ドラゴンクエストⅤ -転生の花嫁-   作:はすみく

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いつもありがとうございます、はすみくです。

前回あらすじ>勇者の墓を案内すると女王が歩き出し(競歩)、アリアが走って追いかける。それをアベルは追いかけて……。

レースのビスチェ♪

では、本編どぞ!



第七百八十三話 レースのビスチェ

 

 

 

 

 

 ビュゥゥゥ……、夕暮れの砂漠に吹く冷え始めた風がアベルの髪を揺らす。

 

 ……アベルは城外にて閉じられた門を前に、呆然と城を見上げた。

 手には手綱、隣には自分を憐れむ様に見下ろすパトリシア、そしてその後ろに馬車。

 側にはピエールとプックルが、言葉を失ったままぼうっと立ち尽くしている。

 

 

「……。ピエール……、い、今いったいなにが起きたんだ?」

 

「……さ、さあ……? いったい何があったので……?」

 

 

 城に入った時にはまだ朝だったというのに、外はいつの間にか陽が落ち始め、砂嵐は去ったが、城下では少し強めの夕風に吹かれた砂が僅かに舞っていた。

 ……そしてなぜかこの場に、アリアがいない。

 

 

「……うん。あ……ありのまま今起こった事を話すぜ!」

 

「……、は、はい……」

 

 

 衝撃の展開に頭がついていかないアベルは、思考を整理するべく、ピエールに今今この身に起こった出来事を話し始めた。

 

 

 ……アベルは女王を追いかけたアリアを追いかけ、城門までやって来た。見失うことなく城内で追いつき、遥か後ろにピエールたちも追いかけて来ている状態だ。

 アベルが追いつくとようやく開かれた城門の前で、女王とアリアはなぜか寄り添うようにぴったりと腕を組んでいた。

 勇者の墓を案内してくれるという話だったが、外はもうすぐ日暮れ、「明日にしましょう」と案内を断られてしまったのだ。

 

 ……と、そこまではまだよかった。

 

 

『アリア、今夜は城に泊まって行きませんか?』

 

『はい♡ 女王さま♡』

 

『うふふ。可愛い()、私のことはアイシス……、と』

 

『はい♡ アイシスさま♡』

 

 

 女王がアリアに微笑みかけ、アリアがそれに応える。

 そして彼女たちは、なぜか寄り添いあったまま二人で庭園へと戻って行く。

 

 

『アリア! アイシス女王!』

 

 

 アベルは二人を呼び止めた……、のだが。

 

 

『今夜はアリアをお借りします。衛兵……』

 

『ハッ! 旅人よ、すでに夜も更けた。明日の朝、来るがよい』

 

『さあさあ、出た出た』

 

 

 女王がそっと軽く手をアベルに向け、階段前にいた兵士に声を掛けると、兵士二人が馬車の手綱を手に、アベルたちを城から追い出しにかかる。

 人見知りなパトリシアもなぜか大人しく従い、あっという間に城門を潜らされてしまった。

 やっと追いついたピエールとプックルも“お帰りはあちら”とばかりに外へと促され、なぜか大人しく出て行く。

 最後にアベルも両脇を掴まれ、あっさりと城から追い出された。

 

 ……アベルたちが出て行くと、城門がもの凄い勢いで閉まる。

 

 “ガシャン!”

 

 

『はあああぁぁぁぁ~~↑↑!?(まだ夕方ですけど!?)』

 

 

 ――なぜだ~~!?

