ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

前回のプチあらすじ>アリアはクリエとシドーがいた世界はどこなのか気になって……。

二人の想い……重い……?

では、本編どぞー。



第七百三十二話 二人の想い

 

 

 

 

 

 アリアが最後に眠りに就いてしばらくの後、夜が明けは……、せず。

 目が覚めても相変わらずの闇の中――。

 

 

「アリア、起きて。アリア」

 

 

 アベルは眠るアリアに優しく声を掛けた。

 夫の優しい声で起こされれば妻も嬉しいに違いない――そう信じて。

 

 

「ん、んんー……? ……ぁ、アベルおはよ」

 

 

 呼び掛けの声にアリアの目蓋が開き、神秘的な紫水晶がアベルの姿を捉える。

 その瞳に穏やかな顔のアベルが映り込むと、彼女は寝ぼけまなこで柔らかな笑みを見せた。

 

 

「おはよう、よく眠れたかい?」

 

「うん」

 

 

 アベルよりも目覚めが遅かった時の寝起きのアリアは、ぼんやりとした様子が無防備で愛らしい。

 この顔が見られるのは夫の特権だなと思いながら、アベルはアリアの目に掛かる前髪を除けてやった。

 

 

「……本当に? 目の下に隈ができてるけど……」

 

 

 それまで穏やかだった顔のアベルの眉が急に下がる。

 ……アリアの目の下が青ずんでいた。

 白い肌だからだろうか、隈ができようものならすぐにわかってしまう。

 

 

「あ……、あはは……、アベルってばスルドイ。実は夕べ寝付けなくて……」

 

「そっか……僕が隣にいないからよく眠れなかったんだね♡」

 

 

 ……そういえば昨晩アリアの様子が少しおかしかった。

 そこまで深刻そうには思えなかったが、判断を見誤ったのだろうか。

 

 そう思ったアベルだったが、何かあれば伝えてくれるだろうと思いしつこく訊いたりはせずに茶化してみる。

 

 

「え? あ、別にそういうわけじゃ……」

 

「眠いならあとで馬車で寝るといいよ」

 

 

 アリアの言い分など無視して、アベルは爽やかに微笑み彼女の身体を起こしてやった。

 

 

「っ、私だけそんなわけにはいかないよ……」

 

 

 ――みんなが戦っている時に寝てるなんてできない。

 

 

 身体を起こしてもらったアリアは首を左右に振る。

 

 いつ何時何があるかなんてわからないのに、悠長に寝てなんぞいられない。

 馬車待機とはいえアベルたちに任せっぱなしにはしたくない。いつでも飛び出せるよう、気を張っていなければ。

 

 

「一度名産博物館に戻るけど、その後に炎の戦士を仲間にしに行くから、どっちみちアリアは馬車だよ?」

 

「むっ……、わかってるけど……でもっ」

 

「アリアが火傷でもしたら心配だからね」

 

 

 最近過保護が過ぎるアベルにアリアは頬を膨らませる。

 

 結婚してからというもの全く戦闘に出ていないからたまには一緒に歩きたいのだろう。

 アリアの呪文は強力だから共に戦いたいという気持ちもわからないでもない。

 だが、この話は以前にもして納得してもらったはずなのだが……。

 

 

 終わった話を蒸し返したくはないアベルは穏やかに目を細めた。

 

 

「回復呪文使えば大丈夫なんですけど……」

 

 

 アリアは不服そうな顔でアベルを上目遣いで見つめ、瞳で訴えかけてくる。

 ……まだ納得してはいないらしい。

 

 意識してやっているかは不明だが、僅かに涙が滲んだような上目遣いはアリアのおねだりする時の常套手段だ。

 大好きな妻の大きく神秘的なアメシストにじっと見つめられたら「じゃあ一緒に歩こっか♡」と言うことを聞いてやりたくなってしまうではないか。

 

 

「じゃぁ……ぅっ、アリアぁ? まだ納得してくれてないのかい? 君には蘇生呪文が効かないかもしれないんだ。万が一を考えてそうしてるって言ったよね?」

 

 

 ――可愛い顔してぇっ……! その手には乗らないからね……!

 

 

 アベルはうっかり同意しそうになったが、なんとか思い留まりこちらも頬を膨らませ少し目力を込めてみるとアリアが息を呑んだ。

 

 

「っ、わかってますっ……!」

 

 

 ……アリアは渋々同意する。

 

 

「よろしい。では奥さん、参りましょうか? クリエちゃんたちは一足先に出て、城の前で待ってるってさ」

 

「……はぁい……」

 

 

 アリアは唇を噛みしめアベルをじっと上目遣いに強く見つめてから差し出された手を取った。

 

 

「……(アリア……)」

 

 

 彼女をエスコートし、アベルはクリエたちの待つ場所に向かう。

 斜め後ろをちらりと見ればアリアはどことなく憂いの顔で、アベルは口を開けば謝罪の言葉しか出そうになく、ただ黙って眉を下げた。

 

 

 ――ごめんねアリア……しばらくの辛抱だからね。

 

 

 毎度一緒に歩きたがるアリアには申し訳ないが、命が懸かっていてはアベルも止めざるを得ない。

 

 名産博物館の不意打ちの戦いでは肝が冷えに冷えた。

 例えアリアに恨まれても、アベルは蘇生が可能だと確信が持てるまで彼女を戦いに出すつもりはない。

 

 ……強制的に従わせる形になってしまったが、これは仕方のないこと――。

 とはいえずっと馬車も可哀想だ。

 どうせ【ほのおのせんし】を仲間にするまでに相当数、戦うことになるだろう。

 

 その間に皆強くなるし、魔物たちとのレベル差に余裕ができたらアリアに活躍してもらえばいい。

 それなら彼女も喜んでくれるのではないだろうか。

 

 

 ……繋ぐ小さな手が温かくて、アベルはこの温もりをずっと大事にしたかった。

 そんなアベルの後ろで――。

 

 

「……ふぅ(アベルは過保護なんだから……)」

 

 

 斜め前で自らの手を引くアベルの背を見つめてアリアは眉を下げる。

 

 ここはゲームの世界なのだから蘇生が出来るというのに、なぜ頑なに自分を戦闘に出そうとしないのか……。

 アベルだって蘇生呪文(【ザオラル】)が使えるというのに。

 そしてアリア、自分はバグだから死にイベントなんてものもないはずで、あらゆる呪文が使えるというチート能力持ちである。

 

 名産博物館での戦闘は久しぶりで、気分が高揚した。

 あっという間にオバケ退治をしたわけだし、恐れることなど何もないというのに――。

 

 

 ……アベルの想いとは裏腹に、いつでもアベルの役に立ちたいアリアは歯痒くて仕方ない。

 

 

 

 

 それからアベルたちはレヌール城前でクリエたちと合流し、一路名産博物館に【ルーラ】で向かうことにした。

 




好き合っていても考えることは違う。
男女で考えること違うよなーという、ただのイチャラブ回(?)でした。

次回からモンスター狩りが始まりますが、現在モチベがかなり下がっているのでしばらく投稿をお休みしたいと思います。
※お話の修正は時々します。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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