ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

前回のプチあらすじ>闇のランプの修復の他にアベルが忘れてはいけないこととは……。

アリアが悩む回。

では、本編どぞ。



第七百三十一話 アリア、悩む

 

「一度、名産博物館に来てもらえないかな?」

 

「あ、壊された展示台だね? わかった。それ見てから炎の戦士狩りに行きますか……!」

 

 

 アベルの言葉にクリエが察しよく了承する。

 

 ……そう、クリエには破壊された【展示台】を見てもらいたいのだ。

 ゆうじいに“両方一度に解決すればいい――”などと無茶振りされたが、それを可能にするクリエが見つかったのだからまずは状況だけ見てもらった方がいいだろう。

 

 【ほのおのせんし】を仲間にするまで、どれだけ時間が掛かるか読めない今、クリエには先に【展示台】の修理を頼むというのも手かもしれない。

 

 

「決まったな」

 

 

 壁にもたれて腕を組み、ずっと黙って聞いていたシドーがクリエに視線を投げてニヤリと笑う。

 

 

「えへへっ! 久しぶりの閃きにボクは自分の才能が恐ろしくて酔ってしまったよ」

 

「ビルドが楽しみだな!」

 

「うん! じゃあ、今日は早く寝よう!」

 

「おう!」

 

 

 クリエとシドーの二人は喜色満面で互いに見合うと、早速それぞれのベッドに潜り込み横になった。

 横になってすぐにイビキにも似た寝息がクリエとシドーから聞こえその寝顔を見るが、二人とも口角が上がっており幸せそうだ。

 

 なぜかはわからないが、二人がすごく楽しそうに見えて、アベルは快く依頼を受けてくれたことに感謝した。

 

 

「……アリア、なんとかなりそうだね」

 

「……」

 

 

 クリエたちとの話が終わりアベルが声をかけるも、アリアはさっきからずっと黙り込んだまま何かを思案している様子――。

 

 

「……アリア?」

 

「フレイムって……うーん……」

 

「アリア!」

 

「……あっ、ん?」

 

「どうしたんだい? 何か考えごとでも?」

 

「あ……えっと……んー……なんて言ったらいいのか……、ははっ、忘れちゃった」

 

 

 何度か呼びかけて、やっとアベルに振り向いたアリアは誤魔化すように苦笑いをする。

 

 

「ん?」

 

 

 アベルは彼女の様子に目をぱちくりさせた。

 アリアはいったい何を考えていたのだろう……【フレイム】と聞こえた気がしたが、気のせいだろうか。

 

 

「思い出したら話すね」

 

「う、ん? うん。じゃあ、明日から忙しくなりそうだし、今夜はもう休もうか」

 

「うん、そうだね」

 

 

 アリアの態度が少し引っ掛かったものの、表情は暗くないためその内話してくれるだろうと信じてここでは追及しない。

 

 ……明日からは忙しくなる。

 

 アベルはアリアにおやすみのキスと称し、軽く口付けをして空いているベッドに横になった。

 アリアが布団に潜り込む頃にはピエールとプックルも彼女のベッドの傍でそれぞれ微睡み始める。

 

 ……ようやく見つけた朝を迎える方法。

 多少時間が掛かってでもやるしかない。

 

 ベッドはクリエが手入れしたのかふかふかで、仰向けのアベルは薄暗がりの天井を見つめながら【ほのおのせんし】との戦いを想起した。

 

 

「……(明日から【ほのおのせんし】狩りか……、早く仲間になってくれるといいけど……)」

 

 

 【ほのおのせんし】とは以前死の火山で何度か戦ったが、起き上がることはなかった。

 【かえんのいき】が中々に痛い魔物である。

 死ぬことはないだろうが、群れで来られては強くなった今でも無傷では済まない。

 

 アリアと炎耐性の無いプックルとスラりんは不利だから、馬車に退避させておいて、炎に強いピエールに頑張ってもらおう。

 キングスも少しは強くなったことだし、出てもらうか……。

 

 ピエールとキングスなら炎耐性を持っているから安心だ。

 もう一匹(ひとり)はどうしようか――。

 

 明日からのパーティー編成を思考していると次第にアベルの視界が霞んでくる。

 

 

 ――ともかく解決まで一歩を踏み出せたのはよかった。

 

 

 アベルは希望が見えたからか、課題はあるが穏やかな気持ちで眠りに落ちていく。

 

 

 ……その一方で、いつもは真っ先に眠りに落ちてしまうアリアは横になっていたものの寝付けずにいた。

 

 

「……フレイム……、私知ってる……どこで見たんだっけ……? っていうかクリエちゃんもシドー君もいったい何者なんだろ……ん? シドー……くん……?」

 

 

 ――シドー……??

 

 

 みんなの寝息が重なり始める中、天井を見上げるアリアの小さな呟きが溶けて、彼女は遠き日の記憶を辿る。

 今のアリアではない、前世の記憶――。

 

 アリアには【フレイム】も【シドー】も、どちらもどこかで聞いたことがあるのだ。

 

 

「……あ(シドーって……確か、Ⅱのラスボスの名前よね……? フレイムもⅡに出てきてたような……?)」

 

 

 ……アリアは半身を起こして、対角のベッドに眠るシドーを眺める。

 

 クリエの描いた【フレイム】のイラストに彼女たちのいた世界がⅡ世界ではないかと見当を付けたアリアだったが、シドーはどう見ても可愛らしい少年で、

クリエなんてキャラクターもⅡには登場しなかった。

 あの世界にいた強い人間はⅠの子孫の勇者三人だけ。クリエが【ムーンブルク】の王女という線も一瞬考えたが、彼女が呪文を一切使えないからその考えは直ぐに消える。

 

 ……ドラクエⅡはクリア済みだ。

 やり込みはそれほどしていないが、周回プレイは何度かしている。

 

 町の人々にクリエらしきキャラクターはいなかったし、シドーのような少年も見掛けた試しがない。

 いったい彼女たちの世界はどの世界なのだろう――。

 

 

「……ぁぁ、いったい二人はどの世界から来たの……?」

 

 

 アリアは頭を抱えた。

 

 

 ――アベル、私やっぱり役立たずでごめんね……。

 

 

 もしスピンオフ作品の世界だとしたら、プレイ出来ていないアリアにはお手上げである。

 こんなことならもっと色んな派生作品もプレイしておけばよかった――。アリアは向かい側のベッドですやすやと眠るアベルに心の中で謝罪した。

 

 とはいえ【フレイム】と【シドー】に気付いてしまったのだ。

 ……今夜は気になって眠れそうにない。

 

 

「ぁ……訊いてみればいいのか」

 

 

 クリエかシドーに訊いてみよう――。

 しばらく眠気など忘れ考え込んでいたアリアだったが、最終的に二人から話を聞けばわかるのではと思い至り、安堵するとようやく眠りに就くことができたのだった。

 




考えてもわからないなら本人たちに訊けばいいのよ。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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