ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

前回のプチあらすじ>魔力の炎はフレイムが適任らしいが、フレイムとは……?

フレイムってさー。

では、本編どぞー。



第七百三十話 フレイム……?

 

 【フレイム】は魔物の名前――。

 

 クリエの説明にアリアはそれきり黙り込んでしまった。

 

 

「……サラボナの南東にあった火山にも行ったことあるけど、いなかったんだよね~。フレイムってマグマの近くにだいたいいるから、そこにいるかなーって思ったんだけど」

 

「フレイムは魔物の名前だったのか……初めて聞いたよ」

 

「うん、炎そのものみたいな魔物なんだー。こんなやつだよ」

 

 

 クリエは【文房具】を取り出し、ノートに【フレイム】のイラストを描いていく。

 

 イラストを描くクリエの手はスラスラと軽やかに進み、アベルと黙り込んだアリアは徐々にはっきりしていく【フレイム】の姿を見守った。

 そしてあっという間に描き上がったイラストにアリアの目が大きく見開かれる。

 

 

「へぇ~、身体全体が燃えてる魔物なんだね」

 

 

 ――この世界の魔物じゃないみたいだな……。

 

 

 声を発することのないアリアの隣で、アベルは描かれた【フレイム】を興味津々で見下ろした。

 

 イラストの【フレイム】は頭部・胴体・手足と分かれ人間……というよりは、どちらかといえば大きなサルのように見える姿形をしており、その全身が炎に覆われている。

 アベルは今までこんな魔物に出会ったことはなく、異世界の魔物なのだと直感的に感じた。

 

 

「コイツの身体は魔力でできてるんだ。その魔力の炎で、シドー君のチカラを込めて復元した闇のランプを三日三晩炙るんだよ。すると、あーら不思議、空の闇を吸い取ってくれるようになるっていう」

 

 

 クリエが喋りながら復元作業工程をイラストに描き起こしてくれる。

 そこには【フレイム】を氷の壁で囲んで動きを封じ、【やみのランプ】を炙る様子が描かれていた。

 

 ……にしてもさすがはビルダー、絵も上手い。

 これなら絵だけを生業にしても生活していけそうだというのに、絵を本業にしないところがビルダーというものなのだろう。

 

 

「三日三晩、絶やさず……?」

 

 

 三日間もの間、火の様子を見続けるということなのだろうか……。

 アベルは徹夜を覚悟するが“ここはボク担当”と、イラスト横に一言書き加えられ、クリエは小さな胸を拳でドンと叩く。

 

 任せておけ……ということなのか。

 クリエがすごい人物なのはわかったが、こんな小さな少女に三日も寝ずの番をさせるのは申し訳ないのだが――。

 

 

「そ! これはボクにしかできないことだよ。素人さんにはムリムリ。火力は一定でないとダメなんだ。呪文の炎じゃ一瞬だけだからダメだし、照明の炎じゃ燃料がもたないし、燃料を足したりすれば火力が安定しないから、フレイムの炎が最適ってわけ。フレイムの炎は倒さない限り燃え続けるから、捕まえて使おうと思ったんだけど、いないみたいだし……?」

 

 

 ……火の番は地味且つ、根気を要するもの。

 そしてその火加減感覚はクリエしか持ち得ていない。

 

 アベルやアリアが交代を申し出たとしてもクリエは断るつもりでいる。

 シドーも徹夜が続くことにいい顔をしないだろうが、そう閃いてしまったのだからやるしかないのだ。

 

 では、魔力の炎を持つ【フレイム】はいったいどこにいるのか……。

 

 魔力の炎は特別なものでもなんでもない。

 魔物が放つ炎を“魔力の炎”と呼んでいるだけである。

 

 クリエのいた世界だと生息地域に行けば【フレイム】なんていくらでもいたというのに、この世界でいそうな死の火山にはいなかった。

 もしかしたらこの世界に【フレイム】自体存在していないのかもしれない。

 

 そもそも【フレイム】は【破壊の神シドー】の魔力より生まれし邪悪な炎の精霊なのだが、クリエはビルダー……そこまで魔物に精通しておらず、また、どう生まれた魔物だとか興味もそんなにない。

 ここまで勝手が違うとこの世界の住人に訊くのが一番なのである。

 

 

 ……クリエはアベルにチラッと視線を投げた。

 

 

「そう……だね。僕は魔物に詳しいけど、フレイムなんて魔物、出会ったことがないよ」

 

「そっかぁ……困ったな。代わりになりそうな魔物っていたりするかな? ほら、ずっと燃えてるようなやつ。火力はそこまで強くなくてもいいんだけど。弱すぎるのはダメだけどさ」

 

「代わりか……」

 

 

 ――ずっと燃え続けている魔物……?

 

 

 アベルには【フレイム】という名の魔物に出遭った記憶はない。

 代わりになりそうな魔物……と、別世界も含め魔物の記憶を思い起こしていく。

 

 

「……あ。そういえば、火山で頭が燃えてる魔物がいたような……。あの魔物でも代用できるかもしれない」

 

 

 アベルを見ていたクリエが先に思い出し、告げた。

 

 火山にいた頭が燃えている魔物――そんな奴いただろうか。

 ……確かにいた気がする。

 

 アベルは思い至り、口にした。

 

 

「あ、その魔物、もしかして炎の戦士じゃ……?」

 

 

 【ほのおのせんし】、地獄の業火を操る邪悪な精霊の戦士――。

 

 常時浮遊しており、両手に炎を携え、その炎を投げ付けて攻撃してくる厄介な魔物だ。

 頭髪が炎で構成されており、例え倒れても死ぬまでその炎が衰えることがない。

 別世界では仲間にしたこともあった気がする。

 

 ……そいつで代用できないだろうか。

 

 

「へー、炎の戦士っていうんだ。フレイムなら戦い慣れてるからボクでも捕まえられるけど、炎の戦士は距離が離れてても炎を投げつけてくるから怖くって。シドー君が倒してくれたけど、ボクたちはちょっと苦手な魔物だったな。アベルお兄さんは捕まえられる?」

 

 

 捕まえたとしても扱いが難しそうだけど、なんてクリエは以前死の火山で遭遇した【ほのおのせんし】を思い浮かべて眉を寄せた。

 

 

「……捕まえるというより、仲間にできるかもしれないな。仲間になれば協力してくれると思う」

 

 

 ――仲間にするまで少し骨が折れるかもしれないけど……。

 

 

 別世界の記憶では なかなか仲間になってくれなかった気がする――と、アベルの眉間にも深い(しわ)が寄せられる。

 

 捕まえるにしても、仲間にするにしても時間が掛かりそうだ。

 時間が掛かればそれだけ世界に悪影響が出てしまう、どうしたものか……。

 

 

「仲間? あ、そっか。アベルお兄さんも魔物を仲間にできるんだったね。仲間にできるなら話が早い。明日から炎の戦士をさがしに行こうよ」

 

「……そうだね。あ、けど、その前にクリエちゃんに見てもらいたいものがあるんだ」

 

「ん?」

 

 

 一瞬寄せられたクリエの眉はすぐに笑顔で掻き消され、明日から【ほのおのせんし】をさがしに行こうと誘ってくる。

 その明るい表情にアベルは頷く。

 

 ……時間が――なんていうのは言い訳にしか過ぎない。

 せっかく見つかった解決方法がそれしかないならば、やるしかないではないか。

 

 だがアベルには忘れてはいけないことがもう一つあった。

 

 




フレイムはⅤに出て来ませんからね~。
次のミッションは炎の戦士をさがしですが、その前に……?

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!

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