だいろくわ。
サンタローズの洞窟に潜入です!(のわりにあっさりだけど)
慎重派(否ビビリ)な私は何度も洞窟と村を行ったり来たりしたものです。
では、本編どうぞっ!
「……こんな所に洞窟があるなんて……。魔物もいっぱい出るし……」
アベルはいつの間にか村の北西にあるサンタローズの洞窟へとやって来ていた。
……一人で魔物全てを倒すのは初めての経験である。
この洞窟に入ってからもう何度か魔物と遭遇し、戦闘を重ねていた。
「いてて、薬草持って来てて良かった……」
魔物から幾度となく受けた攻撃により傷ついた体力を回復すべく、アベルは袋から薬草を取り出すと噛み砕く。
すると、擦り傷、切り傷などの痛みが消えていった。
サンチョが多めに薬草を持たせてくれていたので、少女に使った余りが役に立ったようだ。
「……いったん村に戻ろうかな(薬草もなくなったし、天使のことも気になるし)」
……アベルは【やくそう】の在庫もなくなったこともあり、一度村へと戻ることにした。
◇
「坊ちゃん! その傷はどうなさったんですかっ!?」
「え? あ、ははは……、ちょっと転んじゃって……」
自宅に戻ると鍵は開いていて、サンチョが目を見開く。
後頭部を掻くアベルの身体には小さな傷が複数ついており、所々に血が滲んでいた。
「こ、転んだって……、どんな酷い転び方をしたんです!?」
サンチョは慌てて奥の部屋へと走ると、【やくそう】をいくつか持って来て、アベルに食べさせてくれる。
「……ありがとう、サンチョ」
「危険な遊びはダメですよ?」
「うん、わかってるよ」
“めっ”ですよ! とサンチョはアベルに注意するのだが、アベルはにこにこと頷くだけ。
「…………あれ? 坊ちゃん少し逞しくなられました?」
「あっ、わかる? 僕強くなったみたい! 呪文も使えるようになったよ!(ホイミだけだけど)」
アベルは細腕に力こぶを作ってサンチョに披露する。
サンチョはその力こぶを眺めて目を細めたものの。
「……強くなられるのは大変結構なのですが、危険な遊びはくれぐれもおやめ下さいまし。坊ちゃんに何かあったら旦那様が心配なさいます。もちろん、私もですよ!」
アベルを心配してか、サンチョの眉尻は下がってしまった。
「うん、わかってる。ねぇ、サンチョ。もう地下室に行ってもいい?」
「地下室ですか……? ええ……、掃除は終わっておりますが……」
「じゃあ、ちょっと行ってくるね!」
「あ、はい。寒いので長居しませんように」
……サンチョの言葉に「うん」と告げて、アベルは地下室へと下りる。
◇
「……まだ眠ってる……息は……」
地下室に下りると、少女が毛布の上に横たわっていた。
……アベルはそっと彼女の口元に耳を近づけてみる。
すぅすぅ……。
小さな寝息が聞こえる。表情も穏やかで、苦しそうには見えない。
どうやら生きているようだ。
「……生きてる、良かった……」
(でもどうして毛布が上に掛かってないで、下に敷かれてるんだろう……?)
サンチョには、毛布を部屋中央に掛けておいてくれと言っておいたのに。と、アベルは不思議に思う。
「……うーん……?」
腕組みをして考えてみるが何も思い浮かばず、わからなかった。
「……今日はもう目覚めないのかな……(温かいや……)」
アベルは眠る少女の隣に腰を下ろし、しばしの間見守っていたものの、彼女が目覚める気配は無い。
「…………、温かい…………なんか、眠くなって来ちゃった……」
疲れていたのか少女の温もりに誘われ、次第にアベルの目蓋が閉じていった。
◇
「あ、あれ……? ここは……」
アベルが目を覚ますと、そこは二階のベッドの上だった。
窓から朝陽が差し込み、小鳥達の歌声が聞こえる。
……アベルは身体を起こし、ベッドから出ると、階段へと向かった。
「おはよう……」
「ああ、坊ちゃん。おはようございます。昨日、地下室で眠ってしまわれたのを憶えていますか?」
「え……?」
「あっはっは。妙な恰好で眠っていたそうだな」
アベルが一階に下りてくると、サンチョがタオルを手に傍に寄ってくる。
パパスは朝食を摂りながら笑い飛ばした。
「妙な恰好??」
「はい、何も無いのに何かを抱えるような仕草で眠っておられて」
こう……、と、抱き枕を抱えるような体だが、肝心の抱き枕がない、空気を抱きしめるような恰好なのだと、サンチョが身振り手振りで教えてくれる。
「っ……! それ、本当っ!?」
「あ、ええ……。器用だな……と思いまして。ですがその内寝返りを打って身体を震わせたので、二階にお連れしたんですよ」
「そ、そうだったんだ……」
――僕、ひょっとして天使に抱きついて寝てた……!? あの子、すっごく温かくて……眠くなって……それで……。
あわわ……!!
