ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

前回のプチあらすじ>アリアに対するオコーゼの態度が以前とは違っていて……。

オコーゼさんて……

では、本編どそ。



第七百四十二話 オコーゼさんて……

 

「オコーゼさんて……――」

 

 

 アリアに追い付いたクリエが眉を寄せてブツブツ。

 よく聞き取れなかったがクリエはシドーに「まただよ」と耳打ち、苦笑していた。

 それに対しシドーは要領を得ないながらもクリエに笑顔を返している。

 

 

「ん……? どうかした?(まただよとは……?)」

 

「あはは……ううん、なんでもないよ。オコーゼさん、以前ポートセルミで会ったことがあってね。お客さんだったんだ。そっか……しばらく見てないなと思ってたら船に乗ってたんだね」

 

「そうなんだ! クリエちゃんて顔が広いのね!」

 

 

 ……どうやらクリエとオコーゼは顔見知りらしい。

 アリアはクリエが商売していることを思い出し、ポートセルミで出会っていたことに納得、明るい笑顔を見せた。

 

 

「……まあ、アリアお姉さんならしょうがない気もするけど」

 

「ん……? なんのこと?」

 

 

 アリアお姉さんの笑顔って眩しいよね……と、クリエは目を細めて口角を上げる。

 アリア本人はよくわかっていない様子で目を瞬かせていた。

 

 

「アリアお姉さんにはアベルお兄さんがいるから大丈夫でしょ」

 

「ん?」

 

「……ふふっ、早いとこ船直しちゃおうね」

 

「え?」

 

 

 言いたいことだけ言ってクリエがさっさと船の乗船口から伸びる歩板まで走っていく。

 クリエの話が読めないアリアはシドーを見たが、シドーもよく解っていない様子で互いに首を傾げてから後を追った。

 

 

「オコーゼさーん……、また……ですか?」

 

 

 アリアより一足先に辿り着いたクリエは、歩板の前に立つオコーゼを見上げて眉を顰める。

 

 

「……お。丁度いいところに行商人。久しぶりだな。あとで女性の好きそうなものを融通してもらえるか?」

 

「あの、人の話聞いてる? 彼女人妻だよ?」

 

 

 オコーゼがクリエの姿に今気が付いたとばかりにアイテムを購入したいと訊ねるも、言われたクリエは呆れ顔だ。

 

 

「今度こそいけると思うんだ」

 

「いやいや無理でしょ。彼女の旦那さんめっちゃ怖いよ?」

 

「だからこっそりと……だな。今丁度いないみたいだしチャンスだ……!」

 

「わー懲りてな~い(アリアお姉さん逃げて~)」

 

 

 アリアが歩板まで来る間にこそこそと二人は話をする。

 クリエはやめときなよと(たしな)めたが、オコーゼには届かなかった。

 

 

「……なんの話?」

 

「お嬢っ! おかえりっ!!」

 

 

 歩板までやって来たアリアをオコーゼが弾ける笑みで迎える。

 

 

「あっ、た、ただいま……です……」

 

 

 ――なんかオコーゼさん、態度が軟化したよね……。

 

 

 正確には数えていないがポートセルミの港を出てもう一月は経っている。

 その一月の間に、初対面では嫌われていたはずのオコーゼの態度がずいぶん軟化したように思う。

 

 いったい何があったのだろうか……アリアには特に何も思い当たらない。

 とはいえツンケンされるよりはいいかと、慣れないオコーゼの対応にはにかんでおいた。

 

 

「疲れてないか? 腹は減ってない? 最近寒いからエソスキーにあったかい鍋を用意させておいた。さあ早く食堂に行こう!」

 

 

 不意にオコーゼがアリアの手を取り告げる。

 

 

「えっ、あっ、あの、ちょっと待ってオコーゼさん!? クリエちゃんをウッツボさんのところへ案内して欲しいんですけどっ!」

 

 

 ――どうして手を握るの……!?

