ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

前回あらすじ>やみのランプが復活しました!

朝が来た~。

では、本編どぞ。



第七百六十六話 朝が来た

 

「や……、やぁぁあ~……っ……っ、たぁぁあああああああっっ!!」

 

 

 ――アリアっ! やったねっ!!

 

 

 アベルはようやくやって来た夜明けにアリアを抱きしめる。「アベんぎゅ」と胸の中に埋まるアリアから声が漏れたが、嬉し過ぎて気付けなかった。

 

 

「ピキー……眩しい……! わあ~! きれいな水だ~!」

 

 

 オアシスの水面が日に照らされキラキラ輝く様子に、感動したスラりんが一目散に駆け出し泉にドボン。バシャバシャバシャと水飛沫を上げて泳ぎ出す。

 砂漠の朝は寒いが、スラりんは平気らしい。

 

 

「おお……! 眩しい……! 朝陽がこんなにも眩しかったとは……」

 

「がうがう(キレイダナー)」

 

 

 ピエールとプックルはオアシスよりも、朝陽に輝く地表――広がる砂漠を眺め、風に吹かれて転がり光る砂に目を細めた。

 

 

「メッキッキッ!」

 

「おつおつ~! メッキーありがとねっ! キミ、チカラ持ち~! 助かったよ~。ほい、薬草!」

 

 

 ……上空にいたメッキ―とクリエが仲良く地上に戻って来る。

 

 

「うちのメッキ―はボクしか持ち上げられなかったから、シドー君はいっつも地上から追って来てたんだよねー。いやあ~、いい思い出になったよ~」

 

「メッキッキッ!(どういたしまして……!)」

 

 

 うちのメッキー……、どうやらクリエにもメッキーと同名の【キメラ】の知り合いがいるらしく、アベルにぃんとこのメッキ―は戦闘時も強くてすごいなーとのこと。

 褒められたメッキ―は活を入れられ、腫れ上がった臀部付近は痛いものの、気分は上々。

 そんなメッキーのあまりに痛々しい紫の尻に気付いたクリエは、慌てて【やくそう】を使用し回復させた。

 

 ……二人は打ち解けた様子で笑顔である。

 シドーはというと――。

 

 

「らぶらぶだなっ!」

 

 

 クリエと共にメッキ―に捉まっていたシドーは、一足先に飛び降りていたようで、アベルたちの側にやって来て嬉しそうに二人を冷やかしてくる。

 

 

「「っ」」

 

 

 急に背後から声を掛けられ、驚いたアベルとアリアは即座に互いの距離を取った。

 ……アリアは恥ずかしいのだろう、赤い頬で座り込み頭を抱えている。

 朝を迎え、彼女の白い肌が色付く様子がはっきりと見えた。

 

 

「……こほんっ。シドー、君だってクリエちゃんといつもラブラブじゃないか」

 

 

 ――あ~……アリアが蹲っちゃった……人前だと恥ずかしがりだもんな……。

 

 

 アベルは羞恥に身を震わせるアリアを横目に、シドーに言い放つ。

 

 年齢こそ自分たちよりも下とはいえ、いつもクリエのことを気にかけ、後を追いかけるシドーはどう見てもクリエが好きだし、クリエもシドーには信頼を置いている。

 大抵何をするにも一緒で、その様子はどう見ても“ラブラブ”にしか見えない……のは、アベル自身が愛を知り結婚したからかもしれない――。

 ゆえにそう思った発言だったが、当の本人は首を傾げた。

 

 

「はあ? オレとクリエがらぶらぶ? どういうことだ?」

 

「……あれ? 自覚なし……?」

 

「は? なんの自覚だ? なんだよアベル。わけわかんないこと言うなよ……」

 

 

 ……シドーは自覚が無いらしい。

 不思議そうにアベルを見上げ頭を掻き掻き、首を捻っている。

 クリエの言う通り未だ無垢な少年なのだろう。彼女の情操教育が上手くいっているようで、なによりだ。

 

 

「……まあ、クリエちゃんがこのままでいいって言ってたからいいか……」

 

 

 ぽつり。

 アベルは小さく呟いてシドーに薄っすらと笑みを見せた。

 

 

「はあ? なんなんだ?(ひょっとして“らぶらぶ”の使い方間違っているのか……!?)」

 

「ほい、シドーくーん! 朝が来たから休みに行くよー!(アベルオニイサン……!)」

 

 

 意味深な笑みを浮かべられたシドーは、不服そうに眉を顰めてアベルに迫った。

 そんなシドーの両肩を背後から“ポンッ!”。クリエがシドーの肩を叩くと、強制的に回れ右をさせる。

 シドーに回れ右をさせたクリエは、今度は顔だけアベルに向けてじろりと睨み上げた。

 

