテム名だけでも見つけておきたい。

 

 

「……アリア、きっと声を取り戻させてあげるからね」

 

 

 アベルはじっくりと“むかしの本”を読み込んでいった。

 




新婚さんなので……。

ちなみにアリアの紙に書いた呪文の威力は1/10くらいを想定。

・メラは火熾しくらいはできる(実用性がある)。
・ヒャドは小さな氷ができる(冷たい飲み物が飲みたい時に……!)。
・バギはそよ風、髪がなびくくらい。殺傷能力はない。
・ギラは花火みたい(シュッと小さな火が走る)。
・イオも花火みたい(パチパチっとな)。
・ホイミは気持ち回復したかなー?程度。掛けるだけムダ。
・補助系は気持ち掛かったかなー?程度。掛けるだけムダ。

中級、上級はレベルが足りないため使えません。

……とかいう設定にしております(必要ない気もするけど成り行きでこうなってしまいました)。
チートなんだかチートじゃないんだか……。
チートは好きだが、俺強ぇは好きではないのでこんな形に。

アリア再びポンコツへ――。
とはいえ結婚後のアリアは、しばらく馬車組になる予定だったりします。
毎晩アベルの攻撃がすごいwのと、アベルの過保護により自然とそうなってしまうという……。

なんたって、仲魔たちが強いからね~。
嫁おらんでも問題ないわけですよ……。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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