ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

さあ、船に乗りますか!

では、本編どぞー。



青年期・前半【大海原へ】
第六百七十話 船に乗る?


 

 

 

 

 

 ……場所はポートセルミ。

 アベルたちは道具屋に立ち寄り道具を買い足した後、港へと至る。

 

 港のドックに入る頃には日が傾き始めていた。

 

 

「わぁ~、アベル見て! こんなに大きい船だったんだね~!」

 

「この船なら世界中どこへでも行けそうだね」

 

「ねっ♡ 楽しみだな~♪」

 

 

 ドックには巨大な船が停泊しており、船員たちが忙しなく動いているのが遠目で見える。

 ルドマンからの連絡を受け、船員たちは出港準備に忙しいのだろう。

 

 ……アリアのはしゃぐ姿にアベルは目を細める。

 

 

 

 

「うあぁぁ~! せっかく買ったボトルシップを落っことしちゃったよ!」

 

 

 

 

 船に注視していると、近くから慌てたような声が聞こえた。

 

 船の見物人なのだろうか。海の中に【ボトルシップ】を落としたらしい若者が、頭を抱え「せっかくこづかいを貯めて買ったのに……!」と嘆いている。

 

 

「……ボトルシップ……?」

 

 

 若者の嘆きが聞こえたアリアはこの世界にも【ボトルシップ】があるのかと目を瞬かせた。

 

 

「ん……? どしたのアリア」

 

「あ、ううん。ボトルシップって……ビンの中に入ってる船の模型のことよね?」

 

「へ? あ、たぶん……? アリアって結構物知りだね……」

 

「そう? あっ、あそこ……! ボトルシップを売ってるみたい。ちょっと見てもいい?」

 

 

 この世界にも【ボトルシップ】があるのなら見てみたい。

 そう思ったアリアは近くにボトルシップと値札をテーブルに置き、商売している商人を見つける。

 

 

「もちろんいいよ」

 

 

 アベルが快諾すると、二人は商人の元へ向かった。

 

 

「いらっしゃいませ! ポートセルミ名物ボトルシップの売り場はこちらですよ。これだけ丁寧に細工されてて値段はたったの1000ゴールド! お買い上げになりますね?」

 

「はい! ください!」

 

「えっ、アベル、私別に買ってなんて言ってな……」

 

「いいからいいから」

 

 

 商人が売る気満々で【ボトルシップ】を見せつけてくるので、アベルは即買いする。

 アリアが興味を持ったものなら買ってよし、だ。

 

 

「まいどあり! それではそのふくろに入れておきますね!」

 

 

 会計を済ませると、アベルはアリアに微笑んだ。

 

 

「アリア、船に乗ったらゆっくり見るといいよ。この町の名物だってさ」

 

「アベル……。買ってくれてありがと……♡ 見るの楽しみ♪」

 

「どういたしまして♡ 君に喜んでもらえたなら嬉しいよ」

 

「ふふっ、アベルだいすき♡」

 

「はははっ♡」

 

 

 アリアがアベルの腕を抱きしめ頬を摺り寄せると、アベルは頭の後ろを掻き掻き破顔する。

 

 

 ……アリアは【ボトルシップ】を欲しいと言ったわけではない、ただ見たかっただけなのだが、買ってしまったのならお礼を言うしかない。

 

 見るだけで良かったのに……とは言わない。アベルの心遣いが嬉しいのは事実だから。

 

 とはいえ、1000ゴールド。大金ではないか。

 安価な食べ物類ならともかく、武器でも防具でもない物――アベルに無駄遣いをさせるのは忍びない。

 

 これまでもなにかとアベルはアリアに物を買い与え、貢いでいる。

 結婚前のアリアは未来の花嫁に申し訳ないからと、いつも食べ物類しか殆ど受け取らないようにしていたのだが、結局結婚したのは自分であった。

 

 ……多少は受け取ってもいいのかもしれない。

 

 だが妻になったからとて、なんなのか。アベルを破産させるわけにはいかない。

 夫婦になったからこそ、サイフの紐は引き締めなければ。

 

 彼にはなるべく欲しいものは言わないでおこう……と。アリアは興味のある売り物は不用意に口にしないよう、気を付けることにした。

 

 

(私がしっかりしなきゃ、アベルすぐお金使っちゃう……。)

 

 

 アリアは嬉しそうな笑顔を見せるアベルに微笑み、再び逞しい腕に頬を摺り寄せる。

 アベルの手がアリアの頭を撫でて、二人は船へ――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 船の乗降口に近付き、アリアが気恥ずかしさにアベルからそっと離れると、歩み板の前にいた船乗りの男が声を掛けて来る。

 

 

「ん? もしかしたらあんたアベルさんかい?」

 

「あ、はい」

 

