ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

メダル王の城にやって来ましたよ。

では、本編どぞー。



第六百八十七話 メダル王の城

 

「……しょうがないなぁ……。距離感を保ってくれるならまあいいか……。じゃあ、アリアに怪我させないよう気を付けてね!」

 

 

 ――メッキ―は察しよく既に馬車に戻っているし、ピエールとプックルのどちらかに交代してもらうしかないか……。

 

 

 キングスはアリアと一緒に歩きたいのだろう。

 アベルは少々心配だったが、先ほどのアリアを気遣うキングスの様子に、故意にしたことではないことは理解している。希望を叶えてやるかと注意喚起をしておいた。

 

 

「のっしのっし」

 

「ラジャー! だって。ふふっ、キングスは王様なのに可愛い言い方をするのね♡」

 

 

 ……アリアが嬉しそうにキングスの身体をつんつんと突く。

 キングスも照れた様子で巨体を揺らした。

 

 

「……アリア、キングスの言葉がよくわかるね……」

 

「え? あ、うん。言葉がっていうより、伝わってくるの。キングスはスライムたちの集合体だから発声が難しいみたいよ? 練習すれば話せるんじゃないかな?」

 

 

 アリア曰く、【スライム】の集合体である【キングスライム】は合体した際に意識は共有されるのだが、各々の【スライム】の意思がそれぞれ違うため、上手く発声ができないとのこと。

 【スライム】たちの中には人間の言葉を話せる者と、そうでない者がいるんだそうな。

 戦闘中や移動中の行動ならば問題なく動けるのだが、会話となると少々勝手が違うらしい。

 

 唯一“のっしのっし”という言葉だけが全【スライム】たちが共通で話せる人間の言葉なのだそうだ。

 【キングスライム】となって意思をまとめ、発声練習を行えば、その内人間の言葉を話せるようになるのでは……? というのが彼女の見解で、馬車にはスラりんがいるから、スラりんがいい教師になるだろうとも……。

 

 人間の言葉を理解している時点でキングスも優秀ではあるが、初めからペラペラと人間の言葉を話すスラりんはかなり優秀な【スライム】である。

 

 

「へえ……」

 

「いつかアベルと話せるようになるといいね」

 

「うん、そうだね。キングス、発声練習がんばってね」

 

 

 アリアの話にアベルがキングスを叩くと、キングスはポヨンポヨンと頷くように上下に揺れ動いた。

 そんなキングスにアリアは身体を預けるように抱きつく。

 

 

「ふふふっ、キングス。あなた、馬車に乗ってた時のスライムの姿もいいけど、キングスライムの姿も素敵ね♡(ああ~、ひんやりしてウォーターベッドみたい! 気持ちいい~♪)」

 

「のっしのっし♡」

 

 

 メダル王のいるこの島はどうも気温が高く、暑い。

 辺りを見れば、ヤシの木があちこちに生えており、さながら南国のようだ。

 

 キングスに身を預ければひんやりと心地良い触感を感じ、アリアは上機嫌に頬を摺り寄せた。

 アリアにくっ付かれたキングスの頬は濃く色付き、自らに身を寄せる彼女を血走った目で見下ろしており、興奮したようにハァハァと荒い息を吐きだしている。

 

 

「……キングス……君、ちょっと気持ち悪いよ……」

 

 

 キングスの目付きは怪しいものの、彼がアリアになにかする様子は見受けられない。

 どうもキングスはシャイらしい。ただアリアを凝視しているだけのため、アベルも気持ち悪いということだけは伝えておき、メダル王の城へと向かうことにした(キングスにくっ付いている当人(アリア)からは気持ち悪い視線は見えていないらしい)。

 

 

「……この島はスライム系の魔物ばかり出るみたいだね」

 

「ねっ。さっきはびっくりしちゃった! キングスってば、こーんなに大きく膨らむんだもの……!(実は目がちょっと怖かったんだよね……)」

 

「ハハッ! おかげで簡単に倒せたけどね。まあ、その間にメタルスライムには逃げられたけど……」

 

 

 アベルの後ろにはアリア、その後ろにはピエール、最後尾にキングス……と隊列を変え、目前に迫るはメダル王の城である。

 

 歩きながらの話題は、この島に出現する魔物が【スライム】系ばかりというもの。

 アベルの話に、キングスとの出会いをアリアが両手を広げて語った。

 

 キングスと一緒に現れた【メタルスライム】には逃げられてしまったが、新たに仲間ができたのでアベルは良しとしている。

 

 

「わぁ、メダル王さまのお城はモスクみたい! スライムの装飾が可愛い……♡ ……キンキラキンね!」

 

