ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

目覚めたら瀕死とか。

では、本編どぞー。



第六百六十三話 目覚めたら瀕死

 

 

 

 

 

 そして夜が明けた……!

 

 

 

 

「おはようアリア! 見つけたよ……!!」

 

「……」

 

 

 アベルの明るい声が降り注ぎ、アリアは目蓋をゆっくりと開いていく。

 

 

 身体中が怠い……。

 そして下腹部が痛い。

 

 

 ……そんなアリアは今日も起き上がることができなかった。

 

 昨日の二の舞ではないか。

 しかし、なぜだろう……アベルの明るい笑顔を見たら、そんなものどうでも良くなってしまう。

 

 今日のアベルも眩しい。

 朝陽を背にしたアベルの黒髪と、浅黒い肌がツヤツヤと輝いて見える。

 

 好きな男が嬉しそうに微笑んでくれていたら、それだけで幸せだと思えて、アリアは顔を綻ばせた。

 

 

 “お・は・よ・う”

 

 

 ……彼女がゆっくりと唇を動かす。

 

 

「おはよう♡ 起きられる?」

 

「……」

 

 

 ――それが無理そうなんだよね……。

 

 

 訊ねられたアリアは口角をそっと上げて誤魔化した。

 

 

 昨夜は初夜よりましだったとはいえ、二日連続でするとは思わなかった。

 

 ……アベルの性欲を完全に舐めていた。

 

 とはいえ、好きな男に求められ拒否できるはずもなし。

 いつの間にかアベルに触れられると、勝手に反応してしまうようになった自分の身体が憎い……。

 こうして起き上がれないとなると、体力のなさを痛感せざるを得ない。

 

 やはりバグの存在である自分は、主人公たちとは身体の作りが違うのだ。そう思ったアリアはため息のように“ふぅ”――、小さく息を吐き出す。

 

 

 ……中々起き上がろうとしないアリアにアベルが身体を起こしてくれるが、全身に力が入らず、彼の手が離れると脱力して再びベッドに倒れ込んだ。

 

 

「っ、アリア!? 大丈夫かい!?」

 

「……」

 

 

 アベルは驚き、慌ててアリアの身体を起こすが、彼女はただ微笑んでいる。

 

 

「…………ちょっと待って……」

 

 

 アリアの様子にアベルは、今朝はまだ見ていなかった【ステータスウィンドウ】を開き確認してみた。

 

 

「うわ……っ、ごめんっ! ベホマッ!!」

 

 

 アリアの欄を見ると、彼女の体力数値(【HP】)が10――。

 ……瀕死状態である。

 

 アベルはすぐさま回復呪文を彼女に掛けた。

 

 

「っ、ごめんなさいっ! そんなまさかエッチして瀕死になるなんて思ってなくて……!!」

 

 

 床に膝をつき、青褪めた顔でアベルが土下座する。

 

 

「……」

 

 

 アリアはそんなアベルの肩に触れ、それを止めた。

 

 

「っ、ごめん……!」

 

 

 アベルが顔を上げて謝るがアリアは首を横に振り振り。

 回復してもらったお陰で身体を起こすことができ、彼女はメモを手に取り書き始めた。

 

 

「……気にしないで……、体力がないだけだから……?」

 

 

 書いたメモをアベルに渡し、彼が読み上げる。

 

 

「……筋トレして体力つけるから大丈夫……、アベルももう少し手加減してくれるとうれしい……か……、アリア……」

 

 

 続く文字にアベルは眉を下げた。

 

 

「……わかった。もうちょっと手加減する……。昨日の三回は自重したつもりで……全然足りなかったけど、君が心配だから毎日一回で我慢するね……」

 

「……!(毎日!?)」

 

 

 ――足りないってナニ!? 三回って多くない!?

 

 

 アベルの申し出にアリアは目を見開く。

 

 ……どうやらアベルは性欲が強い人らしい。

 いや、薄々感じてはいたが毎日とは……。

 

 

 “ゾッ”

 

 

 瞬間アリアの背中に寒気が走った。

 殊勝な態度で告げるアベルの前で、アリアの額からは冷や汗がダラダラと垂れる。

 

 アベルのことは大好きだし、夫婦の営みはこちらとしてもしたい。

 だが、毎日となると話は別である。

 

 体力が回復しても気怠さは残るのだ。戦闘でのパフォーマンスが落ちるではないか。

 

 

(私、とんでもない人と結婚してしまったのでは……?)

 

 

 ……アリアがこれからのことを考えていると、アベルの手が頬に伸びた。

 

 

「ごめんねアリア、愛してるよ。毎朝ベホマ掛けてあげるからね」

 

「……!(も、もぉっ……!)」

 

 

 優しい眼差しで見つめてくるアベルに、アリアはぽっと頬を赤く染め、徐々に近付く唇を受け止める。

 

 

 ――ああ、この人には敵わないなぁ……。

 

 

 昔からだがアベルの瞳に見つめられると、彼に従いたくなってしまうのはなぜなのか。

 

 毎朝ベホマを掛けてくれるなら まぁいいか……なんて都合よく誘導されている気がするが、これも惚れた弱みだ。

 

 自分が本当に拒否すればアベルなら止めてくれるだろう。

 我慢期間が長かったからしばらくは付き合ってやりたい。

 

 とりあえず一週間もすれば落ち着くはず――と予想して、口を塞がれたアリアは今後のことをアベルに任せることにした。

 

 

「……フフ。アリア今日も可愛い……♡」

 

 

 唇が離れると、アベルはにこにこと目を細め、アリアの頭を優しく撫でる。

 彼女が嫌がらずに受け入れてくれるのが嬉しいのだろう、アベルの腕はそのままアリアを抱きしめた。

 

 

「……」

 

 

 ――アベルすき……、落ち着く……、でもちょっと溺愛が過ぎませんか……?

 

 

 不意に抱きしめられたアリアは、戸惑いながらも彼の背に手を回す。

 自分よりも体温が高く、硬い胸板に包み込まれると安心感とともに鼓動が逸った。

 

 

「……ああもう、好い匂いがするぅ……♡」

 

「!」

 

 

 アベルの鼻先がアリアの耳傍でひくひくとうごめき、吐息が掛かる。

 ぺろっと首筋を舐められた。

 

 アリアはくすぐったさに眉を顰める。

 

 まさか朝からするつもりなのか――、アリアから見たアベルの瞳は爛々とし、興奮しているように見えた。

 

 

 ――まだ朝ですけど……!?

 

 

 でもでも、アベルが望むなら私はいつでも……♡

 

 

 アリアは既にやわやわと揉まれ、形を歪ませる白い【スライム】を見下ろし、瀕死になる覚悟を決める。

 

 

「……アリアすき……♡ ……ハッ! だ、ダメだ。こうしてる場合じゃなかった」

 

「……?」

 

 

 幸いにもアベルが我に返り、アリアの白い【スライム】から手を引いた。

 ……いったいなにを思い出したのだろう。

 

 アリアはちょっぴり残念そうに眉を下げ、アベルを見つめる。

 

 

「アリア! 君の声を元に戻すアイテムの名前がわかったんだよ!」

 

「!(わおっ!)」

 

 

 ――すごい……! さすがはアベル……!

 




アベルは毎晩アリアに痛恨の一撃を……、いや、その内会心の一撃を……って、何を言うてるんや……。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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