「やっぱりそうか! ルドマンの旦那から連絡をもらったぜ! さあ、これがルドマンの旦那の船だ。自由に乗ってくんなっ。船出を前に酒場に行けば色々聞けるかも知れないぜっ」

 

「あ、酒場……」

 

 

 男に酒場の話を出され、アベルはポートセルミの酒場にはしばらく来ていなかったことを思い出した。

 

 

「酒場に行って来なっ。こっちはいつまでも待っててやれるからさっ!」

 

 

 男に背を押され、アベルたちは船乗りに会釈しドックを後にする。

 

 

「ね、アベル」

 

「ん?」

 

「キャシーとパペックを置いて行かなきゃ」

 

「あ、そっか。そうだったね! ハハッ、アリアと歩いてたら忘れちゃってたよ」

 

「ふふっ♡ 実は私もなの! アベルと歩いてたらすっかり忘れちゃってた!」

 

 

 酒場を思い出したついでに、アリアはキャシーとパペックのことを思い出したらしい。

 

 ポートセルミにはモンスターじいさんがいるのだ。

 

 二人はドックを出た足でそのままモンスターじいさんの元へ向かう。

 モンスターじいさんの元へ着くなり、キャシーとパペックを預けようとするが、キャシーはお冠で――

 

 

「まったく、ダァサンと離れ離れになって何日経ってると思ってルノッ! 船にまで乗せられるかと思ったじゃナイ! アリアッ!!」

 

「忘れててごめ~ん! 今度おごるから……ね?」

 

 

 忘れていたのはアベルもなのだが、キャシーがアベルに怒りをぶつけることはない。

 なぜか彼女はアリアに詰め寄り不満をぶちまけていた。

 

 

「今度買い物に付き合ってもらうカラネ!! アイスクリームおごってヨネ!」

 

 

 アベルが“なんで僕に怒らずアリアに怒ってるんだ……”と傍観する中、キャシーはアリアの服の裾を引っ張り唇を窄ませる。

 

 ……その光景は駄々をこねる子どものようだ。

 

 

「わかった。アイスクリームだね! いいよいいよ。……あ、ほら、キャシー。ガンドフが迎えに来てるよ?」

 

「……なにヨ……、っ!? ダァァアアアア……サァァアアアアンン……♡♡♡」

 

 

 アリアがにこにこと応対していると、檻の奥からガンドフの姿が現れキャシーを手招きした。

 

 檻に背を向けていたキャシーだったが、アリアの指摘でそちらに目を向けガンドフを視認すると軽い足取りで走って行く。そしてガンドフに抱きつき二人はそのまま檻の奥、闇の中へと消えた。

 

 

「コキ、コキ、コキッ!」

 

「パペック……師匠! 元気でねっ! また一緒に踊ろうね!」

 

 

 パペックは紳士がするように片手を背に、もう片方の手を優雅に振り胸の前で構え、一礼。礼を済ませると檻へと入って行く。

 

 アリアは満面の笑みで手を振っていた。

 パペックは檻に入って振り返り「コキッ、コキッ!」と、その場で一回転してから闇へと消えた。

 

 

「またいつでも来るがええぞ」

 

 

 無事にキャシーとパペックを預け、モンスターじいさんの家を後にし――。

 さて、お次は酒場で情報収集……と、二人は町の中を歩く。

 

 

「……アリアって魔物の扱いが上手いよね。ひょっとして、僕よりも上手いんじゃ……」

 

 

 ――アリアは僕がいなくても魔物を仲間にできるんじゃ……。

 

 

 そうすると自分の存在価値がなくなるのでは……?

 

 

 アベルが仲間にした魔物のキャシーもパペックも、アベルに挨拶などせずに去って行った。

 それは今回だけではない。

 

 どの仲魔も皆アリアに挨拶を忘れないのだ。

 しかもアリアは魔物の言葉まで解かる。

 

 ……アベルはアリアにちょっぴりライバル心を抱いてしまった。

 

 

 そんなアベルにアリアは。

 

 

「そんなこと……。アベルの命令じゃないと、みんな言うこと聞かないじゃない?」

 

「え、そう?」

 

「うん、戦闘中なんかは特にそう。やっぱりアベルじゃないとみんな従ってくれないもの。仲間がいっぱいできたのはアベルのおかげだし、アベルがいてくれてよかった~♡」

 

「……ははっ……やっぱり? やっぱ僕って魔物使いの才能あるよね~……!」

 

「うん、アベルは天才だと思う! 尊敬しちゃう。頼りにしてるよっ♡」

 

「っ、ああ! 任せて!」

 

 

 上目遣いで褒めちぎるアリアに、アベルの顔はデレデレと――、ほんのり頬を赤く染め、頭の後ろを掻いていた……。

 




船乗らへんのんかーい!w

スムーズには行かないのが私流。というわけで、出航はまだしません。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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