ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

前回のプチあらすじ>毛皮を集めて名産博物館に戻って来ましたよっ……と。

ゆうじいに進捗をお知らせしますよ。

では本編どぞ。



第七百三十七話 中間報告

 

 

 

 

 

「んじゃ、ボクたちは早速木材をゲットしてくるね~!」

 

 

 名産博物館に戻って来るなり、クリエはシドーと二人で森の中へと入って行く。

 仕事が早いのね……なんて呟くアリアがクリエたちの背中を見送り、アベルたちは博物館内に入ることにした。

 

 

「ほう。そんで森に行ったというのか……」

 

「一時間以内には戻るそうです。その後は展示台を作り、元の位置に設置くれると」

 

「ほぉぉお~! 思ったよりも早く復活できそうじゃな!」

 

 

 アベルが一階のロビーでゆうじいに中間報告の最中、博物館の外で“ドオォォオオンンッッ!!”と何かが倒れる大きな音が聞こえ僅かに足元が揺れる。

 

 恐らくクリエかシドーが木を切り倒した音だろう。

 クリエが【バトルアックス】を持っていたし、シドーが破壊的な力の持ち主だから、彼が切り倒しているのかもしれない。

 彼女らは木までも切り倒すことが出来るというのか。ビルダーという者はかなりマルチな才能の持ち主らしい。

 

 ここでクリエが木こりのオルソーは必要ないと云った理由が理解できた。自分たちで調達できるから不要だと云ったのだ。

 シドーが木を倒し、クリエが【ふくろ】に詰め持ち帰る。

 なるほど、それなら作業も早く終わることだろう。

 

 アベルはそう考えていたが、実際は違うのだ。

 クリエたちは……。

 

 

『よっし! 一本目おっしまいっ! シドー君、袋詰めお願ーい。次いっくよー!』

 

『おー!』

 

 

 クリエがサクサクっと倒した木をバラバラに加工しやすい大きさにすると、シドーが袋詰めをしていく。

 シドーにその場を任せた彼女は【ビルダーハンマー】を肩に次の木へと向かった。

 大木を前にしたクリエは早速【ビルダーハンマー】を思い切り振り始める……。

 

 そう、実際は木を倒しバラバラにするのがクリエ。バラバラになった木材を集め【ふくろ】に詰めるのはシドーなのだ。

 

 

 ……アベルとアリアがそれを知ることはない。

 

 

 

 

「展示台は木材が揃えばすぐにでも元に戻せるようですが……」

 

「そうじゃな。夜が明けんことにはお客がやって来れん」

 

「そうなんです。それで、闇のランプの修復に関してなんですが――」

 

 

 アベルは【展示台】の修理、設置はすぐにでも済むが【やみのランプ】の修復には【ほのおのせんし】が必要だということを告げる。

 クリエが戻り次第【ほのおのせんし】を仲間にするため死の火山へと向かうつもりだと説明した。

 

 ……死の火山へはまずサラボナに飛び、陸路で向かわなければならない。

 

 前回【炎のリング】を求めて訪れた死の火山だが、二、三日で辿り着けるほど近場にはないし、辿り着いたとて【ほのおのせんし】もそうすぐに仲間にはならないだろう。

 幸い死の火山の洞窟内部に【回復の泉】があるが、フロアに辿り着くまで溶岩に囲まれた悪路を進むことになる。

 

 【炎のリング】を取れば終わりというわけではない今回は、あの場に長居することになるわけで……。

 レベル差はあれど命懸けであることには変わらず、アリアに子どもでもできていたらとアベルは心配でならない。

 

 

「炎の戦士か……はて……? どこかで……」

 

 

 アベルの説明にゆうじいが首を捻った。

 

 

「え?」

 

「うーん……どこじゃったかな……わし、むかーし炎の戦士と遭ったことがあったような……? うーん……」

 

 

 遥か遠い記憶なのだろう。

 ゆうじいは目を閉じながらも眉間に皺を寄せ記憶を探っている。

 

 

