ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

前回のプチあらすじ>アベルが噴水にドボンと落ちて……。

びっしょり。

では、本編どぞー。



第七百十五話 濡れ鼠

 

 …………――。

 

 

 

 

「ぶぇックションッ!! ……はぁ……びっくりした……」

 

 

 噴水から上がったアベルは盛大にくしゃみをする。

 

 

「ごめん……、私びっくりして……」

 

「ははは……いいよ、ちょうど水浴びしたい気分だったし」

 

 

 アベルは再び噴水の囲いに腰掛け、タオルで頭を拭き拭き目の前に立つアリアを見上げた。

 

 

「もぅ……そんなことばっかり言って……(優しいんだから……すき♡)」

 

「……ハックションッ!」

 

 

 アリアの頬がぽっと色付く中、再び大きなくしゃみが噴水広場に響く。

 昼間であれば日光のおかげでそれほど冷たくもない噴水の水は、夜のせいか冷えて冷たかった。

 

 

「大変っ、このままじゃ風邪ひいちゃうわ! 着替えた方が良さそう! アベル脱いで!」

 

「え?」

 

 

 アベルのくしゃみを見るなりアリアは紫のターバンに手を掛ける。

 ……あれよあれよという間に、ターバンとマントは剥がされてしまった。

 

 アベルはアリアを脱がすのが上手いのだが、実はアリアもアベルを脱がすのが上手い。

 キャンプの間は危険が伴うため脱がずに致すのが正解だが、肌が直接触れ合う方が互いに心地好い。ならばさっさと脱いでさっさと……、と――夫婦で営む内に身に着いた脱衣技術(?)である。

 

 

「早く早く! 濡れたままの服着てたら風邪ひいちゃう」

 

「あっ、ちょ、アリアっ……あっ♡(たまに人前でも大胆なんだから……♡)」

 

 

 アリアの手がアベルの開けた胸に触れると、急所を突いたのか普段は聞かない高い声が漏れ出てしまう。

 その反応にアリアはカッと耳まで真っ赤に染め手を引っ込めた。

 

 

「ヤッ! アベル変な声出さないで……!」

 

「だ、だって……君がそんなとこ触るから……!」

 

「触ったんじゃないよっ、たまたま触れちゃっただけ……!」

 

「別に触ってくれてもいいんだけど……」

 

「なに言ってるのっ」

 

 

 アベルは上目遣いにアリアを見上げてニヤッと笑うが、アリアは濡れた頭にタオルを被せて拭いてやる。

 

 

(もぅ、アベルのえっち……! そんなのは馬車に戻ってからしかできないに決まってるでしょ……! でも……)

 

 

 ――軽口叩けるくらい元気になったみたいでよかった……。

 

 

 アリアはアベルの髪に触れながらほっとした。

 

 

 世界が闇に閉ざされてから、アリアはアベルとキスを交わしていない。

 当然夫婦の営みも。

 結婚してからあれほど毎日求められていたというのに、さすがのアベルも世界の緊急事態にそんな余裕がないのだろう。

 

 ……そしてそれはアリア、自分もであった。

 夫に心の余裕が生まれたことがわかり、妻である自分の心も軽くなっていく気がする。

 

 

 大人しく身を任せてくれるアベルに、アリアは甲斐甲斐しく丁寧に髪を拭いていたのだが――

 

 

「……あ、あのー、良かったらうちで着替えてください。すぐそこですから……」

 

 

 ……その場にもう一人いたことをすっかり失念していたのだ。

 アンディが申し訳なさそうに二人の間に割って入り挙手してみせる。

 

 

「ヒャッ!? アンデ……きゃああああっっ!!」

 

「わっ! アリアまたぁっ!?」

 

 

 アリアは驚き前に倒れ、アベルは彼女を受け止め、またしても背中から噴水へと……

 

 

 “ドッボーン……!!”

 

 

 大量の水飛沫を上げて、アベルとアリアの身体は噴水池に沈み、二人は冷たかったが行水を楽しんだのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ハックション!」」

 

 

 アベルとアリアは二人で噴水から上がると、アンディに案内され彼の家へとやって来ていた。

 ……アベルたちのいるここはアンディの部屋である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 つい先ほどアンディの家にやって来た二人はずぶ濡れで、家に入るなりアンディの両親に驚かれた。

 

 

「夜分に失礼します。床を濡らしてしまって申し訳ありません……」

 

「あんたはこの間結婚した……! ずぶ濡れじゃないかい……! ああもう、ほらこれを使いな。いったいどうしたっていうんだい」

 

 

 アベルが頭を下げる横でアリアも頭を下げていると、アンディの母親がずぶ濡れの二人を見て目を丸くしタオルを持って来てくれる。

 アベルとアリアにそれぞれ乾いたタオルを手渡し、事情を訊ねてきた。

 

 

「アベルさんたちは噴水に落ちたんだよ。母さん、二人とも着替える場所が必要だから、ボクの部屋を貸してあげようと思うんだけど」

 

 

 タオルで身体を拭う二人に代わり、アンディが先ほどあった出来事を説明する。

 アンディの母親は事情を黙って聞いて、噴水に落ちる人などそうはいないのだろう、虚を突かれたように目をぱちくりさせてから口を開いた。

 

