ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

前回あらすじ>そう、その本とは……!

ピンクの灯り……。

では、本編どぞー。



第七百五十三話 ピンクの灯り

 

 【エッチなほん】――。

 

 いかにもなピンクの表紙だったため、こっそりルラフェンに赴き、教会奥の部屋から【イブールのほん】の表紙カバーをくすねて被せてある。万が一アリアに見つかっても安心だ。

 

 アベルの持っているのは“夜の~”シリーズの内の一冊、第四巻。

 夜シリーズは四巻まで発刊されており、第四巻は褐色の肌の踊り子と、占い師の美人姉妹が男たちから辱めを受けたり、旅の仲間といちゃいちゃしたりとボリュームのある内容で、すべてが絵に起こされ興奮を促す仕様となっている(つまりはエロ漫画である)。

 あまりにも出来が好く、きっとそれ以前の一巻~三巻も好いものだということは容易に連想できた。

 

 発刊と同時にすぐ売り切れた理由がわかったアベルは、全シリーズが欲しくて、類稀なる天才的才能を持つクリエと出会うのが遅くなったことを秘かに何度悔やんだことか……。

 

 今回クリエは“旅シリーズ”と言っていたから、そちらではないのだろう。

 旅する夫婦の感動の助け合いでも書いてくれるというのか――。

 

 

 ……どのみちアベルもアリア同様、クリエには世話になっているから断ることなどできない。

 

 

「フフッ♪ じゃ! 交渉成立ってことで! 二人のその仲の良さをしっかり表現するから任せてね!」

 

「あ、ああ……」

 

「へ? あっ、う、うん……?」

 

「じゃ! 早速作業させてもらって、二人はお風呂でも入って待ってて。すぐに“ゆかた”持って来るから!」

 

 

 クリエは満面の笑みでノートを背に仕舞うとアベルとアリア、二人の肩をトントンと軽く叩いた。

 そして二人が小さく頷く中、くるりと背を反転させて駆け出し、暖簾の先に消えてゆく。

 

 

 

 

 “いや~、いいネタ見つけたわ~、今度の新刊もヒット間違いなしだなぁ~♪”

 

 

 

 

 ……暖簾の向こう側からハイテンションで嬉しそうな声が聞こえた。

 

 

 

 

「……クリエちゃんて、忙しい人ね……。いつもなにか作業してる気がする……。歩いてる時もノートにメモしてたり、あれは使えるとか使えないとか言ってて、きょろきょろしてあちこち触ってたし……」

 

 

 微かに揺れる暖簾を眺め、アリアはクリエと同行中の様子を思い起こす。

 

 ビルダーである彼女は常に何かを作ることに集中しており、あらゆる物を素材として見ているようだ。

 だからか魔物との戦い方も少々独特で、無用な戦いは極力避け、シドーに任せることが多かったりする。

 ……異世界から来たため制約がある分、手に入れられる素材は限られているらしい。

 そのため余計に辺りをきょろきょろしてしまうのだろう。

 

 

「そうだね……何かを作るのが好き過ぎるんだろうね……」

 

 

 そういえばクリエは三度の飯より、寝るより何よりビルドが大好きなんだとシドーから聞いた。

 それだけ熱中できるものがあるというのは羨ましいと思うが、クリエがシドーに構う時間は少ない。

 

 ……シドーはクリエに構ってもらえず淋しくないのだろうか。

 いつも彼はそっと見守ってるだけで、彼女に呼ばれた時だけ快く手伝っている気がする。

 

 アベルはアリアが構ってくれないと淋しくてしかたない。

 だから今夜無理やりにでも二人きりになりたくて、テントをお願いしたというのに。

 

 

「あ、アリアお風呂先にどうぞ」

 

 

 ……そういえばここは浴室だ。

 アリアを先に風呂に入れてやろうとアベルは入浴を勧めた。

 

 

「いいの!? ありがとうっ♡ じゃあお言葉に甘えて♡ アベルはお部屋で寛いでてね」

 

 

 久しぶりの湯船を前に、アリアは満面の笑みで喜ぶ。

 アベルはそんな彼女の手にそっと触れて見下ろし、静かに耳元で囁いた。

 

 

「……ね、アリア今夜さ……」

 

 

 ……頬が熱い気がする。

 恐らく顔が赤くなっていることだろう。

 急拵えだが安全な宿泊施設。しかも個室だなんて、これはもう営むしかないではないか。

 

 

「ぁ……っ、ん、了解。砂がいっぱいついてるから、綺麗にしてくるね」

 

「……ああ、僕も後で……って、そうだ。一緒に入る? この間みたいに洗ってあげる」

 

 

 皆までは言わないアベルの誘いに、アリアの顔も赤く色付き首を縦に下ろす。

 こういう時、すぐに察してくれることが嬉しい。

 

