ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

前回あらすじ>“チュンチュン……ッキ”テントの外から鳥の鳴き声が聞こえて……。

オアシスでは数日間過ごすらしい。

では、本編どぞー。



第七百五十四話 オアシス連泊

 

「……ン……アベル……。そろそろ起きなくちゃ……」

 

「……んー……まだもうちょっと……」

 

 

 鳥の声に違和感を覚えながらもアリアは目を覚ましたようだ。

 彼女が自らの身体に回された腕を退けようとするが、アベルは縋るように抱き付いた。

 いくら目を覚ましても夜だからか、いくら寝ても眠い気がする。

 時間の間隔も鈍っているし、眠りに就いてからどれくらい経ったのかも不明瞭――。

 

 

「も~……アベルの甘えん坊さんっ♡」

 

「アリア……もう一回……どう?」

 

「えー……もうムリだよー……。せっかく体力が回復したんだもの、また後にしない? 早く炎の戦士を仲間にしなくっちゃ」

 

 

 振り返ったアリアによしよしと頭を撫でられ、アベルはおかわりを要求したが返事はノー。

 無理は禁物ということなのだろう。

 アリアが額に優しく口付けて宥めてくるのでここは我慢することにした。

 

 

「……起きるか……」

 

「うん」

 

 

 ……二人はもぞもぞと【布団】から抜け出し、身支度を整えるべく【カベスイッチ】を切り替える。

 ぱっと明るくなった部屋は互いの脱いだ浴衣や帯、下着があちこちにばら撒かれ、散々たるものだった。

 

 

「っ……(うわぁぁぁ……)」

 

 

 昨夜ははっちゃけ過ぎたなと顔を両手で覆い固まる妻を横目に、アベルは未知なる体験の余韻に浸る。

 宿に泊まる時、たまには浴衣を着ようと思った。

 

 

『メッキッキ!』

 

 

 ……ふと【ふすま】の向こう、外からメッキ―の声が聞こえる。

 

 

「っ、あっ、はーい!!(さっきのスズメみたいな鳴き声、メッキ―の声だったのね……!)」

 

 

 アリアはササッと着替えを済ませ、テントの出入口(【ふすま】)に走って行った。

 アベルも着替えを済ませ後を追う。

 

 

「おはよう、メッキ―! 起こしに来てくれたの?」

 

「メッキッキ!! ッキ……チュンチュン!」

 

「ふふっ♡ スズメの真似が上手ね!」

 

 

 アベルが駆け付けるとアリアとメッキ―が楽し気に会話中だ。

 スズメの真似とはいったいなんなのかと思ったが、聞けば 明けない夜はスズメが鳴かないから気分だけでも朝を演出してみたとのこと――。

 

 

「ええっ!? もうそんなに時間が経ってたの……!?」

 

 

 ……メッキーとの会話途中で突然アリアが大きな声を上げる。

 一晩眠っただけのつもりが、どうやらそれ以上の時間が経っているらしい。

 

 朝食に来ないからと、一度ピエールが様子を見に来たようだが、クリエに「寝かせておこう」と止められ今の今まで放っておかれたようだ。

 

 

「そっか……。やっぱり早く朝を迎えないとだね」

 

 

 ――時間の間隔が前より鈍ってる気がするな……。

 

 

 楽しい時間はあっという間に終わりを告げ、アベルは深刻な顔で腕組みをする。

 

 

「うん……(時計があれば時間がわかっていいんだけども……)」

 

 

 さっきまで穏やかだったアベルの表情が消えてしまい、アリアも神妙な面持ちで頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アベルはアリアと起こしに来てくれたメッキ―とともに、クリエたちの元へと向かう。軽めの食事を取ってすぐに【ほのおのせんし】を求めて砂漠に繰り出した。

 その日も【ほのおのせんし】との遭遇は何度もあったが、仲間になることはなく、疲れ果てるまで戦い続ける。

 ……昨夜に引き続き、残念ながら今夜も何度戦っても【ほのおのせんし】が仲間になることはなかった。かなり手強い。

 

 

「ふぅ……今日はここまでにしようか」

 

「賛成~! 戻ったらまたがんばるぞー!」

 

「???」

 

 

 一息吐くが、落胆していても仕方ない。

 また明日、明後日と諦めずに戦えばいつかは仲間になってくれるだろう。

 

