ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

前回のプチあらすじ>井戸で水を汲んで出て来たアベルたちは……。

ビルダーの建築は……。

では、本編どぞー。



第七百四十九話 ビルダーの建築

 

「……ね、名産品の博物館って、ゆうじいさんのことよね……?」

 

「ゆうじい……あ、そうだね。ゆうじいさんこの大陸の出身だったのか……だから炎の戦士がこの大陸にいるって知ってたんだな……。じゃあ砂漠のバラは……名産品……?(あれ? 砂漠のバラってどっかで聞いた気がするような……)」

 

 

 ……井戸から出たアベルたちは話をしつつ、キャンプできそうな場所を探して歩く。

 

 先ほどマスク男が語った名産品の博物館の爺さんは、はっきりしないが恐らくゆうじいで合っているだろう。

 それといまさらではあるが【さばくのバラ】の名称に、アベルはどこかで聞いたことがある気がして、すぐには思い出せず首を捻った。

 

 

「それっぽいよね。砂漠のバラって……ひょっとしてあれかなぁ」

 

 

 アベルが記憶を探る中、アリアは何か思い当たったことがあるらしい。顎に人差し指を添えて宙を見上げている。

 

 

「ん? アリアなにか知ってるのかい?」

 

「あ、えっと……砂漠のバラって、砂漠で鉱物やなんかが結晶化して花みたいに見えるもので……前世で見たことがあるの。デザートローズともいうんだって。ひょっとしたらそれかなって思って」

 

「えっ、へえ~~!! アリアよく知ってるね……!(僕の奥さんは物知りだなぁ……♡)」

 

 

 テレビで見ただけで実物は見たことないんだけどね、と語るアリアにアベルの頭には“実物は見ていないのに知っているのはなぜ……?”疑問符が浮かぶ。

 ……が、物知り顔をするアリアを褒めてやりたくて額に唇を落とした。

 

 

「っ……?? アベルなんでちゅー……?」

 

「賢い奥さんにご褒美♡」

 

 

 ちゅっ、ちゅっ、とアベルはまたしても啄む様にアリアに口付けをする。

 魔物の出ないオアシスならば、安心して妻を愛でられるというもの。

 

 

「……っ、も、もぅっ、なに言って……! ぃっ、わぁっ、頬っぺた噛まないでよ~……!」

 

 

 “あむあむ。”

 

 アベルの口付けは留まることを知らず、次第にアリアの耳や頬を甘噛み。

 ……ピエールとプックルがすぐ後ろにいるのだが――。

 キャンプの準備そっちのけでアベルはアリアを構いに構った。

 

 

「「……」」

 

 

 ピエールとプックルが、目の前で繰り広げられる二人のバカップル振りに黙り込む。

 長くなりそうだなと二匹(ふたり)で近くの【ヤシの木】の側へと移動し、寛いで待つことにした。

 

 

「がう? がうがう(ピエール、寒くはないか? 我に寄り掛かっていいんだぞ)」

 

「プックル殿……かたじけない。ではお言葉に甘えて……」

 

 

 プックルのもふもふがあれば多少の寒さは凌げる。ピエールはアンドレから降りて横たわるプックルに背中を預け、寄り添わせてもらった。

 【キラーパンサー】は、たてがみ以外は短毛ながら毛の密度は申し分ない。

 そんなプックルの体温は温かく、砂漠の夜で疲れて冷えた身体にじんわりと沁みた。

 ついウトウトしてしまいそうだ……。

 

 互いにくっ付いていれば温かい――のは、人間同士も魔物同士も一部の魔物を除けば同じだなとピエールはアベルとアリアを見てそう思う。

 ……ところでアベルは相変わらずアリアに構っていて、準備に動き出す気配がない。

 

 

「……はぁ……アベル殿は本当にアリア嬢がお好きなのだなぁ……。新婚とはいえ、共に旅を始めてもう一年半以上は一緒にいるというのに、よく飽きもせず……」

 

「がうがう(主は病気だ、アリアが嫌がっていても止めようとせずすぐに暴走する)」

 

「アリア嬢もなんだかんだとすべて受け入れてますからね……って、ぶえっくしょんっっ!! ……砂漠の夜は冷えますね……」

 

 

 アベルとアリアは寒くないのだろうか……。

 相変わらずいちゃいちゃしているからなのか、二人はくっついたりちょっと離れたりを繰り返していて寒さなんてなんのその。楽しそうだ。

 

 

「っ、へっぶしっっ!! っ、がうがうっ(ピエール、もっと体重を掛けていいんだぞ! 密着しないと寒いだろうが!)」

 

「あ、はい。では」

 

 

 くしゃみをしたプックルがピエールに背を密着させるようにと促す。

 ピエールは気を遣い、体重を掛けないよう努めていたのだが無用な気遣いだったらしい。

 すぐにピッタリと背を預ける。

 

