前回のプチあらすじ>怒れるアベルはにっこりとおやぶんゴーストに笑顔を向けて……。
アベルがじろり。
では、本編どぞ~。
「ヒッ! い、いったい何の話だ……!? そ、そりゃぁ、人間が住んでた廃屋に勝手に住んでるけど、補修したし、じゅっ、十年間誰も自分の家だなんて名乗り出てきたヤツなんていなかったんだぞ!?」
【おやぶんゴースト】はアベルの仄暗い笑顔に寒気を感じて声を震わせる。
「ほう……、ずいぶんと人間みたいな生活をしていたんだな?」
「もちろんだ! 人間に成りすまして生活してるから、近くの集落に人間の友達だっているんだからな!」
「友達まで作ったのか……」
――本当なのか……?
俄かには信じがたいが、あの幽霊が体内から出て【おやぶんゴースト】の目付きが変わったような……。
アベルは注意深く【おやぶんゴースト】を凝視し続けた。
「おうよ! 楽しく暮らすってのがオレ様の夢だったからな! けど……。……あ。……なんか思い出してきたぞ……?」
「ん?」
「……一年くらい前に畑仕事をしてたんだが、ラインハットの城の方からオレ様に似た幽霊が漂って来てな。フラフラしてっから声を掛けてやったのよ。声を掛けた途端、幽霊は消えちまったんだが……その晩、オレ様の身体が……」
【おやぶんゴースト】は話を続けながら、何かに気付いたらしい。今思い出したかのように一年前の出来事を語り出した。
……その話が実に興味深く、アベルは黙って耳を傾ける。
「……乗っ取られたっていうのか?」
「……そう! 乗っ取られたんだった!! その幽霊、すげえ怨念が深くてあっという間にオレの意識を乗っ取っちまったんだ。けど昼間はオレの意識の方が強いからなんとか生活できてたぜ!」
「ふーん」
――身体を乗っ取られたといっても昼間だけ……そもそも魔物だしな……、共謀してないとも限らないよな……。
はきはきと語る【おやぶんゴースト】だったが、アベルの目は冷たい。
……アリアはアベルの背後で【おやぶんゴースト】を見ているから、その冷視に気付くことは無いだろう。
「っ!?(怖っ!)」
【おやぶんゴースト】はアベルの鋭く冷たい視線に目を見開き、身体を震わせた。
「あ、続けて」
「お、おう……。じゃ、続きな。……夕方になると意識が遠のいて、朝になると全然知らない場所にいるんだよ。慌てて家に戻るんだけど、だんだんと乗っ取られる時間が増えていってさ、気が付いたらここに来てたってわけ。最近じゃオレの意識が殆ど奥に追いやられて、ヤツの思うがままに身体を操られてたってわけよ」
アベルに促され、【おやぶんゴースト】は饒舌に語る。
「……操られている間の状況は把握しているのか?」
だいたいの事情がわかり、アベルは【おやぶんゴースト】がさっきの幽体が入っている間にも意識があったのかを訊ねる。
後ろから「そういうことだったのね……」とアリアの声が聞こえた。
「あ……えっと」
「……ん?」
【おやぶんゴースト】がすぐに答えなかったため、アベルは【パパスのつるぎ】の握りをぐりぐりと動かしガチガチ。金属音を鳴らす。
剣をほんの少し斜めに傾けてやるだけで、【おやぶんゴースト】のつるんとした形の良い顎は割れてけつアゴへ整形できるだろう。
「わ、わかる! 物騒だからソレ仕舞ってくれないか!? オレはさ、昔すげえ強い少年にボコされて以来、心を入れ替え悪さを働くのを止めたんだ!! なっ、悪さなんてしないからこのロープも解いてくれよ……! 頼むよだんな!」
……【パパスのつるぎ】が目と鼻の先で光る中、【おやぶんゴースト】は顔を背けながら必死で懇願した。
「……じゃ、話してみ? ロープは話に納得できたら解いてやる」
――嘘を吐いているようには見えないな……。
涙目で訴えかけてくる【おやぶんゴースト】はアベルから見て、嘘を吐いているようには見えない。
昔は何度も嫌だと断ったものだが、今回は素直に聞いてやることにした。
だが、念には念を入れてロープを解くのは後――である。
「うぅ……疑り深いんだなあんた……、な、どっかで会ったことないか?」
「……さあね?」
――とりあえず、武器は仕舞ってやるか……。
【おやぶんゴースト】が眉を寄せると、アベルはにっこりとほくそ笑んで【パパスのつるぎ】を鞘に収めてやった。
「うわぁ、アベルいじわるなんだ~」
「ヒヒヒ」
アリアが身を乗り出し覗いてくるので、アベルは悪戯っ子のように笑ってみせる。
「……やっぱり、どっかで会ってる気がするんだが……まあいいや。話を続ける。念のため言っておくけど、操られている間のオレの行動はオレの意思じゃないからな! 展示台を壊したのはオレだけどオレじゃないんだ!」
