突然の求婚。
では、本編どうぞっ。
ヘンリーの部屋に戻ると、部屋の主の姿は見当たらなかった。
「……また居ない……」
「どこに行っちゃったのかしら……」
二人は再びパパスの元へと向かい訊ねるが、パパスはヘンリーはここに来ていないぞと頭を横に振るだけである。
今度こそ本当だよ! とアベルはパパスを引き連れヘンリーの部屋に戻るのだが、またもヘンリーは部屋でお絵描きをしており、パパスを睨み付け怒鳴って追い出してしまう。
「な、なんで……?」
『…………う~ん……』
狐につままれた気持ちになったアベルが目を見開くと、アリアは腕組みして思案顔をしていた。
その後、アベルはもう一度ヘンリーに子分になるか問われ「なる」と言って宝箱を調べるのだが、やはり中は空っぽのまま。
そして、ヘンリーの部屋に戻ると、またヘンリーの姿が見えなくなる。
三度目の正直だとパパスを連れて戻ると、ヘンリーは席に着いているという怪現象が起こってしまっていた。
「うー……何でだろう……?」
「ね、アベル。私ヘンリー王子の部屋で待ってるから、今度はアベル一人で隣の部屋に行ってみて?」
アベルが苦々しい顔で口を尖らせると、それを見ていたアリアが優しく微笑んで提案する。
「え……?」
「ヘンリー王子がどんな魔法を使って姿を消しているのかわかるかもっ?」
「あっ、なるほど! …………、……っ?」
チリッ。
アリアがヘンリーの部屋で見張っててあげると提案したその時、アベルのこめかみに小さな痛みが走った気がした。
「アベルどうかした?」
「いやっ、何でもないよ。じゃあもう一度宝箱を調べに行くね」
今、一瞬、何か
気の所為かな……?
やっぱり、
アベルは一瞬額を抱え、ふぅ、と息を吐いたのだった。
そして、
アベルはヘンリーの部屋の扉を開け放つ!
そして、ヘンリーに声を掛ける!
「ヘンリー王子! 今度こそ!!」
「どうだ? 子分のしるしを取ってきただろうな!?」
「いやだから……何も入ってなかったんだけど……?」
「なに? 宝箱は空っぽだったって? そんなはずはないぞ! 子分になりたければもう一度よく調べてみな!」
「…………わかったよ……(アリア頼むね!)」
アベルはアリアに目配せし、ヘンリーに云われるまま隣の部屋へと今度は一人で向かうのだった。
アリアは「任せて!」とサムズアップして、アベルを見送った。
◇
アベルは隣の部屋で、宝箱を開ける。
「……うん、ないね! ……あ、引き出し……調べてなかったな……」
ふと、部屋の隅に引き出しがあるのを見つけ、アベルはもしかしたら、ここに入れて忘れてる可能性もなくはないと思い、探すことにした。
がさ、ごそ。
がさ、ごそ。
がさ、ごそ。
がさ、ごそ。
がさ、ごそ。
がさ、ごそ。
【子分のしるし】とやらが何かはわからないが、そう大きなものではないのだろうと踏んで、アベルは引き出しの中を隈なく探していく。
「……――!」
「……――……――、……――?」
探しているうちに、隣の部屋からアリアとヘンリーの声が聞こえて来た。
「っ!?」
今、アリアとヘンリー王子の声が聞こえなかった……!?
引き出しの中を探すアベルの手が止まる。
「だから……ヘンリー王子――」
「そん……――から……――」
アベルが耳を澄まして音を拾うと、アリアがヘンリーの名を呼んでいるではないか。
「っ! 子分のしるしなんか探してる場合じゃない!!」
アベルは急いでヘンリーの部屋へと戻るのだった。
◇
「アリアっ!?」
バンッ!
と、扉を勢いよく開きアベルはヘンリーの部屋に入ると、目の前の状況に目を見開いた。
ヘンリーがアリアの手に触れ、その甲に口づけを落としている。
「あっ、アベル……!」
「っ!? ……おい、お前! この女は誰だ!? て、天使じゃないか!」
「なん……???」
……どういう状況?
アベルは瞬時に理解できず、固まってしまった。
「おいっ! お前聞いているのか!? 子分なら親分にこのオン……、コホンッ! 女性を紹介しろと言っているんだぞ!?」
ヘンリーはアリアの手を取ったまま、顔を真っ赤に染めてアベルを怒鳴りつける。
子分のしるしを渡したわけでもないのに、ヘンリーは既にアベルを子分と認定しているようだ。
「っ、あ……えと、ヘンリー王子。もしかして…………アリアが見えているの?」
「っ、アリア!? おま……いや、あなたはアリアというのかっ!! なんて素敵な名前なんだ!!」
ヘンリーは瞳をきらめかせながら、アリアの手をぎゅっと握る。
「っ……アリアっ、これっ、どういう状況!?」
「えぇ……とぉ~……(私もよくわかんないんだよぉ……)」
アベルにヘンリーが握る手とは逆の手を取られ、アリアは困惑していた。
「アリア! オレの嫁になれ! オレの嫁になれば将来は安泰だぞ!? なんたってオレは次期ラインハット王になるんだからなっ!!」
「っ、嫁って何? よくわかんないけど、ダメっ! アリアは僕の友達なんだから!!」
アリアはヘンリーとアベルにそれぞれ手を引っ張られる。
「ちょ、いった! 痛いぃ~……!!」
二人ともそんなに引っ張ったら、腕抜けちゃうよ!
アリアは顔を顰め痛みに耐えていた。
「っ、おい、お前! その手を放せ! アリアが痛がってるぞ!」
「ヘンリー王子こそっ!!」
少年二人は互いに放す気はないようで、引っ張る力を強める。
「っ、ひぎぃぃぃ~……! ぁぁああああっ!!(死ぬぅ~~……!)」
アリアは涙目になり、本当に痛いらしく一粒涙が頬を伝っていった。
「っ! ……アリアっ!」
アリアの涙に気付いたアベルは“ぱっ”と手を放す。
「うわっ!」
「わっ、きゃあっ!!」
どすん。
と、床に身体を打ち付ける音がする。
反動でヘンリーの方へとアリアの身体が倒れこんだのだった。
プロポーズは突然に。
ヘンリーと結婚したら転生の花嫁 ―完― ですね。
マリアはどうした!?
まだ終わりません……。
アベルといちゃらぶするまで終われません……www
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