 本人は否定しているが、アリアも営みが好きなことはわかっている。

 潔癖ではないが綺麗好きな彼女からすれば、風呂の存在はかなり大きいのだろう。

 清潔ささえ保てば、こちらの要求を聞き入れてくれやすい気がする……。

 

 

 ……そうだ、どうせなら一緒に入ればよくないか? そう思ったアベルは混浴を申し出たのだが――。

 

 

「っ、クリエちゃんがすぐ来るって言ってたからダメ~。ほらアベルは退場~」

 

「ざんねんー……」

 

 

 回れ右とあっさり断られたアベルはガクンと肩を落とした。

 ……アリアが背を押して暖簾の向こうへと追いやってくる。

 

 

「また後で一緒に入ろうね」

 

「っ、うんっ!!」

 

 

 トンッ。と勢いよく浴室を追い出され、アベルは振り返る。

 暖簾の隙間からアリアが服を脱いでいるのが見え、興奮した。

 

 まあ、諸々終わってから一緒に入ればいいか――。

 アリアからもそう告げられたアベルは辛気臭い顔から一転、破顔一笑。

 

 浴衣なんて無駄なものがなければ、風呂でもいちゃいちゃできたというのにクリエのせいで……なんて。アベルは悔しい思いをしたが、その後その考えを180度改めることになるとは。

 この時のアベルは隙間から覗く妻のしなやかな肢体に釘付けで、思いもしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 “チュンチュン……ッキ”

 

 

 スズメの鳴き声がテントの外から聞こえる。

 ……朝? いや、そんなはずはない。

 

 スズメの声が聞こえるはずがないのだ。

 なぜならここは砂漠で、夜はまだまだ明けないのだから。

 

 だが、“チュンチュン……キッ”――?

 ……スズメに似た鳥の声が聞こえる。

 

 

「……んん……」

 

「……もう少し……」

 

 

 【布団】の中で身動ぎし、背を向けるアリアを抱きしめ、アベルは薄っすらと目蓋を開くが、部屋はピンクの灯りが点され、昨夜のまま――。

 【こたつ】や畳の上には互いの脱ぎ捨てた浴衣が散乱していた。

 

 

 ……昨夜アベルはアリアが風呂に入っている間に、やってきたクリエから浴衣を受け取り、入浴を済ませた彼女にそれを渡し自らも入浴。

 風呂から上がり、クリエから着方を教わった浴衣に着替えて【水】を飲み飲み部屋へと戻る。

 

 部屋に戻った途端 部屋の灯りが明るい照明からピンクの照明に変わった。

 アリア曰く【カベスイッチ】を触ったら切り替わった……とのこと。

 

 照明一つで妖しい雰囲気を放つ部屋へと変貌を遂げてしまい、焦ったアリアがすぐに灯りを元に戻すからと【カベスイッチ】を操作しようとしたが、アベルは自然と彼女の手首を捉まえそれを制止させた。

 

 ……“浴衣”という服は防御力は【ぬののふく】と大差ない。

 だが、防御力はないがある種、攻撃力はあったらしい。

 

 浴衣をクリエに教えたのはアリアだが、彼女は浴衣を着付けるのがあまり上手くはなかった。

 帯は一応巻かれてはいたが緩く着付けられているのか、描いていた絵とは違う仕上がり。緩く着付けられた浴衣の胸元、灯りが映えたピンク【スライム】の谷間がはっきり見える。

 

 暗闇の中で、ピンクの灯りにぼんやりと照らされた浴衣姿のアリアに心臓を射抜かれたアベルの鼓動は一気に跳ね上がった。

 アリアの帯を引っ張ると「あ~れ~♡」なんて、笑顔の彼女がくるくる回転、のりのりで言うものだからアベルも楽しくなり、体力が許す限り戯れに戯れた。

 

 ……毎度のことながらアリアを瀕死にさせてしまったが、彼女も楽しかったようなので良しとしている(【ベホマ】を何度か掛けてあるのでヨシ!)。

 アリアに飽きたわけではないが、たまには違うシチュエーションもよきかなよきかな。

 数日ぶりの夫婦の営みは、非日常感たっぷりで得難い経験となった。

 

 

 “浴衣っ、最高っ……!!”

 

 

 無駄だと思っていた浴衣に、こんなに心満たされると思わなかったアベルはもうクリエに足を向けて寝られそうにない。クリエ様様である。

 

 

 ……そんなわけで、珍しくアベルも疲れてまだ【布団】から出たくなかった。

 

 

 再び意識を遠退かせようとすると、“チュンチュン……ッキ”……語尾がおかしいがやっぱり鳥の声が聞こえた。

 

 




えっちなライト……は、名前が出てきませんでしたねー。
ビルダーズやったことのある方ならピンときたことでしょう。

アベル夫妻は頻度が高いので、マンネリ化防止にこんなシチュにしてみますた。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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