さぁ、サンタローズを出ましたよー!
こっからまた長いんだな~。
では、本編どうぞっ。
パパスが先頭に立ちアベル達はサンタローズを一度南下し、途中で東へと方向を変え、歩みを進めていた。
「アリア、大丈夫?」
『うん、平気。プックルのお陰で楽ちんだよ』
「がうがうっ」
アベルが声を掛けると、アリアはプックルの背に跨りにこにこと微笑んでいる。
先程、魔物の群れに襲われアリアはスライムに足を齧られ、怪我をしていたのだった。
足首が赤く腫れている。
スライムからアリアの姿が見えるのを失念しており、油断した結果である。
「
『平気だよ。ほら、大分腫れも引いて来たし。むしろ楽出来てラッキー的な?』
アリアはアベルに脚を上げ足首を見せびらかし、そこまで痛くないよと笑う。
その拍子にスカートが開けて、中のパンツが見えてしまった。
白(綿パン)である。
「っ! ちょ、ちょっとアリア! パンツ見えてるよっ!?」
『へ? あっ、やだっ! アベルのえっち!』
瞬時にアベルの頬が真っ赤に染まり、アリアは慌ててスカートを下ろす。
アベルは「僕はそんなつもりじゃ……!」とアリアから視線を外した。
「…………アベル……?(ありゃありゃと……何か困っているのか……?)」
前を歩くパパスが歩きながら首だけ後ろに向ける。
行く先、周りを警戒しつつ、アベルの様子も時折振り向いて見ていたが、アベルは前を見ずに横を見ながら、まるで誰かと話をしているかのように独り言を発しているではないか。
そういえば、サンタローズに居た時もアルカパに行った時も独り言が多かったが、やはり悩み事でもあるのかとパパスは心配していた。
ところが、そんなものは杞憂に終わる。
「プックル、ちゃんと護ってよね!」
「がう? ガウガウッ!!」
アベルがプックルに自分の身を護るように言い聞かせているのを見て、パパスは安心したのだった(実際はアリアを護るように言い聞かせていたわけだが)。
それからしばらく歩いていると、大きな河に差し掛かる。
水量、幅、共にサンタローズやアルカパに流れている川とは比べ物にならない程のその流れは、小舟で渡るには厳しい。
橋でもあれば向こう岸に渡れるのだろうが橋らしきものは見えず、代わりに河側に煉瓦造りの建物が建っている。
アベルはやがて近づく大きな流れに口を開いた。
「大きな河だなぁ……」
「そうだな、地下道を通って河を越えるんだ」
地下道? とアベルとアリアが首を傾げる中、パパスは建物の中へと入って行く。
建物に入ると槍を持つ兵士の服を来た男が一人、奥に続く通路の入口を塞いでいた。
屋内を見ると、旅人の待合所らしきものがあり、それを警護する兵士。背後に見える下り階段と地下道。
つまり、ここは国境なのでは?
アリアは河川で県境とかあるし、そんな感じかな、と認識したのだった。
『……関所みたいね』
「関所……?」
アリアとアベルはこそこそと小声で話す。
その内に、パパスは兵士に話し掛けていた。
「私はサンタローズに住むパパスという者だ。ラインハット国王に呼ばれ、お城に伺う途中である。どうか通されたい!」
「おお! あなたがパパス殿ですか!? 連絡は受けています。どうぞお通り下さい!」
声を掛けられた兵士は始め怪訝な顔を見せたものの、パパスが名乗った途端、不埒な輩じゃなくて良かったと思ったのだろう、安堵した顔で道を譲ってくれる。
「うむ」
パパスが地下道へと歩いて行くので、アベル達も後を追う。
兵士はパパス達が地下道への階段を下って行ったのを見送ると、小さくため息を吐いて、持ち場に戻って行った。
アリアはプックルの背に乗りながら兵士を見ていて、ふと口を開く。
『……あの人、一日中一人で勤務しているのかな……?』
「ん?」
『だって、ここ、何もないじゃない? 忙しいならともかく、暇なら退屈よね。スマホもないし……』
他に人を見掛けないし、ため息の一つも出るよね……。
普段どれ程の往来があるのかはわからないが、一日中ここに一人で居るのは大変な仕事なのだろうな、とアリアは思ったようだ。
「すまほ……って何?」
『え? あ、ふふっ、魔法の箱……かな? 世界中の人とやりとりしたり、時間を確認したり、音楽を聴いたり、ゲームしたり。色々出来るの』
「へぇ……! すごい箱だね」
『そうそう、薄いんだけどね』
“これくらい”とアリアは両手指で大きさを何となく説明する。
アベルは「アリアの居た所はすごい所なんだね」と興味津々で聞いていた。
『……地下道、すごいなぁ。水漏れとか全然してない』
少しカビ臭さを感じる気もするが、上を河が流れているのだから仕方ない。
アリアは地下道を見上げながら感心している。
この世界って、何気に建築技術が高いと思うのよね。
レヌール城も草臥れて一部壊れてはいたけど、七階建てだったし、アベルの家にも地下室があったし。
私に建築の専門知識はないけれど、ただただ凄いなって思うわ……。
ゲームだから……と言ってしまえばそれまでなんだけれど……、私にはリアルだもんなぁ……。
アリアは遠い観光地に来ている気分で、天井や壁を眺めていた。
そうして歩いている内に、前方から陽の光が見えて来る。
向こう岸へと着こうとしていた。
「もう向こう側に出るみたいだ」
アベルが出口階段を指差す。
階段を上り、無事向こう岸へと出るとパパスが口を開いた。
「アベル。ここから先はラインハットの国だ。この上からの川の眺めは中々のものらしいぞ」
「へぇ……」
アベルに説明し、パパスは階段の上に設置された見晴台を見上げる。
「よし! あまり時間はないがお前にも見せてやろう」
ついておいでと、パパスは見晴台へと向かった。
アリアのパンチラ。
パンチラくらいいいでしょ、パンチラくらいさぁ。(何だよwww)
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読んでいただきありがとうございましたっ!