ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

前回のプチあらすじ>いやー、さがしましたよ。

シドー君のお墨付き!

では、本編どぞ。



第七百二十七話 シドー君のお墨付き

 

 ……クリエたちはいったいどんな世界からやって来たのだろう……。

 アリアも腕組みして首を傾げる。

 

 

「あ、そうなんだ……(闇のランプの存在しない世界かぁ、どこなんだろう……?)」

 

 

 クリエたちのいた異世界も恐らくドラクエの世界のはずなのだ。

 なぜなら、クリエの作る物がドラクエ内のアイテムと同じものが複数あるから……。

 

 【やくそう】や【どくけしそう】程度なら他のゲームでもあるかもしれない。

 だが、クリエの持つ【ビルダーハンマー】とは異なる対魔物用の武器【はやぶさのけん】――(つば)に鳥を模した飾りの付いた剣で、ハヤブサのように素早く攻撃することができる逸品。

 

 以前修道院でアリアは見せてもらったが、クリエの力強さを考慮しても【はやぶさのけん】にしては切れ味が鋭く深く、修道院周辺を散歩した際に現れた魔物の群れをあっという間に斬撃のみで一掃してしまうほどの威力。

 軽くてアリアでも扱え、あれが【はやぶさのけん】ならいつか欲しいと思ったものである。

 

 ……クリエには『自分で作ったから、これは隼の剣じゃないんだよー』と言われたが、【はやぶさのけん】のデザイン、形態をアリアは知っている。クリエの持つ剣はどう見ても【はやぶさのけん】だったのだ。

 

 かなり特徴的なデザインの剣と、名前――。

 これはどう考えてもクリエたちの異世界はドラクエシリーズのどれかである。

 

 ……問題はアリアがⅠ~Ⅲ、Ⅳの一部までしか知らないということだ。

 それ以外のシリーズはこれから少しずつプレイしようと思っていた矢先にこの世界にやって来たわけで……。

 これでは二人がどの世界からやって来たのか予想がつかない。

 

 引っ掛かる部分もあるようなが気がするのだが、せめてもう少しヒントがあれば……前世の知識は役に立たないなぁ、なんてアリアは申し訳なくてアベルに目配せして眉を下げるが、アベルは何のことか理解できず、目が合うと表情が緩んだ。

 

 

「実物を見てみないとなんともだけど……、この世界じゃ勝手が違うし、ちょっと自信ないなぁ……」

 

 

 先ほどまで笑顔だったクリエの表情が僅かに曇る。

 

 

「――大丈夫だ、クリエなら直せる。オレが言うんだから間違いない」

 

「シドー君」

 

「クリエ、オマエはビルドセンスの塊なんだから、異世界にいても初めてのアイテムを修復するのに必要な材料、工程がわかるはずだ」

 

 

 【やみのランプ】を初めて見たとして、クリエなら修復できるに決まってる。……クリエの隣にシドーがやって来て自信に満ちた笑みを見せた。

 

 

「うん……、だけどボクが修復できたとしてすぐ壊れたりしないかな?」

 

 

 自信なさげなクリエに自信満々なシドーの激励が利いたらしい。クリエに笑顔が戻る。

 二人はいつもこんなやり取りをしながら旅をしているのだろう。

 

 アベルは時に励まし、助け合って旅をする二人が自分とアリアに重なり“この二人も大人になったら結婚するんだろうな”なんて……気持ち良く協力してもらうために、余計な口を挟まず二人の話が終わるまで黙って聞くことにした。

 

 

「んー……、それは大丈夫なんじゃないか?」

 

「なんで?」

 

「オレの予想だが、オマエが自発的に建てたり修復した建物は壊れるが、この世界の住人であるアベルたちに依頼されたものは壊れないのかもしれない。山奥で建てた基礎は壊れなかったろ? 修道院の屋根も。それに、小物類なら元々壊れないじゃないか」

 

「あっ、確かに……!」

 

 

 シドーとクリエ、二人の話は続き、黙り込むアベルに空気を読んだアリアも静かに聞いていたが、シドーの言葉の意味がよくわからない。

 だが、クリエはハッとしたように目を丸くして手をポンと叩き合わせた。

 

 

「おい、アベル。その闇のランプとやらはどこにあるんだ? 今持っているのか?」

 