 

 

 体感にして、一、二分の出来事であり、アベルにはいったい何が起こったのか、すぐに理解はできなかった。

 

 

「……っていう……」

 

「つまり、またしてもアリア嬢が拐われたと……」

 

 

 ピエールが情報を要約してくれる。

 ……つまりはそういうことだ。

 

 

「僕が呼んだのに無視して……、アリアの薄情者……。そんでもって浮気者……」

 

 

 アベルの呼びかけに、アリアは一切振り返らなかった。

 浮気は駄目だとあれほど言っておいたというのに、あっさりお持ち帰りされるとはなんたることか。

 夫の目の前で堂々とお持ち帰りされた妻に、アベルは不機嫌に口をへの字にする。

 

 

「あ、相手は同性ですし、大丈夫ですよ……。女王もアリア嬢にご母堂の面影を見ているようでしたし、何かお話したいことでもあるのでしょう。明日の朝、迎えに参りましょう」

 

 

 アリアが突然いなくなるのは、今に始まったことではない。

 城内にいるのであれば安全であるし、大した問題ではないのだから。

 

 ……ピエールはアベルを慰めるように背をぽんぽんと叩いた。

 

 

「はあ……そうするしかないかあ……」

 

 

 ――教会に連れて行きたかったのに……。

 

 

 アベルの立てた予定は、いつものように思い通りにはいかないようだ。

 アリアといると何が起こるか わからな過ぎて戸惑うが、嫌ではない。

 

 今夜は潔く諦め、明日の朝アリアを迎えに行ったその足で、教会へ連れて行こう。そのあとで勇者の墓に行けば勇者の情報も得られ、安心してこの国を出ることができる。

 

 

「……じゃあ、とりあえず、まだ辛うじて日も出てるし……城下を歩こうか」

 

「そうですね」

 

 

 アリアと回りたかったが、愛妻は浮気中……。

 テルパドール観光は明日に持ち越し、アベルは一足先に情報収集をするべく歩き出した。

 

 

「ピエール、そういえば武器屋と防具屋があったよね、行ってみよう。どこだったっけ?」

 

「確か……、南西に位置していたかと」

 

「ってことは、あの建物だな。モエールの装備を買ってやらないとね」

 

 

 ……城門前から武器屋と防具屋の建物が見える。

 

 今この場にアリアはいないが、明日スムーズにテルパドールを立ち去れるよう、準備はしておきたい。

 武器は皆、それなりに充実しているので、今は見なくてもいいだろう。明日アリアと立ち寄ることにして、アベルたちの足は防具屋へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、防具屋にやって来たアベルはというと――。

 

 

「レースのビスチェ!!」

 

 

 ――アリアにプレゼントしたい……!!

 

 

 防具屋に来たのはモエールのためだったのだが、アベルは防具屋に並ぶ、レースをふんだんに使った、女性用下着である【レースのビスチェ】に目を奪われ、財布に手を掛けていた。

 

 

「……主殿。ずいぶん前に、すごろく場の景品を手に入れていたではありませんか……(モエール殿に防具を買ってやるのではなかったのですか……)」

 

 

 ……ピエールからは呆れた声。

 

 実はアベルはオラクルベリーでも、カジノ船でも【すごろく場】に立ち寄り、何度もトライし、しっかりゴールして景品をゲットしている。

 そこで景品として手に入れた【レースのビスチェ】は、アリアにプレゼント済みであるが、色違いも欲しい。

 

 アリアにいくら防具を贈っても、【ステータスウィンドウ】に反映されるのは下着の種類と色のみ。

 【レースのビスチェ】は着ていると反映されるため、是非色違いを贈りたいと思ったのだ。

 

 

「このピンクの下さい!」

 

「ピンクのレースのビスチェですね。こちら限定色となります。ありがとうございます。さっそく装備なさいますか? きっとお客さまにぴったりでございますよ」

 

「えっ!?」

 

「……冗談です。はい、どうぞ」

 

 

 アベルが挙手して【レースのビスチェ】をお願いすると、防具屋の主人が妙なことを言ってくる。

 お客さまにぴったりだと言われてぎょっとしたが、冗談だったようでよかった。

 

 

「び、びっくりした……」

 

「ハハハ、ありがとうございました。またおいで下さいませ」

 

 

 会計を済ませ、アベルは珍しいピンク色の【レースのビスチェ】を受け取る。

 他の【レースのビスチェ】はみな白色だが、アベルが見つけた一点だけがピンク色だった。

 