アベルの顔がぽっと赤くなる。
恥ずかしかったらしい。
「さて……と。アベルも起きたことだし、父さんはまた出掛けるがいい子にしてるんだよ」
朝食を終えたパパスは今日も出掛けるらしく、アベルの傍にやってくると頭を撫でた。
「はーい!」
アベルはパパスに頭を撫でられ、にっこり笑って頷く。
そうしてパパスは昨日同様、家から出て行ってしまった。
「さぁ、坊ちゃん朝食前に顔を洗って来てください。終わったら席に着いて下さいね」
「うん、わかったよ」
サンチョにタオルを渡され、アベルは顔を洗いに行って戻ってくると、朝食を摂る。
「…………(あの子、ご飯食べるかな……?)」
パンを齧りながらふとそんなことが気になって、アベルはこっそりとサンチョの目を盗み、自分のパンを半分、布に包んで袋に入れた。
「じゃあ、僕、一度地下室に寄ってから出掛けて来るね」
「わかりました。あまり遠くに行ってはダメですよ?」
サンチョが朝食の片付けをしながら、温容な表情で「うん」と返事するアベルが通り過ぎるのを見送る。
「ふふふっ、一体何を隠しているんですかね……? ふふふーん……♪」
階段を下りるアベルの背にサンチョの鼻歌が聞こえた。
◇
「……まだ起きてないのかぁ……よく寝るなぁ」
地下室へとやって来たアベルの足元に少女が寝そべっている。
昨日確認したように彼女の口元に耳を近づけると、“すぅすぅ”と静かな寝息が聞こえた。
「……生きてる。良かった……」
アベルはそっと少女の頬に触れてみる。
相変わらず青白くて、顔色は良くないが、温かくてすべすべした感触。
プラチナブロンドの髪は細く滑らかで、つい触りたくなってしまう。
「……僕、出掛けて来るから、良かったら食べてね」
少女の頭をなでなでしてから、袋から先程こっそり入れたパンの包みを彼女の傍に置いた。
「……強くならないと」
やせ細って儚げな少女を見下ろし、アベルは小さな手で拳を握る。
――この子が起きたら、護ってやるんだ。
だって、この子は
アベルは決意してサンタローズの洞窟で独り、魔物たちとの戦いに身を投じていった。
天使と縁があるなぁ、と最近思います(何の話だ)。
さて、一週間毎日投稿を頑張ったので、次回の更新は近々に致します……と思ったのですが、まだアベルとアリアが出会っていないので(次話で対面します)明日までは毎日投稿です。
現在ゲーム追体験的なノリになって来て、毎日楽しく書いていますが、各話見直しが終わってなくって、誤字脱字チェックが進んでおりません(チェックしてても漏れがあるっていう、ね)。
ですのでチェック終わり次第投稿していきます。
楽しみにしてくださってる方いらっしゃいましたら、すこーしお待ちいただけたらと思います、ありがとうございます。
マジ二次創作楽しい。
ヤバイ。
幸せ過ぎる。
ドラクエプレイ出来ただけで幸せなのに、二次まで書いてしまって、読んで下さる人も居るとか、思い残すことはもう特になく……、いやまだ死なないけども。
ありがたいなぁ~と。
感謝感謝の毎日です。
他サイトにて一次創作のモチベ維持目的で始めてみたのもの、めっちゃ楽しいっていう。
本末転倒とならぬよう、どっちも楽しく続けて行きたいと思います!
一次創作の方はまた、その内こちらでも載せられたらいいなぁ……。
R18だけど……w
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読了お疲れ様でした、そしてお読みいただきありがとうございました!