「え……あっ、ああ、持ってるけど……」

 

 

 突然シドーの視線がアベルに向けられ、アベルは【ふくろ】から【やみのランプ】を取り出そうとする。

 

 

「シドー君。ここじゃ暗いし、落ち着かないから屋内で見たいな」

 

「あ、それもそうだな」

 

 

 月明かりがあるとはいえ、灯りの無い屋上は暗い。

 屋内で見せてもらった方がいいだろう。

 

 クリエの言い分にシドーは素直に頷き、東塔へと歩き出した。

 シドーに引き続き、クリエも「アベルお兄さんとアリアお姉さんも行こ行こ」と東塔を指差しながら後を追う。

 

 

「……二人が見つかってよかった……僕たちも行こっか。って、あれ? アリア?」

 

「あ、すぐ行くからそこで待ってて~。……」

 

 

 アベルはクリエたちの様子に何とかなりそうな気がしてほっと胸を撫で下ろし、隣にいるはずのアリアに声を掛けたが彼女はそこにはおらず、王と王妃の墓の前へと移動していた。

 

 ……アリアは墓の前で目を閉じ手を合わせている。

 記憶喪失中に訪れた時は手を組み合わせていたのに、今は指を真っ直ぐに伸ばし合わせるだけの祈り――。

 

 

「……アリア……」

 

 

 ――お祈りの仕方が子どもの頃と一緒だ……。

 

 

 アベルの目も口も弧を描き、せっかくだからとアリアの隣に移って同じように手を合わせることにした。

 

 

「……王さまと王妃さま、お久しぶりです。前に来た時は憶えていなくてごめんなさい。これ、今持ってるお菓子これしかないのだけど、よかったらどうぞ。私、悪さなんてしないからね」

 

「……(アリアの記憶が戻ってよかった……)」

 

 

 祈りを終えたアリアは【スライム】の形をした【クッキー】を墓に供える。

 隣で手を合わせていたアベルはその様子を静かに見守った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「クリエちゃんたちは異世界から来た人だったのね」

 

「えへへ、そうなんだよ~。実はこの世界に来てもう結構長いんだ~」

 

「そうだったの……苦労してるんだね……」

 

 

 祈りを終え、灯りを持ったアベルとシドーを先頭に、城の階段を下りながらアリアとクリエが後ろで世間話をする。女の子二人は手を繋いでいた。

 

 この城に魔物はもう出ないが、幽霊はまだ出る……かもしれない。

 だが、後ろにはピエールとプックルがいるからか、これだけの人数で行動していればビビリのアリアもそこまで怖くないらしい、声が行きよりも明るく感じられた。

 

 アベルはちょっぴり淋しかったが、女の子二人の会話に耳を傾けつつ一階、宿屋のあった場所へと向かう。

 宿屋ってどこだったっけ……なんて思っていたが、シドーがわかるそうなので黙ってついて行くことにした。

 

 

「んー、苦労というほど苦労はしてないんだけど、ビルドが思うようにできないのがちょっとしんどいかな」

 

「ん? どういうこと?」

 

「うーん、ボクが建てた建物や修理した建物はさ、どんなに頑丈に作っても三日以内に崩れちゃうんだよ」

 

 

 クリエとアリアの会話は続いており、話題はビルドに関する話のようだ。

 そういえば王たちの墓の前でも妙なことを言っていたっけと、アベルは思案しながら同じく黙ったままの隣のシドーとともに歩く。

 

 

「え? どうゆうこと? だって、修道院の屋根は今も無事なんじゃないの……?」

 

 

 アリアが訊きたいことを言ってくれるので、アベルは耳だけ背後に集中させておけばいい。

 ……ここはアリアに任せても良さそうだ。

 

 シドーも会話はクリエに任せているらしい、穏やかな顔で時々クリエをチラ見し、案内を続ける。

 

 

「うん、修道院の屋根は無事みたい。様子見で三日ほどお世話になって大丈夫ってわかったからお暇したよ。たぶん今も問題ないはず」

 

「……あ、さっきシドー君が言ってたことってそういうことだったの?」

 

 

 クリエの話で、先ほどはわからなかったシドーの言ったことがどういうことなのか、ようやく理解が追い付いてきた。

 




クリエたちには制約があるようです。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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