ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

前回のプチあらすじ>アリアが持ってきた割れた物体はなんなのか、アベルは訊ねる。

闇のランプ……。サブタイトル出オチw

では本編どぞ~。



第七百二話 やみのランプ

 

「なんだそれ……? ……う、ん? あ、あれか。オレの身体を抜ける前にヤツが割った物だな」

 

「それは知ってる。で、これはなんなんだ?」

 

「……あんたの袋から盗んだランプだけど?」

 

「え」

 

 

 ――ランプ……?

 

 

 【おやぶんゴースト】の言葉にアベルは、この割れた物体を目にした時に感じた感じた嫌な予感を思い出す。

 

 

「……闇のランプっつーんだろ? 割っちまったから中身がみんな空に溶けちまった」

 

 

 壊れたのは【やみのランプ】だと【おやぶんゴースト】は夜の空を見上げた。

 割れた蓋に付いた月のモチーフ。アベルはどこかで見たことがあるなと思い、薄々感じていたが、やはり割れたのは【やみのランプ】だったのだ。

 

 

「闇のランプ……、やっぱりか……!!」

 

「わぁ……ヤッパリィー……。レアアイテムなのに……」

 

 

 アベルは目を見開き、アリアは残念そうに眉を寄せる。

 

 

「オレの仕業ではないにせよ、オレの身体がやったことだ、一応謝っておく。悪かったな」

 

「いや……、あんたが謝っても……。それにもう過ぎたことだからいい」

 

「……あんたいいヤツだな!」

 

 

 【おやぶんゴースト】の謝罪にアベルは頭を横に振るう。

 これまで話を聞いていればわかるが、【おやぶんゴースト】は本当に改心し、地道な生活をしているようだ。

 

 悪霊に憑りつかれた彼は今回被害者と言ってもいいだろう。

 

 罪を憎んで人を憎まず……、この場合、罪を憎んで魔物を憎まず……か?

 反省し改心しているのなら、アベルはゲマたち以外には寛容である。

 

 

「直せるかな……?」

 

 

 アリアは壊れた【やみのランプ】を見下ろした。

 ……【やみのランプ】は綺麗に真っ二つに割れている……。

 

 くっつけるには溶接が必要であるが、くっつけたところで逃げ出した闇の煙が戻ってくるとは思えない。

 

 昼夜を逆転させる呪文【ラナルータ】があるとはいえ、“【やみのランプ】のデザインが可愛くて気に入ってたのにな……。”と、アリアは割れた【やみのランプ】を撫でた。

 

 

「……兄ちゃん、オレは闇が結構好きだから構わんけどさ」

 

 

 アリアが【やみのランプ】を撫でる横で、【おやぶんゴースト】がそれをチラ見しながら口を開く。

 

 

「ん……?」

 

「それ、早く直した方がいいと思うぞ」

 

「え……? それはどういう……?」

 

 

 【おやぶんゴースト】の忠告のような物言いに、アベルは首を傾げる。

 

 割れてしまったものは仕方ない。

 昼夜逆転呪文でなんとか凌げばいい……、今は使える仲魔はいないが、ひょっとしたらアリアが使えるかもしれない。

 

 好きな時に夜に出来ないのは不便だが、アベルはどうにかなると考えていた。

 

 

 ……だが【おやぶんゴースト】の眉間には深い皺が寄っている。

 

 

「……オレにもよくわからんが、嫌な予感がするんだ」

 

「私もするぅ~~」

 

「えぇっ!?」

 

 

 【おやぶんゴースト】が弱り目で告げるとアリアも同意し、アベルは声を上げた。

 

 

 ――アリアの予感て不思議と当たるよね……!?

 

 

 アベルの経験則から、アリアの直感はだいたい当たる。

 アベルはアリアの手元の割れた【やみのランプ】を見つめた。

 

 

「……ふぁ……」

 

 

 不意にアリアがあくびをする。

 ……気付けばもう深夜だ。

 

 博物館を囲む森は真っ暗闇で、夜に活動する動物の声が聞こえた。

 

 

「あ……。もうこんな時間か……。アリア眠い?」

 

「ん……ごめん、大丈夫……あふっ……」

 

 

 アリアはあくびを噛み殺している。

 ……緊張の糸が途切れたようだ。

 

 

「……ハハッ、眠そうだよ?」

 

「あっ……ふふっ。前世の世界の映像とか、オバケとか色々あって興奮してたから一気に気が緩んじゃって……」

 

「大活躍だったもんね?」

 

「アハハ……」

 

 

 アベルがアリアの頭を撫でると、彼女は【おやぶんゴースト】を横目に苦笑した。

 ……彼が服を着ていないのは自分(アリア)のせいである。

 

 

「……ふむ、姉ちゃんはもう眠いんだな。よし、今日はもう休んだらどうだ? オレもしばらくここにいるから。ここにいる間、なにか役に立てそうなことがあるなら協力してやるよ」