 

 

 アリアは驚き握られた手を振り解こうとしたが、力が強くて振り解けなかった。

 

 こんなところをアベルが見たら誤解するではないか。

 夫のアベルは嫉妬深いのだ。夫以外の男が手を握ったなんて知ったら、相手の命が危ないし、別の意味でアリア自らの命にも関わってくる。

 

 たとえ二軍……馬車組だとしても、数日間身動きすらできなくなるのは勘弁して欲しい。

 とにかく早く手を放してもらわなければ――。

 

 

 ……アリアは必死に抵抗した。

 

 

「は? ウッツボに何の用が……? そんなことよりお嬢の腹を満たす方が大事だろ……?」

 

「あっ、ここに来る前に歩きながらパンを食べたからお腹は空いていないです。クリエちゃんなら船が動かない原因、見つけられるかもしれないからそちらを先にお願いします」

 

 

 ――急にどうしちゃったのオコーゼさん……!?

 

 

 ほら行こうとオコーゼが不機嫌な表情で歩板を上り出すが、アリアはイヤイヤと首を横に振る。

 それでもオコーゼは強引にアリアの手を引いて連れて行こうとしていた。

 

 なぜこうも簡単に誰かに連れて行かれることが多いのか。

 こんな時筋トレしているのも関わらず、まったく身についていない非力な自分が悔しくて堪らない。

 

 そこへ見かねたクリエが間に入り、アリアの手を握るオコーゼの手首を掴んだ。

 

 

「そうそう! ボクの作ったパンおいしいもんね。ほらオコーゼさんさっさと案内してくれるー?」

 

 

 “ギュゥゥゥッ!!”

 クリエは満面の笑みでオコーゼの手首を締め上げる。

 

 

「ぅっっ……そうか、わかった。なら先にそっちへ案内しよう」

 

 

 オコーゼはクリエに向けられた笑みに、引き攣り笑いを浮かべアリアから手を放した。

 

 

「ありがとうございます、オコーゼさんっ」

 

「い、いいんだ……。お嬢が喜んでくれるなら……(可愛い……)」

 

 

 解放されたアリアが目を細めてお礼を告げれば、オコーゼの頬は赤く色付き照れたように歩板を上って行く。

 

 ……アリアたちは後ろについて行くことにした。

 

 

「アリアお姉さんって罪作りだね~」

 

「へ?」

 

「今、アベルお兄さんがいなくてよかったよ」

 

「あ、うん、そうだね。アベルやきもち焼きだから……」

 

「だよねー。けど、オコーゼさんには気を付けた方がいいよ。あの人って――――……からさ」

 

 

 オコーゼの案内でウッツボの元へ向かいながら、クリエからオコーゼについての話を聞かされる。

 それを聞いたアリアは、始めは「まっさか~」なんて笑っていたが、次第に顔色を青くし最後には頭を抱えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……――というわけで、原因が不明なんだ」

 

 

 オコーゼの案内で船内へと下りて来たアリアたちは、乗組員の寝泊まりする船室にいたウッツボから現在の船の状態を説明される。

 その部屋は食堂階を下りた場所に位置し、更に階段を下りると貨物室へと至る。

 ……そこから動力室に入れるらしい。

 

 船は未だに動かず原因は相変わらず不明。

 つい先日の昼までは動いていたというのに、急に動力部がなぜか動かなくなったとのこと。

 メンテナンスも欠かしてはおらず、毎日手入れしている。

 

 なのに魔力の循環が上手くいかず、動力部がうんともすんとも言わないのだそうだ。

 

 

「そうなんですか……じゃあ、ボクに動力部を見せてもらってもいいですか?」

 

「ああ、構わないさ。だがお嬢ちゃんにわかるかなぁ……?」

 

 

 ウッツボに話を聞く前に、オコーゼがクリエについて器用な子どもであると軽く説明したせいか、動力部を見せることはしてくれるらしいが半信半疑のようだ。

 

 

「うーん、船を修理するのは初めてだから見てみないとなんとも。けど、気配がするからたぶん直ると思う」

 

「ん? 気配って?」

 

「へへっ☆ まあ任せてよ。シドー君も一緒に行こ行こ」

 

 

 クリエには何か思い当たる節があるのだろうか……動力部があるであろう方向へと顔を向け瞳を輝かせている。

 ウッツボは不思議顔だったが動力室案内のために移動を開始。船底に続く階段を下りて行く。

 シドーもピンときた様子でニカッと白い歯を見せ、クリエの後ろに付いて行った。

 




オコーゼェ……。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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