ギャグえち回です。
では、本編どぞー。
二人に憐憫を掛けられたゆうじいだったが、同情は要らない様子でアベルの腰に掛けられた【ふくろ】に顔を突っ込んだ。
ゆうじいの思わぬ動きにアベルが驚く中、斜め後ろのアリアも目を大きく見開く。
「なっ!? ゆうじいさん!? それは私のなんですけど……!?」
――いくらアベルがいい男だからって、いきなり過ぎでしょ! そこに顔を埋めてもいいのは私だけなんだからねっ……!
何を勘違いしたのか、アリアの位置からはゆうじいがアベルの跨ぐらに顔を突っ込んでいるように見え、彼女はアベルの腕を引っ張った。
「……わ、私のって……アリアどういうこと?」
「だって、アベルは私の旦那さまなんだよ!? 私以外の人に食べられちゃったらダメなんだよっ! アベルは男でも魅了しちゃうんだから気を付けないと……!」
アリアの言っていることが理解できないアベルは、ゆうじいをそのままに訊ねるが彼女は必死にアベルに訴えかけている。
「……食べ……? あの、えと……うん?」
――アリアはいったいなんの話をしているんだ……?
訴えかけるアリアの頬が赤い気がするが、辺りが暗いためはっきりとしない。
……アベルの【ふくろ】の中にゆうじいの顔が埋まっている。
ゆうじいは【ふくろ】に顔を突っ込んだまま「ふむふむ」と首を上下に動かしていた。
幽霊だからか触れることはできないが、【ふくろ】の中を見ることはできるらしい。
「ゆうじいさんっ! おいしいバナナが食べたいなら馬車にありますからぁ~!! そのバナナ食べないでぇっっ!!」
「ばなっっ……!! アリアのあほっ! 違うよ、よく見てっ!」
――そういうことか……!
ゆうじいの謎の動きにアリアは堪らず身を乗り出すが、アリアの言葉を理解したアベルは顔を真っ赤にして手刀を入れた。
「……ふぇ?」
アベルの手刀は優しく、ゆうじいを止めるべく身を乗り出した涙目のアリアの額に触れるだけ。
彼女は目をぱちくりさせる。
アリアがよくよく確認してみると、ゆうじいは
……それに気付いたアリアの顔が徐々に茹で上がっていく中、【ふくろ】に埋まったゆうじいの顔が出てくる。
「おおう! その若さでこれだけの名産品を集めるとは、お前さんなかなかやるのう! わしは幻の名産品を持って来た者にこの博物館を譲ろうと思っておるんじゃ」
これまでアベルは各地で名産品を手に入れている。その確認をしたのだろう。
【ふくろ】から顔を離したゆうじいの目はキラキラと輝いていた。
そして――。
「はぁ、見てみたいのう……。あのメダル王の城に隠された幻の名産品というやつを……」
ゆうじいはアベルに期待を込めてちらちらと流し目を送るも、アベルとアリアは互いに顔を真っ赤に染め、見つめ合ったまま沈黙している。
「……はぁ、メダル王の城はここからそんなに遠くない島にあるのに……期待したわしがバカじゃったよ……」
二人の世界にゆうじいはしょんぼりと肩を落とし、建物内へと去って行ってしまった。
「……僕はアリアのものなの……?」
「っ……ぁ、その……。私勘違いしてたみたいで……」
――だって、そう見えたんだもん……! ゆうじいさんが妙な動きをするから……!
紛らわしいのよっ……!
アベルの指摘にアリアは顔を両手で覆う。
穴があったら入りたい……アベルと目を合わすことができない。
……アベルは顔を隠すアリアをしばらく見ていたが、鼻から息を吹き出した。
「……ふぅ、アリアってエッチだよねぇ……?」
「っ!?」
少々呆れたようなアベルの声に、びくりとアリアの肩が揺れ動く。
「ホント君ってさあ……。毎晩瀕死にさせてるのは申し訳ないって思ってるんだけどさ……僕だけが悪いわけじゃないと思わない?」
「え、どういうこと……?」
アベルが問い掛けると、アリアは恐る恐る手を退けた。
相変わらず上目遣いで見上げて来る、彼女の紫水晶に映るアベルの瞳は優しい。
「アリアは僕のものだし、僕はアリアのものだからお互いさまだよね?」
「ぁ、ぅ、ぅん……」
アリアの頬にアベルの手が触れる。優しく撫でられたアリアは目を閉じ、アベルの手に頬を摺り寄せた。
「……可愛い……。ゆうじいさん居なくなっちゃたし、今夜は馬車で休もっか♡」
頬を摺り寄せる彼女に“猫みたいだなー”……などと目を細めつつ、ゆうじいが居ないことに気付いたアベルはアリアを抱きしめる。愛しい気持ちが抑えられず、彼女の頭に頬を摺り寄せた。
愛妻を抱きしめていると幸福感に満たされるが、下半身は正直に反応してしまうのは定期である。
「……っ、こ、今夜も……?(アベル、どうしてすぐ大きくなっちゃうの……)」
……
以前からだが、アベルとこうしてハグ――抱き合っていると、高確率で硬いナニかが腹部辺りに触れるのだ。
男性の生理現象など知らない彼女は、始めは“なぜ? どうして”と思っていたのだが……。
アベルに訊いたら、そういうものだと言われたため、そういうものだとありのままに理解するよう努め途中である。
「嫌だった?」
「……イヤじゃないから困ってるんだよ……」
胸元にアリアのさえずる心地の良い振動が伝わり、アベルの顔はにやけが止まらない。
「そっか~、まあそうだよね……! アリアが僕を拒否するなんてできないよね~!」
――ああ、僕の奥さん可愛い……!
今夜もたっぷり愛でようと思う――と、アベルは名産博物館の敷地内でキャンプすることにした。
『ああんっ、アベル揺らし過ぎだよぉーーっ!(船の中と変わらないじゃないっ!)』
……キャビンに積んだマットレスが浮き沈みを繰り返し、ボヨンボヨン。アリアの【スライム】がリズミカルに踊り、キャビンの床はギシギシ軋む。
馬車の車輪に車止めを施し、久しぶりの陸で揺れずに安定した床での就寝となったが――二人にはあまり関係がなかったようだ。
◇
◇
◇
「ね、アベル。ゆうじいさんの夢、叶えてあげられないかな?」
「夢?」
……二人は第一試合を交えた後横になりながら、【ランタン】の灯りの下でゆうじいについて話し合う。
「うん、名産博物館を開きたいっていう夢。ゆうじいさんは夢を叶えられなくてオバケになっちゃったんでしょ? 幸いアベルは名産品を色々持ってるんだし、叶えてあげたら成仏できるんじゃないかなって」
「フム……、うーん……」
アリアはゆうじいに成仏して欲しいのだろうか……。
幽霊のまま、名産品を集めてくれる人を待ち続ける――、確かにずっとこの世に留まるのは霊にとっても良いことではないだろう。
……幽霊といえば、幼い頃オバケ退治をしたレヌール城を思い出す。
墓で静かに眠っていた国王夫妻に嫌がらせをし、幽霊として起こされた城の人々を操り、レヌール城を魔物の巣窟へと変えた【おやぶんゴースト】のような魔物が再びどこかに現れないとも限らない。
今は神聖な気で満たされている名産博物館も、ゆうじいをこのまま放っておけば、レヌールの二の舞になる可能性だって無きにしもあらず。
……アベルはアリアの話を聞きながら考えを巡らせた。
明るく軽いノリのえちが好きです。
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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!