 

 

 服を引き裂かれたというにも関わらず、【おやぶんゴースト】はアリアに好意的で、話の続きは明日にしようと申し出ていた。

 

 

「おやぶんゴーストさん……、あなた良い人ね」

 

「よしてくれよ、おやぶんゴーストさん(・・)だなんて。……姉ちゃん、あんた魔物にも優しいんだな。昔ひねくれたボウズから庇ってくれた天使の子に似てる気がするな」

 

「ひねくれたって……、アハハハ……」

 

 

 アリアがちらりとアベルに目配せすると、アベルは黙ったまま口をへの字にしている。

 ……【おやぶんゴースト】はアベルとアリアが昔出会った少年と天使だということに気付いていないようだ……。

 

 

「……アリア、一先ずゆうじいさんに報告して今日はもう休もう。明日改めてその嫌な予感てやつがなんなのか考えてみようよ」

 

「でも……闇のランプを直さないと……」

 

「割れてしまったものはしょうがないよ、直すにしても僕たちじゃ無理だ。それに、今は眠くて頭が回らないでしょ? 僕も少し眠くなってきたし、休める時に休むことも大事だよ」

 

「アベルがそう言うなら……」

 

 

 アベルはさりげなくアリアの背に手を回して館内に戻ろうと促す。

 

 すでに起こった出来事に慌てたところで、現段階で【やみのランプ】を直す術はない。眠い頭ではいい案も思いつかないだろう。

 こんな時は一度身体を休めてからどうするかを考え直した方がいい。

 

 アベルの冷静な判断にアリアは頷き、館内に戻ることにした。

 

 ……【おやぶんゴースト】は館内だと邪魔になるだろうからと、しばらく二階のバルコニーにいるつもりらしい。

 彼に見送られながらアベルたちは三階に続く階段を上る。

 

 

「……あ、そうだ」

 

 

 階段を上る途中、アリアは何かを思い出したように振り返った。

 

 

「ん?」

 

「ね、アベル、二階で見つけた金の輪っかを出して」

 

「え? あ、うん……、はいどうぞ」

 

 

 アベルは言われるままに金の輪っかを取り出し、アリアに手渡す。

 

 

「おやぶんゴーストさん! これ、あなたのですよね!?」

 

「あ、それは……!」

 

 

 アリアが【おやぶんゴースト】に見せつけるように金の輪っかを持ち上げて振り振りすると、輪っかは月明かりを反射し小さく輝いた。

 

 

「二階で見つけたの! 返すね!」

 

「っとと……助かったぜ。これがあれば服が元に戻せる……!」

 

 

 金の輪っかは【おやぶんゴースト】の宝飾品……、アリアは階段を見上げる【おやぶんゴースト】に向かってそれを放り投げる。

 

 投げられた金の輪っかをキャッチした【おやぶんゴースト】の顔は明るく、二本しかない白い歯までも月明かりに照らされきらりと煌めく。

 彼は早速金の腕輪が嵌っていない方の手首にそれを通した。

 

 ……すると【おやぶんゴースト】の被服が突如として復活する。

 

 

「わぉ! 便利ね!」

 

「へっへっへっ。さすがのオレさまも、裸じゃちぃとばかし恥ずかしいもんでな。これで風邪をひかずに済むってもんよ。姉ちゃんありがとな! いい夢を……!」

 

 

 どういう原理なのかは知らないが、金の腕輪を二つ身に着けると服が元に戻るらしい。

 【おやぶんゴースト】は嬉しそうに満面の笑みを浮かべて真っ暗な階段裏へと歩いて行った。

 

 

「ね、アベル。あの人……暗いところが好きなのかな?」

 

「名前にゴーストって付いてるし、そうなのかもね」

 

 

 アベルの見解にアリアは“なるほど”と納得しつつ、館内へと戻る。

 

 

 

 

 ……館内に戻ってから、アベルはゆうじいに一部始終を報告し、【やみのランプ】についてはゆうじいに関係ないため、壊れた【展示台】の修理が必要であることを伝えた。

 

 ゆうじいは【展示台】の修理には職人が必要であり、名産博物館のオープンが遅れることに始めは落胆していたが挫けることはなく、知り合いに掛け合ってみると息巻いていた。

 

 幽霊の身体でいったいどう掛け合うというのか……。

 アベルは気になったが、特にツッコむことはしなかった。

 

 

「こんなことになってしまって申し訳ないが、館長はお前さんじゃ。博物館を頼むぞ……! まずは身体を休めて、明日から今後の方針を話し合おうぞ」

 

 

 ゆうじいはそれだけ言うと受付カウンター奥の管理室へと入って行く。

 アベルたちはそれを見送った。

 




テヘッ、闇のランプを割っちゃった☆

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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