ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

前回のプチあらすじ>クリエとシドーを仲間に加え、アベルたちは名産博物館に戻ることに。

では、本編どぞー。



第七百三十三話 足りない素材を集めに

 

 

 

 

 

 名産博物館に着いたアベルは早速ゆうじいにクリエとシドーを紹介――。

 クリエが挨拶もそこそこに本題へと入り、シドーと共に展示室へと走って行く。

 

 

「アラレちゃん……」

 

 

 ……アリアは全速力で駆けて行くクリエにまた謎の名を呟き見送った。

 

 【展示台】の中には無事だったもの、少し直せば使えそうなものとがある。

 素材を無駄にしないため必要な数を正確に知りたいらしく、クリエとシドーは壊れた【展示台】を一つ一つ確認しに行ったらしい。

 

 確認に向かったクリエとシドーの一方で、ロビーに残ったアベルとアリアは待つ間、ゆうじいに二人が【展示台】だけでなく【やみのランプ】も直してくれることを伝えておく。

 

 

「――――そんなわけで、あの二人ならどちらも元通りにしてくれるはずです」

 

「ふむ……あんな若いお嬢ちゃんと、少年がか……。なんともまあ、不思議な出会いもあるものじゃ。いっぺん死んでみるもんじゃな!」

 

「確かに……!」

 

 

 アベルの話にゆうじいがサムズアップしてウインクすると、アリアが深く頷いた。

 

 

「……ん? どういうこと?」

 

「あ。私、一度死んでこの世界に来てるから? アベルに会えてよかったなぁ~……死んでみるもんだなって思って」

 

「えぇ……? 僕もアリアに会えてうれしいけど、死んでみるもんって軽々しく言うのはちょっと……」

 

 

 ……死んでみるもんだな、なんて言うアリアはなぜか笑顔だ。

 

 誰しもがいつか寿命が尽きて死ぬとしても、まだ老いてもいない中で死ぬことを肯定されるのはやりきれない。

 アリアは運よく自分(アベル)と出逢ったが、アベルが初めて見つけたあの時、タイミングが合わなければ死んでいたかもしれないのだ。

 

 もしアリアが死んでゆうじいのような幽霊になっていたならば、悠長に笑って同じことを言ったりするのかもしれない……。アベルは想像ができて嫌になる。

 

 物にも何にも執着しないアリアのことだ、自らの命まで執着していなかったとしたら蘇生呪文が効かなかった場合、その理由が証明されてしまうではないか。

 ……今ここでこうして笑顔でいられるのは自分のお陰なのだから、アリアにはもっと命を大事にして欲しい、アベルはそう思う。

 

 

「アリア、いのちだいじにね」

 

「あ、作戦ね! りょうかいっ! っても私馬車だけど……?」

 

「っ……ははは……」

 

 

 作戦名だと勘違いしたアリアが額の横に手を持ってきてはにかむ。

 兵士が敬礼するような恰好にアベルから乾いた笑いが漏れた。

 

 ……アベルの気持ちはいまいちアリアには伝わらなかったようだ。

 

 そうしてアベルたちが話をしながら待っていると、三階までの全【展示台】を点検し終えたクリエとシドーが一階へと戻って来る。

 

 

「どうじゃった!?」

 

 

 ゆうじいは期待に満ちた瞳で階段を下りて来たクリエとシドーに駆け寄り出迎えた。

 

 

「大丈夫だよゆうじいさん。必要な数も確認できたし、材料さえ揃えば作れるよ」

 

「ほうほう! それはまことかっ!!」

 

「ボクが作ればあっという間に元通りさ☆」

 

 

 クリエが胸を張って明るい笑顔を見せるとゆうじいの瞳が輝きを増し、その表情も明るく弾ける。

 

 

「おぉっ!! なんと頼もしい……!」

 

 

 ……クリエの笑顔にゆうじいの声までもが弾んだ。

 始めは“こんなお嬢ちゃんがまさか直せるとは……”なんて半信半疑ではあったものの、一階の壊された【展示台】の一つをあっという間に直してしまったのを先ほど見せてもらったゆうじいは、今やすっかりクリエを信じ込んでいる。

 

 

「ただ、ちょーっと問題があってね」

 

「ん……?」

 

「木材は森から調達をすればいいんだけど、毛皮の手持ちが今はないんだ。在庫切れ」

 

「ほう……? ではどうするんじゃ?」

 

 

 クリエの声は相変わらず軽やかなため、問題はさほど深刻そうではない。

 ゆうじいは些末な問題なのだろうと、彼女に解決方法を訊ねる。

 

 訊ねられたクリエは腕組みをし首を捻った。

 

 