「ど、どこでですか? ゆうじいさんも死の火山に行ったことがあるんですか?」

 

「いんや? わしは洞窟に眠る幻のアイテムには興味なしじゃ。そんなところには行かぬ。うーん……」

 

「あ、名産品マニアですもんね。ではどこで……?」

 

 

 アベルが問い掛けるが、すぐには思い出せないのかゆうじいが一瞬目を開けるもまた閉じて唸り始めてしまった。

 

 死の火山以外の場所で【ほのおのせんし】が出現する地域があるなら知りたい。

 正直なところ死の火山にまた行くのは日数が掛かり過ぎるし、骨が折れるのだ。

 

 

「うーん、さ、ばくの……?」

 

「砂漠……? ……砂漠っていうと、ここから南の大陸にテルパドールがありますけど……って、あっ!!」

 

 

 首を傾げるゆうじいから絞り出されたヒントに、アベルは自分で口にした言葉で思い出す。

 

 

 ――テルパドールの砂漠に【ほのおのせんし】が出るじゃないか……!

 

 

 不意に別世界で出会った【ほのおのせんし】の記憶が降りてきて、カチッとアベルの中で嵌った。

 

 

「……砂漠かぁ……、確か修道院の近くにも砂漠があったけど……炎の戦士なんて遭ったことないから違うよね」

 

 

 これまで黙って聞いていたアリアが口を開く。

 

 旅の扉でラインハットへ向かう際に通った砂漠地帯のことであるが、実はアリアはアベルと再会前、仕事を求めてオラクルベリーに向かったはずが迷って橋を越え、砂漠を彷徨い歩いたことがあったらしい。

 何度も魔物たちと遭遇したものの、修道院の南――橋を渡った先の砂漠で【ほのおのせんし】を見たことは一度もなかった。

 

 

「アリア、炎の戦士はテルパドールの砂漠に出るよ。あそこなら船ですぐに行けて日数も殆ど掛からない」

 

 

 思い出したアベルはアリアに朗らかに微笑みかける。

 その笑顔は自信に満ちており、釣られるようにアリアの表情が一気に花開くように綻んだ。

 

 

「そうなの!? すごいわアベル、炎の戦士がテルパドールにいるなんてどうしてわかったの!?」

 

「はははっ、今 急に記憶が降りてきて思い出したんだよ」

 

「そうなんだ! さっすがアベル。よかったね~♡」

 

 

 こういう時こそ別世界の記憶が役に立つというもの。アベルの笑顔が嬉しかったのだろう、アリアは喜びに手をぱちっと叩き合わせた。

 

 

「うん、船に乗ればテルパドールはすぐだし、これなら死の火山でアリアが汗で透け透けにならなくて済むね♡」

 

「……っ! も、もうっ……! えっちなんだからっ」

 

 

 アリアの服は濡れると透けてしまう――アベルが頭上に死の火山や滝の洞窟での彼女を思い出し描くが、アリアはモワモワと湧き出た妄想の映像を即座に叩き消していく。

 

 

「けどアベル。船って故障中なんじゃなかったの?」

 

「あっ! そうだった……! どうしよう……」

 

 

 名産博物館を出る前、故障中とは聞いていないが船が動かないとの報告は受けている。

 ここに戻って来るまでに数日経っているし、もしかしたら船も動くようになっているかもしれない。もし船が出せないとなるとやはり死の火山に向かった方が確実か――。

 

 

 ……アベルが腕組みして考えていると、背後から近づいて来る足音が聞こえた。

 

 

 

 

「話は聞かせてもらったよ!」

 

 

 

 

 明るい少女の声にアベルとアリアは同時に振り向く。

 

 

「クリエちゃん!」「シドー君!」

 

「ただいまー!」

 

 

 振り返ったアベルとアリアにクリエが弾ける笑顔で手を振りながらやって来る。

 先ほど別れてまだ一時間も経っていないのだが、もう木材を集めてきたというのか……。

 




ほのおのせんしは死の火山とテルパドールにも出るのですよ。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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