 ……アベルは「ごめんごめん」と愛想笑いと手を合わせる。

 恩人のクリエを敵に回したくはないので、これ以上二人の間を刺激することは言わないでおく。

 

 

「あっ、ちょ、クリエ! 今アベルにらぶ……――」

 

「ボクもうげーんかーい!!」

 

 

 さて、アベルを睨み付けたクリエは一転、シドーには眠気がピークだと叫び、テントへ行こうと促した。

 シドーは“チッ”と舌打ちをするも、最終的には「しょうがないな……」で、クリエが走り出すと嬉しそうに追いかけて行く。

 

 ……砂煙を上げ、二人の姿はあっという間にテント(大)に消えて行った。

 

 

「……早っ。ハハハ……、あの二人いつも楽しそうだなあ……」

 

 

 ――やっぱりラブラブだと思うんだけど。

 

 

 笑顔で走って行く二人を見送り、アベルは蹲るアリアに声を掛けるより先に、まずは元通りになった【やみのランプ】を回収することにした。

 

 

「……はあ……よかった……」

 

 

 手の内に収まる【やみのランプ】を見下ろし、アベルの口から安堵のため息が漏れる。

 

 ……ずいぶんと長い間夜だった。

 夜が明け、砂漠(この辺り)の朝は寒いものの、これから日が高く昇っていけば暑くなっていくだろう。

 すっかり寒冷化した世界も元通り温かさを取り戻すはずだ。

 被害がないといいが……。

 

 自分の不注意から世界を闇に変えてしまった後始末を付けられて良かった。

 【やみのランプ】……これからも謎を明かそうとはせず、大事に使っていこう。

 

 アベルは先ほどまで膨張と収縮を繰り返し、闇を飲み込みゲップをした【やみのランプ】に「おつかれさまでした」と告げて、軽く頭を下げる。

 するとその労いの言葉に反応してか、【やみのランプ】が一瞬きらりと光った気がした……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【やみのランプ】を普段使い用の袋に仕舞ったアベルは、未だ蹲るアリアの元へと戻る。

 ……愛する妻にまずはこれを言わなければ、一日が始まらない。

 

 

「……アリア、おはよう」

 

「……、あ……おはようアベル!」

 

 

 アベルが手を差し出すと、俯き座っていたアリアが気付き顔を上げた。

 久しぶりに見る陽に照らされたアリアの笑顔が眩しくて、アベルの目頭が熱くなる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「……朝が来たね(アリアの顔がはっきり見える……朝もやっぱり可愛いぃぃ♡)」

 

「だね!(アベルの顔、隈がすごいなー……でも一仕事終えた顔って、素敵ね!)」

 

 

 手を引いて立たせてくれたアベルをアリアはじっと見上げ、二人は笑みを交わした。

 二人ともそれぞれ違うことを考えていたわけだが、窮地を脱したおかげか、互いにのことに集中し、つい見つめ合ってしまう。

 見つめ合った二人は、どちらからともなく引き合うように抱きしめ合った。

 

 

「……じゃ、寝よっか?」

 

「プフッ。そうだねっ! ぐっすり眠って明日出発だもんね!」

 

「それもあるけど……、ね?」

 

「ぁ、へ……? で、でもアベル疲れてるでしょ?」

 

「うん、疲れて眠いけど、アリアの補充を先にしたいなーって」

 

 

 肌寒い早朝に抱き合えば、互いの体温で寒さは軽減どころか温かい。

 

 ……力を合わせて世界の危機を脱したアベルとアリアは新婚である。

 アベルがアリアのたわわをツンツン――優しく指先を埋めると、アリアもアベルの胸辺りに指先で円を描いていた。

 抱きしめ合いながら交わす言葉は、少し離れた場所にいる仲魔たちには聞こえないだろう。

 

 ……そう、地獄耳プックルを除いては――。

 

 

「っ、……んもぉ……しょうがないなあ……♡ お手柔らかにお願いしますね、旦那さま……?」

 

「うん……♡」

 

 

 頬を赤く染めたアベルとアリアがいそいそと手を繋ぎ、テントに戻っていく。

 仲魔たちのことなどすっかり忘れているようだ。

 

 

「がうがうっ!(……あの二人、これから子作りするから、皆は小さいテントに近付かないようにな!)」

 

 

 察したプックルが一言吠えると、仲魔たちは承知したように一瞬動きを止めてから各々主夫妻の背を見送り、オアシスでしばらく遊ぶことにしたのだった(キングスは付いて行こうとしたが、プックルに噛みつかれ断念した)。

 




じ、次々回くらいにやっと再出発できるかな~……。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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