 ……寒いからなるはやでキャンプの準備をして欲しい――と、二匹(ふたり)は思いつつ、今夜は移動や戦闘続きでしばらく新婚夫婦が一緒にいられなかったこともあり、大目に見て待ってやることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、おふたりさんっ! この辺にテントを設置しようと思うんだけど、どうかな? ……かな?」

 

 

 

 

 ピエールとプックルが新婚夫婦そっちのけで本格的に寛ぎだし しばらくすると、泉にいたはずのクリエがいつの間にかやって来て、ラブラブ真っ最中のアベルとアリアの間に割って入るように挙手をする。

 彼女の後ろにはシドーの姿もあった。

 

 

「「…………ん? っ、うわぁっ!?(クリエちゃん!?)」」

 

 

 クリエたちの目の前でイチャイチャしていたアベルとアリアは驚いて同時に離れる。

 

 

「ちゅっちゅらぶらぶしてるとこ大変申し訳ないんだけど、ちゃっちゃとテント設置しちゃっていい? ね? いいよね?」

 

「っ、ちゅっちゅらぶらぶって……っ、うわぁぁああ……! ごめんなさぁ~い……っ!」

 

 

 手を合わせニヤニヤ顔で謝罪しながら告げてくるクリエの登場に、アリアの顔がみるみる真っ赤に染まってゆく。

 アリアはクリエたちに見られていたことに羞恥を覚え、途端パニックに陥りその場から逃げ出し、走り去った。

 ……砂の上で走りにくそうだが、かなりスピードが出ている、このままオアシスを出て行くつもりなのだろうか……。

 

 

「えっ、アリアっ? ちょっと!?」

 

 

 あのままオアシスから出たら不味い――。

 アベルは追い掛けようとしたが、クリエの手がそれを引き留めた。

 

 

「ちょっと、アベルお兄さん! テント作った方がいいんだよね!?」

 

 

 クリエはそう言うがアリアが逃げ出したのだ、今はそれどころじゃない。

 

 だがクリエの手はアベルの手首をしっかり掴み、放してくれない。

 なんて馬鹿力なのだろう、ビクともしない。大の男であるアベルでも振り解けないとは……。

 こんなところで妻に逃げられるなんて――と思っていたら、代わりにプックルが追いかけて行くのが見え、アベルはほっと胸を撫で下ろした。

 

 ……すぐにプックルに追いつかれたアリアは、首根っこを銜えられ戻って来る。

 その姿はまるで母猫に銜えられる子猫のように見えた。

 

 

「え? あ、うん?(アリア子猫みたいだなー……カワイイ……♡)」

 

「依頼してもらえると、長持ちすると思うんだよ」

 

「へ? あ、わかった。じゃあ、テントの設置をお願い。……それと、もし出来たらでいいんだけど――……――……ってお願いできたりする?」

 

 

 プックルに引き摺られ「スミマセン、スミマセン。本当スミマセン。今はアベルの側に行きたくないです」……赤い顔でピエールの元に連れられて行くアリアを眺め、アベルはクリエに耳打ちをする。

 ……アベルのお願いを聞いたクリエは二つ返事で了承してくれた。

 

 

「じゃあ、一時間くらいで作っちゃうね!」

 

 

 声高らかに、一時間でテントを二張り設置すると宣言したクリエ。彼女は一人でテントを設置できるスペースを見つけ、必要な素材を【ふくろ】から取り出していく。

 

 

「ハッ、うれしそうな顔して……」

 

 

 その場に残ったシドーは作業を始めるクリエを穏やかな瞳で見守る。

 クリエの作業は手早く、あれよあれよという間にかなり大きなテントが作られていく……。

 

 

「あれ? テント、だよね……?」

 

 

 アベルは目の前で形になってゆくテントらしき(・・・)建物に首を傾げた。

 

 色は表面は黄色く内側は黒、硬い金属のような四角いブロックが三角錐に近い形に組み立てられているだけで、どう見てもテントではない気がする。

 金属のようなブロック――アベルは今までそんなものを見たことがない。

 あれはいったい何なのだろうか……。

 

 いつの間にかクリエの手元にはノミのような工具が握られていて、四角いブロックに向けて差し込んでいる。

 ノミのような工具は【カッター】というものらしい。修道院にいた時に教えてもらった。

 【カッター】が差し込まれた四角いブロックは綺麗に斜めに削ぎ落され、三角錐に。テントと言っていい形となっていく。

 

 ……テントに見えればいいというのか――力技だ。

 これがビルダーの建築――。

 




力技。見えればヨシ!的な。
はっきり書いてはいませんが、黄色い金属の壁は「マシンのカベ」だったりします。
実際にゲームプレイ中にこれでテントを作ったのでそうしてみました。
見えればいいのよ見えれば。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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