ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

ほこらにはツボが置いてあるんですよね。

では、本編どぞ。



第六百六十六話 不思議なツボ

 

 

 

 

 

 そうして、馬車で新たな仲魔(?)が現れる中、アベルたちは船に乗り、ルドマンの言う小島のほこらへと到着する。

 

 

「アリアー、到着したよー……って……、なんで汗だく……!?」

 

「……」

 

 

 アベルがキャビンを覗き込むと、アリアは汗だくで“はぁはぁ”と荒く息を吐き出していた。

 

 

「っ!? 具合でも悪いのかいっ!?」

 

 

 アリアの様子にアベルはキャビンに乗り込み、彼女の額に触れる。

 頬や首に汗が流れて、なんだか艶かしく感じられたが、アリアが心配で邪な考えは頭を振って掻き消した。

 

 

「……熱はないみたいだね。よかった……」

 

「……(ごめんなさい、アベル……)」

 

 

 ――違うの~……!

 

 

 口が利けないというのはとても不便である。

 

 アリアはたった今まで「筋トレしてました!」と言えずに、自身を気遣ってくれるアベルに申し訳なくなり縮こまった。

 

 

「アベルん、アリアは運動してただけヨン」

 

「え? 運動?」

 

 

 キャシーの言葉にアベルはアリアを見下ろす。

 彼女は“うんうん”と頷いていた。

 

 

「なんで運動なんか……、あ、ひょっとして体力をつけたいって話……?」

 

 

 アリアの答えは“はい”。

 一度だけ首を縦に下ろす。

 

 

「はははっ! そっか。早速筋トレしてたんだね。くくくっ、すぐ始めるとか君って行動力あるよね」

 

「……(体力大事でしょ……?)」

 

 

 つんつん。

 アリアはアベルの逞しい胸を指先でつついて、上目遣いに見つめた。

 

 

「……っ、コホンッ。そうだねっ、体力は大事だよね……っ!」

 

 

 ――アリアの体力が増えれば、あっちも増やせる……?

 

 

 一朝一夕では体力がつくことはないが、毎日続ければきっと身になってゆく。

 アベルはなるべくアリアの筋トレに付き合ってあげようと、そっと汗を拭ってやった。

 

 ……後日アリアの【ちから】と【みのまもり】が上がるのだが、それは少し先のことである。

 

 

「……アリア、その髪型……ポニーテール? だったっけ……。似合うよ、可愛い」

 

「!」

 

 

 元々は掃除のために束ねた髪――所謂ポニーテールは動きやすい。

 修道院でも度々していた髪型だが、筋トレ時にはこのスタイルで行こうと決めた。

 

 しかし、アベル――。

 

 

 ――アベル褒め過ぎでしょっ……!

 

 

 褒められたアリアの頬は“ぽぽぽ”と赤く色付いた。

 

 

 

 

 ……さて、ほこらへと向かおうではないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……このほこら……」

 

 

 やって来た小島のほこらは森の中にあり、ほこらを囲むようにして木々が風に吹かれそよそよと吹き抜け、アベルが呟く横でアリアの髪を揺らした。

 

 強い結界が張られているのだろう。魔物の気配がほこら周辺には全くせず、鳥たちの声が時折聞こえるだけで静かなものだ。

 

 ルドマンから渡された鍵でアリアが入口の扉を開き中へ入ると、巨大な円状に見慣れない魔法陣が描かれていた。

 

 

「どこから入ればいいんだ……?」

 

 

 なぜかこの場所の記憶が降りて来ていないアベルは、一度魔法陣の周りを一周してから歩き始めた地点へと戻ってくる。

 

 

「……(ここ……)」

 

 

 ――魔法陣からすごい強い魔力を感じる……なにか封印でもしてるみたい……。

 

 

 アリアは魔法陣をぼぅっと見下ろす。

 複雑に描かれた魔法陣からは強い魔力を感じた。

 

 

「……あ、ここから入れそうだ。アリア、行こう」

 

 

 アベルが地下に下りる階段を見つけると、魔法陣を眺めるアリアの手を取り下りて行く。

 魔法陣は人を弾くものではないらしく、入る際に触れたがすんなりとアベル達を地下へ通した。

 

 ほこらの中は巨大な井戸のような構造となっており、壁に沿うように階段が設けられ――その螺旋階段はかなり長く続いている。

 

 

「ついでにツボの様子も見て来て欲しい……だっけ」

 

「……」

 

「アリア。目を回さないよう、ゆっくり下りよう。転ばないようにね」

 

 

 アベルの優しい気遣いにアリアは手を引かれたまま、深く頷いた。

 

 

 ……ぐるぐるぐると、螺旋階段を下り続けて漸く地下フロアへと辿り着く。

 部屋の中央には淡く青い光をたたえる猫の顔を(かたど)った蓋付きの大きなツボが安置されていた。

 

 地下に着くなりアベルはアリアの手を放し、早速壁を調べ始める。

 

 

「……(あのツボ……かな、フタが付いてる……)」

 

 

 アベルが壁を調べる中、アリアはツボが気になるのか、そちらへ近づいて行く。

 

 

「がう(アリア、不用意に近付くな)」

 

「!?(プックル!?)」

 

 

 魅入られたようにツボに近付くアリアのスカートの裾をプックルが引き留めた。

 メッキ―と、パペックはアベルに付き添い、壁を調査中だ。

 

 

「……(でも、このツボ……中に……)」

 

 

 アリアがツボに触れようとすると、青い光をたたえたツボが一瞬だけ赤い光を帯びる。

 

 

「「!?」」

 

 

 アリアは目蓋を擦り、見間違いかとツボに目を凝らす。

 プックルはビクリと毛を逆立て、アリアからスカートを放した。

 

 

「……(気のせい……?)」

 

 

 ――今、一瞬赤く光ったような……?

 

 

 ツボから一瞬だけ強い力を感じた気がしたが、気のせいだったのだろうか。

 プックルが離れ、アリアはそっとツボに触れた。

 

 

 ……ツボは青い光をたたえている。

 

 

「……(なにを封印しているんだろう……)」

 

 

 ツボから僅かだが、温かさを感じる。

 

 

 ――外に出たがってる……?

 

 

 アリアは首を傾げた。

 そんなアリアに壁を調べていたアベルから声が掛かる。

 

 

「アリアー! ちょっとこっちに来てー!」

 

「!(はーい!)」

 

 

 アリアはアベルに呼ばれて駆けて行った。

 

 

「グルルル……」

 

 

 ――アリアの目、さっき一瞬赤く光った……コワイ……。

 

 

 プックルはガクブルしながらアリアの後を追う。

 

 

 

 

 ……プックルが驚いたのはツボが赤く光ったからではなかったのだ……。

 

 




このほこら、ゲーム中ではツボを確認するだけなんですけどね。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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