 

「そうだったのかい。じゃあ濡れた服を脱いだら持っておいで。服を乾かしてやるから乾くまでゆっくりしていくといいよ。アンディ、アベルさんにあんたの服を貸しておやり。お嬢さんはあたしの服をあげようね」

 

「あ、私着替えなら持っているのでお構いなく」

 

「そうかい? 若い頃に着てた服だからあげようと思ったんだけどね。遠慮せず着て行くといいよ」

 

「そうですか……? では遠慮なく……」

 

 

 どうやらアベルにアンディの服を貸し、アリアにはもう着ない服をくれるらしい。

 アリアは遠慮したが“今持って来るからね”、とアンディの母親は奥の部屋から着替えの服を持って来てくれた。

 

 

「ほらこれだよ。あんたなら着こなせると思うよ」

 

「着こなせる……? ありがとうございます。ではお部屋少しお借りします」

 

 

 ……アリアがアンディの母親から服を受け取る。

 服は畳まれた状態で、どんな服なのか今はわからないが、オレンジ色の柔らかい素材のもの。肌触りは良さそうだ。

 

 その後アンディが先導してアベルとアリアを二階の自室まで案内してくれたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……二階はアンディの部屋だ。

 アベルは一度、そこに足を踏み入れたことがある。

 

 

「ここだと寒いので着替えるなら奥の寝室を使って下さい。あそこなら絨毯も敷いてありますから足が冷たくありませんよ」

 

 

 “今アベルさん用の服を……”とアンディが部屋の引き出し収納から服を取り出しアベルに手渡した。

 

 

「ありがとうございます」

 

「いえ、いいんですよ。アベルさんは背が高いので、ボクの服だとちょっと窮屈かもしれませんがたぶん入ると思います。それからお茶を持って来るので少し戻りが遅くなります。着替え終わったら濡れた服を下さい、乾かしておきますから」

 

「ピエール、プックル。アンディさんの手伝いをしてくれるかい?」

 

「承知しました」

 

「がう」

 

 

 ……服を受け取りアベルはお礼を告げながら説明を受け、ピエールとプックルをアンディに任せると、アリアと二人で寝室へと向かう。

 

 

「「ハックション!」」

 

 

 アンディの寝室に入ると二人して大きなくしゃみをした。

 

 

「アリア、早く着替えよう」

 

「っ……うん……(はぅあ……!)」

 

 

 二人はベッドにそれぞれ渡された服を置き、アベルは早速脱ぎ始め、あっという間にパン一姿へ。

 アリアはといえば――ゆっくりとマントを外しながらアベルを見ていた。

 

 

「……? どうしたの?」

 

「ぁ……えと……」

 

 

 アベルが首を傾げてアリアを見るが、その彼女は目が合うとどこぞへと視線を流す。

 

 “いつ見てもアベルの肉体美にはそそられる……あ、おつゆが垂れちゃう……”、などとアリアは決して口に出したりはしないが、口元をなんとなく拭った。

 アベルの素肌を見るだけで体温が上昇する気がするから困ったものだ。

 

 

「ぁぁ~……なるほど……?」

 

「な、なにが……?」

 

 

 アベルは何かを察したように濡れた服を丸め、アリアにそっと近づいてゆく。

 

 

「……アリアって、エッチだもんねぇ……」

 

「ンッ、なっ、なにがっ……!?!?」

 

 

 こそこそと耳元に囁かれ、ゾクゾクと背中から寒気にも似た甘い痺れが這い上がってくる感覚を覚えたアリアは身体を瞬時に硬直させた。

 

 ……アベルはアリアのマントをいとも容易く外して床に落としてしまう。

 

 

「……ダメだよ……? 僕の身体を見て興奮する気持ちはわかるけど、こんな他人(よそ)の寝室で発情なんてさ……」

 

 

 耳をくすぐるように小さな声がすると同時、アベルの手がアリアの胸元に掛かりそっと服を引き下げていく。

 ……こんな時、チューブトップの服は便利である。

 

 

「は、はつじょ……ンぐっ!!」

 

「……しぃ……、隣に聞こえちゃうよ……? もうアンディさん戻ってるかもしれないよ……?」

 

 

 指に触れるアリアの濡れた膨らみは冷たかったが、アベルの頬に触れた彼女の頬は燃えるように熱い。

 アベルはアリアが声を発すると唇に人差し指を添えて黙らせた。

 

 

「ぁっ、アベル……?」

 

 

 声のボリュームが下がった赤い顔のアリアを見下ろし、アベルの手は再びアリアの服を下げていく。

 

 ふと――。

 

 

「……あ、下着もビショビショだね。ひょっとして下もかな……?」

 

 

 アベルはアリアの濡れた下着(ブラジャー)を目にして、にっこりと目を細めた。

 

 

「し、下って…………」

 

 

 ――……なんてこと言っちゃうのよ……!?

 

 

 ……アリアの目がアベルの視線を追うように自らの下半身に注がれた(のち)――彼女の頬は真っ赤に燃え、瞳にじわりと涙が滲む。それはすぐに溢れ頬を伝って冷えた肌に落ちていった。

 




よく濡れる二人だことw

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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