 店主曰く、長い夜の間商売にならず、夜が明けても砂嵐で客足が少なく、退屈していたらしい。

 そんな中、目玉商品としてピンク色の【レースのビスチェ】を仕入れたようで、一点もの。

 退屈しのぎにジョークを交えて接客するのもよしと思い、言ってみた……とのこと。

 

 アベルは【レースのビスチェ】を着こなす自信はないが、アリアに着ろと言われたら喜んで着る。

 本来装備出来ない防具を装備――、というと、サラボナで着させられた【おどりこの服】を思い出すが、アベルの着た【おどりこの服】は壊れて捨てざるを得なかった。

 買ったばかりの【レースのビスチェ】を破損させるわけにはいかない。

 

 

「……しまった。モエールの装備が……!」

 

 

 アベルは購入したピンクの【レースのビスチェ】を見下ろし、はたと気が付く。

 

 通常【レースのビスチェ】の価格は5500ゴールド。

 だが一点ものの、この【レースのビスチェ】は8250ゴールド。通常価格の1.5倍である。

 

 ……少々値が張ってしまった。

 モエールの装備品を買うと、理由なく一日に使っていい金額を大幅に上回り、(つま)しい妻に説明しなければならない。

 

 アベルとアリアは結婚後、魔物との戦闘で稼いだ金を共同で管理しており、互いに一日に使っていい金額を設定している。

 いわゆるお小遣い制というやつで、予め決められた金額を上回るほどの買い物は、お互い情報共有をすると決めていた。

 そして決めた額が、アベルは一日上限10000ゴールドまで自由に使え、アリアは100ゴールドまで。

 金額が違い過ぎるのだが、アリアはそれで問題ないらしい。

 

 彼女は遠慮してなのか、自分の装備品は不要と言い張り、普段からありもので生活している。

 修道院生活が身に染み付いているのだろう、大抵のものは作るなりして自分でどうにかしてしまうのだ。

 

 そもそもなぜそんなことになったかと言えば、アリアが普段何に興味を持ち、何を買っているのか知りたかったために、アベルが決めた上限である。

 彼女は「別に上限なくてよくない? 私自分に100ゴールドも使わないし、アベルが好きに使えばいいのに」と言っていた。

 そこにアベルは「じゃあ上限を越えたら、何に使ったか説明ね」なんてアリアの買うものをチェックすることにしたのだ。

 だが実際、アリアの買い物の殆どは、食べ物か仲間たちのための買い物ばかりで、100ゴールドを越えた報告がたまには上がるものの、何とも面白みがない。

 

 基本的には一緒に行動することが多いため、買うものも二人で決めるが、アベルが無駄遣いをすると、アリアはちょっぴり不機嫌になる。

 10000ゴールドを越えたら報告のため、モエールに【みかわしの服】を買ってやっても説明すれば問題ないと思うが、なぜそんなことになったのかを説明した時のアリアを想像すると、少し怖い。

 

 【レースのビスチェ】ならすでに一枚持っている……。

 たかだか色違いの下着一枚に8250ゴールドも使ったと知ったら、受け取ってもらう以前に返品してきなさいと怒られそうだ。

 

 ……モエールの装備品は今は買わずに、アリアと合流してから購入することにした。

 




1.5倍額のピンクのビスチェ。
機能は通常のレースのビスチェと同じっていう。
アベルに着せたいw
きっとむっちむち♡
そんでもってブチブチッと弾けちゃうまでがセット。

今まですごろく場の下りは一切書いていないんだけど、実は行ってましたよーってことで。
なにか思いつけばすごろく場のエピソードも書きたいですが、今のところ特に書きたいこともないので。最後のすごろく場辺りは書きたいですね。

補足でもなんでもないですが、アリアがお金を使わないのは旅先で色々貰うからです。
物欲もあまりない人ですしね。
あるのは睡眠欲と食欲、そして性欲かな。

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読了お疲れ様でした、そして読んでいただきありがとうございました!
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