「……モスク?」

 

「うん、前世であんな感じの建物があったの。まぁ、テレビで見たことしかないから私も詳しくはないんだけど。色んな建築を見るのって楽しい♡」

 

「そうだね。ビルダーの彼女たちと仕事をしてから僕もつい見てしまうようになったよ。資材の値段が気になっちゃって、あの屋根高そうだよね……」

 

 

 アリアの言う“モスク”も“テレビ”という単語の意味もよくわからないが、たまにわけのわからないことをいうのが自分の愛する妻だ。

 アベルのスルースキルはかなり上がっており、そのまま会話は続いた。

 

 

「ふふふっ! クリエちゃんかぁ。またどこかで会えるといいね」

 

「ああ」

 

 

 【ビルダー】のクリエとシド―は元気にしているだろうか。

 彼女等の影響で建物に対する意識が変わったアベルは、クリエたちは今日もどこかで何かを作っているのだろう――と、茜色の空を見上げた。

 

 

 ……徐々に近付く城の扉を前に、アベルは急に東へと方向転換を図る。

 

 

「うふふ。まずは周りを確認だよね~!」

 

 

 アベルの意図がわかったのか、アリアはにこにこしながらついて来る。

 城の東へと回ると、珍しいピンク色の【スライム】が駆けたり、跳ねたりと忙しなく動いているのが見えた。

 

 

「君、珍しい色だね」

 

「ジャマしないでっ! ボク、いっぱいきたえてこのお城の屋根のように立派なスライムになるんだっ!」

 

「っと……そっか。邪魔してごめんね」

 

 

 アベルが話しかけるとピンクの【スライム】は、高速で跳ね出した。

 ぴょんぴょん、ぴょん――と、飛び跳ね、鍛えている(?)らしい。

 

 うちのスラりんてそんなことしてたっけ……? アベルは思ったが邪魔をしてしまったのなら申し訳ない。謝罪してその場を立ち去った。

 

 

「ピンクのスライムだなんて、珍しい子だったね」

 

「そうだね。アリアが好きそうだから仲間にスカウトしようかと思ったけど、忙しそうで無理みたいだ」

 

「あははっ。私にはもうスラりんがいるし、キングスもいるからいいよ~」

 

「そっか」

 

 

 城の周囲をぐるりと回ると、ハンモックで眠る老人と宝箱を見つけたが、他は特に何もないようなので、今度こそ城内へと向かう。

 

 

 ……さて、一周して城の正面に戻って来た。

 

 

「アベル、ここに幻の名産品があるのね」

 

「すんなり見つかるといいけどね」

 

「アベルならきっと見つけられるよ!」

 

 

 両開きの扉を前にアリアが話し掛ける中、【金】の把手に手を掛けたアベルは、勢いよくそれを開け放つ。

 

 

「わぁ、すごい。あの柵、もしかして金で出来てるのかな?」

 

 

 ――おっ金持ち~~!

 

 

 アリアは黄金の眩しさに目を擦った。

 

 

 城の扉を開くと、外から差し込む夕日の影響もあってか、城内が黄金色に見える。

 アベルたちの足元には金糸でできた絨毯があり、メダル王のいる玉座の間へと続く。

 この城の玉座の間は、城の外観と同じく浮き島のような造りになっており【スライム】の像を冠した飾り柱が立てられ、城内に引き入れた湖の水を使った池が周りを囲っていた。

 その池には蓮の花が咲いていたり、左右には噴水が清水を噴き出しており、池に落ちないために設置された柵は黄金色に輝いている。

 

 ……あれも【金】でできているのだろうか。

 外観の【スライム】型の屋根といい、やはり普通の城とは違うようだ……。

 

 

「みたいだね……はー……すごいなぁ……」

 

 

 アベルも黄金の眩しさに眉間に(しわ)を寄せつつ、周囲を見回す。

 ……玉座の間に向かって左にはゴールド銀行、右には宿屋が見える。

 

 さあ、誰から話を聞こう。

 城内にいる全員の話を聞くつもりのアベルは、まずは一番近くにいるゴールド銀行の前に立つ男に話し掛けることにした。

 

 

「――お客さまから預かったお金は大切に私のポケットにしまっています。たくさんお金を預けていってくださいね。ムフフ」

 

 

 ……なんて、自らのズボンのポケットを叩く男に意味深な笑みを向けられ、アベルは眉を顰めるが、アリアは“ここにも四次元ポケットが……!”と、なぜか男のズボンのポケットに興味津々である。

 

 

 だが、待って欲しい。

 アリアの見ているそこは見ようによっては――。

 




異世界の建物面白いよね。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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