 アベルが本日はここまでと区切りを付け、オアシスに戻ろうと声を掛けるなりクリエが元気に返事をして一人駆けて行く。

 ずいぶんと体力が有り余っている様子で、いつにも増してテンションがなぜか高い。

 その体力をアリアに分けてあげて欲しいと思いつつ、何を頑張るというのか……、アベルは一目散にオアシスに向かうクリエが少し気になった。

 

 ……そんな時、シドーが声を掛けてくる。

 

 

「おい、アベル」

 

「ん? 何だいシドー」

 

「……クリエのやつ、昨日寝てないんだ。今夜も多分寝ないと思う。オマエ、あいつに何か餌やったな?」

 

「餌って……」

 

 

 シドーの物言いに、クリエはペットか何かか……! ついツッコみたくなったがアベルは微苦笑だけしておく。

 

 

「オレにはわかる。あいつの隈が明日にはもっと濃くなってるってな」

 

「シドー?」

 

「クリエは一度ビルドにハマり出すと止まらないんだ。昨日は“ユカタ”とかいう服を作ったんだろ? 他になんか作ってるみたいなんだが、何か知らないか?」

 

 

 そう告げるシドーはクリエが心配らしい。

 奇妙なハイテンションで駆けて行くクリエを怪訝な顔で窺っている……。

 

 そのクリエはオアシスに向かいながら一人ぶつぶつと何か呟いており、ニヤニヤ顔――。

 声を掛けづらい雰囲気である。

 

 

「いや……とくには……あ。そういえば本を書くとか言ってたような……」

 

 

 僕とアリアをモデルに……ということは省略し、アベルはクリエが今制作しているのは【本】かもしれないことを伝えた。

 

 

「ふーん……、また旅のやつか?」

 

「そう言ってたような気がするよ」

 

「ふーん……、じゃあしょうがない。差し入れでもしてやるか……、呼び止めて悪かったな」

 

 

 アベルに一言二言訊ね、じゃ お先とでも言わんばかりにシドーも駆け出しクリエを追い掛けて行く。

 すぐに追い付いたが、考え事をしているクリエに彼が話し掛けることはない。

 

 その内にシドーが彼女を追い越し先陣を切り始めた。

 ……クリエを守っているのだと見受けられる。

 

 

「……フフッ」

 

 

 ――シドーはクリエちゃんに優しいな……。

 

 

 クリエの心配ばかりするシドーを目にしたアベルの口から笑みが零れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 オアシスに戻ったアベルたちは昨日建てたテントがそのままだったため、明日からはここを拠点に砂漠を巡回することに決め、今夜はもう休むことにした。

 

 安全な場所での休息は心身を癒してくれる。

 アベルはアリアがいればどこでも癒されたが、アリアにとっての癒しはアベル以外にもあったのだ。

 

 ……そう、その癒しとは風呂である。

 風呂好きなアリアはテントに戻ってすぐさま浴室に走って行った。

 

 馬車の中で待機中とはいえ、風に乗ってキャビンにも砂は入り込む。知らない間に身体にも砂が付いてしまうというもの……。

 アリアは今夜も【ごえもん風呂】にじっくりと浸かり、リラックス。

 入浴後には一時だけでも苦しい現実を忘れ【こたつ】で夫婦二人【ポーカー】を楽しんだ。

 

 次第に【ポーカー】が白熱し、勝負の途中からアベルの思惑通りカードが部屋に散らばってしまったが、すでに燃え上がった新婚夫婦がそんなことを気にしたりはしない。

 次に目覚めた時に片付ければいいのである。

 

 連続で安全な場所での泊まりなどそうないからか、二人はいつまでもくっついて離れなかった。

 

 

 ……そんな熱い夜を幾度も過ごし、何日経ったのかは定かではないが、何度目かの朝、ならぬ夜――。

 

 

「おはこんばんはー! アベルお兄さん、アリアお姉さん。ゆうべは以下略☆」

 

「あははは……」

 

 

 大きなテントに皆集まり食事を摂る中、クリエにニヤニヤと笑みを向けられたアリアが赤面し硬直すると、アベルも気まずくて頭の後ろを掻く。

 

 昨夜も言われた、その言葉――。

 何日か前は“以下略”なんて付いていなかったのだが……。

 

 そもそもわざわざ別に拵えてもらったテント内で行われたことを、なぜ彼女が知っているのか……。

 

 




クリエちゃん執筆に勤しむの回でした。
作業に集中してると気付けば夜中で、寝不足になったりしますよねー。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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