ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

やって来ましたラインハット城!

では、本編どうぞっ。



第六十九話 ラインハットのお城

 

 食事休憩を取った後は何度か魔物に遭遇しつつ、ラインハットへと至る。

 アベル達は城下町を抜け、堀に囲まれた城へと向かった。

 

 ラインハットの城は正方形の形を成し、中央に広い中庭を配置した城である。

 城の周りは堀が設けてあり、昼間は橋が架けられ城下町と行き来出来るが、夜になると橋を引き上げることにより出入りが出来なくなる。

 昼間の内に着いて良かったと先ずは安堵し、ラインハット王に早く会わねばと、パパスの足は自然と速くなった。

 

 

『わぁ……立派なお城ね』

 

 

 アリアが目前に迫る城を見上げ、声をあげる。

 

 

 上空から見たらどんな感じなのかな……、後で見てみようかな。

 翼があるって便利よね♪

 

 

 などと、アリアは城を見上げながら考えていた。

 

 

「だね、本当、大きなお城……」

 

 

 何度来てもそう思うよ。

 かくれんぼ に持ってこいな城だと思うなぁ。

 

 

 ……あれ?

 

 

 何度も来てたっけ……?

 

 今の僕は初めてのハズなんだけどな。

 けど、わかる……。

 

 ……まぁ、いいか……。

 

 

 アベルはまた(・・)の記憶で中の様子が大体わかるのか、深くは考えないことにして、アリアと後でかくれんぼ でもするかと考えていた。

 

 

 そうこうしている内にアベル達は可動式の跳ね橋を渡り、城内へと進む。

 

 

 

 

 

 

「待て! わが城に何用だっ!?」

 

 

 城内に入った途端、二人の兵士に通せんぼされ問われる。

 その視線は睨むとまではいかないが、厳しく訝しい顔付き、声音も語気が荒々しく、その高圧的な物言いに人を品定めしているように見えた。

 

 そんな兵士の態度にパパスは腕組みし、普段アベルには見せないキリッとした顔で告げる。

 

 

「私はサンタローズに住むパパスという者だ。国王に呼ばれて来たのだが」

 

「おお! あなたがパパス殿ですか!? これは失礼いたしました。国王がお待ちかねです。さあ、こちらへっ!」

 

 

 パパスが名乗った途端、兵士が目を見開いたかと思うと頭を下げパパスを奥へと通した。

 二人居た兵士の内、一人が王の間へと案内するというのでアベル達はついて行く。

 

 

「ここの奥に階段があって……」

 

『ここの奥って、そこの階段?』

 

 

 アベルとアリアはこそこそと話しながらパパスの後ろについて行く。

 すぐ目の前の通路に階段が見えるが違うらしく、

 

 

「ううん、この先にもう一つ階段があるんだよ。その階段を上って歩いて行くと扉があって、また階段があって……」

 

『……アベルここに来たことあるの?』

 

 

 二人で話しながら一つ目の階段を通り過ぎ、奥へと進んだ。

 

 

「ううん、ないよ! だからわかる(・・・)って言ったでしょ?」

 

『わかるって……(ないよって……どういうこと……)』

 

 

 アベルの言っている意味がわからずアリアは歩いて行く。

 が、通路の先にアベルの言った通り二つ目の階段が見えて来るので、アリアは目を見開いてアベルを見た。

 

 

「……ね? あったでしょ? へへっ。先ずは僕が言ってることが本当だって、信じてもらうね」

 

『……っ、……(どうなってるの……?)』

 

 

 本当なんだ……?

 

 でも、もしかしたらアベルがもっと小さい頃、ここに来たかもしれないじゃない……?

 

 

 まだ半信半疑だけどアベルのことは信じているよ、とアリアは笑うが、アベルは「信じてないなぁ……」とちょっぴり悲しそうに笑い返していた。

 

 前を歩くパパスは兵士に連れられ階段を上って行くが、アベルの声を耳で拾っているらしく、時折ちらっと背後を窺い見ている。

 

 

「……ふむ……」

 

 

 食事休憩の時もそうだったが、独り言が多過ぎる……。

 

 勝手に友達でも作り出してしまっているのだろうか。

 

 村には同じ年頃の子供は居ないしな……、やはり淋しい思いをさせているのだな。

 サンタローズに戻ったら悩みを聞いてやるか……。

 

 

 パパスは独り言が多いアベルが心配で心配でならなかった。

 

 

 

 

 

 

 兵士に連れられるままアベル達は三階、王の間にやって来ると国王と顔を合わせる。

 

 玉座に座しているのが、ラインハット王。

 立派な王冠を被り、口髭顎髭を蓄え鋭い眼光。背筋も伸び、顎は少々上がりめ、威風堂々たる国家最高権力者のオーラを放っている。

 

 ただ、それが威勢なのか、虚勢なのかは王のみが知るだけではあるが。

 

 歳はパパスとそう変わらなそうだが、外寛内明のパパスに対し、ラインハット王は自分にも他人にも厳しそうに見える。

 王とはそういうものなのだろう。

 

 国の政治手腕がどうかは知らないが、ザ・キング。という感じだ。

 

 少なくとも、アベルとアリアにはそう見えた。

 

 

「王様! パパス殿をお連れしました!」

 

「ふむ。ご苦労であった。その方は下がって良いぞ」

 

「はっ! 失礼致します」

 

 

 兵士が王に報告し、去っていく。

 

 

「さて、パパスとやら。そなたの勇猛さはこのわしも聞き及んでいるぞ! その腕を見込んでちと頼みがあるのだが……。コホン……」

 

 

 ラインハット王は咳払いをして、ちらっ、ちらっ、と左右に目配せをする。

 

 そして、

 

 

「パパス、もう少し傍に! 皆の者は下がってよいぞ!」

 

 

 手招きしてパパスを呼んだのだった。

 パパスは黙って頷き、ラインハット王の元へと近づいて行く。

 

 周りに居た兵士達はラインハット王に言われた通り下がっていった。

 人払いを済ませると、ラインハット王も玉座から下りパパスとの距離を詰める。

 

 そんな中、ふとパパスがアベルに振り返る。

 

 

「アベル、そんな所に立っていても退屈だろう。よい機会だからお城の中を見せてもらいなさい。一通り見るうちには父さん達の話も終わるはずだ」

 

「はぁい……」

 

 

 パパスが「すまんな」と頭を撫でると、アベルはしおらしく上目遣いで返事した。

 

 

 だよね、また(・・)この展開。

 わかってるよ、父さん。

 

 

 見学しなくても知ってるけど、アリアが居るから案内してあげようかな、とアベルはアリアを連れて行こうとする。

 

 

 すると、

 

 

「そなたはパパスの息子であろう。中々よい目をしておるな」

 

 

 それを見ていた厳格そうなラインハット王が一瞬顔を綻ばせ、アベルを見下ろした。

 怖そうだけど、意外と優しい面もあるのかもしれないなと、アベルは思う。

 

 

『っっ……!!!!』

 

 

 ラインハット王の言葉にアリアが信じられないという顔で、口元に手を当てていた。

 

 

「……じゃあ、僕行って来ます」

 

 

 ぺこり、とラインハット王に軽くお辞儀をしてアベルはアリアの手を取り城内を散歩することにした……。

 




アベルの記憶は時々繋がったり離れたり……。安定していません。
大人になったらしっかりするかな?

傍から見たらアベルは常に独り言喋ってるんすよね……。
見えない誰かが居る……。
子供あるあるではないですかね。

小さい頃、小人さんが居るとか、小さいおじさんが居るとか言う子、いませんでした?

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読んでいただきありがとうございましたっ!

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