「この世界だと……んー……あっ。おおきづちやブラウニーから手に入るかもしれない」

 

「おおきづちとブラウニーか。確かサンタローズの洞窟にいたな……」

 

 

 クリエとゆうじいの話を聞いていたアベルは【おおきづち】と【ブラウニー】が生息している地域を思い出す。

 

 何度も行った場所ではあるし、そうでなくとも魔物のことならアベルはだいたい把握している。

 なぜか魔物の記憶だけは一部はっきりしないものがあるものの、名前さえわかればどこに生息しているのかすぐに思い出すことができるのだ。

 ……別世界で幾度も戦った魔物だ。それに苦楽をともにした魔物(なかま)たちを忘れたりはしない。

 

 

 ――加工前の【毛皮】なんて僕は手に入れたことがないけど……剥ぐのかな?

 

 

 ずんぐりむっくりとした愛らしい身体から【毛皮】を剥ぐとなると少々罪悪感が募るが仕方ない。

 【おおきづち】や【ブラウニー】を食べたことは無いが、今まで食べるために魔物の皮を剥いだことは何度かある。その要領でやれば問題ないだろう。

 

 アリアはきっと嫌がるだろうから皮を剥ぐ作業中はどこかに行っててもらって……と、アベルは【おおきづち】と【ブラウニー】狩りも視野に入れ、先にそちらを済ませるか思案する。

 

 

「うんうん、確かにいたね。ボクとシドー君で倒せば手に入るはずだから、ちゃっちゃとサンタローズに行っちゃおうか! アベルお兄さん、ルーラよろしく! さっそく行こ行こ!」

 

「え? あ、うん」

 

 

 アベルがまず何をするべきかと考えている間にクリエがさっさと行き先を決めてしまい、アベルはただ頷いた。

 

 いつもならどこへ行き、何をするかを決めるのはアベルなのだが、なぜかはわからないがクリエの勢いにのまれてしまった。

 小さいのに圧倒的な存在感の彼女に主動権を握られている気がしないでもないものの、クリエが今回の主役といってもいい。

 

 お願いしたのは自分(アベル)である。

 ここはクリエに従い、サンタローズに行くのが最善だろう。

 

 

 ……アベルは早速名産博物館から出て、クリエとシドーが笑顔で【ルーラ】の浮遊感を楽しむ中、サンタローズへと飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ルーラ】であっという間にサンタローズの村へとやって来たアベルたちは村に入る。

 クリエから一月ほど前に洞窟に入ったが洞窟内に強い魔物はいなかったと聞いて、それならばとアベルは今回アリアを連れて行くことにした。

 

 

「えっ!? 私も行っていいの!? うれしいっ! ありがとうアベルっ♡」

 

「アリア……♡ うん。けど、君は後ろに下がっててね」

 

「はーい♡」

 

 

 洞窟に向かいながら“一緒に行こうか”と誘えば、途端にアリアの瞳が輝き花が綻ぶような笑みで手を合わせる。

 どうやらアリアはアベルたちが洞窟にいる間、大人しく入口で待っているつもりでいたらしい。

 彼女のキラキラした瞳についアベルの表情が綻んだ。

 

 

「フフッ」

 

 

 ――こんなに喜んでくれるなんて思わなかったな……カワイイ……。

 

 

 洞窟内の魔物が昔と変わらないから一緒に洞窟に入るかと訊ねたらこれだ。何かをプレゼントした時よりも嬉しそうにしている。

 アリアは何か物を与えるよりもこうして一緒に歩く方が好みだというのか……。

 

 そんなにも自分と一緒に歩きたかったのかとアベルはいまさらに嬉しさと罪悪感を感じたが、命が懸かっているから確証を得るまでそこを曲げるつもりはない。

 

 だが久しぶりに一緒に洞窟探検ができるのはアベルとしても嬉しい。

 こういった機会がこれからもあることを願いながら一行は西の入口から洞窟へと入って行った。

 

 




お久しぶりです。
気が付いたら前回投稿から一月近く経ってましたね。

一応ちまちま書き進めてはおります。先も長いし。

投稿を始めた頃はこんなに長く続くと思っていなかったし、自分用に書いていたために文章が所々おかしく、今読み返すと震えますねぇw
気が向いた時と完結したら直していこうと思っております(あくまで思っているだけだけど)ので、それまではおかしな箇所はご愛嬌ということでご容赦くださいませ。

今後も毎日投稿は厳しいですがたまーに投稿して参ります。
是非、今後ともお付き合いいただけますと幸いです。

次回はサンタローズの洞窟で毛皮をゲットしていきますよー。
クリエちゃんとシドー君コンビ、好きー。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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