アベルとアリアが横に並ぶと、二人に既視感のあった【おやぶんゴースト】は一瞬首を傾げるも、自分は魔物だからどうせ信じてもらえないだろうとは思いつつ、操られている間の行動は自分の意思ではないと主張した。
ところが――。
「みたいだね。ニセモノがあなたが森の中に逃げ出してどうのって言ってたし。あ、ロープ解くけど、逃げないでね。信じてるからね」
アリアはあっさりと信じたようで、【おやぶんゴースト】に同意する。
そしてロープを解くからと【おやぶんゴースト】の身体を起こしてやっていた。
「綺麗な姉ちゃん、オレを信じてくれるのか!? あんた天使みたいだな! オレは魔物だが、昔天使にも会ったことがあるんだぜ!? あの子可愛かったなぁ……今頃姉ちゃんみたいな美人になってるんだろうな!」
「アハハハ……(それ私なんじゃー……? やっぱり見えてたんだ?)」
「……アリアに触るな」
ロープを解いてもらった【おやぶんゴースト】がアリアの手を握るが、アベルから不機嫌な声とともに手首を掴まれ、彼女の手から無理やり剥がされる。
「あっ、す、すいません。……あんた、嫉妬深いのな」
「う」
……【おやぶんゴースト】は掴まれた手首を撫でながら呟いた。
図星だったらしいアベルはアリアの手前、黙り込む。
そんなアベルをよそに、ようやく窮屈さから解放された【おやぶんゴースト】は続きを語りだした。
「ヤツが展示台を壊し、照明を消したのは、この館の主であるじいさんに夢を諦めさせて、ここに人を寄せ付けないためだ」
「……やっぱりか……、それはなんとなくわかった。僕が知りたいのは、三階の展示室にあった光景なんだ」
【おやぶんゴースト】の話によれば、当初アベルが予想したように【展示台】の破壊は、名産博物館に人が集まらないためのものだったらしい。
……それはともかく、アベルの知りたいのは別のことである。
特別展示室で見た、あの謎の町らしき光景はいったい……?
「……あれはオレにもよくわからない。ただ、“窓”っていうのを召喚していたな。本当は“穴”といかいうのを召喚したかったらしいが、魔力が足りなかったみたいだ」
「……どうやって召喚したんだ?」
――“窓”と“穴”……?
アベルにその二つが何を意味するのかはわからない。
……もう少し話を聞いてみた方が良さそうだ。
「……あの魔法陣は元々陣の上にいる者たちの魔力を自動で微量に吸い取るようにできてたらしいんだが、強い信念を持つ者がいれば、そのチカラを贄として、術者の望みを引き寄せることができるらしい。だが、“穴”とかいうやつは膨大な魔力がいるみたいで、オレの魔力じゃ“窓”までが精々だった。そもそも魔法陣には贄が既にあって作動していたから、新たに姉ちゃんを贄に加えたところで、じいさんの信念が邪魔して上手くいかなかったんだろうな」
強い信念――夢がどうのと消えた幽体は言っていた。
あそこにはゆうじいのしかばねがあり、先にそれを贄として“穴”を召喚しようとしたが魔力が足らずに“窓”の召喚になってしまったようだ。
新たにアリアを贄に加えたが、ゆうじいの念が強く、失敗に終わった……?
なぜ……?
【おやぶんゴースト】が語る内容を、アベルは自分なりに整理をしてみる。
……が、一部が腑に落ちない。
はぁ~(ため息)、700話です。気が付けば700話。
お付き合いいただいている方々に感謝です。
このままだとやはり最終話を迎える頃には1000話超えてるんでしょうね。
どうにか書き切りたいものですね!
そのつもりでおりますよ。
ただ書きたいことが多過ぎてどんどん無駄に話が膨らんでますけどね(汗)
まぁのんびりやっていきます。
投稿した分の修正もちょこちょこできたらいいなーと思ってマス。
こっちはやる気があんまりないんだけど、文脈があまりに酷いので見直しと手直しが必要だなと思っています。
軽い気持ちでゆる~く書き始めたというのに、なんだか方向性が変わってしまって、もう少し真面目に取り組もうかと……(いまさらですがw)
過去の自分よくあれで投稿したなと笑っちゃうw(今もあんま変わらんのですけどもwww)
たまに読み返すんですけど、文章が幼稚くさくアホ可愛くて……笑って許して下さってる方々に感謝しかありません。
あんなものでも読んで下さる優しい方々に囲まれ幸せなのです。
ありがとうございます!
※水、木はお休みします。
----------------------------------------------------------------------
読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!